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第一章16「体育祭と……彼氏にしたい男子ランキング!?」

「そういや、もうすぐ体育祭だなー」

「ホントだな! 体育祭といえば、リレーとかもあるけど、やっぱ見せ場はラストのフォークダンスだよな!?」

「俺、踊れるかな? 女子の手を引いて踊るとか難易度高いぞ!?」


 クラス全体が、もうすぐ始まる体育祭の話で持ちきりだ。

 そんな中、古川ふるかわ明則あきのりは、完全に話題から取り残されてしまっている。


「まだまだクラスに打ち解けられていないな……」


 そう自嘲気味につぶやく。

 自分から会話するのが無理な僕にとって、クラスの仲良しグループのどれかに属するなんて、難易度が高すぎる……。

 きっと、このままだと僕はずっとボッチなんだろうな……。直したい部分ではあるんだけど……。


 そう思っていると、隣の席の秋川あきかわさんが――。


「なーに暗い顔してるの、明則くーん!」


 なぜか、彼女は僕の首筋に人差し指をわせてくるのだった。

 首筋の一番敏感な箇所を刺激してくるせいで、反射的に体が跳ねてしまう。


「ひい!? や、やめてくれ! 僕、コチョコチョに弱いから!」

「あははは! そっかー、明則君はコチョコチョに弱いんだねー……。これは良いこと知っちゃったなー。にっしっし……」


 秋川さんは、すごく意地悪そうな顔をしながら、指をモゾモゾさせる。


「た、頼む、やめてくれ……」

「あはは! やめてあーげない!」

「うわあああ!! やめてええ! くすぐったいいい!」

「ほら、ここがええんか? それとも、ここがええんかー? おじさんに教えてみー?」


 駄目だ。秋川さんは完全にスイッチが入ってしまっている……。

 このままだと、僕は彼女にコチョコチョだけで屈服してしまう……。そんなの恥ずかしすぎる……。

 だが、このままやられっぱなしは何か悔しい……! なんとかして反撃の機会を狙いたいが……。


 しかし、それを見ていた園山そのやまさんと松森まつもりさんも――。


「私も混ぜてください、秋川隊長!」

「私も、明則、コチョコチョする!」


 彼女たちも、こんなしょうもない茶番に参加してくるのだった……。


「ちょ!? 援軍なんて聞いてないって!! うわあ!? やめてええ!!」

「そーれ、コチョコチョコチョコチョ! どうですか、参りましたかー?」

「明則、コチョコチョに弱すぎ……」

「やめ! ちょ!? うわあああ!!」


 三人の指使いがくすぐったすぎて、まともに会話できない……。

 ホント、何だよこの茶番……。


 こうして、僕はコチョコチョだけで三人に屈服してしまったのだった……。

 そして、茶番が落ち着いたところで、三人が――。


「あー、楽しかった! やっぱら、明則君と一緒にいるの楽しい!」

「明則さん、コチョコチョに弱すぎですよー」

「明則、すっごく笑ってた」


 彼女たちは、満足そうに笑っていた。

 それに対して僕は、散々にコチョコチョされて、もはや虫の息だった……。


「ぼ、僕を笑い殺す気かよ……」


 そう口にすると、三人は更に楽しそうに笑うのだった。


 あの心の底から楽しそうな笑顔……。


 その笑顔を見ながら、僕は一つ、気づいたことがある。


 よく考えたら、僕……。知らない間に彼女たちと打ち解けているよな……。

 さっきまで自分がボッチだと思っていたが、よく考えたら三人とは、もう仲良しグループの関係だよな……。


 そう思っていると、秋川さんが――。


「そういえば、もうすぐ体育祭だねー」

「そうだな……。皆、この話題で持ちきりだよ」


 やはり、秋川さんも近々開催される体育祭に興味をかれているみたいだ。

 すると、園山さんも――。


「体育祭といえば、皆で団結して優勝を目指す印象が強いですね」


 皆で団結、か……。

 中学時代の体育祭では、それができなかったからな……。

 だから、僕は体育祭に良い印象を持っていない……。


 そう思っていると、松森さんが――。


「明則、体育祭、頑張ろう!」

「え? ああ、頑張ろうか……」


 彼女は、真っ直ぐな瞳を向けてくる。

 どうやら、今年の体育祭に並々ならぬ意気込みがあるようだ。

 すると、秋川さんが――。


「やっぱり、体育祭の目玉はラストのフォークダンスだよねー。アタシ、誰と踊ろうかなー……。チラッ」


 そう口にしながら、彼女は僕のことをチラチラ見てくる……。

 そして、それに釣られたのか、園山さんと松森さんも――。


「誰か私と踊ってくれる親切な男の人はいませんかねー……? チラッ」

「私と踊ってくれる、異世界戦士・ブリュンヒルデが好きで限定グッズも初回限定版も全て集めている男の人、募集中。チラッ」


 な、何で三人とも、僕をチラチラ見てくるんだよ……。というか、松森さんの相手の条件、限定的すぎるだろ!?


 僕がそう思っていると、秋川さんが――。


「そういえば、体育祭もそうだけど……。女子たちが密かに行っている"彼氏にしたい男子ランキング"って、どうなったんだっけ?」

「え、何それ……?」


 彼氏にしたい男子ランキング……? 何かすごいパワーワードが出てきたぞ……。


 僕が疑問符を浮かべていると、秋川さんが「しまった!」という顔をする。


「あっ! これはその……。ほ、他の男子には内緒にしてほしいんだけど、いい……?」

「わ、分かった……」

「実は、クラスの男子たちには内緒で、彼氏にしたい男子を勝手に選んでランキングにするっていう、女子たちの一大イベントがあって……」

「この前のクッキーのことといい……。何か、このクラスの女子、密かにイベントやりすぎじゃないか……?」


 僕がそう口にすると、秋川さんは「あはは……」と笑って誤魔化すのだった。


 彼氏にしたい男子ランキングか……。

 少し結果が気になるが、きっと僕には縁の無い話だろうな……。

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