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全く違う世界

あれから。

最後に言葉を交わしてからもうどれぐらいの月日が経ったのかな?

あれから、私は以前のようにランドールさまを遠くから見るだけの日々に戻っていた。

煌びやかな宮殿の中螺旋階段の中央でランドールさまは左手を手すりに置き、皮の手帳を右手で開き本日の予定を確認している。

あの時の事は本当に夢だったのでは無いかと思うほど何も無い。

それでも、私は今までと同じように螺旋階段の手すりを磨いている。

ランドールさまのお手が触れるこの場所をピカピカに磨いておく。

そして、遠くからランドールさまを見つめる。

一度も目が合う事はないけど。

どうしてだろう?

私の記憶の全てを無くしてしまったのでは無いだろうか?

私はここにいるのに。

と言うか何を期待しているのだろう?

そう言うのを思い上がりって言うんだわ。



「そもそも、お前とランドールさまには越えられない程の身分の差と言う壁がある事を忘れるなよ」


いつもの中庭でデュオに言われた。

木陰けが強い日差しから私達二人を守ってくれるおかげでここは居心地がいい。

デュオは私が作った卵サンドをペロリと平らげると、ゴロンと横になった。


「今日もうまかったありがとう」


デュオのいいところはこうしてちゃんとお礼が言えるとこ。

大抵の人がそう言う当たり前の事を忘れてしまっているから。


『この時間になると腹が減るんだよなー、今日もお前がいてくれて良かった

ありがとう』


あ、ランドールさまの言葉思い出しちゃった。

ランドールさま程の方が私の料理を美味しいと褒めてくれた。

ありがとうと言ってくれた。

今でもはっきりとあの時の瞬間瞬間を思い出せる。


「ついでだから別に気にしないで」


「……、お前本当にランドールさまの事好きなんだな」


「何急に?」


「……、最近ちょっとイヤな話し聞いてな、ルーセル家って聞いた事あるだろう?」


ルーセル家とはここランドールさまのクレモン家の事を快く思っていない公爵の家である。

元から慈善活動に積極的に取り組んでいるこのクレモン家は、自分達だけが大事他の者などどうなってもいい放埒な人間達の集まりであるこの界隈では敵が多く、クレモン家に賛同してくれる貴族などほとんどいない。

クレモン家の事を遠巻きに見て、遠回しに嫌みを言ったり、生活に余裕がある人ほど心に余裕が無いのかと思うぐらい。

あまりに幼稚で拙い。


「そのルーセル家の姫リナ様がランドールさまの事をいたく気に入ってしまい、ランドールさまとの挙式を上げたいらしく…」


「え?」


「それを面白く思わないのが、リナ様の兄ロンさまで…、この間その事で、ランドールさまに一方的に喧嘩を吹っ掛けてきたらしい」


え?何それ…?


「ランドールさまは全く関係ないのに」


「大人気無いだろう?まぁ、サムの機転のお陰で事無きをえたらしいけど」


「…」


「そんな世界で生きてるランドールさまだから、きっとオレ達とは全く別の世界が見えていて、オレ達とは全く考えも違うんだろうな」


全く別の世界…。

それはきっと私には想像すらできない世界…。











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