第七十一話 新兵器と決着
新兵器が出てきます。
各地に現れた怪獣達とジュンヤ達の戦いは続く。
それはそれとして、実はドラゴンの島と六肢族の大陸にも怪獣は出現していた。
連絡は無いからジュンヤ達は知らない。
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ここはガーランドの山の裾野、マイアとノーラがヘビーモスと戦っている。
へビーモスの口から放たれた大量の弾丸は、ノーラとその周辺に着弾し、もうもうと砂煙を上げていた。
心配するマイアにノーラから念話が入る。
『私は大丈夫よ。あなたの剣であの鎧に傷をつけられないかしら?』
マイアはノーラの無事を知って安堵する。
『分かった!やってみる』
マイアは空中から自身の電撃で少し焼けている箇所に突っ込んで行く。
ノーラのストーンランサーも弾かれた鎧だ。
突き通すことは出来ないだろうが少し弱った部分なら・・・。
剣を両手で逆手に持って、全身の魔力を集中し、突進の勢いと全体重を掛けて振り下ろす。
突き通れ!!
その願いも空しく突きたてた剣は三つに折れてしまう。
デジレ師が鍛えたこの大陸最高の剣が空しく折れてしまった。
マイアの心の支えを失ってしまった。
呆然とヘビーモスの上で立ち尽くすマイア。
ヘビーモスは砂煙が収まって無事な姿を見せたノーラにまた黒い弾丸を撃ちまくる。
『マイア、どうしたの返事して!』(ノーラ)
ノーラの呼びかけも空しく、マイアは返事が出来ない。
「どうした、もう終わりか。詰まらん奴らだな」(ヘビーモス)
突然ヘビーモスが話し掛けて来た。
「くっそー」(ノーラ)
『あんた!リミッターを外してくれ。このままじゃあ埒が明かないよ』(ノーラ)
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ギズモニアのブロガリアとの国境に近い海、レイコとエルザがタコのような怪獣クラ―センと戦っていた。
レイコはクラ―センの足にがんじがらめに捕えられ、足の付け根の中心部にある三角形の牙が円形に並んだ口に運ばれていく。
「アイシクルカッター!!」(レイコ)
ズバーッ!!
レイコは四方八方に氷の刃を飛ばす。クラーケンの体を切り刻む。
GYAAAAA!!
足が緩んでレイコは自由になるが氷の刃の攻撃をやめない。
この攻撃が出来るようにわざと捕まって、近付いたのだ。
クラ―センは深手は無い物のあちこちを斬られて逃げにかかる。
しかし移動速度はレイコの方が速いので逃げきれない。
クラ―センの漏斗がレイコの方を向いた瞬間、すごい水流と共にスミを吐かれた。
スミはレイコに纏わりつき容易にはがせない。
エルザは浮かんできた頭の貝殻部分に魔力を回転させ錐の様にしてぶつける。
グワーッ!!
