第六十八話 訓練と四大精霊
済みません。遅々として進みません。今のところ不定期になってます。週一では上げて行きたいと思いますのでよろしくお願いします。
今回は新しい能力の確認と訓練、四大精霊がやってきます。
最後の戦いに向けて準備するジュンヤとゲイル。
南の島でソウルイーターの警戒をしていたアステル、マリー、マイアの三人は三日たっても敵に何の兆候もない為、マリーを残して戦闘訓練をしたいアステルとマイアは帰ることになった。
「マリーさん済みませんがよろしくお願いします」(アステル)
「ごめん。パティも早く帰って来いってうるさいのだ」(マイア)
「良いわよ。あまり強くなさそうだったし、あなた達を警戒してるかもだし、私は戦闘訓練には参加しないし」(マリー)
マリーは訓練したくてそわそわしている二人を優しく見送った。
ここはソルトレイクの近くの山中。
パティは欲求不満であった。
ジュンヤは眷属の指導で忙しく、セシルは新しい能力の把握に忙しい、エルザや聖獣達は後方支援タイプで相手をしてくれるのはハルしかいない。
ハルは超近距離タイプでパティは苦手だ。
さっきも懐に入られ喉元に刃を突きつけられた。
「マイアァ!!はやく帰ってこぉい」(パティ)
パティは剣で火花を散らすような乱戦をやりたいので欲求不満に陥っているのである。苦手を克服するようなことは考えていない。
それをハルに指摘されるのでさらにイライラが募るのだ。
「対人戦闘だとゴスペルって役に立たないよね」(セシル)
セシルは不満を自分に憑依する精霊のゴスペルに言う。
『我は聖属性じゃ。仕方なかろう』(ゴスペル)
「もっとさ、なんて言うの?ホーリーランスで突っ込むとか、セイクリッドカッターで切り刻むとかって出来ないの?」(セシル)
『そんな野蛮なことが出来るか!!』(ゴスペル)
「もともと私は殴り巫女だからさ。野蛮なんだよ。知ってるでしょ」(セシル)
『お前の母は敬虔な修道女だったのに。あのモンク野郎が父親なのが失敗か?』(ゴスペル)
「私の両親知ってるの?私が生まれてすぐに二人共死んじゃったから覚えてないの」(セシル)
『お前の先祖からずっと憑依していたから知っておる』(ゴスペル)
「じゃあ、教えてよ。両親の事・・・・」
パティは隅っこで一人でブツブツ言ってるセシルが気になる。暇なら相手をして欲しいのに。
「パティ!もうおしまいなの?」(ハル)
まだ朝から一回もハルに勝てていない。というか訓練を初めて一回も勝てない。
前に練習した時にはそんなに差は無かったのに、今は勝てる気がしない。
「休憩だ、休憩」(パティ)
「負けた原因をしっかり対策しないと強くなれないよ」(ハル)
「わかってるよ!!」(パティ)
パティは自分はギズモニアで勇者として見いだされた時から正教会で訓練を受けて来た。
そして勇者になってからは負けたことが無かった。
ジュンヤの所に捜査に来た時には負けたがすぐに追付いた。
その後、教皇に正教会に閉じ込められた。
そして今、また差が開いた。
今度はそうそう追付けるレベルでないことは解る。
相性の良いマイアと訓練すれば何とかなる。
パティとしてはそう思うしかなかった。
一方聖獣達はすでに今回の成長内容を把握してその成果をジュンヤに報告していた。
「君達すごいね。もう四大精霊なんて、もう目じゃないね」(ジュンヤ)
「そうね。あんたとあんたの眷属を除けば、もう敵は居ないわ」(ノーラ)
「でもドラゴン族はどうなのかな」(レイコ)
「あいつらはブレスと念動くらいでしょ。相手にならないわ」(ノーラ)
「でもノーラはいいよなぁ。戦いが終わっても人間と一緒に働けるんだろ」(ボルク)
「そうね。昨日もアルミアの鉄道工事手伝って来たんでしょ」(レイコ)
「うん、大河に架ける鉄橋の橋脚と聖都までの線路の整地と敷石を置いて来たわ」(ノーラ)
