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第七十三話 ドラゴンの来訪とノーラの野望

ドラゴンがやってきます。

 ドラゴンがソルトレイクを目指していると連絡が有ったので俺とハルが迎えに出ることにした。


 俺達はソルトレイクの街を出て南に飛ぶ。

 飛び上がってすぐに南の空に二頭のドラゴンが見えるが、まだかなり遠い。

 前に獣王都に来た時にはハルとマイアしか会ってないので、繋ぎがうまく行くようにハルを連れて来た訳だ。

 まあ、マイアは性格的に隙が多いので国交なんて任せられないと言うのもあるな。


 そんなことを考えていると声の届く所までドラゴンが近付いて来たので声を掛ける。

「ヤマト国のジュンヤだ。君達は何をしにここに来たのか教えて貰えるか?もし、暴れるようならそれなりの対応をさせてもらうが?」

 俺達とドラゴンは同じ高度で空中に静止した。聞いていたより小さい?二十m位か。


「私達はドラゴン国から来たバルトと言う。暴れるつもりはない。そちらの世界の王との面談を希望する」

 ドラゴンの片方がそう言った。


「良いだろう。しかしその恰好で来られては市民が怯える。人型になれるかな?」(ジュンヤ)

「分かった」(バルト)

 バルトともう一人も人型になる。バルトは二十台の筋肉質な男らしい風貌だ。

 もう一人は女性だ。服も魔力で作れるようだ。女性は二十歳手前くらいか背の高い美少女だ。

「大丈夫だ。街まで送って行くから、そこの道に降りてくれ」(ジュンヤ)

 線路に沿って作ってある道に降りて貰う。


 線路に沿って向かい合う四人。俺が気を抜いているのを怪訝な顔で眺めるバルト。

「お主、ドラゴンが怖くないのか?」(バルト)

「だって、この子にも勝てないんだろう」(ジュンヤ)

 ハルを見て思い出したようだ。

「お前は獣王国に居た娘か?」(バルト)


「はい、お久しぶりに御座います。ジュンヤ様の付き人でハルと申します」

 ハルは丁寧にカーテシーをして頭を下げる。

 メイド姿のハルを眺め困惑した顔になる。

「バルト様、落ち着いて下さい。申し遅れました。私はバルト様の付き人でキララと申します」

 キララがお辞儀をした。絵になる。


「うむ、それでどうするのだ。このまま飛んで行くのか?」(バルト)

「もう少し待ってくれそろそろ来る頃だ」(ジュンヤ)


 遠くでガタンゴトンと音が聞こえてきた。

 ソルトレイクにオタル行きの列車が待機していたので迎えに来てもらったのだ。

 やはりこちらの文明の進み方を見て貰わないとな。

 バックで走って来た列車が俺達の横で止まった。

 車掌が客車の乗車口に階段を設置する。列車には非常用に取り外し式の階段を用意している。


 俺達が乗車して扉の横の座席に座ると車掌が階段をしまい、ドアを閉める。

 車掌が安全確認を確認して運転手に合図を送る。

 汽車が動き出すと連結部がガシャンと音を立てて発車のショックが伝わる。


「これは何だ?」(バルト)

 窓の外の移り行く景色を眺めたバルトが聞いてくる。

「これは汽車と言って離れた場所へ速く連れて行ってくれる乗り物だ」(ジュンヤ)

「飛んだ方が速くないか?」(バルト)

「こちらの人間は殆ど飛べないし、飛んだら疲れるだろう。これなら寝てても運んでくれるぞ」(ジュンヤ)

「成程な」(バルト)


 やがて汽車はソルトレイクに到着する。

「なんだ、もう降りるのか?」(バルト)

 物足りなさそうな感じだ。

「俺達の事は俺達のやっていることを見て貰った方が理解が早いだろ」(ジュンヤ)

「そう言うことか」(バルト)


 俺はバルトを引き連れてソルトレイクの中に入り、迎賓館に行く。

 迎賓館の応接室では内務担当のマリーと外務担当のエルザ、宰相のチャールズさん、そしてなぜかノーラが居た。


 全員が紹介して挨拶が終わる。

「飲み物は紅茶でよろしいですか?」(ハル)

