表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で俺の土下座が役に立つ  作者: ストレッサー将軍
探せ! ~我らツチノコ探検隊~
37/50

土下座その35


「ツチノコとは、文字通り”土の子”なのです。木に生えるきのこが”木の子”であるように、土に生える菌類のことをツチノコと云うのです。すごーく簡単に言えば、土に生えるきのこのことをツチノコと呼んでいるということです」

「じゃあ、ツチノコは爬虫類や哺乳類のような動物ではなく、あくまでも菌類なのですね」

 ツチノコはあくまでもきのこと同じ菌類なのか。だから、生き物に見えるけど生き物と認めたくない何か異質な感じがしたのか。

 俺は納得できた。

「分類的にはそうです。しかし、ツチノコは動きます」

「え、動くのですか?」

「そうです。だから、きのこよりもツチノコを見つける方が難しいのです。ツチノコは普段、ミミズのように土の中に潜っています。そして、地中に含まれる金属を食べて、成長し、体から胞子を出して増殖するのです。ツチノコにも種類があって、その分類は、捕食する金属の違いによります。鉄を食べるツチノコもいれば、金を食べるツチノコもいるのです。鉄を食べるツチノコをテツノコと呼んだり、銅を食べるツチノコをドウノコと呼んだりすることもあります。当然、きのこと同じように食べることもできますよ」

 そう言うと、クルミさんは掴んでいたテツノコを口の中に放り入れ、もぐもぐ食べた。

 うげぇ、と思ったが、クルミさんは平然としている。

「テツノコには鉄分が豊富に含まれているので、鉄分不足の女性に重宝されているんですよ。味はレバーみたいな味です。慣れるとおいしいですよ。あ、もう一匹いた。ハクシュウさんも食べますか?」

 クルミさんは近くにいたテツノコを捕まえると、俺の方に差し出した。

 俺はどうしても食べたくなかったので、話題を変えようとした。

「あ、そ、そうだ。私の故郷の糸魚川いといがわでは、ツチノコは幻の生き物で、見つけた人には一億円あげます! って宣言して、町おこしに使っているんですよ」

 俺は新潟県糸魚川市の生まれだ。

 俺の故郷糸魚川では、ツチノコを見つけた者に一億円をあげると宣言している。絶対にツチノコなど見つからないと高をくくり、一億円という大金で観光客を呼び込もうという浅ましさが見え隠れしていて、少しうんざりする。『つちのこ探検隊』という名前のホームページもあり、『つちのこサンバ』という曲や『つちのこ饅頭』というお土産まで作っている。

 興味のある方は是非一度、調べてみて欲しい。

「イトイガワ? それは、どこですか? あまり聞いたことがありませんが」

「ああ、えっと、新潟県の上越地区にある市なのですが」

「え? ハクシュウさんは、ニイガタ街出身なのですか?」

「え、ああ、はい。新潟出身ですけど」

「なるほど、じゃあ、だいぶ遠くからこの街に来たのですね。大変だったでしょう?」

「まあ、遠いといえば、遠いでしょうか……」

 俺はなんとなく話がかみ合っていない気がしたが、とりあえず話を合わせた。

「ガサッ」

 クルミさんと立ち話をしていると、草をかき分けるような音がした。

 俺は音がした方を振り向いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