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第七十二話 新兵器の由来とジュンヤの告白

新兵器の由来とジュンヤのカミングアウトです。

 ジュンヤ達は苦戦しつつも五頭の怪獣を駆逐した。

 彼らは各所の責任者に怪獣討伐の報告をしてからソルトレイクへの帰途に就いた。


 ソルトレイク ジュンヤの家 食堂 ジュンヤ

 夕方、全員がようやく揃った。

「皆、元気に帰ってきてくれてありがとう。嬉しいよ」(ジュンヤ)

 俺は皆を見回してから礼を言った。


「そんなことは良いから、あの兜は何なの?説明しなさいよ」(ノーラ)

「そうです私達の武器もどこから持ってきたんですか?」(ハル)

 どうやら新兵器に興味があり過ぎて放って置けないらしい。


「あれは魔法金属性だ。赤い部分が魔銅ヒヒイロガネ、白い部分が魔銀ミスリル、金色の部分が魔金オリハルコンだ」(ジュンヤ)


「魔法金属って何ですか?」(ハル)

「魔法金属って言うのは鉄に魔法薬を加えて生成する金属で、各々の色で金属名が付いているが、金や銀とは関係が無い。魔銅は魔力を抵抗なく伝え、魔銀は魔力を貯め、魔金は魔法を効率よく発生させる」(ジュンヤ)


「良く分からないわ!それを使うとどうなるの?」(ノーラ)

「簡単に言うとリミッターを掛けた状態でも体に負荷なく五倍の威力の魔法を撃てる」(ジュンヤ)

「つまり、人間をやめずに体内の魔力を放出できる」(ジュンヤ)

「それで簡単に怪獣に勝てたのね」(ノーラ)


 ジュンヤは正教会で貰った魔力のすべてを使うと術者の肉体が耐えられずに霧散してしまうことに気付いた。

 それが分かった時点で魔法の使用にリミッターを掛け、対策を考えた。


 最初は無煙火薬を使って無反動砲を作ろうかと思ったんだけど、・・ああ、バズーカとかパンツァーファーストみたいな個人携行型の成形炸薬弾の奴ね。

 流石にこの世界に持ってくるには破壊力があり過ぎるってことでやめた。

 盗まれたりするととんでもないことになりそうだよね。


 それで物知りなチャールズさんに聞いたら魔法金属の話を教えてくれた。

 その話では肌に魔銅を触れさせて魔力を込める。その魔力を魔銀に溜めて魔金から発動すれば、魔銀の貯められるだけの魔力を使うことが出来る。

 ただ、それなりの威力の魔法を使おうと思えば、何百人の魔力を集めなければならないので、攻城兵器くらいにしか利用できないそうだ。

 まあ、何百人もの魔力切れで動けなくなる兵隊が出るので、使い勝手が悪く、あまり使用されていない様だ。


 錬金術師のタキに聞いたら魔金属は、彼女にとって難しくは無いそうなので、作って貰うことにした。

 ところが魔金属を武器にしようとするととても大変だった。

 特に魔力の伝達部分を均一にしないとムラが出て、効率が著しく落ちると鍛冶名人のデジレさんがぼやくほどだ。

 それでギリギリまで生産が出来なかったのだ。


 各人の収納に入っていた訳は、出来上がった武器を一旦チャールズさんの収納に入れて、それを俺の収納と合体させると俺の収納に武器が入るわけだ。

 眷属たちの収納空間を俺の収納に合体させて、武器を分けた収納空間を眷属たちに渡したのである。

 もともと俺の収納空間を眷属に分け与えたので、その逆も出来たのである。

 もっとも、分配したのはアイさんで、俺は頼んだだけなのだが。


 俺の説明で武器については納得してくれたようだ。

「あのー、質問があります」

「なに?マイア」(ジュンヤ)


「なぜ私の武器が剣では無く刀になったのですか?」(マイア)

「それについては俺が悪い。お前達への教え方が剣では無く、刀で教えていた。だから突くよりも斬ることをメインにした。それでデジレさんがより斬ることに特化した刀にしてくれたんだ」(ジュンヤ)


「納得しました」(マイア)


 ハルがそーっと手を上げる。

「この刀は普段使いできないですよね?」(ハル)

「そうだなあ、貴重なものだから人に見せない方が良いだろうな」(ジュンヤ)


「元の剣がボロボロになっちゃって、新しいのをデジレさんにお願いしても良いですか?」(ハル)

「ああ、良いよ」(ジュンヤ)


「あの、刀を頼んでも良いですか?」(ハル)

「良いよ、デジレさんが玉鋼を再現できたって言ってたからもう何本か作ってるんじゃないか?」(ジュンヤ)


「あ、私もお願いしたいです」(マイア)

「出来れば私もお願いします」(セシル)

「分かった。お代は預かってる貯金から払っておくよ」(ジュンヤ)


「ジュンヤさん、今日の怪物は何だとお思いですか」

 マリーが思いつめたような口ぶりで聞いてくる。

「そうだな。多分テンカフブの戦いの一つだろう」(ジュンヤ)

「やはりそうなのですか」(マリー)


 ここに居る全員の顔が暗くなる。テンカフブの戦いならこれで終わりと言う事はない。まだ続くと言うことである。


「二つ理由がある。

 一つは百数十人を犠牲にしたアジダバーガだって精々十mの大きさだった。だが今回現れた奴らはそれの数倍の大きさだった。

 これは何者かに大きなエネルギーを貰って復活したと言うことだ」(ジュンヤ)


「ゲイルですか?」(マリー)

「違う、ゲイルにはそんなエネルギーは無い。恐らく神の仕業だ」(ジュンヤ)


「神ですか?」(セシル)

