表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/81

第七十九話 終戦と精霊の分離

決戦が終了します

眷属達と精霊を分離します。

 死んでもすぐに復活するゲイルの眷属に悩まされていたジュンヤ達。

 パティを倒したマイアが戦いに参戦すると形成は逆転、更に魔翅族ゾンビを倒したセシルが参加するとゲイルはじり貧となった。

 ゲイルは元の姿に戻れないリスクを侵して、すべての眷属と合体して身長100mの三面六臂のアジタバーガの姿の怪物となった。


 ジュンヤ達の攻撃はすべてゲイルに効かず、攻め手を失っていた。

「お前達も精霊化して合体すれば、俺と戦えるかもな」(ゲイル)

 ゲイルはそう言って笑う。


「俺はこの後結婚して、子供もいっぱい作るんだ。怪獣になれるか!」(ジュンヤ)

「ならば人類が滅ぶ様を見ているが良い」(ゲイル)

 ゲイルは足を止めることなく北を向いて歩いて行く。その先にはミイケ、ウオヌマ、ソルトレイクがある。


「仕方ない」(ジュンヤ)

『タマサブロウ、照準開始!足止めするタイミングを連絡せよ!』(ジュンヤ)

 カゴシマ近くに待機しているタマサブロウに念話で連絡する。


 タマサブロウはすでに戦闘態勢で待機している兵に命令する。

「全砲門用意!!」(タマサブロウ)


 機関車に繋がれた真っ黒に塗装された三両の貨車の下半分が下に開く。

「全砲門用意出来ました!」(兵)

「方向合わせ!」(タマサブロウ)

 ゲイルは直接見えないが手前の小山に観測員が居て方向と距離を知らせてくれる。


 貨車の上半分がゲイルの方向にゆっくり回る。

「方向合わしました!」(兵)

「角度合わせ!距離13.5km!」(タマサブロウ)


 貨車の上半分がアジタバーガに向いた方が徐々に上がる。

「角度合わせました」(兵)


「よおし!発射係り以外は退避!」(タマサブロウ)

『ジュンヤ様、発射体制整いました』(タマサブロウ)


『了解』(ジュンヤ)

「ハル、全力で黒闇を発生させろ!」(ジュンヤ)

 ハルはゲイルの前に出て両手の剣から黒闇を発生させる。


「何をする気だ!そんなことをしても俺にダメージは通らないぞ!」(ゲイル)

 ゲイルは目の前が真っ暗になったので警戒して停止する。


『全弾発射せよ!!』(ジュンヤ)


「全弾発射!!」(タマサブロウ)

 タマサブロウの号令で貨車の前面が破れ、後方には炎が噴き出す。

 そして電柱程の太さのロケット弾が、アジタバーガに向けて飛んで行く。

 横五列、縦三列で一両十五発、三両で四十五発のロケット弾が山を越えて飛んで行く。

 ゲイルの大きさなら半分くらいは当たるはずだ。


 ジュンヤ達からは飛んできたロケット弾が、黒闇の中に突っ込んで行く様子が見て取れた。

 そう黒闇はゲイルにロケット弾を見せないために張られている。

 凄まじい破裂音とゲイルの咆哮が聞える。

 時間にして十数秒の喧騒が終わるとハルが黒闇をキャンセルする。


 闇の中から現れたゲイルは焼け焦げて貫通した穴がいくつも出来、手足はすべて失われ、その場に仰向けに倒れた。

 頭にも二発当たったようで顔も確認できない。


「精霊化しなくてもこんな魔法が使えたのか?」(ゲイル)

 ゲイルの声が聞こえる。わずかに残った口で話しているらしい。

「魔法じゃない。前の世界の兵器だ。成形炸薬を使用したロケット弾だ。戦艦大和の装甲だってぶち抜ける」(ジュンヤ)


「モンロー・ノイマン効果か?よくもこの世界で作れたものだ」(ゲイル)

「仲間がたくさんいるからな」(ジュンヤ)

