第四十三話 マイアの家族とドラゴンの襲撃
ドラゴンが攻めてきます。
マイアとハルがマイアの家に行った。
ハルが昔、ハルの父とマイアの父が一緒に行動していたことを告げた。
獣人国 王都 マイアの家 居間 マイア
「君がガングの娘だというのか?そう言えば面影があるような気もするが・・・ああすまない、マイアの父でヴォルフと言う。まあ座ってくれ」(ヴォルフ)
私達が座ると父の隣に座っていた母がハルに挨拶した。
「母のサラです」
続いて兄弟が挨拶する。
「王城で会ったな。長男のロジャーだ」
「次男のハーマンです」
「ハルとの話は後でして貰うとして、まずは父上預かっていたこの剣をお返しします」(マイア)
私はこの間まで使っていた剣を父に渡した。
「もういいのか?俺はお前にやったと思っているのだぞ」(ヴォルフ)
「はい、実は父上の剣を打ったデジレ師が、今ヤマト国に居まして新しく私の剣を打って頂いたのです」(マイア)
父は身を乗り出して私に手を伸ばした。
「見せてくれ、早く」(ヴォルフ)
私は新しい剣を父に渡した。父は早速鞘から剣を抜くと穴のあくほど見入った。
「うーむ、デジレさんはかなり腕を上げたな。見事だ」(ヴォルフ)
「私にも見せてください」(ロジャー)
長兄と次兄も私の剣をと父の剣を見比べながらため息を吐く。
「素晴らしいな。俺も打って貰おうかな。いくら掛った?」(ロジャー)
私が払った値段を言う。
「無理だ・・おまえそんなに給料貰ってるのか?」(ハーマン)
「らしいよ。預かって貰ってるから良く分からないんだけど」(マイア)
「普段どんな仕事してるんだ」(ロジャー)
「一応ヤマト国の近衛隊長です。肩書だけで実務は無いんですけどね。護衛や魔獣狩り、戦争の助っ人かな。そんなに忙しくはないけど、六肢族と戦った時には死にかけ・・・」(マイア)
肩を叩かれ横を向くとハルが口に指を当ててる。あ、しまったガーランドの事は秘密か。
「ごめんなさい。六肢族の事は秘密でした」(マイア)
家族そろってやれやれという仕草をする。私はまだ一人前にみられてない様だ。
私はギズモニアとの戦争の事、ハイオークとの戦いの事などを面白おかしく話した。
「父上、汽車が王都まで伸びたら遊びに来てください。デジレさんとダナンさんも言ってましたよ」(マイア)
「ダナンもヤマト国に居るのか。なつかしいなあ。ガングはどうしているんだ」(ヴォルフ)
「父は6年前に亡くなりました」(ハル)
「そうか、すまない。私の事はデジレさんに聞いたのか」(ヴォルフ)
「いいえ大丈夫です。デジレさんは父とヴォルフさんがピョートルに来た時のことを詳しく話してくれました」(ハル)
「そうか、いい機会だ。私の若い頃のことを話そう」
三十数年前 私はこの家の三男坊だった。成人した私はめぼしい養子先も無く、仕事も無かったので魔獣狩りの仕事をすることにした。
魔獣被害の多いジニアに行って仕事を始めた。そこで同じ仕事をしているガングと仲良くなって二人で魔獣狩りをするようになった。
二人で仕事をするようになると効率よく魔獣を狩れるようになり、お金が少々溜まると憧れてたオーダーメイドの剣が欲しくなった。そこでブロガリアに二人で行くことにした。
え、アルミアを通って行ったぞ。獣人差別か?多少はあったが聖都見物もしたぞ」
すると獣人差別はさいきんのことなのかな。
「ブロガリアのピョートルで一番有名だったデジレさんの師匠の店に行って、注文しようとしたらマイアが言ったような金額を言われて途方に暮れたよ。二人合わせてようやく一人分の金しかもっていなかったからな。
そうしたらデジレさんがオーダーメイドは初めてだから、その金額でやってやるって言われて飛び上がって喜んだよ。
何でって店の量産品を見てデジレさんの作品は、他の店の品物より格段に良かったからだよ。
金が無いからデジレさんの家に泊めて貰って、その縁でデジレさんお子供のダナンとも仲良くなった。
