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第六話『フェリアというモノ』

すみません次回が遅くなるかもです。ハイ。

「で、森では何が起こったんだい?」


……二人の口止めをするために約束をしたけど、裏切るわけにはいかない。


「え、いや、普通に巨大カマキリを狩ってました」

「ふむ、森で人見知り(・・・・)として有名な暗殺者(アサシン)ギルドの団長と親しげ(・・・)に話していたそうじゃないか」


なん……だと……!?

あいつ人見知りだったのか!?


「それは、実は団長さんとはちょっとした知り合いでして……」

「……君はこの村が襲われたときと、昨日のカマキリ狩りにしか外に出たことがないはずだが?」


な、なに……?

こいつ……手強い!?


「それに、君は記憶喪失なのだろう?」

「う……治りました」

「全く、先に言っておいてくれないか?」

「はい……」


フォルテリスは優しい目でこちらを見据える。


「また記憶喪失にさせる手間が掛かるじゃないか」

「……はい、ってあれ?」


この男なんと言った?


「中にいるレイナードは眠っているだけでいいんだ。我々が世界に復讐するためにはフェリアだけでいいんだ」


いや、こいつなに言ってるの?

眠っているだけでいい?

復讐するためにはフェリアだけでいい?

男は手に青白い玉を持っている。


「これは私特製の魔導具だ。頭に触れただけで記憶がたちまち吹き飛んでしまう」



……は?

えーっと、つまりあれに触れたら即刻ゲームオーバーってことか?

と、考えを巡らせているとドアが勢いよく開かれた。


「親父、なにやってるんだ!?」


フォッツは私の手を引き部屋から連れ出す。そして、一目散に家から、村から飛び出して行った。

部屋から出た瞬間、フォルテリアが変な台詞を吐いていたことを思い出す。

確か『……無駄な足掻きを』と、言っていた。

んで、私が意味がわかる時には既に昨日来た森の入り口まで来ていた。


「クソッ、入れねぇ!」


そうか、まわりにある森によってこの村は実質閉鎖空間となっているのか。

だから無駄な足掻き(・・・・・・)なのか……。


「フェリア飛ぶ魔法はないか?」

「えっと、探してみる。期待しないでね……」


試しに闇魔術で球を作り非常に高い高度から森に向かわせる。が、何かに阻まれて阻止されてしまった。

多分飛ぶ魔法があってもこの森の魔導壁(まどうへき)(そう呼ぶことにした)は異常に高いらしい。例え空をも飛ぶ鳥すら閉じ込めるほどに。


「フォッツ、無理だよ!」

「まだだ!」

「これじゃ逃げ切れない!」


こんな僻地で殺されるのは嫌だ。せめてでもましなところで死にたい。


「諦めよう、どうせ追い付かれる!」


叫んだ。

こんなとこで無駄に死にたくない。


「いたぞ!」


後ろから声が聞こえる。

あぁ、ここで殺されるんだ。

私は詠唱を開始する。生き残るために。


「フォッツは逃げて、私が食い止める」

「ダメだ。俺はフェリアを見捨てない」


私の言葉に対してフォッツは食い下がる。


「じゃあさ、フォローお願いできる?」

「あぁ、勿論だ」


私は足を踏み出す。それと同時に詠唱を早口且小声で済ませる。


『ダークネスレイン!』


私は叫んだ。

上空から降り注ぐ黒き槍。

空はどことなく曇っている灰色っぽかった。朝なので空気は何処と無く冷たかった。


だが槍の雨を抜け出してくるものは多かった。抜け出したものは基本的にフォッツが切り裂いている。だが量が多く捌ききれない。


「もらったぜぇ!」


ふと後ろを見ると小太りの汚い格好をした中年男性、もとい、盗賊がいた。

私は範囲攻撃の呪文を詠唱中だったため咄嗟に動くことも、速攻呪文を唱えることも出来なかった。


「フェリアーーーッ!」

「へっ、子供ごときになにが出来る」


フォッツの叫びが聞こえる。だが、もう遅い。

私はここで死ぬのだ。まあ、普通の魔法使いの少女であれば、だ。


「しんじまいな!」

「――ッ!」


咄嗟に詠唱を中断し中途半端な発動を試みる。

読みどうり、歪な黒い塊が地面に降り注ぐ。

私は盗賊を蹴飛ばし黒い塊が降り注ぐ最中に押し込む。

盗賊は黒い塊に当たると絶命した。

盗賊を倒したのもつかの間、遠距離より岩石が飛来してきた。

さすがにあれに当たればひとたまりも無いだろう。

魔術を駆使して避けるが、飛んでくる岩石の量は尋常ではない。

途中でリズムが狂う。躓いたのだ。

転けた私に岩石が一直線に飛んでくる。


――もうダメだ。


そう悟った私は迫る現実をシャットアウトするために目を瞑る。


「――ッキャァァァァァァァァ!?」


叫んだ。そうすれば助かる気がした。

だが、岩石は無慈悲にもそのまま私に向かって――、



――来なかった。

いつまでたっても来ないので目を開くと、岩石は見事なまでに真っ二つになっていた。

ふと、右側に人の気配がするので右を見る。


「……大丈夫でしたか?」

「え、あ、まぁ」


そこにはどこかの芸術品なのではないかと思えるくらいに顔の整った美少女がいた。

しかもその少女には耳が一対と尻尾が1つついている。

うぅ……、ヤバイ、可愛すぎて話しづらい。


「どうしたのですか?」


美少女は黄金色の透き通った目で見つめてくる。物凄く可愛い。あー、尻尾がもふもふしてそう。

というか狐の人間版かぁ、ギザかわゆす。

そう言えば私もゲーム内で金毛善狐を飼ってたな。

今頃は元気にしてるかなぁ。持てる愛情を注ぎ込んでいたからなー。


「ありがとう、ございます」


……。

場に流れる気まずい雰囲気。

それを打ち破ったのは村の方から来た増援だった。

そこにはフォルテリアもいる。

フォッツはフォルテリアに向かって叫んだ。


「親父、なんでこんなことをフェリアにするんだ!」

「それはフェリアは道具だからに決まっているだろう?」

「……は?」


一方、フォルテリアはフォッツを突き放した。


「なに、言って、るんだよ。訳、分かんねぇよ……」


こいつ、フォッツを動揺させるために来たのか!?


「ご主人様、はやくご命令を」


へ?

このケモミミ美少女はなに言ってるの?

ならば使わせてもらう。


「じゃ、じゃあ、この少年に襲いかかるやつから守ってください。後、襲いかかってくる人の命は奪わないでください!」

「承りました」


私がそう言うとケモミミ美少女は手持ちの刀の峰で襲いかかる人間を次々と吹き飛ばしていった。

どこからどうみてもどこぞの無双ゲームみたいだ。

凄く爽快だな。

そう思いつつ私はフォッツを安全そうな場所に連れて行く。重いので多少引きずったけども。

フォッツはケモミミっ娘に任せても良さそうだし、森を抜けるための手段を手に入れないと。

だから私は許可書を手にいれるため、ほぼ無人化しているであろう村へと向かって行った。


あぁ……。ゲームやりたい。小説ほしい。

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