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第六十四話 修学旅行の続きと備えるジュンヤ

アジダバーガの騒ぎも終わって旅行の続きをする子どもたち。

これまでの騒ぎを神の試練と捉え準備を始めるジュンヤ。

 命がけの一撃で何とかアジダバーガが倒したボルク、火山のエネルギーで体を癒していた。


 カツラ島の砂浜に寝そべって体を癒すボルク、まだ鳥の姿のままだ。

 横には人の姿に戻ったレイコが付き添っている。

「なんで自分の体を燃やして、突っ込むなんて無茶したのよ?」(レイコ)

「最近、オイラは楽しい、精霊様と居る時には感じたことなかったんだけど、周りに人がいると楽しい。だからあの怪物はそれを壊す奴だと思ったら、なんとしてもやっつけないと思ったんだ」(ボルク)

「そうボルクも成長しているのね。私もみんなと一緒にずっと居れたらいいなって思ってる」(レイコ)


「みんなと言えばシンディさん達に連絡しなきゃ」(レイコ)

「オイラはもう大丈夫だから皆の所に行ってあげなよ。きっと心細い思いをしてるよ。オイラはもう少し休んでるよ」(ボルク)

 レイコが飛び上がるとボルクは人型に戻って砂浜に座った。


 暫くするとミッテランがボルクのそばにやって来た。

「どうなったんだ?」(ミッテラン)

「勝ったよ。すごいだろ」(ボルク)

「いや、あれに勝つってどうなの。あんたジュンヤの一族なんだろうけど、一体何者だ」(ミッテラン)

 ミッテランは不気味なものを見るようにボルクを眺める


「精霊族の一形態ってジュンヤ様が言ってたな」(ボルク)

「そうかあ、ドラゴン族みたいな感じかな」(ミッテラン)

 正体が分かった気になってミッテランは安心する。

「そうかな。良く分からん」(ボルク)


「あんたは何処から来たんだ?」(ボルク)

「俺か、ここから南に千km位南にある島から来た」(ミッテラン)

「そんな所に島があるんだ?」(ボルク)

「ああ、人口二万人くらいの小さな島さ」(ミッテラン)

「ふーん。船も壊れたみたいだからカゴシマまで送ってやるよ」(ボルク)

「そうか、済まないな」(ミッテラン)

 アジダバーガが起こした嵐で、首領一味が乗って来た船は見事に破壊されていた。


 ボルクはミッテランを担いで、カゴシマのシルビィ達の元へ飛ぶ。

 シルビィ達は港の近くまで出迎えてくれた。

「ボルクさんご苦労様でした。おかげで助かりました」(シルビィ)

「ホントに強いんですね。憧れちゃいます」(キュール)

「えへへへ、恥ずかしいなあ」(ボルク)

「あなた、英雄なんだから堂々としなさいよ」(シーナ)


「それじゃあ、俺はこれで」(ミッテラン)

 ミッテランはそそくさと逃げようとする。

「ちょっと待って!あんたには聞かなきゃいけないことがいっぱいあるんだから」(レイコ)

「じきにジュンヤさんが来るから待ってな」(サクラ)

「あなたがワ国の騒動やアジダバーガの復活に手を貸したことは分ってます」(オスカー)

 ミッテランはぐるぐる巻きに縛られた。


「もうお昼ね。船にバーベキューの道具と材料が乗ってるからここでやっちゃいましょう」(シルビィ)

「おおー!!」(×7)


 鉄でできたコンロに木炭を並べる。

「ボルクさん、お願いします」(キュール)

「おう」(ボルク)

 ボルクの指先から高温の炎が噴き出す。すぐに木炭に火が着いた。


 案内の係りの人も戻って来たので網を置き、貝やエビ、肉、野菜などを並べる。

 辺りに良い匂いが立ち込める。


「おおい、おおい、俺は昨日の昼から何も食ってねえんだ。何か食わせてくれよ」(ミッテラン)

 ミッテランが匂いにつられて騒ぎ出した。

「子供たちが食べ終わったら食べさせてあげますから、もうしばらく我慢してください」(シルビィ)

「そんな、殺生なあ」(ミッテラン)


「叔父さん、この巻貝はどうやって食べるの?」(ジャンテ)