剣を打って貰ってからも暫くガングと一緒にジニアで魔獣狩りをしていたが、ギズモニアが王都に奇襲を掛けた時に迎え撃った父親と長男、そして王都を防衛していた次男が戦死した。
俺はガングと別れて、王都に帰って家を継いで結婚した。
俺にとってガングと過ごした数年は限りなく純粋で苛烈な青春そのものだ。
マイア、お前も良い青春を送っているようだ。父としてこんなに嬉しい事は無い」(ヴォルフ)
「父上はそれがあったので、私に剣を渡して外に出してくれたのですね」(マイア)
「そうだ。お前は一番俺に似ている。変な男と結婚させるより幸福な青春が送れると信じていた。まさか、俺の親友の娘と出会うなんてな。ガングの導きかも知れん」(ヴォルフ)
昼からも青春時代のガングの話やジュンヤ・ハルとの出会い、兄たちの近況などの話をした。
そして夕食後。
「ここからの話はあなた方にとっては滑稽無答な話に聞こえるかもしれません。でも本当の話です」(マイア)
「なんだ、もうお前達のやってることが我々にとって無茶苦茶だと言うことは分かっているぞ」(ロジャー)
「茶化さないでください。別に秘密の話では無いですが、人に言っても信じて貰えないと思います」(マイア)
静まり返った家族に向かってマイアは話し始めた。
「私とハルともう一人の女性マリーは、来年ジュンヤ様と結婚することとなりました。
そしてジュンヤ様の正体ですが”世界の王”です。
そうです。聖書の最終章に出てくるあれです。
そして私達は王の眷属として力を与えられました。
普通の人間にしたらふざけた力です。恐らくあなた方が想像もできない力です。
でも心配しないでください。ジュンヤ様の望む世界は自由で、差別が無く、豊かで、誰もが才能の発揮できる世界です。
どうかあなた方が最後まで私とジュンヤ様を信じて頂くようにお願いします」(マイア)
「うん、にわかには信じられん話だな。というか実感が無いがお前のことは信じているぞ」(ヴォルフ)
「結婚は本当なのよね。相手の方が世界の王なんて私達はどうすれば良いのかしら」(サラ)
「確かに人には話せんな。ということはあの時よりも強くなっているのか」(ロジャー)
「だから結婚の話だけの方が良いって言ったのに」(ハル)
「しかし、家族に嘘を言うのは嫌だからな」(マイア)
その日は泊めて貰って、翌朝ゆっくり帰ることにした。
次の朝、私達は朝食の後ゆっくりと寛いでいた。長兄と次兄は仕事に行ったのでもういない。
「さあ、そろそろ帰りましょうか」(ハル)
「そうだな、両親に挨拶してくるか」(マイア)
その時街が悲鳴に包まれる。
「何かあったみたいだ。行ってみよう」(マイア)
それは遠くからでも見えた。巨大なドラゴンが飛んでいる。全長50mはあるだろう。
身体の割に小さい翼、やはり魔法で飛んでいるのか。頭の角は不格好に小さい。
ドラゴンは大きく息を吸い込んだ。
「ブレスだ!!止めてくる。電光石火!!」
私の体が光り輝きと超加速をする。次の瞬間ドラゴンの口の前に居た。
「GUGOOOOOOO!!!!!」
ドラゴンは炎のブレスを吐く。
「魔力障壁!!」
マイアはブレスを止めた。
「おのれ!!人間風情が生意気な!!」(ドラゴン)
「あれ、こいつ喋れるんだ」(ハル)
「話せるなら! ・・なぜこんな乱暴をする?」(マイア)
「俺がなぜあんな小さな島に居なければならないのだ。俺がこの大陸に住んでやる」(ドラゴン)
ドラゴン族は獣人国の南にある、結構大きな島に生息して、人間とは不干渉と取り決められているが、たまにその取り決めを破るドラゴンが現れる。
そうなると今までは南の島からドラゴンの討伐隊が来るまで好き勝手されるのが定番だ。
「君、おとなしく帰らないと殺さなくなるけど良い?」(ハル)
「うるさい!!虫けらの癖に文句を言うな!!」(ドラゴン)
「マイアさん、やっちゃって」(ハル)
「分かった。行くわよ・・・・・」(マイア)
魔力が私に集中して光り輝く。
「雷!!!」
グワン!!ガラガラ!!ガッシャーン!!
