全てを失い絶望に落ちる
俺がしたかったのは何だったのか。
俺は救おうとした。
この国、アナザー共和国を。
でも、俺は何も救えなかった。
寧ろ、破壊してしまった。
「ふざけるんじゃねぇ!!」
「余計な事しやがって!!」
「出ていけ!!この国から消えろ!!」
「このクズめ!!」
「お前だ!!お前が全て悪いんだ!!」
「お前がこんなことをしなければ!!この国は壊れなかった!!あいつらは死ななかった!!」
「出て行けぇ!!」
嗚呼…。今わかった。
俺がやったことは所詮無駄だったことを。
「お前がこんなことをするなんてな…。」
「もう君の顔も見たくないね。」
「結局アンタは何も出来なかったじゃない!!」
「もう話しかけないでほしいかも…。」
「最低で最悪な犯罪者なんだね。」
「信じたいけど…事実だもんね…。」
「本当に子供ね!!だからこんなことになるのよ!!」
「君にかけるべき言葉がないよ。」
やめてくれ…。その蔑んだ目を俺に向けるな…。
「僕には…何も言えません…。」
「最低!!二度とお兄ちゃんに近づかないで!!」
「……さようなら……。」グスッ
そうか。所詮お前らにとって、俺はそんなもんか。
仲間だと信じていたのは俺だけだったのか…。信じていたのは…俺だけだったのか……。
都合が悪くなったら、仲間を見捨てるのが仲間というものだったのか…。
「昔は、貴方が私の息子であったことが誇りだった。でも、今は貴方みたいな犯罪者が息子であることが恥ずかしい!!」
「今すぐ出ていきなさい!!」
「もうお前なんか息子でも何でもない!!」
家族にすら見捨てられるのかよ…。もう笑えねぇな…。
何かやらかしたら責任を取らず、自分可愛さに逃げるのが家族というものだったのか…。
「お前の使い魔は全員ワシが保護することになった。まあ、こいつらも、お前のような犯罪者から解放されるから喜んでいるだろう。」
「は?ふざけんな?」
「お前の行った行為からすれば、当然の事じゃろう。お前のブリーダー資格は剥奪された。」
「こいつらは、ワシが治療する。犯罪者の仲間だったんだ。洗脳されてるに違いない。」
マジかよ。使い魔とも離れ離れになるのか…。
博士、あんたは俺と仲間達は絆が深いと評価していただろ。何で悪者扱いするんだよ。
「お前は、本当はそんな奴だったのか。」
「お前なんかに虹の鍵を託すべきではなかった。今すぐ虹の鍵を返せ。」
「娘を託すのは間違いだった。」
「私達の争いを止めるのは、本当は世界を破壊する時に、私達を利用する為の演技だったわけか。」
「見損なったぞ。」
こいつらも掌返しするのか。
見損なったのは此方だよ。何が伝説の勇者だよ。
「では、トキワ被告を死刑とする。」
「「「異議なし!!」」」
ろくに弁護もない。俺には発言の権利もない。味方は誰一人いない。
そんな不公平な裁判により、俺は死刑になった。
死刑になった人間の名前はトキワ。
イスルギ村出身の元勇者。
夢は魔王を倒すになることだった。
夢は儚く消え去る。
救おうとした物は救えず、仲間も家族も地位も全て失った。
そして死んだ後で、『希望はなく、あるのは絶望のみ』と言う世界の心理に気付いたのだった。
To be continued…?