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第五十一話 魔翅族襲来とボルク対シュタイン

魔翅族との戦闘が始まります。

 俺は鬼人国は今の王や大臣では助ける価値を感じない。しかしソウキが依頼してきたことでもあり、無下に放り投げもできないので悩んでいる。

 ユキ姫はと言うと線が細すぎて国を任せられないし、他に候補者はいないのかな。


 エルフ国 王城 王の間 ゲイル

 ジュンヤが悩んでいる頃、エルフ国の王城の玉座にはチャールズが言ったゲイルと言う男が座っていた。

 たった今偵察から帰ってきた魔翅族からの報告をゲイルが聞いていた。

「攻め込んでいた一万六千人の兵士も装備も輜重も何もかも一切合切、跡形もなく無くなっているんだ」(イワン)


「馬鹿な、誰がそんなことを」(ミハイル)

「分かりません。城に攻撃をしてみたんだが何の反応も無くて、取り敢えず報告しなくてはと戻ってきました」(イワン)


「そんなことが出来る奴はジュンヤ達以外に居るまいよ。天翔族やドラゴン族が来ていたら解るだろう」(ゲイル)


 玉座に居る男は人間だが他は玉座の周りに魔翅族が10人、下段にはエルフ族が20人ほどいた。


「ジュンヤと言えばガーランドでカーベネフ達を殺した男ですな」(ミハイル)

「そうだ、アーモデウスを使って潜入させたが、皇太子達を逃がしたことでジュンヤにバレた」(ゲイル)


「それでは偵察をしたことで我々がいることがバレたのでは?」(ミハイル)

「ジュンヤを舐めてはいけない。魔翅族がここにいること位お見通しさ」(ゲイル)

 まあ俺がここにいることは知らないだろうがな。


「それでは私達が全員で攻め込みましょう。ジュンヤ達を殺せばこの大陸はこの大陸は我らの物に」(ミハイル)

 馬鹿が、お前達で奴らに勝てるならとっくにやっておるわ。

「それでは天翔族にばれてしまうし、お前達も傷つくだろう。お前達を貸してくれた王に申し訳ない」(ゲイル)


「私達がジュンヤに怯えたなどと噂になれば、暗黒大陸に帰れなくなります。何卒出撃の許可を?」

 ここで魔翅族が滅びてくれた方があとくされが無くて良いか。もし勝てれば儲けもんだしな。

 負ければ俺はエルフ国を出ることになる。


「俺はお前達には付き合えんぞ。まだこちらでやることがある」(ゲイル)

「大丈夫です。前の情報では相手の戦える者は3人だったではないですか」(ミハイル)


「ミハイル、油断は駄目だ。カーベネフ達は一人も倒していない」(ゲイル)

「カーベネフ達は二等兵です。我々ははるかに強い」(ミハイル)


「そこまで言うなら笑って見送ろう。勝って帰って来てくれ」(ゲイル)

「吉報をお待ちください」(ミハイル)


 ああ、行ってしまった。

 まあ、勝てたとしても半分も残らんだろうな。俺の為に頑張れよ。

 負けたらどこに行くのが良いか考えるか。


 鬼人国 王城 俺

 何とかユキ姫の誤解(王がユキ姫を俺の嫁にやると言ったこと)を解き、弟を紹介して貰った。

 15歳だが立派な体格をした寡黙な少年だ。名前はカツキと言う。

「父を廃するというのか?」(カツキ)

「すまんが君の父を助ける気は無い。代わって王になる気はあるか」(ジュンヤ)


 少し考えておもむろに返答する。

「あなたが助けなければこの国が亡ぶと言うことだな?」(カツキ)

「魔翅族が攻めて来る。エルフ兵にも負ける君達では対応できない」(ジュンヤ)

「俺がどういう王になるか分からんだろう」(カツキ)

「それはユキ姫が保証しているのでそれを信じるしかない」(ジュンヤ)


 カツキは考え始めた。この子は慎重なんだな。

「すまんがあまり考えている時間はないぞ。多分すぐにも攻撃に来るだろう。二人や三人じゃないだろう」(ジュンヤ)