「くそ、俺はいつも一人だったのにな」(ゲイル)


 成形炸薬とは対戦車砲で有名なバズーカなどに使用されるもので、当たった瞬間、熔けた金属を超高速で

 発射するというまるでビームライフルのゼロ距離射撃のような兵器である。現在ウクライナで使用されているジャベリン等も同じ原理である。ただし、大きさが違うけどね。


 ゲイルの体が崩れ始めた。

「最後にアンデットの大群でも出すかな」(ゲイル)

「やめろゲイル!!」

 チャールズさんがゲイルのすぐ横に飛んできた。ジュンヤ達もその近くに降りる。


「俺が一緒に死んでやるからもう終わりにしよう」(チャールズ)


「なぜだ、なぜおまえが一緒に」(ゲイル)


「俺は、お前のことを今でも友達だと思っているからだ」(チャールズ)


「俺の事を友達と言ってくれるのか」(ゲイル)


「当たり前だ。俺はお前に負けまいと努力してきた。ここまで来れたのはお前のお陰だ」(チャールズ)


「フフ、そうか友達が居たのか。嬉しいぞ」(ゲイル)


「寂しくないように一緒に死んでやるから安心しろ」(チャールズ)


「やめてくれ。折角人類が生き残ったんだから、お前は生きて見届けてくれ」(ゲイル)


「それで良いのか」(チャールズ)


「ああ、お前には妻子も居るんだろ。付き合わせたら恨まれそうだ。・・じゃあな」(ゲイル)


 残っていた顔の部分も崩れ去って消えていく。

 残っていた胸も崩れて、ゲイルの体は完全に崩れ去った。

 ただゲイルの足跡だけが残った。


「終わった。終わったんだな」(ジュンヤ)

「そうですね・・・」(ハル)

 ジュンヤの周りに集まった眷属達は涙ぐんでいた。


「何やってんのよ!さっさと手伝ってよ」(レイコ)

 レイコは一人で外れたロケット弾が起こした火災を消火していた。


「ごめん、皆、火事を消しに行くぞ」(ジュンヤ)

 ただ一人残ったチャールズは跪いて祈りを捧げた。

「今度は幸せな場所に生まれてくれ」(チャールズ)


 チャールズの上を吹き抜ける風が海に流れていく。

 見上げると青空に小さな白い雲が風と共に流れていく。

「ゲイル・・・」(チャールズ)


 ******


 アルミア 聖都の南

 ゲイルとの戦いから二か月後、ジュンヤは新都の計画を立てていた。

 アルミアの属国化が本格化して来たので都を聖都を含む形で建設しようとしていた。


 鉄道はすでにキズモニア―アルミア-ガーランドが開通し、魔人国に伸び出した。その後竜人国、鬼人国、エルフ国、クレアンスそしてガーランドに戻る環状線を作る予定だ。

 未だに挨拶状一つ寄こさないブロガリアは蚊帳の外だ。


 四か月後に鉄道が完成したら新都で、上記の国とワ国を招いて初の大陸全体の平和会議を行うつもりだ。

 ついでにジュンヤの結婚式も行う。


 アルミアの教皇と聖女とセシルはアルミア教会を世界教会にして信徒を洗礼と称してジュンヤに隷属化させる計画を立てているようだ。

 これだけ人種が雑多に居る世界だ。仕方ないのかなとも思うジュンヤが居た。


 そう言えばパティは生きていた。あの後ゲイルの束縛が解けた四大精霊によって治療されていたのだ。

 しかし、ゲイルによる魔力の供給も無くなったため安静にしていないと、精霊との分離で衰弱する恐れがあり大人しくしている。


 ジュンヤの眷属も巨大な魔力を持っているので精霊の分離に苦労していた。

 ようやく魔力の供給と遮断に目処が立ち、今日、新都に建設されたジュンヤの居城で分離が行われることになった。


「じゃあまず、魔力の制御の上手なキュービさんとエルザの分離をする」(ジュンヤ)