 やはり信仰心の篤いセシルには聞き捨てならない言葉なのだろう。


 俺は大きく息を吐いた。これから言う事は俺の秘密だ。ここに居る人たちなら話しても大丈夫だと思う。

「俺は異世界から来た人間だ。俺は神によってこの世界に連れて来られた。俺が居た世界はワ国に似ているがそれより千年ほど科学技術が発達した世界だ」(ジュンヤ)

「やはり、私達とは違う世界の方なのですね」(マリー)


 一気に部屋が騒がしくなる。

「もし、俺と今後も戦う気があるなら聞いてくれ。この話は二つ目の理由と深く関わってる」(ジュンヤ)

 静かになった。俺と戦ってくれる気があるようだ。


「まあ、ここに来る途中で神と話したんだが、神は自由に生きろと言った。しかし俺は神は神に進化する仲間を求めているように感じた」(ジュンヤ)

「人間が神に進化するのですか?」(セシル)

「そこはまだ良く分からん。しかし、俺が生きてきた中でこの世界は非常識すぎる。人の進化の道筋が見えないんだ。四肢族とか六肢族とかな。歴史もどう遡っても二千年を超えない」(ジュンヤ)


「どういうことですか?ほとんど言っている意味がわかりません」(マリー)

「普通に考えれば一つの星で姿の違う知的生命体が何種類も生き残ると言うことが考えられないし、四肢族と六肢族なんて脊椎動物が生まれた時に分かれているべき存在なんだ。それがほとんど同じ姿に進化するなんてありえない」(ジュンヤ)


「何を仰りたいのか理解できません」(セシル)

 まあ、この世界の人間には、人間が魚から進化したと言っても信じられないか。

「人間が他の生物から進化したと言うことですか?」(マリー)

「そうだ!俺の生まれた世界では、人間の進化する前の姿は猿だ。数百万年前は人間は猿だった」(ジュンヤ)


「信じられません。神が作りたもうた人間は最初から人間です」(セシル)

 前の世界の人間なら小学生でもわかるんだが。この世界の人間に理解させるのは時間が掛かりそうだ。


「まあ、そこは理解できなくても良い。俺が言いたいのはこの世界は約二千年前にいきなり始まったと言うことだ」(ジュンヤ)

「神が天地創造をなされたと言うことですよね?」(セシル)

 駄目だ!神を信じ切ってる人間にジュンヤの常識は通用しない。


「天地創造と言えばそうかもしれない。この世界の人間は俺の様に別の異世界から連れて来られた人間だと思う。ベースは俺の居た地球だろう。動植物が同じだからな。そこに六肢族や獣人・ドワーフ・エルフ・有角族(鬼人族・竜人族)・精霊種などの知的生命体を神が連れて来て作り上げた世界だ」

 結構ショッキングなことを言ったつもりだが、反応が無い。

 ハルとマイアに至っては何のことかさっぱり分からんと言った顔をしている。


「神が創ったのではなく他の世界から連れて来たと仰るのですか?」(セシル)

「もういいです。俺の言いたいのはこの不自然な世界を維持していくには強力な中心が必要だという事。それが世界の王で、それには大きな試練を超えた者が必要なんだ。長かったけどこれが二つ目の理由だ」(ジュンヤ)

 これならジュンヤが転移者である説明は要らなかったんじゃないかと思った。


 ジュンヤがしょんぼりしているとオスカーが寄って来て肩を叩いた。

「まあ先駆者と言うものは理解されがたいものだ。落ち込むな」(オスカー)

 チクショウ、十一歳の子供に慰められちまった。



 次の日朝食を食っていると携帯している天翔族との通信の魔道具に呼び出し音が鳴った。

「カールだ。大変なことが起きた」(カール)

「どうしたんだ?」(ジュンヤ)

「昨日、突然に俺達の街に怪獣が現れた。それで多くの者が犠牲になって倒したのだが、俺達の世界の王が死んだ」(カール)

「お前達にも世界の王が居たのか?詳しく話してくれ」(ジュンヤ)


 カールの話を要約すると天翔族には神の啓示を受けた世界の王が居り、彼の指導で六肢族は一部を除きまとまっていた。その一部が俺達に挑んできた魔翅族だ。

 昨日、天翔族の王都の近郊にいきなり四枚ずつの鳥と蝙蝠の羽根を持つ身長四十mの人型の怪獣が現れた。

 怪獣は自分の事をルキフェルと名乗り王都に向かって来た。

 王は塀を引き連れて怪獣と戦い、これを倒したが怪獣の攻撃で彼も死んでしまった。

 それでカールは自分の知る、残る唯一の世界の王ジュンヤにこれからの事を聞きたいと言うことだった。


 俺はこちらにも五体の怪獣が現れて、それを倒したこと。その死体が消えてしまったこと。

 魔翅族を連れて逃げたゲイルも恐らく世界の王の候補であることを伝えた。


「そうか、こちらの怪獣の死体も消えてしまっている。お前はどうするつもりだ?俺達の協力は必要か?」(カール)

「ありがとう。でも今からではゲイルとの戦いには君達は間に合わないだろう。今は被害の復旧に努めてくれ」(ジュンヤ)

「すまん、まだ総意は取れていないが俺はお前を応援したい。事が済んだら連絡して欲しい」(カール)

 この言葉は世界の王との繋がりを作っておきたいのだろう。あまり当てにせずに置こう。


 天翔族にも世界の王が居た。ドラゴンのバルトも世界の王が居るようなことを言っていたからドラゴン族にも居るのかもしれない。などと思っていたらウオヌマから念話が入り、ドラゴンが二頭、ソルトレイクの方向に向けて飛んでいるとのことだ。


 流石にソルトレイクの街中に来られるとまずいので、ジュンヤはハルと一緒に出迎えることにした。

ゲイルが攻めてくるかな?

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