第三十四話 決戦六肢族とジュンヤの決意
ジュンヤ、ハル、マイアが六肢族と戦います。
六肢族が皇帝を操ってガーランドに戦争を起こさせようとしている。その証言を掴んだジュンヤ達は皇女の依頼を果たすため六肢族に戦いを挑むのだ。
「でかい魔力が二つ空から近付いてくるぞ!」(ジェベイエフ)
「敵か!!」(カーべネフ)
「敵以外無いでしょ!ここに味方は居ないわ」(フバーリエ)
「ここじゃ不利だ。外で迎え撃つぞ!」(カーべネフ)
3人の六肢族が外に向いて走る。
ジェベイエフ、カーベネフが蝙蝠の羽を広げ、飛び上がり、フバーリアが飛び上がろうと羽を広げた瞬間、ハルが後ろから斬りかかる。
直感で捻って避けるフバーリエだが左の羽を斬り落とされる。
「どこに隠れていたんだい」(フバーリエ)
「あなたの後ろにずっと居たわよ。一人になるのを待ってた」(ハル)
「これだけ暗いと人間には見えないでしょ。死になさい」(フバーリエ)
剣を引き抜いて斬りかかるフバーリエ、スッとハルが余裕で除け、右の剣で胴を払う。
ギンッ!!金属音がして剣が跳ね返される。
「魔力障壁!!」(ハル)
「良く知ってるわね。これを張ったら私に物理攻撃は効かないわよ。
それにしても・・あんた猫獣人か!どおりで夜目が利くはずだ」(フバーリエ)
「くらいな!!熱貫光束」(フバーリエ)
フバーリエの指先から赤い光が迸る。赤い光はハルの胸を貫く。
「あっけないねえ・・・・なに!!」(フバーリエ)
貫いたはずのハルは消えてしまった。影分身だ
「ライフル!!」(ハル)
フバーリエの後ろでバンという音がすると背中に穴が空く。
「グッ、これくらいで私を・・」(フバーリエ)
バンッ、バンッとフーバリエが振り返って、話し終える前にハルはライフルを発射する。
今度は胸に穴が空く。
フバーリエはそれでも倒れずに飛び上がる。
その頃、ジュンヤ達は六肢族と空中で対面していた。
ジュンヤ達は闇精霊が覚醒した影響で、ハルほどではないが夜目が利くようになっていた。
ジェベイエフは飛んできた勢いのままマイアに斬りかかる。
「魔刃光斬撃!!」(ジェベイエフ)
赤い光の尾を引いた斬撃がマイアを襲う。ハルの戦闘を念話で知っているので、剣に魔力を通しているから剣は折れないものの圧力が凄くて止めるだけできつい。
マイアは空中での戦闘経験はほとんどない。地面を蹴れないだけでこんなに感覚が違うとは。
しかも相手は2mの巨漢、ぶつかるだけで飛ばされてしまう。
一方的に攻め立てられるマイア、何とか反撃のチャンスを・・・。
『マイア、スピードと回数で攻めろ』(ジュンヤ)
「そうか馬鹿正直に受けなくてもいい」(マイア)
ジェベイエフの突進を一度避けると間合いが出来、余裕が生まれる。
私は軽いのだから相手と同じ土俵で戦っちゃ駄目なんだ。
相手の突撃が避けられない時は後ろに飛んで、衝撃を逃がしてすぐに攻撃を加える。
一方的な戦いが一進一退の攻防に変化してきた。
「おのれ!!ちまちまと逃げおって正面で戦え」(ジェベイエフ)
ジェベイエフは近付いてきたマイアに魔力弾を撃つ。マイアは避けながら頭に一撃を見舞う。
何とか剣で払うジェベイエフ。もうマイアの方が有利に戦えるようになってきた。
「エアグレネード!!」(ジュンヤ)
カーベネフが吹っ飛ぶ。
「くっそー!!お前は誰だ?」(カーべネフ)
「俺か、ヤマト国主席のジュンヤだ。覚えとけ!お前は誰だ」(ジュンヤ)
「俺は魔翅国、カーベネフ。お前がそうか」(カーべネフ)
その時カーベネフの後ろに女形の六肢族が現れた。
「カーベネフ!!リミッターを解除して!!」(フバーリエ)
片羽のない傷だらけの六肢族はそれでも平然と空を飛んでる。やはり魔力で飛んでいるんだ。
その後ろにハルが現れる。フバーリエはさらに焦る。
「早く、リミッターを!!」(フバーリエ)