「一日でやっちゃったの?」(ジュンヤ)
「そうよ、橋桁もやろうか?って聞いたんだけど製鉄所で造ってるから良いんだって」(ノーラ)
ノーラは凄まじい土木工事の能力を発揮するようになった。この分だとこの大陸中に鉄道が敷かれるのも遠い未来ではなさそうだ。
「オイラは心配なんだよ。戦いが終わったらこの力が役に立つのかなって」(ボルク)
何も考えていないようにぼんやりとしていたボルクが、自分の存在意義を考えるようになったのかとジュンヤは感動した。
「心配すんなよ。俺達って後百年も生きられないだろ。だから君達には俺達の後の世代を平和に導いて欲しいんだ。精霊も解放するつもりだし、六肢族やドラゴン族もいる。君達に託すしかないんだよ」(ジュンヤ)
「なな、何言ってんのよ!!あんたは私達とずっと一緒に居るのよ!死んじゃ駄目だからね!!」(ノーラ)
ノーラが真っ赤な顔で突っ込んでくる。
「そう言われてもなあ。寿命は仕方ないし」(ジュンヤ)
「あのー、ジュンヤさんってもう聖魔力の容量が私達を超えてますし、精霊種の様に生身の肉体を捨ててしまえば寿命は関係無いんじゃないかと思うんですけど」(レイコ)
「えええ、そうなの。俺ってもう人間じゃないのぉ」(ジュンヤ)
「おそらく、出産前のキュービさんのような状態ではないかと思います」(レイコ)
キュービは精霊の時ソウルイーターに魂を食われて、あと数時間で死んでしまう少女の体に入った。少女の魂になったのである。
その後、ガーランドの皇帝ヘンリーと結婚してエルザを産んだ。
「かろうじて人間なのか。しかし、結婚はしたいし、子供も欲しい。精霊にはならんぞ」(ジュンヤ)
「大丈夫です。肉体が衰えたら抜け出せば良いのです」(レイコ)
優柔不断の塊の様だったレイコにズバズバと言われて、この子も肉体だけではなく精神も成長したんだとジュンヤは思う。
その時、アステルが背中にマイアを背負って飛んで来た。
「ご苦労様、早かったな」(ジュンヤ)
「はい、アステルさんが凄く速くて」(マイア)
「マッハ2で飛んできました」(アステル)
「息の出来る低空でそんな速度で飛んだら、断熱圧縮ですごい温度になっただろう」(ジュンヤ)
「はい、魔力障壁二重張りでも暑かった」(マイア)
「マイアーッ!!」(パティ)
パティとハルがこっちに走ってくる。
「なんだ?」(マイア)
「早くこっちに来い。訓練するぞ」(パティ)
「どうした?」(ジュンヤ)
「私の教え方が下手みたいで・・・・済みません」(ハル)
マイアの手を引いて訓練に行こうとするパティ。
『大きな魔力が四つ近付いて来ます』(アイ)
突然、ジュンヤの便利AIのアイさんが魔力の接近を警告する。
ジュンヤが精神を集中すると、魔人国方向から大きな四つの魔力と、もう一人魔力はそう大きくない一人の反応がある。
「これは四大精霊と第六天魔王!」(ジュンヤ)
「私達が迎え撃つわ。こき使われた恨み忘れてないぞ!」(ノーラ)
ノーラが腕まくりして喚く。
「おいおい、何をしに来たのか確認してからだぞ」(ジュンヤ)
ここは国境の緩衝地帯、どちらの国でもない。魔人国の国境は侵してないはずだ。
遅い、風の精霊の空中での移動速度は時速八十km位だった。
エルザとセシルもこちらにやって来た。
待つこと十数分、ようやく現れた。
フルメイルの男と赤城青ピンクの服を着た四人の精霊が、目の前に降り立つ。
「お前かジュンヤ!一年ぶりだな。この山の向こうの村からすごい音がすると言うので来てみれば」(第六天魔王)
ジュンヤ達が魔法の練習ででかい破壊音を出していたので、文句を言いに来たようだ。
「すまんな、第六天魔王!ここなら邪魔にならんと思ったのだが。早々に引き上げよう」(ジュンヤ)
「ウー、その第六天魔王と言うのは止めてくれるか。我名はキーンと言う。魔人国の王だ。ジュンヤお前はヤマト国の王になった聞いた」(キーン)
