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第七十七話 ゲイルとの決戦と勇者

決戦が始まりました。

 結局ノーラ以外の聖獣の願いはノーラの子供の状況を見てからと言うことになった。

 全員の要望を聞いてから少し執務室で球形しているとノックの音がする。

 もう全員尾要望を聞いたが誰か話忘れた事でもあったのか?


「はいどうぞ」(ジュンヤ)

 入って来たのはオスカーだった。


 俺の向かいのソファーに腰掛けると口を開いた。

「このタイミングで姉上たちの要望を聞いたのは決戦の緊張をほぐしたのですか?」(オスカー)

 オスカーはエルザの弟でガーランドの皇太子でもある。ヤマトへは試練で来ている。

「そうだけど、良く分かったな」(ジュンヤ)


「あなたの行動は非常に参考になります」(オスカー)

「まあ、パティの事もあって少し焦っていたからな」(ジュンヤ)

 こいつまだ十一歳と言うのにもう皇帝の威厳を備えつつある。末恐ろしい。


「それで勝てますか?」(オスカー)

「準備はした。負ければ俺達に未来はないが・・勝てると思う」(ジュンヤ)

 俺が死ねば、ゲイルを止めることは出来ないし、神がこの世界を滅ぼすとも聞いた。


「お役に立てず申し訳ありません」(オスカー)

「気にするな。今や人外の戦いになっているからな」(ジュンヤ)

 言っていて嫌になってくる。自分も人の姿は残しているがすでに中身は化け物だ。

 出来ればガーランドと正教会の聖魔力は引き取りたくなかったが、敵が強くなっている状況では仕方なかった。


 次の日、ジュンヤと眷属達はカゴシマに向けて飛び立った。


 お昼過ぎに宿舎に着くと先行していたチャールズさん、タマサブロウと作戦会議をした。

 彼らは最悪事態の切り札だ。戦わずに済めばいいのだが。


 夕食は豪勢な海鮮料理で、その後温泉に入った。

 その後、宿舎の従業員たちは汽車でソルトレイクに避難した。

 簡単なミーティングの後、就寝した。


 ジュンヤは夜明け前に目が覚めた。

 ホールの椅子に座り、窓から外を眺めると東の空はすでに明るくなってきていた。

 目の前に広がるカゴシマ湾は静かで風もない。

 遠くに見える火山島の頂上付近にはもう日が当たっている。

 きょう最終決戦があることなどまるで感じさせない。


 一時間ほど経った頃、奥でカチャカチャと食器が触れ合う音が聞こえる。

 すでに日は登っている。晴天だ。

 キッチンに行ってみるとハルが朝食の用意をしていた。

「手伝おうか」(ジュンヤ)

「温めて並べるだけなので大丈夫です」(ハル)

 ジュンヤに声を掛けられ、ハルは嬉しそうに微笑んだ。


「懐かしいな。前は俺が料理してハルが配っていた」(ジュンヤ)

「そうですね。あの頃はご主人様と夫婦になったような気がして嬉しかったんですよ」(ハル)

「そうか。俺もお前みたいな美少女に好かれて嬉しいよ」(ジュンヤ)

「からかわないでください」(ハル)

「冗談じゃないんだけどな」(ジュンヤ)

 ジュンヤはハルに聞こえないように呟いた。

 二人して配膳していると出会った頃の思い出が蘇った。


 そのうち眷属達がやってくる。聖獣達は食事の必要が無いので用意していない。

 朝食を摂ってしばらくは静かに過ごす。

 ゲイルが来ればマリーがすぐに探知できる。


 今回ばかりは危なくなったら逃げてくれとは言えない。

 ジュンヤが負けた時点で人類が終わるからだ。


 神様、恨むよ。何が好きに生きたら良いだ。ジュンヤの行動のせいだと言われそうだが・・・。


「来ました。ゲイルと9つの魔力が近付いて来ます。到着まであと三十分」(マリー)

「来たか!全員体をほぐして置け。十分後に出迎える」(ジュンヤ)

 前に来た時は取り巻きは八人だったが・・もしかして・・。ジュンヤの頭の中に最悪の考えがよぎった。


 十分後ジュンヤ達は決戦予定地に向かった。

 早めに動いたのは相手が意外な行動を取った時のためだ。


 五分後、ジュンヤ達はカゴシマの西二十kmの海岸に到着した。

「マリー!こちらに向かって来ているか?」(ジュンヤ)

「いいえ、そのままカゴシマに向かっています」(マリー)


 更に五分後。

「一体だけこちらに方向転換しました。残りはそのままです」(マリー)

「どういうことだ。あいつら俺と戦いに来たんじゃないのか?」(ジュンヤ)

 予想外の動きをする敵にジュンヤは、相手の行動が読めずに動揺した。

 しかし一体がこちらに向いていると言うことはジュンヤ達の位置は解っているはずだ。


「ご主人様!相手の思惑に乗ってはなりません。最終的にはここに来るはずです」(ハル)

「チャールズさん達が見つかったのかもしれません」(エルザ)

 眷属達が助言してくれる。

 ジュンヤは心の中で「落ち着け、落ち着け」と繰り返した。


「よし、様子見の為に十km位東に戻るぞ」(ジュンヤ)

 ジュンヤは敵がどのような動きをしても対応できるように、東に戻ることにした。


 五分後。

「敵はそのままの進路です。一体はこちらに方向転換。五分後に会敵します」(マリー)

「良し敵の本体がこのままならカゴシマに着く前に迎え撃つ!こちらに向かってる一体は取敢えず放置!」(ジュンヤ)


 二分後。

「敵がこちらに方向転換。あ、!」(マリー)

「どうした!」(ジュンヤ)