『師匠、魔翅族が10人そちらに向かいました』(マイア)

『分かった。捕虜に隠れるように指示して、急いで二人共戻ってくれ』(ジュンヤ)


 俺はカツキに今の念話の内容を伝えた。

「魔翅族が10人国境を越えたそうだ。後30分も掛からずにここに来る」(ジュンヤ)

「俺が決断しなければどうする?」(カツキ)

「どうもしない。逃げるだけだ。俺達だって命懸けなんだ。命を懸ける理由を見せてくれ」(ジュンヤ)


 カツキは難しい顔をして俺を見た。

「あなたが言うのは国民のための政治をしろって事ですよね」(カツキ)

「そうだ、俺が目指す世界には良質な労働力が必要だ。単純作業しかできない奴隷は要らない」(ジュンヤ)

 カツキは俺に戦わせるしか生き残る方策はない。始めから答えは一つしかないのだ。


「分かりました。出来うる限り、そのようにします」(カツキ)


 カツキは王の間に出向いた。父親に譲位を迫るためだ。俺達も後を追う。


 執務室に座る父親に向かいカツキは叫ぶ。

「父上、あなたはすぐに私に譲位してください。そうすればジュンヤ殿が六肢族と戦ってくれます」

「なぜわしが、ジュンヤ殿、そう言わず戦ってくれぬか。裏切者たちの事はあやまる。な」(王)

「もう、問答をしている暇はないのです。六肢族は国境を越えてこちらに向かっています」(カツキ)

「いやだ!!わしは止めんぞ」(王)


 カツキは周りにいる警備兵に言う。

「お前達!!父上を拘束して地下牢に入れろ。お前達も死にたく無かろう。逆らえば殺しても構わん」(カツキ)


 六肢族はおとぎ話に出てくるような恐ろしいモンスターと普通の人は認識している。

 自分達がそんなモンスターと戦える訳が無いので王を拘束しようとする。王も逆らったら殺せと言われて逆らえる訳もなく、大人しく地下に連行される。


「大臣よ、戴冠式は後でやるとして私が王に譲位を受けて王になったことを触れ回るが良い」(カツキ)

 大臣はすでに保身に走っていたので城中に触れをまわす。


「ジュンヤ殿、今できるのはこれぐらいだ。戦って貰えるか?」(カツキ)

「まあ、仕方あるまい。勝てるかどうかは解らんがやってみよう」(ジュンヤ)


 ガーランドに出た六肢族ぐらいなら、俺達で充分勝てるが、敵はそれが解っていて来るんだ。弱いことはあるまい。


 俺は城の外に全員を集める。くしくもこちらも十名。しかし戦いの訓練をしていない者も居る。どうする。

「あんた!聖獣は皆戦うよ。2度の聖魔力の注入で随分強くなったからね」(ノーラ)

「戦えと言って下さい。覚悟はできてます」(アステル)

「ジュンヤさんのいない世界に生き残っても空しいだけだよ」(レイコ)

「オイラ頑張る」(ボルク)


「私は当然戦います」(ハル)

「私も戦う」(マイア)


「レイコさんの言う通りね。だから私も戦うわ」(マリー)

「私は人質を冷酷に殺したあいつらが許せません。戦わせてください」(エルザ)

「エルザさんの言う通りです。だから私も戦います」(セシル)


「ありがとう。でも死なないでくれ。飛ぶ速度は俺達の方が速いはずだ。危ないと思ったら逃げてくれ」(ジュンヤ)


 俺達はエルフ国側の城壁の上に横一列に並び、魔翅族を迎え撃つために飛び上がった。

 城の近くだと流れ弾が、城を破壊するかも知れないから少し離れる。


 ちょうど飛んできた魔翅族と出くわした。

 1km位離れて対峙した。魔翅族の中央の一人が前に出て来たので、他を抑えて俺が前に出る。


 相手の顔が確認できるくらいに接近する。

「俺は魔翅族のミハイル、この分隊の指揮官だ。お前はジュンヤか?」(ミハイル)

「そうだ、お前達はこの大陸の戦争に関係ないだろう。引いてくれないか」(ジュンヤ)


