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第五十八話 海賊退治とワ国へ出発

ワ国を騙った海賊を退治します。

女王のいい加減さに腹を立てます。

ワ国に出発します。

 竜人国に来たジュンヤ達は、女王から東海岸で発生している海賊の調査を依頼された。

 海賊船らしき船を発見したがそれはワ国の使節の船だった。


 ワ国の使節を歓待した次の日、朝から俺はマイアとセシルを派遣して、海賊に使われていると思われる船を見張ることにした。

 毎日海賊をしているわけでは無いだろうから気長に待つしかないかと思っている。


 十時くらいにアステルに聖獣形態になって貰ってヨリトモ、ヨシツネと土産を王城に運ぶ。

 二人は聖獣になったアステルに少しビビッていたが無理やり背中に乗せて出発した。


 お昼になったので海賊船の見張りをハルとエルザに交代させる。

 なるべく現行犯で捕まえたいので、二日三日は待ってみるつもりだ。

 犯人の居る村の検討は付いてるが、証拠を持っているかどうかは分からないからな。


 その日も次の日も犯人は現れなかった。タキと念話で話すとすでに何人かが隷属契約を待っているので、明日は鬼人国に戻らないといけない。

 今日はハルとエルザが朝から見張りに出かけている。


 ハル達が行ってすぐに連絡が入る。

『出航の準備を始めました。どうしますか?』(ハル)

『出来れば現場を押さえたい。見張りを続けてくれ。俺達も行く』(ジュンヤ)

『はい』(ハル)


 ワ国人たちと談笑しているマイア達を呼ぶ

「海賊たちが出航しようとしているらしい。皆で行くぞ」(ジュンヤ)

 海賊を生かして捕えようと思っているので人手が居る。


 俺達が現場に飛んで行くと船が出航しようとしていた。

 海賊たちは小舟でワ国の船が係留してある入り江に来ている。

 船の数から海賊は二十人は居ると思われる。


 海賊船は北に向かって北西風に逆らって帆走する。見事なものだ。

 昼頃にようやく目当ての村に着いたようだ。

 俺達は先回りしてその村に降りた。


 しばらくするとカツラで角を隠した海賊が刀を振り回しながら村に入ってくる。

 漁村を襲っても金目のものも無いので、女子供をさらっているようだ。

 俺達は海賊の前に立ちふさがる。


「なんだお前達は!!殺されたいのか!!」(海賊A)

「ほお、お前達は大陸の言葉を話せるのか?」(ジュンヤ)

 すでに何人かが倒されている。


「ノーラ!殺すなよ」(ジュンヤ)

「解ってるけど、こいつらうっとおしくって」(ノーラ)

 ノーラを刀で斬るが、そんなものが地面に居る彼女に効く訳がない。ノーラのゲンコツで、また一人無害化される。

 一分で立っている海賊は居なくなった。全員を縛り上げた。


「これはどういうことですか?」(村長)

 襲われた村の村長が出て来た。

「ああ、ここを襲おうととした海賊を捕まえたんだ。近くに役所はあるかい?」(ジュンヤ)

 村長に役所の場所を聞いて、ふと思いついた。


 捕まえた海賊たちのカツラを取る。

「この中に知った顔はあるかい?」(ジュンヤ)

 村長は恐る恐る海賊の顔を確認する。

「あ、こいつは南の方の村の奴です。あ、こいつも。ワ国の海賊じゃなかったんですか」(村長)

「そう言うことだな。こいつらはワ国に罪を被せてたんだ」(ジュンヤ)

 これで少しはワ国の悪い噂も晴れるだろう。


 目覚めた海賊を海岸の木に縛り付けて、聞いた。

「どいつが親分だ?」(ジュンヤ)

 海賊たちの視線が集まる。

「お前か?お前とこいつか。お前達には女王の所に行ってもらう」(ジュンヤ)

 親分と偉そうにしていた奴を木から解いて別にする。

「エルザ、役所に行ってこいつらを引き取って貰ってくれ」(ジュンヤ)

「マイア、お前はエルザが戻るまで見張りをしてやってくれ」(ジュンヤ)