「敵が増殖!!百体以上がカゴシマに向かいました。ゲイルたちはこちらに来ます」(マリー)



「カゴシマに向かった敵の正体が判るか」(ジュンヤ)

「恐らくは魔翅族ですが、生命力が感知できません」(マリー)

「生命力が無いだと。ゾンビかグールと言われるやつか!」(ジュンヤ)


「それなら私が行きます」(セシル)

「ゴスペルの力か。よし、頼むぞ」(ジュンヤ)

 セシルが「はい」と返事をして百体の方に向かう。


「別行動の一体が速度を上げました。じきに見えます」(マリー)

 遠くの空に黒い点が見えたと思ったらどんどん近付いてくる。


 五十m位のところで停止して叫んだ。

「マイアーッ!!私と勝負しろぉ!!」

 まぎれもなく勇者パティだった。


「パティさんの魔力が前と違います」(マリー)

「どういうことだ」(ジュンヤ)

 なぜかパティの魔力が大幅に上昇して、前とは魔力の内容が変わっていた。


「あれは多分、四大精霊を憑依させとるでえ」(キュービ)

「お母さんどういうこと?」(エルザ)


「パティちゃんも四大精霊もうちらがカゴシマに行っとる間に行方不明になったやろ」(キュービ)

「そう言えば同じ日だった」(エルザ)


「つまりゲイルがパティを操って四大精霊を憑依させたと言うことか」(ジュンヤ)

「そういうこっちゃ。あれはマイアちゃんに勝ちたい情念を増幅させて操っとる」(キュービ)


 パティは黒いワンピースを纏って、聖剣を振りかぶって、マイアに向かって飛んで行く。

 状況が解らないマイアはパティの剣を受け止める。

 マイアはパティの強力な魔力になすすべもなく弾き飛ばされる。

 下の森に飛ばされたマイアは数十本の木をなぎ倒しながら転がっていく。



 その時、東の方からゲイル達九人が現れた。

「しまった!! 前衛がハルと俺だけだ」(ジュンヤ)


「なんだ六人しかいないのか。まあ、作戦通りと言う事か」(ゲイル)

 ゲイルがフフンとこちらを小馬鹿にして黒いワンピースを来た八人の眷属に命令した。

「行け」(ゲイル)


 彼らが接近しようとした時、前の森からはからは石の槍、後ろの森からは氷の槍が飛んできた。

 地上に降りたノーラと海に降りたレイコが、ほとんど無制限に使える魔法で援護し始めたのだ。


 ゲイルの眷属達は魔力障壁を張って槍の攻撃を防ぐが、ジュンヤ達を攻撃する余裕はない。

「ゾンビを追いかけたのではなかったのか」(ゲイル)

 ゲイルは魔翅族のゾンビを何人かが追い掛けたのでこの場の人数が少ないと判断してたようだ。

 実はゲイルがこちらに方向を向けた時点で、ノーラとレイコを属性の有利な場所に配置したのだ。


「ヘビーモス、森へ! クラ―セン、海に行って攻撃を封じろ」(ゲイル)

 二人のゲイルの眷属は槍の軌道を避けて、ノーラとレイコの元へと飛ぶ。



 その頃、ようやくゾンビ魔翅族を射程距離に捕えたセシルは攻撃を開始した。

亡者大往生ターンアンデット

 セシルの放つ光の球は、ゾンビやグールなどのアンデットに当たれば聖魔力によって消し去る能力を持つ。

 魔翅族は蜘蛛の子を散らすようにパッと広がった。


 セシルの放った数十個の光の球は殆ど当たらずに数体の魔翅族を倒しただけだった。

『こちらに向かってこない。これは時間稼ぎだね』(ゴスペル)

「でもチャールズさんの所へは行かせられないから倒すしかないわ」(セシル)


 セシルに憑依する精霊のゴスペルはよく相談に乗ったりしてくれるので頼れる相棒である。

 逆にマイアのライトニングやマリーのエレクトロンは殆ど喋らない。


 セシルは一体ずつ倒す決心をして魔翅族を追う。



 弾き飛ばされたマイアであるが、衝突の際に飛び散ったパティの魔力によって、あちこちに切り傷が出来ていた。地上を転がった際には全身に魔力障壁を張っていたのでそれによるけがはない。

「トリート」(マイア)

 怪我を治療すると上空で待つパティの元に飛んで行く。


「パティ!!何してるんだ。お前は人類を守るのが仕事じゃないのか!!」(マイア)

 マイアはパティに叫ぶ。

「マイア!!お前に勝てないのでは勇者は名乗れない。覚悟しろ!!」(パティ)


 完全に操られているパティを見て、マイアは覚悟を決めた。

「パティ!!許せ!人類を守る為にはこの戦いに負けるわけにはいかないのだ!」(マイア)

 マイアは元々兵の家に生まれて厳しく育てられている。

 例え同じ釜の飯を食った仲でも敵に回れば容赦はしない。


「魔力とパワーが上ったくらいで私に勝てると思うな!」(マイア)

「おのれ!マイア!死ねええ!!」(パティ)

 二人の剣が交錯する。

 二人の巨大な魔力がぶつかり、周辺の分子はその圧力に耐えられずプラズマ化し、発光する。



 ノーラの前に舞い降りたヘビーモスと呼ばれる少女は近寄らず黒い弾丸をノーラに放つ。

「あんた!あの時の怪獣なの?また串刺しにされたいの」(ノーラ)

「うるさい!!あの時の私ではない。くらええ」(ヘビーモス)

 あくまでゲイルの命令通りノーラの槍攻撃を邪魔するつもりだ。



 クラ―センも同じようにレイコに水の塊を高速で打ち出し槍の攻撃を邪魔をする。

次回も決戦が続きます。

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