しかし貝殻の表面が少し削れた程度だ。
海の中からクラ―センの足が伸びてエルザの足を掴み、海に引きずり込もうとする。
「マジカッター!!」
魔力の刃が足を斬る。先端数mが切り取られるがすぐに再生される。
「キリがないわねえ」(エルザ)
「ククク、人間風情が何をしようと、私には勝てないと知りなさい」(クラ―セン)
「何よ!軟体動物が喋るんじゃないわよ」(エルザ)
『ジュンヤさん、リミッターを外して!!』(エルザ)
『あかん、あかん、そんなことしたらアンタ人間で無くなるでえ」(キュービ)
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獣人国で巨大なオオカミの怪獣と戦うアステルとハル。
ヘンリルの牙がハルを貫いた瞬間、ハスの姿は掻き消える。
ヘンリルは噛んだはずの相手が居なくなり信じられないと言った顔をしている。
「影分身!びっくりさせないでよ」(アステル)
ヘンリルに吹き飛ばされたアステルが襲われないように自分の分身を襲わせたハル。
ハルは王都に行かせないように一定の距離を保ちながら攻撃の手段を考えている。
ヘンリルの鋼並みの剛毛に斬り付け続けているので、双剣がボロボロで、もう斬れなくなってきている。
闇魔法に攻撃手段はない。
一方、アステルも精霊魔法では足止めぐらいの効果しかなく、焦りを感じていた。
「なんとかしなくては!」
「フン、お前達では我を止めることはかなわぬ。早々に道を空けるが良い」(ヘンリル)
怪獣が喋ったことに驚くアステル。
「お前、怪獣の癖に話せるのか」(アステル)
「お前も我とあまり変わらぬであろうが。フフ」(ヘンリル)
馬鹿にしたように笑うヘンリルに怒りの目を向けるアステル。
知性まで見せたヘンリルに無力感が募るハル。
『ご主人様!!このままでは犠牲が出ます。リミッターを外してください』
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ワ国で戦うボルクとセシル、ヤマタノミズチの瘴気のブレスを浴びたセシルだった。
「あれ、何ともない」(セシル)
「セシル!大丈夫なのか?」(ボルク)
「うん、何ともない」(セシル)
『我がセイクリッドカーテンで守ってやったのだ。有り難く思え』((ゴスペル)
セシルの精霊が偉そうに言う。
「あんたもたまには役に立つんだ」(セシル)
『うるさい!!』(ゴスペル)
「じゃあ、接近戦やるから守ってね」(セシル)
『まかせろ!』(ゴスペル)
瘴気のブレスが無効化出来るなら怖いものはないとばかりに突っ込んで行くセシル。
「炎刃!!」(ボルク)
セシルを援護するために炎の刃を飛ばすボルク。
首を半分くらい斬るがすぐに再生してしまう。
セシルの狙いは首の出ている甲羅の隙間に薙刀を突き入れること。
進路を邪魔する首を避けながら、ついに狙いの場所に辿り着く。
セシルは力の限り、魔力を纏わせた薙刀を突き入れる。
薙刀は皮膚のしわに挟まり、次第に深くまで飲み込まれていく。
「どうなってるの!!これっ!」(セシル)
遂には持つところが無くなり、薙刀を離さざるを得なくなる。
セシルは慌ててその場を離れてジュンヤに念話を送る。
『リミッターを外してください。このままでは攻め手がありません』(セシル)
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一方、ピラル湖上空のジュンヤとマリーの前に現れたリビアタンは、ジュンヤが刀で斬りつけるとまた水中に隠れてしまった。
上空で待機するジュンヤに他で戦う眷属からリミッターを外せと念話が入った。
「リミッターを外すのですか?」(マリー)
「いやいや、外せないでしょう」(ジュンヤ)
実は正教会で多量の聖魔力を貰ったので、魔人国との国境で訓練を開始したのだが、魔力を目いっぱい使おうとすると体にとんでもない負荷がかかることが分かった。
人間の場合にはその肉体が耐え切れず、蒸発して精霊種になってしまう可能性があった。
聖獣には肉体は無いがその形状が保てるかが解らない。
そこで聖魔力を貰う前の倍くらいまでしか魔力が使えないように制限した。
それが彼らの言うリミッターである。
ジュンヤはだんだん強くなる敵に対して何も備えていないわけでは無い。
錬金工房ではすでに眷属が使う兵器の材料の開発は済んでいる。
現在、ドワーフが総動員で仕上げをしている段階である。
さっき連絡した時にはもうすぐ出来るという話だった。
