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第三十一話 殴り込みとガスパールの野望

ギズモニアの裏切りを裁きます。

 国外追放になったギズモニアのチャールズさんをヤマト国に取り込んだジュンヤは移民を迎えることに、一方ドワーフたちは機関車の軸受けを完成させ試運転を準備する。


 町の見学が終わったチャールズさんに魔法を一通り教える。特に飛行魔法はすぐに使うので念入りに教えた。

「じゃあ食料と水を次元収納に入れて、明日朝出発して渡河地点に置いてあるだろう船も次元収納に入れて領地に戻ってくれ。移民の準備が出来たら念話で連絡してくれ」(ジュンヤ)


 暗くなってきたので夕食を食べ、風呂に一緒に入る。

 この世界では王侯貴族でも風呂に入るという風習は無く、湯で体を拭くぐらいしかしない。

 一緒に入るのは使い方を説明するためだ。

「これはさっぱりして良いですな」(チャールズ)


 その後、移民の仕事について語り合う。

 移民の仕事は隷属すれば各々才能に有った業務をして貰うが、隷属しない場合には北の開拓地サッポロで農業をして貰うが会社制で土地家屋は会社が所有、作物が売れた金を給料として支給する。

 会社である以上売り上げに貢献できないものは減給、職を失うなどのペナルティがある。移民の人数が多ければ生活は苦しくなるかも。


「食料は給料がもらえるまでの一か月間だけ支給、後は自分で買ってもらう。と言うところですかね」

(ジュンヤ)

「隷属しないと厳しいですね。でもギズモニアに比べれば良いか」(チャールズ)


「元々ヤマト国は真面目に働く気はあるけど、虐げられてきた人たちの為に造った国なので、今は俺に隷属させてますが、将来的に永遠に隷属させられる対象は無いかと考えています」(ジュンヤ)


「あなたの国じゃなくなるのですか?こんなに貢献しているのに」(チャールズ)

「俺も獣人国みたいに老害になるかも知れないし、俺の子供達がまともだとは限らないじゃないですか」(ジュンヤ)


 獣人国ではリチャードの兄が王だったが、脳に障害が出来て正常な判断が出来なくなり、美妃たちに騙されて国を傾けた。


 チャールズは自分がここで、ガーランドに対する話し合いに来ている間に佞臣が新国王を誑かして、その後、国外追放の憂き目にあった。

 狭量な前王であったがこのような間違いは起こさなかった。子供に期待できないと言われればそうですかとしか言えない。


「話は変わりますが通信要員は使えますか」(ジュンヤ)

「分かりかねます。戻ってすぐに追い出されたので」(チャールズ)

「対ガーランドの内容を確認しておく必要がありますよね」(ジュンヤ)

「そうですね。一応念は押して来たのですが、裏切られて挟み撃ちになると困りますね」(チャールズ)


 念話で通信要員を呼び出してみたが、すでに王に連絡できる位置におらず、役に立たないそうだ。


「これは敵対行為と見ていいな!佞臣の名前は」(ジュンヤ)

「ガスパールと言いますが。どうされるおつもりで」(チャールズ)


「敵は殺すよ。こんなことで戦争に巻き込まれて、罪なき人々が死ぬのは許さない」(ジュンヤ)


「ハル殿の出番ですか?それなら王城の見取り図を・・」(チャールズ)

「必要ないよ。俺が直接行く」(ジュンヤ)


 必要なことを打ち合わせして家に戻る。

 案の定、食堂兼居間に入るなりノーラが突っかかって来た。

「あんたアルミアの女と念話したでしょう!!直接は駄目って言ったじゃない」(ノーラ)


「そんなことを言ってる場合じゃない!!明日俺はギズモニアに行く」(ジュンヤ)

 言い訳するより言い包めた方が被害が少ない。


「チャールズさんと関係があるのでしょうか」(ハル)

