09『これからの予定は……』
5月中にもう1話投稿する事が出来ました。やったぜ
「そういや、お前この後何するか決めてるのか?」
完食し、空になった箱をアイシャから受け取りつつ、ルドルフは問いかけた。
「えっと、これから仕事を探しにジャニュアへ行こうかと思ってます」
「そのボロボロの恰好でか?」
アイシャの服装は、やって来た時と変わらず服の所々に穴が開いており、衣服としての機能を成しているかも怪しい。
「は、はいこれしか持ってないので……」
「んー、少しここで待ってろ」
そう言ってルドルフは、アイシャを残し部屋を後にした。
「また……何か持ってくるのかな……」
これまでのルドルフの行動からすると、またアイシャに何かを与えるのだろう。変な事はしないだろうが、まさか女物の衣服を持って来たりはしないだろうかと、アイシャは内心不安になった。
「おう、お待たせ」
あれこれアイシャが考えている内に、ルドルフが戻って来た。その手には、ルドルフの手の平が埋まるぐらいの巾着袋があった。
巾着袋が揺れる度、ジャラジャラと言う金属と金属がぶつかり合う音が聞こえてくる。
「ほれ、持って行け」
「これ……は?」
「中に向こうでの服代、飯代込みで3万ゴルくらい入れてる。 紙幣と、一部は硬貨に崩してあるから」
「えっ、3万!?」
家賃よりも二倍以上も高い額を軽く手渡されたアイシャは、驚愕した。
「何驚く事があンだ? 何着か買うンならこれくらいあった方がいいだろ、足りねェか?」
「う、受け取れないですよ! い、いつ返す事が出来るか……」
そう言いながら、アイシャは両手を前に出して、断りの意思を示す。
「いいよいいよ、返さなくても。 お前にやるよ」
「あげっ……3万ですよ!? 軽々しく渡せる様な額じゃないですよ!?」
「そうか?」
ルドルフはケロッとした表情で首を傾げる。
「そうですよ……とにかく、大した理由も無く受け取るなんて出来ません!」
「うーむ……」
頑なに受け取らない意思を示すアイシャに、ルドルフは困った様に唸り、頭を掻く。
「あのな、アイシャ」
息を軽く吸ってルドルフは言葉を続ける。
「印象ってのはまず外見から入る物だ、お前が俺を初めて見た時にびびって腰抜かしたみてェにな」
「ご、ごめんなさい」
「気にすンな、それよりも、だ」
ルドルフはアイシャの服を、ビシッと指差した。
「そンなボロッボロの恰好だとな、お前自身がそンだけ気にしてねェみてェな印象を受けンだ。 そうなってみろ、どこも雇ってくれやしねェぞ」
「で、でも……」
「どうせ働き始めたら家賃払えるし、三ヶ月もすりゃ返って来た様な物だろ? 一、二ヶ月で出て行く訳でもあるめェし」
「そ、そうですけど……」
「今お前がしなきゃいけねェ事は家賃を返す事じゃねェ、暮らしを立たせる事だ、俺としてはその為の協力は惜しまねェつもりだ」
自分の胸をドンと叩いて、ルドルフは力強く笑い、アイシャの手を取ると、金の入った巾着袋を手の平の上に乗せた。
アイシャはかなり躊躇いを見せながら、それをゆっくりと握りしめる。
「絶対無駄使いなんてしません……!」
ぎゅっと自分の胸元で強く握り、アイシャはそう言った。
「いや、多少使ってもいいぜ」
思わず苦笑するルドルフであった。
牛歩の如く話が進みんでいない気がしてならないですね。それはそうと、ルドルフさんはもしかしてお金持ちですかね?