「これはサザエって言って、蓋の上から醤油を垂らして、泡が出てきたら食べごろだよ」(案内係)

「あ、お嬢ちゃん、エビは殻を剥かないと食べられないよ」(案内係)

「面倒臭いな」(サクラ)

「待ってな、おっちゃんが剥いてやるよ」(案内係)


 叔父さんがエビの頭を取り、殻を剥き始める。

「分かった!後は俺がやる」(サクラ)

「ソルトレイクの塩があるからこれを振って食べな」(案内係)

 塩を振ってエビにかぶりつくサクラ。

「うめーぇ。ぷりぷりだあ」(サクラ)


「叔父さん!サザエから泡が出て来たよ。どうするの」(ジャンテ)

 叔父さんは手拭いを濡らしたものでサザエを持って串を蓋の内側に差してくるりと回すと貝の中身が出て来た。

「串をサザエの内側に差して回すように取るのがコツだよ。この細い所は内臓で苦いからおじちゃんが食ってあげようか?」(案内係)

「大丈夫、食べるよ」(ジャンテ)

 ちょっと苦かったのか顔をゆがめていたが全部食べた。


 昼食の終わりにジュンヤとハルが到着した。

 シンディ達はカツラ島での海水浴に出かけた。


 今、ミッテランとジュンヤとハルは遅い昼食を取っている。

「俺はあのバーベキューってのが良かったな」(ミッテラン)

「玉ねぎとキャベツなら残ってますが食べますか?」(ハル)

「いえ、いいです」(ミッテラン)


 食事が済んだら早速の質問タイムだ。

「君に聞きたいのは君の首領の動機だ。なぜアジダバーガを復活させたのかが聞きたい」(ジュンヤ)

「首領は神の啓示を受けたと言ってました。世界の王になるのに必要な力と言われたそうです」(ミッテラン)


「神とは何の神だい?」(ジュンヤ)

「首領には全知全能の神と言っていたそうです。詳しくは知りません」(ミッテラン)


「君以外に生き残りは居るのかい?」(ミッテラン)

「六肢族を担当していたゲイルと言う男が生きているはずです」(ミッテラン)


「どこにいるかは解らないのか?」(ジュンヤ)

「さあ、ゲイルは貴方の邪魔をするのが主な仕事でした。でも裏切って逃げたと聞きました」(ミッテラン)


「お前達は何者だ?」(ジュンヤ)

「最初、我々はネクロマンサーの師匠とそれに仕える弟子でした。西大陸から中央大陸にかけて霊を呼び出して遺族と交信させて報酬を得ることを生業としていました。

 ギズモニアに居た時に師匠が神に啓示を受けたと言い始めたんです。

 六肢族が3人やって来て、師匠の手伝いをすると言ってたので、本当なんだと思いました。

 貴方が世界の王になったと噂が立ち始めたので師匠は焦り始めました。

 潰れかけてたアーモデウス商会を使って、六肢族をガーランドに送り込みました。

 その時にアーモデウス商会に居たのがゲイルです。

 ガーランドを使って西大陸を戦乱に巻きこんで、貴方をつぶそうとしたのです。

 それが失敗してからもあなたの悪評を流してあなたの邪魔をしていたのです。

 また神の啓示があり、今度は十人の六肢族を与えられました。

 ゲイルを使って東大陸を征服して、師匠自身はワ国に行ってアソに眠るというヤマタノミズチを復活させようとしましたが、これもあなたに阻止されます。

 そしてまた神の啓示で今回のアジダバーガの復活です。

 復活には成功しましたが師匠と弟子たちは全てアジダバーガが食べてしまいました」


 ジュンヤはミッテランの話を聞いていておかしいと思い始めた。

 あまりにも都合よくこいつらは俺の前に現れる。

 ガーランドの事は俺が偵察拠点を作ったらそこにエルザとオスカーが現れた。

 二人が現れなかったら俺はガーランドを滅ぼしていたかもしれない。

 東大陸もソウキとミカヅキが、都合よく俺の所に来たから参戦した。居なかったら東大陸は占領され、ヤマタノミズチも復活したかもしれない。

 アジダバーガも修学旅行が無ければ、そこにボルクは居ない。


 俺自身が神によってこの世界に連れて来られているので、神の存在は確かだが敵に啓示を授けたのも同じ存在なのだろうか。

 それにこの世界の生態系のハチャメチャさ、人族・獣人族・魔人族・ドワーフ・エルフ・鬼人族・竜人族・魔翅族・天翔族・天狗族・精霊族・ドラゴン族・精霊獣、知的生物だけでこれだけいる。

