3-19 学業③
気を取り直して1年生の期末試験の準備をしよう。
他の授業はともかく歴史はわたしの人生に関係ないと思ってたからいろんな本読んでも無視してた、かなり不味い。
第一帝国期と第二帝国期は資料が少ないので試験にはでないからスルーする。
問題は第三帝国期から、遷都以前はやはり資料が散逸しているので試験にはあまりでないらしい。
問題はヴェーナに遷都してから。新帝国歴ともヴェーナ帝国歴ともいわれる。
では復習を始めようか。
第二帝国期、もしくは神聖期といわれる時代までが伝説の時代
前509年頃 旧都クランセプール建設
前27年頃 帝位を巡って皇室各家の戦争勃発。旧都に疫病による蔓延死者多数。
0年 近衛騎士サガが旧都をすて市民を率いて遷都。代理皇帝時代
36年 新帝イシュトバーン即位。帝権神授説を否定
学者によってはここから第三帝国期ともいう。
98年 南方総督ウィルシュナが皇帝に即位
124年 帝都に旧都を模してアイン・フィンタム万神殿が再建される。新都建設完了
395年 東西南北に皇帝の代理人として副帝を配置
425年 貴族の子弟に対し公教育開始
535年 オット・パンゴ火山噴火、世界の気候が変化する。南方圏貧困化
711年 蛮族大侵入時代始まる。北方、東方各地へ侵入される
730年 唯一信教による神像破壊活動多発
838年 皇帝セオフィロスが蛮族領地へ逆侵攻、大勝するが凍り付いた大地で北上に失敗し帰還前に死去
849年 皇后マグナウラの離宮を学院として女性の公教育開始
858年 政治に関与しすぎた皇后エンスヘーデを近衛騎士が殺害。一時的に女性の権利後退
868年 印刷技術が民間に流通する
930年 帝国議会創設
1000年 西方諸国再編し連合軍を編成。西方諸島侵攻開始
1031年 侵入した蛮族が各地で小国を建国
1075年 皇女コムネッナが西方圏自治都市エネクシアの市長と結婚。市民階級の勢力増大が露わに
1096年 唯一信教の義勇軍が蛮族国家群を壊滅させ、勢力拡大
1198年 副帝廃止・選帝侯の時代へ 軍制変更 総督府廃止 行政区へ
1215年 帝国大法典成立 改めて信教の自由が確認される。万国法を各国が承認
1241年 イグニッカの戦い 高地地方の部族が蛮族に大敗するが、遊撃戦で撤退させる
1254年 唯一信教大司教の反対で皇帝選出されず。近衛騎士長が代理皇帝へ
1273年 皇帝リッドリックが即位する
1287年 ラール海で聖ヴァルマン祭の大洪水が発生
ヴェッターハーンで建設中の運河にて外海と内海が繋がる。歴史上最後の大奇跡とされる。
以降第4帝国期と分類される
1337年 魔女狩り開始、堕落した神殿の宗教活動弾圧、エイラシルヴァ天爵家が最後の当主死去により断絶。
国教化を画策しようとしていたとされる皇后の側近に唯一信教の疑いがあった模様。
この頃から神術の使い手が途絶え始める
1345年 唯一信教の国教化を進めた皇帝オンスタインを親衛隊が殺害
1347年 跡を継いだ皇帝エッドウッド、奇病フルーア病により死去
1352年 ダルムント方伯らの活動により本土から唯一信教完全追放。帝国追放令が大陸中の全信徒に適用される。神聖期を模して聖堂騎士団再結成。巻き添えになった旧来の神殿を統廃合
1358年
~1360年 第一次市民戦争。北方市民の反乱。各国の遠征軍により即座に鎮圧される
1378年
~1385年 第二次市民戦争。西方市民の反乱。各国の遠征軍は勝利するも精錬技術の発達し量産された現代武器の前に多くの魔術師、魔導騎士を失う
1398年 印刷技術が大きく進化し普及する。聖典の価値が100エイクから5エイクまで低下する。信頼性の高い書物が普及し始める。市民勢力の再興
1412
~1418年 蛮族が北部を突破し北方圏西部同盟市民連合が戦闘放棄し蛮族に屈服。西部へ浸透
西方諸国がが逆襲し北方圏西部諸都市を制圧。領有宣言
1415年 北方、西方の混乱期に南方圏でも貧しい土地を巡って戦乱時代へ東方圏へ難民流入
1435年 オスニングの森の戦いで北方方面軍敗退するも、帝国騎士達の奮闘により蛮族を押し返す
1444年 南方戦乱集結
新帝国歴1444年、つまり今年だ。
現代の部分は手厚く記述されているとはいえ、お父様ったらわたしが幼児の時、既に歴史書に名前残していらっしゃった。
そしてそれよりずっと前に14歳でそのお父様と同じ勲章を叙勲されていたシャールミン様の凄さを改めて認識する。
現代史は試験の中心範囲なので、もうちょっと勉強しておこう。
先生ははっきりいわなかったけれど、帝国政府は皇室に介入させずに唯一信教を叩き潰す為に旧来の信仰や女神官達を当て石に使ったように見受けられる。
選帝侯は東西南北の大君主だけではなく、唯一信教の大司教と帝国本土でいかなる権力とも独立して中立を保つ帝国貴族のダルムント方伯、北方と東方方面軍の対蛮族の総司令官の役割を負うアル・アシオン辺境伯も併せて選帝侯というらしい。
大司教はもう廃止されていないけど。
帝国議会が候補者を選定して選帝侯が選挙で選帝して皇室会議が承認する、と。
現在の皇帝トゥレラ家のカールマーン陛下は近々引退を表明される見通しだとか。
トゥレラ家は連続して皇帝を輩出できないので、帝国議会は年頃で有力な男性がいる他の皇室の家をいくつか選ばなければならない。
帝国議会は帝国貴族の当主たちから構成されて、現代は平民院も創設されているけど選定権は無い。本土外に配された皇室の一族は選定対象外になる。
ん、大体覚えた。これで試験は乗り切れそうだ。
???
むむむ・・・何かおかしい。
帝国貴族の当主?
わたし?
わたしも次の皇帝選ばないといけないの?
てゆっか議会なんて一度も出たことないよ!
誰もそんなこと教えてくれなかったじゃん!!
んー、いいやパス。
大体あのお爺さんが議会に出てたとは思えないもの。
設定資料側に載せようかと思っていた内容ですけれども、イルンスールが学業と責務を学ぶのにちょうど良かったので本編で




