という夢をみたんだ!!
「…という夢を見たんだ!!」
「うえっ!?」
そんな声とともに、消えていったこたつの入り口とは別のこたつから飛び出したこたつさん。
「夢でも見た気分だったでしょう?きっと夢だったんですよ。いいえ、きっと夢だったに違いありません。さあさあ忘れてください。今のは夢です!!」
「どういうことだよ!?あんた今さっきこたつの中に消えたろ!?何ごまかそうとしてんの?」
「いや、そんなごまかそうとなんてしてませんてぇ…ほら、私の目を見てください?ウソをついている目に見えますか?」
こたつさんはじっとボクの目を見つめてくるので、ボクもじっと見つめ返す。そして、10秒
「そんなに見つめちゃいやん!!」
堪え切れなくなったのか、こたつさんがごまかした!!
「やっぱウソだろ!!」
「いやいやウソじゃないですってば!!心理学的にはウソをつくときには相手から目をそらさずに真剣な様子を演出することでウソをごまかそうとするらしいですよ?普通じっと見つめられたら照れて目をそらしたくなりますから。ね?」
「あんた人間じゃないじゃん」
「またもやバッサリだ!?」
「ともかく何ごまかしてんの?話しなさい。話せば楽になるぞ」
「…刑事さん。その前におらぁっミカンがくいてェ」
こたつにミカンの取調室って…しまんねぇなぁ。
「んじゃあ話したらミカン一箱買ってやる。だから話せ」
「はいは~い。では。実は妖怪は妖怪チックな行為を人間にわかりやすく見せてはならんのでした~あくまでミステリアスに妖艶に…なのに私が妖怪チックな能力全開のところを見せちゃったので…このままだと妖怪頭に怒られちゃうので忘れてください!!さっきのは夢だったんです。『…という夢をみたのさ!!』とか言っちゃってください!!」
やれやれと思いながらも、ここで、ボクの頭にいいプランが浮かんだ。
「ああ、いいよ。忘れた」
「…えっ?」
「だから忘れたって。アンタただの人間でこたつが好きで茶柱立てられるだけだろう?」
「なんと素直な…何か裏を感じますね…」
「別に、裏なんてないよ」
「えっと~それじゃあ話したのでミカン買ってください!!」
「ミカン?何のことだ?」
「…えっ!?」
こたつさんがあからさまに驚いているのを見て、吹きそうになりながらもこらえる。
「だから何のことだって。ミカンて何?そんな約束してないけど。仮にしたとしても忘れたけど」
ここまで吹きそうになりながらなんとか言いきる。
こたつさんはフルフル震えたかと思うと、すごんだ顔で叫んだ。
「おのれ、ノリタケ!!たばかったなぁぁぁぁ!!!」
これを叫びを聞いて、ボクはついにこらえきれずに、それは大きく吹き出してしまった。