「そうもいかん、俺達は傭兵として雇われているのでな」(ミハイル)

「誰が雇っているかは言わないだろうな」(ジュンヤ)

「そうだな。それは言えん。ところで景気よく殺したが主旨替えか?」(ミハイル)

「人質取るような卑怯な奴に掛ける情けは無い」(ジュンヤ)

 俺は一万六千人の兵を殺したことには自責の念はあるが、この大陸を平和に導くことで許して貰おうと思っている。


「それで、チーム戦か個人戦か?」(ジュンヤ)

「我々は人と組むことはしない個人戦となるが、一組ずつ順番にやろう。戦いを見たい。それで生き残ったものがまたやって最後に残った方が勝ちだな」(ミハイル)

「分かった、ではこの並びのまま個人戦だ」(ジュンヤ)

 どうせこちらも連携の訓練はしていない。個人で戦う方が良いだろう。


 俺達が列に戻ったところで、空中にて個人戦が始まる。


 一番左端のボルクが中央に向かって進みだした。

 向かいに来た相手のシュタインが叫ぶ。

「行くぞ」(シュタイン)

 手から赤く細い光線が発射される。


 ボルクの腹から胸にビームが当たるがボルクは何も感じてない様だ。

 火の聖獣であるボルクに熱光線や火炎は無効化される。


「ファイアーレイン!!」(ボルク)

 ボルクが唱えると火の雨がシュタインに降り注ぐ。


 魔力障壁で防ぐシュタイン。

「こいつは近接武器を持っていない接近戦が苦手か?」(シュタイン)

 火の雨を抜け出したシュタインは剣を抜くと最高速度でボルクに接近する。


 ボルクは慌てない。

「ファイアーウォール!!」(ボルク)

 ボルクの前に火の壁が出来る。骨をも燃やしてしまいそうな火勢にシュタインもうかつに飛び込めない。


 火の壁の手前で止まったシュタインは両手を真っ直ぐ伸ばして叫ぶ。

気功弾プレッシャーカノン!!」

 火の壁にバレーボール大の穴がいくつか空く。


 気功弾がいくつかボルクに命中する。吹っ飛ばされるボルク。その後を追うシュタイン。

 ボルクは上に跳びあがり、シュタインを引き離す。やはり、飛ぶ速度は俺達の方が速いみたいだ。


「痛ってえ」(ボルク)

「おいおい、気功弾が何発か当たったのに痛いで終わりかよ」(シュタイン)

 シュタインは驚くより呆れている。

 人間だったらバラバラになっていたかも、それ位の威力はあった。

 聖獣達の強さは、俺も見たことが無いので解らない。


「オイラを怒らせたな。炎刃ファイアースラッシュ!!」

 ボルクが閉じたチョキの手の先に炎を灯すと手をX字に振る。

 炎の刃がX字型にすごい速度でシュタインい向かって飛んで行く。シュタインは避け損ねて左の肉羽を半ば切り取られる。


 第二段、第三段と炎刃が飛んでくる。たまらず魔力障壁を張るシュタイン。

「エッ、エッ」(シュタイン)

 魔力障壁が斬られる。その度に魔力障壁を張るが間に合わない。

 腕が斬られ、足が斬られ、ついには胴が上下に分かれる。そのまま地面に落ちて行った。


「炎刃は上級精霊魔法だから魔力障壁では止められないわ」(ノーラ)

 俺の隣にいるノーラがそう呟いた。精霊魔法にも上級があるんだね。


 俺はボルクの所に行った。

「大丈夫か」(ジュンヤ)

「うん、ファイアーウォールの裏で魔力障壁を張っていたんだ」(ボルク)

「それで無事だったのか。心配したぞ」(ジュンヤ)

「うーん、無くても平気だったかも」(ボルク)

 ボルクはニコニコ笑っている。聖獣ってこんなに強いんだ。


「おい、次を始めるぞ!」(ミハイル)

「分かった!」(ジュンヤ)

 レイコはもうここまで来ていた。

「無理はするなよ」(ジュンヤ)

「大丈夫よ」(レイコ)

 レイコは右腕をグルングルンと回す。

次回も戦闘回です。

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