「リミッター解除!!」(カーベネフ)
六肢族たちが光り輝き、エネルギーが迸る。
マイアは焦っていた。
いきなり光ったと思ったらジェベイエフのスピードが上がった。
今まで余裕のあった突撃に対していきなりギリギリになった。
今も受けに失敗してはね飛ばされる。
「どうなってるんだ。実力を隠していたと言うことか」(マイア)
更に上空ではハルが戦っている。のんびり観戦している暇は無いがハルの事だ、これくらいであわてたりしない。私だって負けはしないぞ。
「ファイアマッスル!!」(マイア)
数秒間、身体能力を3倍に引き上げる魔法だ。
マイアは敵の攻撃を避けながら最大の速度で、体ごとジェベイエフに突き刺さる。心臓は外れたが胸を突き通した。
「私の勝ちだ」(マイア)
「クハハハ、今の俺にそんなものが効くか」(ジェベイエフ)
ジェベイエフは右腕でマイアを引き剝がし、横に剣を払う。
相手の体を蹴ることでかろうじて避ける。
ジェベイエフの傷は見る見るうちに塞がっていく。
離れ際にマイアはピストルを放つが傷もつかずに弾丸が弾き飛ばされる。
ジェベイエフはピストルをものともせずに突っ込んでくる。
魔法はすでに切れている。
マイアは避け切れずにまともに受けてしまう。
鍔迫り合いのまま、地面目掛けて真っ逆さまに落ちていく。
「お前は割と面白かったが、もう終わりだ」(ジェベイエフ)
目いっぱい抵抗しているが速度が落ちない。地面は刻々と近付いてくる。
「くそっ、これまでなのか!いや、諦めるものか。
マケルモノカアアアアアァ!!!」
マイアは力を振り絞り叫んだ。
あと地上数mでマイアの体が光り出す。
ジェベイエフの目の前からマイアが消え、そのまま地面に激突する。
「マイアちゃん、遅いよ。ようやくだよ」(?)
頭の中で声がする。念話とは感じが違う。外からじゃなく内から聞える。
「あなたは誰?」(マイア)
「マイアちゃんの中で眠ってた精霊だよ」(?精霊)
「え、何の精・・」(マイア)
地面に空いた大きな穴からジェベイエフが立ち上がる。
「君にはまだ僕は使えないから僕がやっつけちゃうね」(?精霊)
「何が起こったのだ。流石にこの傷はおいそれとは治らんか」(ジェベイエフ)
体中傷だらけの男の前にマイアが立つ。
「どこから現れた?」(ジェベイエフ)
「もう、いいって。さよなら」(?精霊)
唐竹割に斬り付けると敵の体は二つに割れる。
リミッターを解除したフバーリエは、斬られた羽やライフルで撃たれた傷も再生し、身体能力も上がったがハルを捕え切れずにいた。
「ちょこまかとうっとうしい奴だねえ。どうせ勝てないんだから潔くしなよ」(フバーリエ)
赤いビームがハルを貫通するがハルは消えてしまう。
「また分身、本物は何処だ」
「鬼ごっこも飽きました。そろそろ勝負を決めます」(ハル)
後から聞えた声に向かってビームを放つフバーリエ。しかしそこには何もない。
フバーリエの後から手が伸び、顎の下に剣が当たる。
「実態を見せずに忍び寄る黒い影、それが私です」(ハル)
「魔力障壁があ・・・」(フバーリエ)
逃げようとしたフバーリエの首が落ちる。
「魔力をまとわせた剣なら魔力障壁を破れます。ああ、もう聞えませんね」(ハル)
「もういい加減降参したらどうだ。お前の味方は居なくなったぞ」(ジュンヤ)
「チクショウ!!こんな奴が居るなんて聞いてないぞ」(カーベネフ)
「お前には聞きたいことがいっぱいあるんだ」(ジュンヤ)
「やってられっかよう!!」(カーベネフ)
カーベネフはクルっと回ると全速力で逃げ始めた。
100mも飛ばないうちにジュンヤに回り込まれた。
「リミッターを外した俺より速いなんて。・・・やはり皇太子達に聞いたのか?」(カーベネフ)
「そう言う事。ところで君を殺せば催眠は解けるのかな?」(ジュンヤ)
「知るか!!」(カーベネフ)