 親分と偉そうにしていた子分とカツラと刀を海賊船に乗せると俺達は、ワ国人の居る場所に帰った。

 ワ国人の前で親分に海賊船にした船に乗っていたワ国人をどうしたのか聞いた。


 親分が語った内容はひどかった。

 一か月半前、親分たちの村に着いたワ国人たちは話が通じなかった。

 親分はワ国人が女王に会いたいらしいと気付く。ならば金目の土産を持っているに違いない。

 そう思った親分はワ国人を歓待するふりをして魚から取った毒で全員を殺す。

 死体は海に流したが船にあった荷物は干した貝やフカヒレばかりで、売ると目立ってしまうものだった。

 そこでワ国人に化けて海賊をすることを思いついて、近隣の村を襲って女子供をさらい、懇意にしていた裏社会の男を通じて売りさばいた。


 ミカヅキを通じて女王に海賊退治が終わったことと内容を連絡した。

 女王からは海賊は始末して欲しい事とワ国についての話もあるので明日午後来てくれと返事があった。


 エルザとマイアが戻ってきた。

 海賊はその場で役所の人間が殺害したようだ。

 俺はハルにさらわれた人たちの追跡を命じ、俺は鬼人国に飛んだ。


 俺は憤っていた。なぜ被害者の救済をせずに事件を終わらせようとする。

 やはり竜人国の女王も鬼人国の旧王と変わらないのか?

 俺はこいつらを守らねばならないのか?


「女王に父を感じたと言うことですか」(カツキ)

「そうだ。俺はどうすれば良いと思う」(ジュンヤ)

 俺は女王の事を鬼人国の新王のカツキに話した。

「好きになさいませ。あなたはすでに東大陸の主です。なんで遠慮が要りましょうか。叱り飛ばしてしまいなさい」(カツキ)

「そうなのか。叱っても良いのだな」(ジュンヤ)

 カツキに励まされて俺はネガティブな考えを捨てた。俺が思うようにしよう。


 次の日朝から今いる幹部たちも隷属化した。ついでに旧王も隷属化して牢から出してやった。

 もう俺に逆らえないから大丈夫だろう。

「良いか、新王を支えて、民を大事にし、人口を増やし、産業を興すのだ。皆が豊かな社会を築くのだ」(ジュンヤ)

 新しく隷属化した幹部を激励した。


 午後に竜人国に移動した俺は女王の前に居た。

「女王よ、なぜ被害者を救済しようとしなかったのだ」(ジュンヤ)

 女王は俺の怒気を正面から受け止められず、顔を伏せた。

「いえ、下々の事ゆえ捨ておいても‥‥」(女王)

「お前がそのような考えでおるから、事件が無くならないのだ!!」(ジュンヤ)

 ちょっと声を荒げた。女王はすでに俺がエルフ軍一万六千を殺したことを知っている。


「ジュンヤ様そのような物言いは無礼かと」(ミカヅキ)

「うるさい!お前達が甘やかすから正常な判断が出来ぬのだ」(ジュンヤ)

「ではどうすればよろしかったのでしょうか?」(女王)

「海賊を取り調べ、罪を償わすのと同時に被害者を救済せねばならぬ。そうしないと恨みが収まらん」(ジュンヤ)

 女王は俺を恐れて下座に下がってひれ伏している。


 俺にマイアから念話が入った。

「遅かったようだな。海賊に襲われた村の者が海賊の村を襲った」(ジュンヤ)

「ひえ」(女王)

「お前が救済しないから民が復讐しないと収まらない」(ジュンヤ)

「お許しをぉ」(女王)

「許しを請う相手が違う。お前は民に謝るのだ」(ジュンヤ)

「ははぁ」(女王)


「それで俺に話とはなんだ」(ジュンヤ)

「は、はい、ワ国の事ですが、出兵を願われたのですが。船が無いので兵を出せません。ジュンヤ様にお願いされてはと申しました」(女王)

「それを早く言わんか!何日経ったと思っているのか」(ジュンヤ)

「はい、申し訳御座いませぇん」(女王)


 俺は女王を隷属した。

「ミカヅキ、お前は女王を補佐せよ。へまをしたら解っているだろうな」(ジュンヤ)