眷属たちには足止めに重点を置いて戦う様に指示する。
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ガーランドで戦っているノーラとマイア。
「マイア、ボーっとしてるんじゃない」(ノーラ)
「・・・あ、ごめんなさい」(マイア)
剣を折られたマイアは気に入っていただけに諦めきれずにいた。
「今は戦いに集中して!!」(ノーラ)
ヘビーモスの動きが遅いので大きな隙にはならなかったようだ。
『新兵器を送った収納から出して戦え!』(ジュンヤ)
ジュンヤの念話が眷属にグループ送信された。
マイアが収納から新兵器を取り出すとそれは刀だった。
もちろんただの刀ではない。
棟が赤く、鎬は銀色、そして刃は金色だ。
「これは?」
凄まじく魔力を吸う刀だ。
解る、これはすごい刀だ。マイアは今まで両刃の両手剣を使ってきたが、ジュンヤに教えを受けたので斬る攻撃が主になっている。ならば斬ることに徹した刀の方が今の自分には合う。
ノーラが収納から出したのは兜だ。全体が銀の地に、前には三本の赤い筋が横に描かれ、額から頭頂部に掛けて金色の鋭い三角になった飾りがつく。
ノーラはヘビーモスの正面に回り込むと思い浮かんだ魔法を叫ぶ。
「魔金槍!!」
真っ直ぐに突き出した手から金色の槍がヘビーモスの額に伸びる。
金色の槍は額を貫き、背中から飛び出した。
ゴアアアアア!!。
ヘビーモスは初めての大ダメージに吠える。
槍が引き抜かれるとマイアがヘビーモスの首を目掛けて刀を振り下ろす。
ヘビーモスの首が落ちると遅れて胴体が倒れた。
「勝った・・」(マイア)
「何だったのかしらね」(ノーラ)
「あれ、死体が無い!」(マイア)
ヘビーモスの死体が消えてなくなっていた。
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レイコとエルザの元にも新兵器は届いていた。
レイコはノーラと同じ兜が、エルザには身長と同じくらいの金属の杖だ。
兜は聖獣の変身と同調して変形する。
レイコは水中で氷魔法を使うとクラ―センごと凍ってしまった。
「すごい!」(レイコ)
エルザが魔力でクラ―センを空中に持ち上げる。
そして魔力の巨大なハンマーを作ってクラ―センを打つ。
クラ―センはバラバラになって海に落ちて行く。
「やったわ!!」(エルザ)
レイコが海中から空中に出て人間形態に戻る。
「この新兵器って何なんでしょうね?」(レイコ)
「さあ、魔力をすごく使えるみたいだけど・・あれ、クラ―センの死体がない!」(エルザ)
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獣人国のハルとアステルにも新兵器は届けられた。
ハルには短めの刀が二本、アステルには兜だ。
ハルがヘンリルの正面から突っ込む。アステルが正面から空気の塊をぶつけるとヘンリルは足を止める。
ハルが左前足を斬ると見事に切断される。鋼のごとき毛も全て切れている。
ギャオー!!
ヘンリルが悲鳴を上げる。
動きを止めたヘンリルに空気を刃にしてアステルが撃つ。
胴体に大きく穴を空けられたヘンリルは虫の息だ。
ハルが眉間に刀を刺す。鍔まで刺されたヘンリルは倒れる。
「凄い武器だね。あっけなく勝てたよ」(ハル)
「そうだね。一体何なんだろうね?」(アステル)
「あれ、ヘンリルの死体が無くなった?」(ハル)
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ワ国のボルクとセシルには兜と薙刀だ。
「すごく切れる!!」(セシル)
セシルが薙刀を振り回すとヤマタノミズチの首が次々と斬り落とされる。
首なしになったヤマタノミズチにボルクが魔法を放つ。
「ファイアカッター!!」(ボルク)
白く輝く刃はヤマタノミズチの甲羅を切り裂き、地面まで到達した。
「やったね」(セシル)
「あれを見て、ヤマタノミズチが消えていく」(ボルク)
ヤマタノミズチは霧の様に消えてしまった。
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ピラル湖では再び浮上してきたレビアタンの首をジュンヤが斬り落とす。
「私の出番がありませんでした」(マリー)
マリーは金属でできたタクトのような杖を振った。
「やっぱり、こいつも消えていくな。どういうことだ?」(ジュンヤ)
レビアタンの死体も消えてしまった。
次回はいよいよゲイルとの戦いが・・・