 窓のない、端に椅子が置いてあるだけの部屋にジュンヤと五人の眷属とパティが居た。

「ちょっと男は出とってや」(キュービ)

「え、?」(ジュンヤ)

「精霊は分離した直後は裸やさかい、恥ずかしいやろ」(キュービ)

「あ、分かった」(ジュンヤ)

 ジュンヤはそそくさと部屋を出て行った。


 部屋の真ん中にエルザが立ち周りを囲むように他の人間が立つ。

「ほんなら行こか」(キュービ)

「まず魔力の器を分けんといかん」(キュービ)

 説明をしながらやるつもりらしい。


「私は前のとき失敗して、器を失くしてしもて、えらい目におうたんや」

「大体、パティちゃん以外は、全体の十分の一もあったらええやろ」

「分けた器に自分の人格マトリクスを植え付けるんや」

「出来たら憑依を解きながら外で実体化するんや」


 エルザの背中から実体化した裸のキュービが出てくる。

 完全に外に出ると魔力で服を造りエルザと並び立った。

「お母さん・・・」(エルザ)

 エルザは一歳になる前に消えてしまった母親が、目の前に現れたので、泣きながら抱き着いた。

「苦労掛けたなあ」(キュービ)


 エルザを優しく離してキュービが言う。

「さあ、次行こか」

 黒い髪のハルが前に出た。

 ・・・

「ダークネス、あわてんなや」(キュービ)

「解ってる」(ダークネス)

 ダークネスは長い黒髪で黒色の肌、豊満な肉体を持った女性だった。

 白い髪に戻ったハルと何やら話している。


「次はライトニングか」(キュービ)

 マイアが前に出る。

「お願いします・・・」(ライトニング)

 ・・・

 ライトニングはスリムなプラチナブロンドのローティーンの少女だ。

 出てくるとすぐにマイアの後ろに隠れてしまった。


「次!」(キュービ)

 マリーが前に出る。

「・・・」

「愛想のない奴やな」(キュービ)

「・頼む」(エレクトロン)

 ・・・

 エレクトロンは背の高い均整の取れた体をしている。ただ顔は少し怖い。

 平然とマリーの横に立つ。


「次は?」(キュービ)

「ゴスペルだ!」

「何や偉そうに。まあええ」(キュービ)

 ・・・

 ゴスペルは赤毛の十歳位の少女だ。

「なんや、ガキやないか」(キュービ)

「ガキ言うな!」(ゴスペル)

 セシルに手を引かれて、ブチブチ言いながら元の位置に戻った。


「さあて問題のパティちゃんや」(キュービ)

「何とか頼みます」(パティ)


「まずは問題点を把握してもらおか。

 一つ、魔力の器がぐちゃぐちゃになってしもて復元が難しい。

 二つ、魔力の供給が出来なくて魔力量が二カ月前のまんまや。

 三つ、魔力の質が悪い、うちらの聖魔力とは性質が違い過ぎる。

 これがあんたらの復活が二か月間できなんだ理由や」(キュービ)


「はい、聞いています」(パティ)

 敵に操られたという事実は彼女のトラウマになり、性格を暗く大人しい物に変えている。

「アイさんとうちは、なんとかそれらを何とかする方法を考え出したんや」


「まずはアンタらの魔力の器を復元せないかん」(キュービ)

 ジュンヤと聖獣達が入ってくる。

「ジュンヤはんに隷属して貰う」(キュービ)

「はい」(パティ)

「これでジュンヤはんの聖魔力を受け付けやすくなったはずや。新しい器を作るで」

 前の魔力の器は復元が難しいので破棄して、新しい器を作りジュンヤが聖魔力を供給すればすべての問題が片付くはずだ。


 問題は魔力を失くしてしまって四大精霊が維持できるかと言うことだ。それで古い器の破棄は、新しい器が出来てからと言うことになった。


 新しい器を作ってジュンヤの魔力を供給し出すとパティが苦しみだした。

「ぐうおおおおおお!!」(パティ)

次回、勇者の復活と眷属達の思い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