顔を赤くしている所を見ると第六天魔王と名乗ったことを恥ずかしがっているようだ。
「王ではないけどな。それでは今度からキーン殿と呼ぼう」(ジュンヤ)
「騒音を悪いと思っているのなら私の願いを聞いてくれるか?」(キーン)
「なんだ。俺もあなたにお願いが有るから行ってみてくれ」(ジュンヤ)
「実はこの精霊鎧を脱ぎたいのだが、精霊の反撃が怖くて脱げないのだ」(キーン)
キーンによれば精霊鎧の効力は脱ぐと数時間しか持たないし、精霊と遠く離れても駄目だ。
効力が無くなれば精霊が反撃するのは目に見えている。
水の精霊と火の精霊を捕えに来た時は、土の精霊を置いて来たので、効力が切れて暴れられたそうだ。
裏切られるのが怖いから他の者にも着せられない。
戦乱時は良いが、平和になっても鎧を脱げないので困っているらしい。
そこにヤマト国との国境の山の向こうで大きな音が聞こえると報告があった。
これはジュンヤが関係しているに違いない。
そこで多くの精霊を使っているらしいジュンヤにお願いして来たのだ。
「分かった、精霊と精霊鎧を預かって、お前には攻撃させないことを誓おう」(ジュンヤ)
「それは困る。精霊鎧を取られるともしもの時に対処のしようがない」(キーン)
「大丈夫だ、証拠をお見せしよう。聖獣達!頼むぞ!」
「はい」×4
ジュンヤ達とキーンたちは二十m程離れて対峙した。
「精霊に俺を倒せと命令しろ!」(ジュンヤ)
「精霊たち、ジュンヤを倒せ!」(キーン)
精霊たちは精霊攻撃魔法を唱える。聖獣達はそれぞれの属性の精霊の魔法を抑える。
精霊の魔法が発動しない。
「おのれ、お前達は何者だ!」(土の精霊)
「あーら、忘れちゃったのお。このかわいらしい私達を」(ノーラ)
「お前達は精霊獣か!」(風の精霊)
「今は聖獣になったけどね」(アステル)
「おのれえ!育ててやった恩を忘れて我々に歯向かうか」(水の精霊)
「育てたって、生かさず殺さず、こき使っただけじゃない」(レイコ)
「文句を言わずに私達に従え!」(火の精霊)
「捨てて置いて良く言うよ。もうオイラ達には勝てないよ」(ボルク)
精霊たちは聖獣達の魔力に押されてその場に立ち尽くすだけになった。
「エルザ、縛ってくれ」(ジュンヤ)
エルザは聖魔力をロープの様にして精霊たちを縛って行く。
ジュンヤは驚いて口を開けたままのキーンに近付く。
「キーン殿、精霊を解放して精霊鎧を脱いでくれ」(ジュンヤ)
「あ、ああ。お前達はもう俺に従わなくていい」(キーン)
そして精霊鎧を脱ぎ始めた。
ジュンヤは収納から服を出してキーンに渡した。
現代的な服は初めてらしく、ハルに手伝って貰って着ていた。
「ところでお前の願いは何だ」(キーン)
「ヤマト国の友好国になって欲しい」(ジュンヤ)
本当は精霊鎧を封印して欲しかったのだが、運よくその願いは叶ってしまったのでこれに変えた。
「友好国とはどうすれば良い」(キーン)
「今、獣人国・ギズモニア・アルミア・ガーランド・エルフ国・竜人国・鬼人国・ワ国がヤマト国の友邦だ。汽車を知っているか?」
「山から見たことがある。大量の人と貨物をすごい速度で運んでいた」(キーン)
「それをこの大陸くまなく走らせる。その動力を乗せた船が海を航走る」(ジュンヤ)
「そんな大量の貨物がどこにある」(キーン)
「あなたの国には鉄と石炭、それに銅が出る。それをよその国に売る。自国で加工して売る。あなたは金貨で埋まるぞ」(ジュンヤ)
「まあ、約束だ。汽車を走らせることは了承しよう」(キーン)
「あなたの国にはガーランドから竜人国・鬼人国・エルフ国・クレアンス・ブロガリア・アルミア・ギズモニアと線路を引きたい」
キーンとジュンヤは未来の夢を語った。
その後、キーンはアステルに連れられて自国に戻って行った。
次回は決戦まで行くと良いなあ?