「あれ、俺は答えたのに卑怯だな」(ジュンヤ)
「殺さなくても距離が離れたら解ける」(カーベネフ)
カーベネフは両手を前に突き出した。
「精神操作!!」
『マインドコントロールを妨害しましました』(アイ)
成程、アイさんが精神攻撃は止めてくれるんだ。
「届かない!なぜだ?!!」(カーベネフ)
「企業秘密と言う奴だ」(ジュンヤ)
「キギョウヒミツ何だそれ?」(カーベネフ)
企業って言葉が無いのか。
「俺の負けだ。だがお前には何も教えてやらん!!」
カーベネフは剣を自分の心臓に突きたてた。彼は錐もみ状態で墜落していった。
俺は六肢族の死体を集め次元収納に入れた。
「良し、皇帝の精神操作が解除されたか確認に行くぞ」(ジュンヤ)
俺の元に集まって来たハルとマイアを連れ、再び帝城に向かう。
皇帝は執務室に居たが気を失っていた。
「皇帝陛下、起きてください」(ジュンヤ)
「うむ、・・君達は誰だ?」(皇帝)
俺はこれまでの事を説明した。
「記憶にある。私は六肢族に操られていたのか。世話になったな。ありがとう」
「問題は貴方及びガーランド帝国が西大陸に野望を持っているかどうかです」(ジュンヤ)
「少しも無いと言ったらうそになるな。野望を持っていたらどうするんだ?」(皇帝)
「死んでいただきます」(ジュンヤ)
「君はなぜ戦争を嫌う。情け深いのかそれとも臆病なのか?」(皇帝)
「そう、俺は戦争は嫌いです。今俺は産業革命を進めている。だが、やろうとしてもいつも人手不足だ。それなのにあなた達は平気で万人単位で人を殺す。こんなことが許せると思いますか?」(ジュンヤ)
人手不足は師匠が次々に新しい事をさせるからだ。とは思っていても言わないマイアであった。
「戦争とは外交の一つの手段にすぎん。しかし有効な手段だ」(皇帝)
「戦争で死ぬ人にも才能がある。俺の所へ来ればその才能を磨き上げ、才能がすり減って無くなるまで使ってやるのにと思ってしまいます」(ジュンヤ)
「君はあれだな、政治家にはとことん向いてないな」(皇帝)
「向いてなければ政治形態を俺に合わせればいい」(ジュンヤ)
「ハハハ、ジュンヤ殿、わしは君が気に入った。西大陸には手を出さない。約束しよう。質としてエルザベートとオスカーは君の元に預けておく。それでいいだろう」(皇帝)
「まあ、本人たちが了承すれば3年は預かります。3年も経てばあなたの国はヤマト国が無いと成り立たないと思い知るだろう」(ジュンヤ)
一応証書を書いて貰って西大陸の元首たちに見せよう。
「ハル、マイア帰るぞ」(ジュンヤ)
俺達は拠点で一夜を過ごし、翌日ソルトレイクに戻った。
俺は3人娘と聖獣達を集めた。
昨日ガーランドであった事件について説明した。
「俺はガーランドの皇帝に3年間でガーランド以上になると約束した。君達も協力してくれ」(ジュンヤ)
「それからマイアの精霊が覚醒したみたいだ」(ジュンヤ)
マイアが俯いて元気がない。
「それがずっと話し掛けているんですけど返事が無くって」(マイア)
結局正体はまだ分からないみたいだ。
その後俺は迎賓館に行ってエルザ達と会って皇帝との話をした。
「それでは私とオスカーは3年間ここにいるのですか?」(エルザ)
「それは君達が望むならばだ。無理強いはしない」(ジュンヤ)
「私は見ての通り獣人とのハーフです。政略結婚にも使えませんし、母も亡くなってますから出来ればここに居たいと思います」(エルザ)
「姉上がここにいるのなら僕もここにいる」(オスカー)
おお、オスカーの声を初めて聴いた。
「私はお二人が残るのであれば残りたいのですが」(シルビィ)
ということで3人はここに残ることになった。護衛の二人はどうするか本国に帰って一度相談したいと言うことだった。
次回は聖魔力を貰いにギズモニアの聖女を訪ねるとそこには?