 ハルのメイドとしての就業時間は終わってるので、迎賓館は他のメイドが働いている。


「ああ、チャールズさんを追いだした奴が通信要員を王から遠ざけた。これは敵対行為だ。報復する」(ジュンヤ)

 一気に皆の顔色が変わる。


「誰ですか?!私がやります」(ハル)

「ハルずるい!!」(マイア)


「今回は正々堂々と正義を表すから暗殺は無しだ。明日朝、ギズモニアに行って王城の門から入る」(ジュンヤ)


「では、私達も行きます」(マイア)

「連れて行って下さい」(ハル)


「私も行きます。バリアも張れますし、アイさんと同化して広い範囲の探索が出来るようになりました」(マリー)


 ええ、とみんな驚いた。アイさんと同化ってどうなってるの。

「アイさんの能力と自分の魔法で障害物を無視して半径100m位なら大体の物は探せます」(マリー)


「私達も連れてってくれるの」(ノーラ)

 ちょっと強めに言い返したので落ち込んでいるみたいだ。声が小さい。


「ああ、もちろんだ」(ジュンヤ)

「そうよね、私がそばに居てあげないと可愛そうだわ」(ノーラ)

 すぐに復活しちゃった。



 次の日の朝、俺達とチャールズさんはギズモニアに向けて飛び立った。

 慣れた俺達に比べてチャールズさんは遅いので先に行く。どうせチャールズさんは支流の方に船を回収しに行くから別行動だ。


 3時間ほどでターレスの王城に着く。俺達はいかにも軍服ですと言う格好だ。俺の服には飾緒やら勲章やらが所狭しと着けられている。


 王城の門は開かれていた。門番にアステルが言う。

「こちらは西大陸連合軍総司令官ジュンヤ様だ。王に用がある連絡せよ。10分以上待たせるようなら勝手に押し通るぞ」(アステル)


 門番の一人が詰め所に駆け込んで行った。上司らしい男が出て来て挨拶する。

「あの、そのような予定は聞いておりませんが、何かのお間違いでは」(門番上司)

 一応敬語だがこちらを少しも信じていない様だ。


「無礼者!!総司令官様をいつまで立たせて置くつもりだ。お前達が連絡の手段を断ったのでわざわざ来てやったのだ。お前達も敵対するなら滅却するぞ」(アステル)


「はは、こちらにどうぞ」(門番上司)

 詰所の待合室に案内しようとするのでアステルが怒り出す。

「こんな汚い場所に総司令官様を案内するつもりか?首を出せ!!撥ねてやる」(アステル)


「待ちなさい!この者は総司令官様を知らないようです。説明してあげようではないですか」(マリー)


「つい先ごろヤマト国、旧名精霊の里ジニアでの会談で、アルミア、獣人国、そしてギズモニアのチャールズ殿によって対ガーランド戦に置いて、ジュンヤ様を総司令官にすることが決定したのですが、ギズモニアだけ連絡が途絶えてしまいました。この事を憂いて総司令官様自ら糾弾に参ったのです。あなたはすぐ上にこの事を伝えて王と総司令官様との会談を準備する必要があります。分かりましたか?」(マリー)


 マリーの説明に自分では対処できないと悟った上司はさらに上司に掛け合うため城に入ろうとした。

「待ちなさい。こんなところで待たされるのは真っ平です。私達もついて行きます」(マリー)

 上司はもう無理だと思った。この上は自分の上司に判断を委ねてしまおうと思った。


 上司の部屋に入った門番の上司はさっきのマリーの言葉を復唱して”お願いします”と言って去って行った。

 上司の上司も流石に判断できない。優しそうな女性マリーの後ろから凄まじい殺気ハル・マイアを感じる。


 取敢えず、城内の事務所に使いを出し、応接室の使用許可を取る。そして部下に応接室に案内させ、自身はガスパールに連絡する。


「ふん、馬鹿が!!殺して首をガーランドに持って行けば金になる。ふふふ、ははははは!!」(ガスパール)

「その後、王を殺して俺がギズモニアの王になるか。笑いが止まらないわ」(ガスパール)

