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第一章9「放課後ハーレム その3」

 父親からのおつかいを済ませ、ようやく家の前まで辿たどり着いた古川ふるかわ明則あきのり

 しかし、家に着いたのは、僕だけではなかった……。


「な、何で三人とも家までついてくるの?」


 僕がそうくと、秋川あきかわさんが――。


「えへへへ! 明則君の家、ちょっと気になっちゃって……。あ、上がってもいい、かな……?」

「えっ? 僕の家、散らかってるよ?」


 女の子を三人も家に上げるなんて、未知の領域すぎて恥ずかしすぎる……。

 こういうとき、陽キャならどう対処するんだろうか……?


 そう思っていると、今度は園山そのやまさんが――。


「別に散らかっていても気にしませんよ?」

「いや、そういう問題じゃなくて……。その、僕の家に上がるの、抵抗とか無いの?」


 仮にも男の家に上がるのだ、女の子なら抵抗感があるはずだが……。

 もしかして、僕の考えすぎか? 今まで友達と遊ぶことがほとんど無かったので、気にしすぎている可能性もあるよな……。


 すると、秋川さんが――。


「明則君のお部屋、見てみたいなー……なんて」

「えっ……」

「だ、駄目かな? さすがに男の子のお部屋を見たいって、はしたない、かな……? あはははは……」


 彼女は恥ずかしさをごまかすように、無理やり笑顔を作った。


「ぼ、僕の部屋!? そ、それはさすがに、プライベートの空間だから、その……」


 女の子が自分の部屋にいる状況を想像するだけで、恥ずかしさで気を失いそうだ……。


 しかし、そんな僕に、園山さんと松森まつもりさんが――。


「私も明則さんのお部屋、気になります……! その、男の子のお部屋ってどんなものなのか、お絵かきのインスピレーションのためにも、一回見ておきたくて……」

「明則の部屋、私も見たい! アニメグッズ、たくさんありそう!」

「ふ、二人とも……!?」


 何だろう……。だんだん、三人が僕の部屋に入るという流れになってきているぞ……。それだけは……。


 すると、三人が――。


「駄目、かな……?」

「駄目、ですか……?」

「駄目……?」


 ブハッ!! 三人まとめて上目遣いとか、反則だ!! そんなことされたら、断れないよ……!


「そ、そこまで言われたら、し、仕方ないな……。少しだけだよ?」


 完全に根負けする形で承諾すると、三人の顔にうれしさがあふれ出ていく。

 こうして、僕は女の子を自分の部屋に迎えるという、超忍耐力が試される試練に臨むのだった――。


―――――


 や、ヤバい……。自分の部屋を他人に見られるって、メッチャ恥ずかしいな……。


 今、僕の部屋は、いつもよりも人口密度が高い。……いや、高すぎる。

 その原因となった三人は無言のまま、僕の部屋のあらゆるところを凝視している。

 まるで、部屋の査定をされている気分だ……。すごく落ち着かない……。


 すると、秋川さんが――。


「こ、これが、明則君の部屋、なんだね……。あ、アタシ、今、男の子の部屋に、いるんだね……」

「は、恥ずかしいから何度も言わないでくれ……」

「だって……。男の子と遊ぶの、初めてなんだもん……」

「……!?」


 そ、そんなことをここで言わないでくれ、秋川さん! メッチャ恥ずかしいから……!


 彼女も異性の部屋に入るのは初めての経験だったようで、緊張しすぎて体が震えている。

 それに、園山さんも――。


「お、男の子の部屋って、白黒が多いイメージがありましたが、意外と可愛い色合いの部屋なんですね……」

「……そ、そうか」

「あと、男の子って、その……。よくベッドの下とかに、え……、ええ、エッチな本を隠すっていいますが、あれ本当なんですか……!?」

「いや、隠してないよ!? というか、いつの時代のイメージなの、それ!?」


 意外なことに、園山さんは僕の部屋に興味津々のようだった。

 そして、松森さんは――。


「これ、私も持ってる! こっちの初回限定版も持ってる! 明則、私と同じ!」


 本棚に隙間無く並べられた"異世界戦士・ブリュンヒルデ"に、興味津々のようだった……。


 こ、これ以上、彼女たちをこの部屋にいさせるのはマズい……。僕の精神がもたない……。


「あ、あの、もういいか? 充分、僕の部屋も見ただろうし、早く帰って――」

「あ、あのさ、明則君……!」


 僕が言い終わる前に、秋川さんが言葉を被せてくる。


「な、何?」

「その……。少し前に"女の子はワガママ"って、アタシ言ったよね?」

「そ、そうだけど……」


 おつかいの荷物を持ってくれたときに、秋川さんはそんなことを言っていたな……。


 そのことを思い出していると、秋川さんだけでなく、なぜか他の二人も僕の近くに寄ってくる。

 そして――。


「その"ワガママ"なんだけどね。今、ここで使っても、いいかな……?」

「わ、私も"ワガママ"言っていいですか……?」

「私も"ワガママ"使う……!」


 三人ともそろって何なんだ?


 突然のことに僕が疑問符を浮かべていると、彼女たちが――。


「その……。今日はもう、帰りたくない気分、なんだよね……」

「わ、私も、です……」

「明則、泊めて!」

「…………え?」


 長い沈黙の後、ようやく声を出せた。……すっごく間抜けな声だったが。

 そして、彼女たちの言葉の意味を理解し、一気に顔に熱がこもる。


「え、えええええええ!?」


 待って! お、女の子が、僕の家に!? 泊まりたいって、そんなの……!


 僕は三人を見る。

 すると彼女たちは、まるで初恋の乙女のように頬を染めて、視線をそらしてくるのだった……。


 うそだろ……。これから、どうなってしまうんだ、僕……?


 僕の部屋には、彼女たちの香水の匂いが混ざっていた。

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