ドラゴン目掛けて雷が落ちる。
ドラゴンからは煙が立ち上るが対してダメージが見られない。
『マイアちゃん相手が地面に居ないと雷の電気は表層を伝わるだけで、中に電気が流れないんだよ』(ライトニング)
「ハル、駄目だ。地面に居ないとイカヅチが効かない」(マイア)
体の表面にひび割れのような焼け焦げを作ったドラゴンが怒り狂う。
「お前ら、よくも俺の体に傷をつけたな!!引き裂いて殺してやる!!」(ドラゴン)
私を前足を振って攻撃してきた。私の身長に匹敵する大きさの爪が目前を通過する。
「私にそんなトロイ攻撃が当たるか!!」(マイア)
前足をブンブン振り回しているドラゴンを見てハルがため息を吐いた。
『街中にこんなでかい奴落とせないし。マイアさん王都の外へ誘導して』(ハル)
ドラゴンに聞かれないようにマイアに念話で指示をする。
『了解』(マイア)
私ははドラゴンの前足が当たりそうな距離を保ちつつ、王都の外へと誘導する。
「すばしっこい奴め。これでどうだ」(ドラゴン)
誘導されているとは知らずノコノコと着いてくる。あまり頭は良くないようだ。
「そろそろ行きますか」(ハル)
背中の羽根の付け根を斬る。斬られた羽根は霧散する。
ドラゴンは「ウワー」とか叫びながら王都の外へ落ちていく。六肢族みたいに羽無しでは飛べないみたいだ。
「マイアさんどうしますか?」(ハル)
「流石に首を落とせば死ぬだろう」(マイア)
落ちて唸り声をあげて蹲っているドラゴンはハッと顔を上げた。
「ごめんなさい。もうしませんから許して下さい。殺さないで下さい」(ドラゴン)
呆れた私達ははドラゴンに話しかける。
「お前は人間を殺そうとしていたのだ。許すわけにはいかん」(マイア)
「殺す気は無かったんです。怖がって逃げ出すのが面白くって」(ドラゴン)
「そんな子供じみた言い訳が通ると思っているのか」(マイア)
「だって僕、子供だもん」(ドラゴン)
「「え、ええー」」(二人)
ドラゴンのサイズがどんどん小さくなる。最後に十歳くらいの人間の男の子の姿になる。
「ほらね」(ドラゴン)
「ドラゴンって精霊種だったんですね」(ハル)
「そう言うことか!いやあビックリしたぞ」(マイア)
「許してくれる?」(ドラゴン)
「仕方ない。二度とやるんじゃないぞ」(マイア)
「はい」(ドラゴン)
「そうこう言ってるうちに迎えが来たようですよ」(ハル)
南の方に2つの点が見える。みるみる大きくなってドラゴンの姿になる。
ドラゴンの子供が手を振っていると飛んできたドラゴンも小さくなり人間の若い男女の姿になった。
私達の前に男女が着陸した。
「私はドラゴン族のバルトという。これはどういうことか説明して貰えるか?」(バルト)
ハルがドラゴンが襲って来たから対処した話をすると男が驚いた。
「君達は子供とは言え、ドラゴンに一方的に勝ったと言うことか?」(バルト)
「この女たちから精霊の魔力を感じる。普通の人間じゃない」(ドラゴンの女)
「フッフッフッ、私達は世界の王の眷属だからな」(マイア)
私は鼻高々に言ってやった。ハルが肘でつんつんしてくる。何かまずかったのか?
「何、お前達が!!お前達の王は何処にいる?!誰だ!」(バルト)
「それは・・・」(マイア)
私が話そうとするとまた肘でつんつんとされた。
「それは言えません。あなた方がどういう存在か分からないと話せるかどうか判断できません」(ハル)
「それもそうだな。今日はありがとう。この子を殺さないでくれて。これで帰ることにする。そうかここにも世界の王が居るのだな」(バルト)
「他にも世界の王がいるのですか?」(ハル)
「おっと余計なことを言ったみたいだ。さらばだ」(バルト)
子供を抱えた二人は南の空に帰って行った。
次回勇者がヤマト国に来ます。