 まともな進化ではないだろう。


 いずれにせよ。これで終わったと思うのは浅慮だ。多分、神は俺が世界の王になれるかを試しているのではないか。ならば世界的な異変が待っていると思うのが妥当だ。備えなければいけない。

 俺への試練でこの世界を滅ぼしてしまう訳にも行くまい。


「・・さま、ご主人様、どうかなさいましたか?」(ハル)

 考え込んでいたのを心配してハルが声を掛ける。

「いよいよだ。ハルも気を付けろよ」(ジュンヤ)

 ハルが首をかしげている。そのポーズ可愛いぞ、百点だ。



「あのお、俺はどうなるんで?」(ミッテラン)

「君は、自由にしておけないから隷属化してソルトレイクで働いてもらおうか」(ジュンヤ)

「はい、・・・」(ミッテラン)


 不安そうな顔で頷くミッテランの肩を叩いて励ましておく。

「心配するな。待遇は良いぞ。さあ、帰るか」(ジュンヤ)

 正直に言えばシンディさんの水着姿を見に行きたいが、ハルに下心がバレるとうるさそうなのでやめておく。


 ソルトレイクに帰ると隷属化したミッテランを市長に渡して、錬金棟に居るタキにハルを連れて会いに行く。

 錬金棟には細長い塔のような物や大きなタンクがいっぱいあって、それを繋ぐパイプが縦横無尽に走っている。

 ジュンヤは白衣を羽織ってメーターを確認している鬼人族の美少女に声を掛ける。

「タキ、ご苦労さん。どうだ、様子は?」(ジュンヤ)

 前の化学工場長であったソウキが鬼人国の立て直しのため国に残ったので、代わりに紹介されたのが妹のタキだった。

「はい、仰られていたものは必要量確保できました。今は成形している所です」(タキ)


 タキは兄以上の天才的な錬金術師で、化学反応に必要な条件を魔法で解析できるし、少量なら魔法で必要な物質を作ることが出来る。

「じゃあ、ドランの所に送ってくれ。慎重にな」(ジュンヤ)

 ドランはドワーフのカンナの兄だ。製鉄所の近くに作られた金属加工工場の責任者をしている。

「はい、分かっています」(タキ)


「何を作ってるのですか?」(ハル)

「火薬だ」(ジュンヤ)

「連発銃のですか?」(ハル)

「いやそれよりはるかに強力な奴だ」(ジュンヤ)

 ジュンヤはハルに顔を近付けて小声でハルに囁く、ハルの顔がゆがむ。

「そんな!」(ハル)


 恐らく神が世界の王の資質を試すために試練を与えている。それを無視すると多くの人が傷つくので、受けざるを得ないことを話した。

 ジュンヤは神の試練にはこの世界の成り立ちが関係していると思うが、それはハルには言わない。


 次は製鉄所のドランの所に飛ぶ。


 ドランの工場に行くと50cm位の直径のパイプのような物がたくさんあった。

 ドランが俺を見つけて駆け寄ってきた。

「ジュンヤさん、注文の品はあと組み立てるだけです」(ドラン)

「推進剤を持ってきたから試しておいてくれ」(ジュンヤ)

「分かりました」(ドラン)

「これは何ですか?」(ハル)

「決戦兵器だ」(ジュンヤ)


 工場を出てハルに告げる

「ハル、明日の開通式が終わったらガーランドと正教会の聖魔力を回収する。皆にも伝えといてくれ」(ジュンヤ)

「はい、でも眷属を探すのはどうするんですか?」(ハル)

「今からでは間に合いそうにない」(ジュンヤ)

 ジュンヤは最後の試練が遅くとも一月位の間に来るのではないかと考えていた。



次回、獣人国の鉄道の開通式とマイアの両親に結婚の挨拶、ガーランドに聖魔力の回収に赴きます。

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