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第五十七話 女王とワ国の船

空けましておめでとうございます。ワ国編突入です。

 エルフ国と鬼人国の戦後処理をする俺に竜人国の女王から会いたいと連絡が入る。

 俺は竜人国に赴き、女王と対話する。


 カナエ女王は刀を指差して言う。

「それは太陽の一族が作った刀と見たが違うか」(カナエ)

「誰が作ったのかは知らんが恩人に貰ったものだ」(ジュンヤ)

「そうか、話は変わるがジュンヤ殿の思いはミカヅキから聞いてたが、通信員の設置と開国で良いか」(カナエ)

 カナエは表情を変えずに淡々としゃべる。俺の素性やらはミカヅキが連絡済みだ。


「そうだな、その通りだ」(ジュンヤ)

「こちらも実は要望がある。太陽の一族の件だ」(カナエ)

「その一族は昔に滅んだと聞いたが?」(ジュンヤ)


 カナエは太陽の一族に着いて話してくれた。

 太陽の一族の国はワ国と呼ばれ、東の海に浮かぶ島国だそうだ。

 記録に現れるのは千年ほど前で鬼人国と竜人国に使者を送って来た。

 使者の持ってきた国書が問題で自身を”太陽の生まれる国”、我々を”太陽の没する国”と呼んで対等な国交を開くように要請した。


 鬼人国では無礼だと使者を切捨てたようだが、竜人国は丁寧に諭して使者を送ってやった。

 その結果、細々とした交易が始まった。ワ国は海産物が豊富で乾かした貝や海藻、フカのヒレなどを輸出して鉄を主に輸入した。


 事件が起きたのは三百年前だった。ドーンと言う音が竜人国でも聞こえたという。

 火山の噴火だ。竜人国からでも何カ所からも赤い火と黒い煙が東の空に見えたと言う。

 逃げてきた人々の話では火砕流と火山灰でワ国は滅びたと言う。

 逃げてきた人も百人足らず。今は何処にいるのかも分からないそうだ。


 それからワ国からは人も来ず。忘れられた国になったのだが、最近東の海岸周りを荒らす海賊が出没するようになった。その海賊が刀を持っているし、黒髪で角が生えていないと言うのだ。

 ワ国の人間は黒髪で角が生えていないそうだ。


「我が国は遠洋に出る船を持って居らん。ついては事の真相を突き止めて貰いたいのだ」(カナエ)

「それはこちらの要望を叶える交換条件と言うことでよろしいか?」(ジュンヤ)

「開国の内容を聞いておらんが?」(カナエ)

「取敢えず湖の港にギルドの支店を置かせてもらいましょうか。それから輸出入の取り決めをうちのマリーと言うものと詰めてください」(ジュンヤ)

 その後、地理の説明と退治が必要か等を詰め、皆の待つ部屋に戻った。


「・・・と言うことで海賊退治だ。行くぞ」(ジュンヤ)

 ギルドの支店を置く話し合いにマリーを残して、俺達は東に向かった。

 俺は襲われる頻度から見て、どこかの東側の海岸線、中央辺りに海賊が拠点を作ってると見ている。


 竜人国の東海岸は千キロ以上に及ぶので、手分けして探すことにする。

 中央から北にノーラとアステル、中央から南にレイコとボルク、鬼人国の方からマイアとセシル、南の方からハルとエルザ、俺は連絡あるまで中央で待機だ。

 探すものは大きな船だ。海賊の船は30m位で竜人国の漁民の乗る船は10m以下だ。


 探し始めて早々にノーラから念話連絡が入る。

『あんた、私の居る場所が解る?今私の下に船が居るわ』(ノーラ)

『ああ、解るよ。すぐに行く』(ジュンヤ)

 おかしいな、海岸から3kmも離れている。海岸に拠点を持って海賊をするなら数百mも沖に出ればいいはずだ。


 ノーラと合流して上空から船を見ると確かに漁民の船ではない。

「海賊船でしょう」(ノーラ)

「そうでしょうか。僕には海賊船ではないような気がします」(アステル)

「なんでよ!!私が発見したからって文句言わないで!」(ノーラ)

「確かに船に積まれている荷物が整然とし過ぎている」(ジュンヤ)

