死神と仕事
ただただ暇つぶしに描き始めたものです。急に更新しなくなるかもしれないですしそんなに面白いわけでもないと思います。
つまらなければすぐにきって頂いて構いません。
『人生とは、必ずしも思うようになるとは限らない』
そんな言葉を昔、映画か何かで聞いた気がする。そして今まさしくそのことを実感している。厳密には自分は人間ではないから人生と言う表現が正しいのかは分からない。とにかく今自分は間違いなく思っていたようにはいっていない。
確か今回の仕事は対象の近くに転移し、サクッと倒して帰還する予定だったはずだ。ところがどうだ、前情報で言われていた対象が拠点にしている人間の気配のない森の中の古びた城の入口付近に転移されるはずが人間の多い商店街に転移している。
『悪い事が起こるのはわれわれの身に降りかかる最悪の事態ではない。最悪の事態は何も起こらないことだ』
そのような言葉もどこかで目にした気がする。しかし、自分と同じ状況になっても同じことが言えるだろうか。
そんなことを考えていると突然電話がなり、驚いて反射的に電話にでる。
「調子はどうだ?」緊急連絡係の仲間が少しからかうように質問してくる。
「私の状況をわかった上で言ってくれるな。調子はいいが気分最悪だよ。」嫌味ったらしく言ったつもりだったが相手からの反応はなくすぐに切り替え今度はこちらが質問する。「まぁいい、とりあえず今の状況を詳しく説明してくれないか?」
「ああ、わかった。よく聞け、お前が転移した場所は対象の拠点より約1万7000キロ。だいたいお前が1番行ってる世界の日本からブラジル位の長さだな。徒歩だと成人男性の基準の1キロ10分だとしておよそ120日間休み無しで行けば着くな。ただあくまで直線距離だからな。実際はさらに時間がかかると思われる。」
そんなもんだろうとは思ってはいたが実際言われるとどうも気分が下がる。「とはいえこの世界にも徒歩以外の移動手段はあるだろう。」
「飛行機でもあれば良かったな。だが残念ながら馬車ぐらいしかないな。まぁとはいえ速度は徒歩よりかは早いだろう。けど馬車なんて街から街に移動するそれなりの商人くらいしか使ってないからな。それに街から街に移動するわけだら当たり前のごとく遠回りにはなる。」
「どちらにしろやらねば帰れないのだからやるしかないだろ。」自分の運の無さにあきれながらも返事をする。
「まあ、頑張ってくれ。問題点としてはお前は無一文だ。そして対象が強敵であり、最初から暴れる予定だったがためにリミッターが全てかかっていない。そこら辺は意識して行動してくれよ。人間を殺すのはダメだからな。まあ1〜2体くらいであれば何とか誤魔化せるかもしれないが…。その世界の人間に殺させれば問題はない。やりすぎも良くないけどな。」
「ああ、わかった。気をつける。」
「じゃあな頑張れよ。健闘を祈る。」
電話をきると、改めて周りを見渡すと行き交う人々がこちらを不思議そうに見ていた。確かに忘れていたがこの世界には携帯が存在しないはずで不思議そうにこちらを見るのもおかしくはない。とはいえ居心地があまり良くないので大通りから路地裏のような狭い道へととりあえず移動する。
狭い道の少し奥にはちょっとしたスペースがあり、この後どうしようかと考えながらも奥へとすすむ。少し進んだところで「ちょっといいですか」と後ろから声をかけられる。振り向くとそこには見ず知らずの女の人が立っていた。身長は女性にしては大きく恐らく165程度、年齢は20にいっているかどうかでスタイルはよく、顔立ちは整っているように見える。そして何よりも服装がこの世界のものではなく、確か他世界でのジャージと呼ばれているものだった。恐らくこの世界の人間ではない。転移者か転生者だろうか。転移者や転生者は基本的にこの世界が非常事態の際に無理やり呼び寄せることが多く、優遇されることが多いのでこれからの目標に役に立つかもしれない。とにかく詳しく話を聞く必要がありそうだ。