 バルト達に聞く。

「ああ、なんでも良い」(バルト)

「わたくしも」(キララ)


 ハルが下がると俺はバルトに聞く。

「それで俺に何の用だ?それにお前の肩書を知りたい」(ジュンヤ)

「お前が世界の王なのか?」(バルト)

 バルトはまさかと言う顔をしている。

「教会ではそう言われているが」(ジュンヤ)

「そうか、若いんだな」(バルト)


「俺はドラゴン国の第二王子だ」(バルト)

「バルト様」

 驚いたようにバルトを見るキララ。

「良いんだ。ジュンヤ達は俺に嘘は行ってない。俺達も礼儀をわきまえるべきだ」(バルト)

 始めからため口だったから偉いさんとは思っていたが王子とはな。

「昨日、ドラゴン国に怪獣が出た。全長五十mの本物の真っ黒いドラゴンだ。バハルードと名乗っていた」


「お前達も五十mあると聞いていたが?」(ジュンヤ)

「俺達はドラゴンに変化できるだけの精霊種で、最大は五十mだが本来は人型だ」(バルト)


 ハルが紅茶を用意して皆の所に配って行く。

 バルトは紅茶を一口飲むと話を続けた。

「俺達は王城の城外で迎え撃った。千名ほどいたドラゴン族の三百名ほどが犠牲になったが、バハルードを倒すことが出来た。しかし犠牲の中に俺の兄、神の啓示を受けた世界の王が居たのだ。世界の王を中心に据え活動していた俺達は道を失った」(バルト)


「それで俺達がどう動くか調べに来たわけだ」(ジュンヤ)

「そうだ、世界の王なら我々にも道を示してくれると思ったのだ」(バルト)

「残念だがテンカフブの戦いはまだ終わっていない。昨日、我々は五頭の怪獣を倒した」(ジュンヤ)

「お前達も怪獣と戦ったのか?それも五頭?」(バルト)

 バルトもキララもこれには驚いたらしい。


「しかしその死体はすべて消えてしまった」(ジュンヤ)

「そのゲイルも世界の王なのか?そう言えば怪獣の死体は無かったな。我々も死ぬと魔力になって霧散するので気にしていなかった」(バルト)

「ゲイルも人間なの?人間同士が世界の王の最終決戦をするという事?」(キララ)

「そうなるね。天翔族の世界の王も怪獣に敗れたそうだ」(ジュンヤ)

「そんな、最弱種の人間がなぜ?」(キララ)

 キララは人間を嫌っているようだ。


「キララ!失礼だぞ!!」(バルト)

「良いよ。本当の事だ。最弱だからこそ他種の力を借りている。彼女たちには精霊が憑依しているし、彼女は聖獣だ」(ジュンヤ)

 俺はハル・マリー・エルザとノーラを再度紹介した。


「精霊に聖獣だと!!それでドラゴン族を上回る強さを手に入れたのか。兄も天翔族も自分達の種族が世界を手に入れると信じていたんだ。ではゲイルと言う奴は何の力を手に入れたのだ」(バルト)

「さあな、アーモデウス商会・ネクロマンサーの組織・魔翅族・アジダバーガと言う怪獣、これらがゲイルの関わったものだが、どうなってるのかは分からんのだ。今ゆっくりと南西の海を魔翅族と一緒にこちらに近付いて来ているはずだ」(ジュンヤ)


「それでテンカフブの戦いに勝てたならどうするつもりだ」(バルト)

「今は食糧増産、物流の高度化、産業の育成をやってる。生活を豊かにして幸福を感じる社会にしたい」(ジュンヤ)


 バルトは難しい顔をしてジュンヤに聞く。

「お前の野望は無いのか。世界を支配する王になるとかだな」(バルト)

「ないな。世界を支配など面倒臭い。気楽に生きたいね」(ジュンヤ)

「お前達もそれでいいのか!?」(バルト)