「そんな私がで御座いますか?そんな大層なことを・・・えええ」(ミカヅキ)

 ミカヅキはひっくり返ってしまった。上昇志向の強い女だがまさかこんな大役を任せられるとは思っていなかったのだろう。

「分からぬことはチャールズさんやマリーに聞け、良いな」(ジュンヤ)

「はいいぃ」(ミカヅキ)


 俺はヨリトモの所に向かった。

「おう、ジュンヤ殿ではないか。女王からは色よい返事が貰えぬ。あなたからも一言申しては貰えぬか」(ヨリトモ)

「残念だが女王は俺に丸投げした。話を聞かせて貰おう」(ジュンヤ)


「へ、ジュンヤ殿は一体どういう立場の方なのか?」(ヨリトモ)

「俺は西大陸連合軍司令官で東大陸の王を束ねる者だ」(ジュンヤ)

「ええ、そ、それは失礼をいたした。そのような方とはつゆ知らず」(ヨリトモ)

「いいから、早く願いを言ってくれ」(ジュンヤ)


 ヨリトモの説明を要約すると

 大噴火から三百年、ようやくワ国は復活してきた。

 そこに南から黄泉の軍団が現れて人間の生息域を脅かしている。

 助けて欲しい。

 黄泉の軍団とは死んだ人間・動物・魔獣などが骨だけの状態で攻めてきている。

 大噴火で死んだ者達ではないか?

 動きは緩慢なため然程強くは無いが、骨なので矢が効かない事や数万体が昼夜問わずに攻めてくるので押されている。


 骨だけとはスケルトンと言う奴か、筋肉が無いのにどうやって動くのかな。

 まあ、魔法ですぐ終わりそうだな。

「分かった、こちらの仕事がニ三日で、区切りがつくからあの入り江に戻ろう」(ジュンヤ)

「分かりました」(ヨリトモ)

 先発隊のその後も話して置いた。


 マリーにも会いに行く。

「どうだ順調か?」

「ええ、エルフ国・鬼人国・竜人国の港町にギルドを置く準備はできたわ。アステルさんにも随分手伝って貰って助かっちゃった」(マリー)

「悪いけど今度はワ国に行くことになったんだ。君のおとうさんへの挨拶は、それが終わってからになってしまう」(ジュンヤ)

 マリーは顎に手を当て考えてから言った。

「それは大丈夫だけど、私はまだ一週間くらいかかるからパスして良い?」(マリー)

「ああ構わないよ。俺も鬼人国の隷属化が終わってからだから後二日かかる」(ジュンヤ)


 入り江に戻ってその夜、ハルがまだ帰ってこない。

 潜入しているとまずいので念話も使えないし、と思っていたら念話が来た。

『ご主人様、全員助け出しました。場所は分かりますね。運ぶのを手伝ってください』(ハル)

 二十人いるので俺達全員が行って、二人ずつ背中に乗せて帰ってきた。

 もう一つ宿舎を作らなくっちゃ。


「ハル、人身売買の組織はどうしたんだ?」(ジュンヤ)

「犯行に関わった奴は全員殺しました」(ハル)

 相変わらず悪い奴には容赦ないな。ミカヅキに後始末を頼んで置こう。


「マイア、海賊はどうした?」(ジュンヤ)

 海賊が見当たらない。どうしたのかな。

「あいつらでしたら死にました。海賊被害者に襲われた村を見せたら絶望して殺してくれって言ったので」(マイア)

「村はどうなったんだ?」(ジュンヤ)

「私達が駆けつけた時には全員殺されてました」(マイア)

 後味の悪い事件だなあ。


 次の日、二艘の船がワ国に向け出発した。攫われた人たちも村に返した。

 政治的な絡みも無いし、俺が居なくても大丈夫だろうと言うことでヨリトモ・ヨシツネ・ハル・マイア・エルザ・セシル・ノーラ・アステル・レイコ・ボルクがワ国に向け飛び立った。

 アイさんによると五百kmも無いくらいなので一時間で着くな。


 その次の日、俺は鬼人国の残る幹部を隷属化してワ国に飛び立つ。

次回、ワ国で黄泉の軍団と戦います。


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