俺は女性恐怖症だが、文句あっか? ねぇよな?
「俺は女性恐怖症だが、文句あっか?」の続きですが、こちらから読んでも特に差し支えは御座いません。
恋する女の子は可愛い。
恋する女の子は好きな人の好きな人になるために努力する。
化粧も丁寧に。
服装だって、気を遣って。
その服に合うアクセサリーを付けて。
だって可愛いって思ってほしいから。と言って恥ずかしそうに笑う女の子は本当に可愛い。
女はそんな可愛らしいふわふわした存在ではないと俺は知っている。
女は化け物だ。
好きな人が出来た女はまるで肉食獣のような恐ろしい目をしている。
嫉妬に狂った女は好きな人のそばにいる女を殺してしまうのではないのか、と思ってしまうほどの殺気だ。
突然だが俺はバイトをしている。
普通にスーパーで品出ししたり、レジで会計をしている。
本当は女には会いたくなんてないからバイトなんてしたくねぇんだが、やはり金は欲しい。と思ってバイトをしているのだが………。
職場変えようかな………。
「諒くんは私が狙ってるから話しかけないでね!!」
大学生である女が後輩の女子高校生に釘を刺していた。
どうやら職場の女子全員に言っているらしい。
この所為で職場の空気がかなり悪くなっているのだが、そういうことはするなとは言えない。だって女、怖ぇからさ。絶対無理無理。
「解りました」
面倒くせぇという顔を隠しもしないで言っていたのだが大学生の女は満足したらしい。
「あ、ちょっとレジやっといてくれない?」
例の男が女子高生に声をかけた。
身長は180近くあって、結構高い上に、顔もなかなかイケメンだ。えっと、じぇいそんぶらさーず?の岩なんとかに似てると思う。
「あ、了解です」
それだけの短い会話だったが、大学生の女は気に食わなかったらしく、ぎろりと女子高生を睨んだ。
「色目使ってんじゃねぇよ。アタシが好きだって今さっき言ったばっかじゃん。この尻軽が」
掴みかかりそうな勢いで罵倒した。
一応は仕事中なのだが、そっちのけで自分の恋愛を優先している。これでいいはずがない。
「は?色目なんて使ってませんよ。それに、私彼氏いるんで」
流石に少し怒ったらしく言葉遣いが荒くなっている。
「それはそれでむかつくな」
ちっと舌打ちをして睨んだ。
自分は彼氏がいないから羨んでいるようだ。最近この職場に女子高生が増えてきたから焦りもあるのだろう。
まぁ、そりゃあ、そんな性格じゃ彼氏どころか友達も出来ないだろうがな。
「は? ふざけんじゃねぇぞ?」
女子高生はとうとうキレた。日頃から例の男から話し掛けられる(ほぼ業務連絡)だけで、睨まれ、怒られる。こんな生活が続けば誰だってストレスが溜まるだろう。
女子高生の拳は綺麗に大学生の女の顔に吸い込まれていった。
どうやらボクシングを習っているらしく女子高生の殴る姿はとても様になっている。
殴る、殴る、殴る。
ひぇぇぇえ。怖ぇ。俺は少し離れた所にそそくさと避難した。
「ごふっ、っは…………」
息が上手く出来ないのか、ごふっ、ごふっと咳をした。
ヤバくねぇか!?
女子大生の意識は消えかけているらしく体は動かない。
女子高生はもう怒りも収まったのか、殴るのを辞め、血で汚れた手を洗いにトイレに行った。
とりあえず俺は救急車をよんだ。
うん、俺、このバイト辞めよう。
女が怖い……。
「店長、俺もう無理です。バイト辞めます」