「あんたまで何言ってんのよ!早くみんな集めて沈めちゃいましょう」(ノーラ

 俺はノーラの顔の前に手を出した。

「ちょっと待ってくれ。確認したい」


 俺が船の舳先の方にに降りるとその前にノーラとアステルが舞い降りる。

 船の上には薄茶色の麻の服を着た黒い髪の角の無い男がたくさんいた。

 ワ国人だ。

「俺はジュンヤと言う。言葉の解る人は居ますか?」(ジュンヤ)

 ワイワイとやっているが話が通じそうもない。


『アイさん、ワ国の言葉って解る?』

『はい、インストールします』

 何人かが刀を腰に差してやって来た。


「あなた方は何をしに竜人国にきたのか?」(ジュンヤ)

 ワ国の言葉で聞いてみる。

「言葉が解るのか。有り難い」(ワ国人A)

「我々はワ国の者だ。お願いが有ってやって来た」(ワ国人B)


「我々はワ国人が海賊行為をしていると報告が有り、調査に来た」(ジュンヤ)

「私達は今着いたばかりだ。でも1か月以上前に先発隊が来ているはずだ」(ワ国人B)

 するともう一隻ワ国の船があると言うことか。

「では、その船が海賊を?」(ジュンヤ)

「そんなことはないはずです。彼らも私達と同じで竜人国にお願いをしに来ているので」(ワ国人A)


 彼らが言うにはワ国に危機が迫っているので困っている時、火山灰に埋もれた三百年前の船を発見した。

 上手く保存されていた船は少しの修理で治せたので、竜人国に救援を求めることにした。

 まず、比較定期容易に治った船で竜人国を目指し、念の為にさらにもう一隻船を修理して、竜人国に向かわせることにした。

 しかし岸近くまで来たが、先発隊の船も船着き場も見つからないので、ここで停泊して明日停泊できる場所を探そうとしていたと言うことだった。


 その時、マイアから念話が入った。

「先発隊の船が見つかったそうだ。ここから二十km程北だ」(ジュンヤ)

「先発隊の人員もいるのか」(ワ国人B)

「周辺には人はいないそうだ。積荷も無い」(ジュンヤ)

 ちょっとキナ臭くなって来たぞ。


『そうだ、周りに足跡を付けないように船の中を探ってくれ』(ジュンヤ)

 ・・・・・・・

「そうかやっぱりな。先発隊は全員亡くなっているみたいだ」(ジュンヤ)

 船の中からは黒い髪のカツラと刀が置いてあった。


「どういうことですか!?」(ワ国人A)

「恐らく船に乗っていたワ国人は髪の毛と刀と積荷を奪われて殺された」(ジュンヤ)

「犯人は誰ですか?」(ワ国人A)

「近くに住む漁民だろうよ。犯人捜しは我々に任せて君達は上陸する準備をしてくれ」(ジュンヤ)


 ハル達も合流したので無人の入り江が無かったか聞いてみる。

 ちょうど良さそうな入り江があったので、船を移動させることにした。海賊に見つかると厄介だからな。

 アステルが風を吹かせて船を走らせる。


 ミカヅキにはワ国人の女王への謁見許可を取るように連絡する。

 入り江に船を入れたらロープで船を固定する。

 その間に精霊の里の移民の時に使った建物を浜に設置する。

 あと風呂とトイレを用意して出来上がりっと。


 そろそろ暗くなってきたから食事の用意をする。

 面倒くさいので余ってたオークの肉と野菜をぶつ切りにして投入。カゴシマで作った鰹節のような物で出しを取り、ソルトレイクで作った塩で味付けをする。

 ご飯は炊きたてを収納に入れたコシヒカリだ。


 ハル、マイア、エルザ、セシルが給仕をしてワ国の人達に配膳する。

 聖獣達にはワ国語をインストールできなかったので待機して貰う。


「白い米なんて初めてだ。オークの肉食べたことないです」(ワ国人C)

 ワ国には、米は赤米か黒米しかないらしい。

「こんなうまいものは初めてだ。竜人国ではこんなのを毎日食べているんですか?」(ワ国人D)


 楽しく食事をした後はお風呂だが、そのままだと流石に湯が汚れすぎるので生活魔法で綺麗にしてからお風呂に入って貰った。


 寝る前にこれからの事を話し合うためにワ国人の代表者を呼んだ。俺達の為に設置した家に二人が現れた。

 船に降りた時に対応してくれた二人だ。

「ヨリトモと申します。こちらはヨシツネです」(ヨリトモ)

