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雪よりも白く

作者: 時ノ宮怜

何も見えない

何も見たくない

何かを見ることが苦痛で

何も見る事がない安心


そんな毎日

そんな私の世界


ガラスの外は全てが止まってしまったかのようで

ガラスのうちにいる私は一人の温もりに甘えている


白く白く染まっていく世界に、いつもそこにあるのにより目立つ赤い光(エマージェンシー)

二つ並んだそれが列を作ってこの止まった世界に温もりを配り回っている


何も知らない真っ白な雪

凍てつく空が優しさの皮を被っている

溶けて汚く跳ね回る水

コレが現実で夢は舞っている間だけ


もっと広かった私の世界が

気がつけば温もりを奪われて

最後に残った一人分の聖域で

私は小さくなって夢をみる


そこで見るのはどんな夢

暖かい夢だといいな、幸せな夢だといいな


何も見えないはずの私の聖域で何か光るものがあった

それは外の静寂に引きづられ、音をなくした聖域に楽しげな音を届けていた


夢の終わりを告げる福音

今日を生きるための導


止まっていた世界は止まってなどいなかった

ガラスの向こうは冷たくとも決して凍り付くことのない清流のようで

流れ続ける世界はそれでもずっとずっと冷たかった


私は逃げるように大蛇の口に飛び込んで、また偽りのぬくもりに目を閉じる


偽りのぬくもりはあっという間

気づけば私は現実にいた

暖かくも厳しい現実に

私は今日も板を叩く


早く私の世界に帰ろう

夢の世界に帰ろう


きっと明日は大蛇も夢を見ている

だから、明日だけは現実を見なくていいはずだから

だから、私は今日も何も見えないように夢を見る


何もない、真っ白な夢を見る

久しぶりに東京で積雪を見た気がします。

正直、雪にテンションが上がるような童心は忘れてしまいました。

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