ゾンビ似店員
ハロウィンでもないのに外見がゾンビっぽい人がいる。
動きはハキハキしていてゾンビらしくはない。
服装的にコンビニ店員らしい。
“ガタッ”
「どうなさいましたか?」
店内でお客が倒れたみたいだった。
店員はゾンビみたいに手を前に出しながら体調が悪くなったお客に走り寄っていった。
私は心配で、お弁当どころではなくなっていた。
“ガタガタガタッ”
走っていった店員は勢いをつけすぎて棚にぶつかり倒れてしまった。
「大丈夫ですか?」
私が店員に遠くから声を掛けると会釈をし、ゾンビみたいに起き上がり、外見のイメージと真逆の高い声でお客に話しかけた。
「大丈夫ですか?」
「貧血です。それよりあなたは大丈夫なんですか?顔色が悪いですけど」
「僕、生まれつきゾンビに似てるんですよ。はい」
ホッとしたが、お客と店員の頭上を見ると、お酒の瓶が棚でよろめいていた。
ゾンビは頭への攻撃が弱点。
「危ない!」
私はゾンビみたいに手を前に出しながら走っていった。