 とんでもない食わせ者であるが後ろに少女が立っていることは誰も知らないというか分からない。


「王を呼べ!!総司令官には王が来るからと武器を取り上げろ」(ガスパール)

 部屋に一人になると独り言をつぶやき始めた。

「くくく、相手も王が居れば油断するだろうし、殺しにくるなら王の方だろう」(ガスパール)


 後ろの少女はいつの間にか居なくなっていた。


 応接室にメイドが来て俺達に王が来るから武器を預からせて欲しいと頭を下げた。

 俺達は剣を預けた。もちろん安物だ。俺とハルとマイアは次元収納に他は元々剣を使わない。


 俺達は配置に着く。左にノーラ、右にマリーが座り、長椅子の扉側にハルとマイア、俺の後ろにアステル、後左にボルク、後右にレイコだ。


 メイドが隣の部屋に剣を持った使用人と共に下がった。

「来ます。王とガスパール、武装した兵20人です」(マリー)


 ハルとマイアが収納から自分の剣を出して用意する。

「20人かどちらが多く切るか競争だな」(マイア)

「負けません」(ハル)


 使用人が両開き扉を全開にするとまず王とガスパールが入って来た。瞬間、脇に下がる。

 20人が一斉に抜剣して襲い掛かって来た。

 ハルとマイアは3分と掛からずに全員を切り伏せる。服の表面に魔力障壁を張っているので返り血も浴びていない。

 二人は王とガスパールを着席させると王にハル、ガスパールにマイアが後ろに立つ。

「違うんだ。あなた達の命を狙ったのは私達じゃない。そうだ陰謀だ」(ガスパール)

 ガスパールは青い顔をして俺達に訴える。


「ハル、聞かせて差し上げろ」

 ハルは録音の魔道具を作動させる。


「ふん、馬鹿が!!殺して首をガーランドに持って行けば金になる。ふふふ、ははははは!!」

「その後、王を殺して俺がギズモニアの王になるか。笑いが止まらんわ」

「王を呼べ!!総司令官には王が来るからと武器を取り上げろ」

「くくく、相手も王が居れば油断するだろうし、殺しに行くなら王の方だろう」


 ガスパールの声が応接間に響く。

「ガスパールどういうことだ!!私を殺すだと」(王)

 かなり驚いている。ガスパールを信じ切っていたのだろう。


「違う、違うのです王よ。これは私ではないのです」(ガスパール)

「貴様、よくも取り立ててやった恩も忘れて」(王)


「はい、そこまで。王よ、ガスパールを殺しても構いませんね」(ジュンヤ)


「衛兵が来ます。34人」(マリー)


「もう忙しいのに。アステル、ボルク扉を閉めてバリアを張っといて」(ジュンヤ)

「「了解」」


「わ、私はどうなる」(王)

 王は二十台半ば、鍛えれば何とかなりそうだ。


「あなたにはこちらの条件を入れて貰えば放免します」(ジュンヤ)


「ガスパール、お前は西大陸連合を裏切って連合軍を挟みうちにしようとしたな。俺の命を狙ったことと会わせて死刑以外ない!」(ジュンヤ)


「お前らが集まったところでガーランドに勝てるものか!王よ俺は地獄でお前を待っていてやるから早く来るんだな。わははははは!!」(ガスパール)

 ガスパールは隠していた短刀を出すと素早く自分の頸動脈を切った。血が王に向かって噴き出し、王に掛かる。


 頭の天辺から足の先まで真っ赤に染まった王に紙を渡した。

「これに書いてある通りにやれ。毎日、通信要員に確認するからな」(ジュンヤ)


 王が頷くと窓を開け、王に言った。

「俺達はいつでもここに入れるし、衛兵など怖くない。もし裏切ったらすぐに来るからな」(ジュンヤ)

 俺達は窓から飛び立った。

次回、ヤッター汽車が走ったぞ!!

ガーランドの偵察拠点を造ったら思わぬ人物が!


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