 バルトは俺の仲間たちを見回す。


 マリーが話し始める。

「通貨制度を持たないドラゴン国の人に話しても理解できるかどうか分かりませんが、ジュンヤさんはこの大陸に流通する金貨の半分以上を持っています。もちろん金貨を流通させないと物の値段が上がってしまうので借金と言う形で各国に分け与えています」(マリー)

「悪い、意味が解らん。お前解るか?」(バルト)

 キララに振るがキララも首を横に振る。

「要するに世界を征服しなくともジュンヤさんに逆らえるものは居ないのです」(マリー)


「武力においてもそうです。四人の聖獣と五人の眷属を従えるジュンヤさんに逆らえる組織は、ゲイル以外存在できません。それは五頭の怪獣を犠牲無く倒したことでも証明できます」(エルザ)

「まあ、そう言う訳でジュンヤ殿は、好きに暮らしていても誰も邪魔出来ない訳ですな」(チャールズ)

「君達は俺が勝ったところで、何も変えなくて良い」(ジュンヤ)


「良く分からんがお前が勝てば、俺達に変化は無いのだな」(バルト)

「そう言うことだ。もちろん戦争などを起こせば別だが」(ジュンヤ)


「ではゲイルが勝てばどうなる?」(バルト)

「難しい質問だが、奴はこれまで味方を犠牲にする戦いをしてきた。まあ、情を期待するのは無理そうだ」(ジュンヤ)

「良くて独裁恐怖政治。悪ければ知的生物の殲滅と言った所でしょうか」(チャールズ)

 チャールズさんが顔を伏せたまま話した。チャールズさんは幼い頃、ゲイルと暮らしていた。その時の思いがあるのかもしれない。


「知的生物の殲滅だと!?そんなことをして何の得があると言うのだ」(バルト)

 チャールズさんの物言いにバルトが噛み付く。

「奴が現在、どこまで人間から逸脱しているかに拠りますが、精霊種まで進化していれば、他に知的生物の存在が必要無くなります」(チャールズ)


 俺達は精霊種に進化するのを良しとせずにいるが、奴がその気なら精霊種になっている可能性があると言うことか。

 精霊種になる条件は肉体が耐えられないような魔法を使う事。それか俺達がまだ知らない方法があるかも知れない。


「俺達はどうすれば良い?」(バルト)

「三割も人口が減ったんだろ。大人しく見てろよ」(ジュンヤ)

「良いのか?」(バルト)

「俺達も戦いの準備はしてるし、君達の攻撃では敵にダメージを与えにくいだろう」(ジュンヤ)

 二人の戦いへの参加を求められたが丁重にお断りした。

 その後は雑談となった。


 ソルトレイク迎賓館会議室 キララ

 会議終了間際にジュンヤ殿から隷属契約をお願いされた。隷属契約と言っても念話による情報交換のための物だという。一般の守秘契約でも念話は使えるらしいのだが、嘘を吐かれると困るから隷属なのだそうだ。

 バルト様の命令で隷属契約をすることになった。


「はい、契約できたよ」(ジュンヤ)

 何も変わらない。聞くとこのソルトレイクに住んでる人は皆隷属契約をしているらしい。その後念話の確認をして契約は終わった。


 会議が終わって雑談に移った途端に聖獣と紹介された少女がにじり寄って来た。

「キララ殿!伺いたいことがあるのだがよろしいか?」(ノーラ)

「はい、私に答えられることでしたら大丈夫です」(キララ)

「ドラゴン族は男女で子供を作っておられると聞いた。精霊種のあなた達が、どうやって子供を作るのか教えて頂きたい」(ノーラ)


 精霊種は子孫を残せないがドラゴン族だけが子孫を作っていた。キュービがエルザを産めたのは魂の無い人間に憑依していたからである。


「・・・ふむふむ、そうか精と種を作るのか。・・・それを女の体の中で四・五年魔力を与えながら育てるのか。・・・なるほどなあ」(ノーラ)

「あなたも子供を?」(キララ)

「そうありたいと思っておる」(ノーラ)


今度はゲイルが現れます。

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