 鎌倉幕府みたいな名前だと思ったが顔には出さなかったさ。


「ジュンヤだ。竜人国は女王が納めている。明日の午後謁見できるように段取りした」(ジュンヤ)

「どうやって女王の所へいくんだ。昔の記録には船着き場から城まで一か月歩くと記されていたぞ」(ヨシツネ)

「私達は飛べるのであなた方二人なら2、3時間で連れて行きますよ」(ジュンヤ)

「何か何までありがとうございます。ところであなたは竜人国人では無いようですが一体?」(ヨリトモ)

「俺達は女王から海賊事件の解決を依頼された者だ。もちろん、君達に罪を被せた奴らも捕まえるよ」(ジュンヤ)


「あなたは不思議な人だ。我々でも三百年の内に大陸の言葉を失ったというのにワ国の言葉を話す。それにあなたの持っている剣は刀だ。それも五百年も前の古い業物に見える」(ヨリトモ)

 二人からの見せてくれオーラが凄いので見せてやる。

「よかったら見ますか?」(ジュンヤ)

 俺が進めるとヨリトモが嬉しそうに受け取ると懐紙を口に咥えてゆっくりと鞘を抜く。


 二人のそれは高度な美術品を見るそれだ。恍惚とした表情で見入っている。

 暫く見入っていたがヨリトモがハッとした表情になり、ヨシツネに目で合図すると鞘に戻して俺に返した。

「素晴らしいものを拝見した。もうワ国にもこのような業物は残っていません。皆噴火で埋まってしまった」(ヨリトモ)

「大陸に渡ったものが残っていたのだな」(ヨシツネ)

 二人共涙ぐんでいる。恐らく多くの宝物が噴火によって失われてしまったのだろう。

 この刀の御陰でワ国人もドワーフも俺の事を容易に受け入れてくれた。女神に感謝だ。


 二人は謁見用の服も用意しているというので、残った人間は我々に任せて、アステルに乗って行って貰うことにする。ワ国の言葉はマリーに覚えて貰ったので通訳も問題ない。


 二人が去ったあと海賊退治の作戦を皆に伝える。と言っても見張って何かあれば臨機応変だけどな。

「ご主人様、これで仕事は終わりですか?」(ハル)

「そうだな、取り敢えずは今抱えている仕事は終わるな。後はこの大陸を発展させて、住人を豊かになるように方向付けるだけだ」(ジュンヤ)

「でもジュンヤ様はもっと上の段階の文明を作れるように思います。なぜ止めようとするのですか?」(エルザ)

「これ以上やると人口が増えすぎて、この星の寿命を縮めてしまいかねないんだよ」(ジュンヤ)

「師匠はまるで未来から来た人のようです」(マイア)

 まあそれに近いなと思いながら続けた。


「俺はすでにヤマト国での配当で一生困らないだけの金があるし、未来の奥さんも三人居る。のんびり暮らしても罰は当たらないだろう」(ジュンヤ)

「私達はどうなるのかしら?」(ノーラ)

「君達のしたいようにすればいいさ。でも一緒に居て欲しいかな」(ジュンヤ)

「本当に私達と居たいの?」(ノーラ)

「もちろんだよ。別れるのは寂しいよ。でも君達の方がはるかに長生きだから」(ジュンヤ)

 聖獣の寿命は分からないが地球と共に生きそうだ。

「心配しないで、少なくとも私は、アンタの子孫に嫌われるまで一緒にいるわ」(ノーラ)

「そうですね。もう、一人では生きられない」(アステル)

 レイコもボルクも頷いている。


「あのー、私達はどうなるのでしょうか」(エルザ)

「君達も好きにすればいい。もし、俺と一緒に居てくれるなら結婚しよう」(ジュンヤ)

「私も良いのですか?」(セシル)

「もちろんだ。神は俺が好きになる娘を眷属にしてくれたみたいだ」(ジュンヤ)

「ハルさん、マイアさん、良いのですか?」(エルザ)

「もちろん大丈夫よ。なぜかあなた達には嫉妬できないのよね」(ハル)

「そうだよ、一緒に居るのが当たり前のような気がするぞ」(マイア)


「でも、ゲイルは居るし、世界の王の事もあるし、このまま終わる気がしないのよね」(ハル)

「まあな、俺もそう思うんだけどな」(ジュンヤ)

次回海賊を退治してワ国に行きます。

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