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第三十話 ドワーフの活躍とチャールズの来訪

ドワーフたちが働き始めます。

チャールズさんが来ました。何の用でしょう。

 国と街の名前を付けて、3人娘との婚約、聖獣との従属契約を終えたジュンヤ、春の農繁期を迎える前に鉄道を何とかしなくちゃいけない。


 俺とメイドの格好のハルは、朝ドワーフの3人を迎えに行くと3人は食堂に居ない。

 食堂のおばさんに聞くと夜まで魔法を練習していたらしい。しかも何回か魔力切れで倒れたみたいだ。

 昨日の燥ぎぶりから不安を感じていたのだが、的中してしまうとはな。


 若いし、仕方ないかと思いながらハルに起こしてくるように頼んだ。

 ここは家族から独立した者や移民の独身者が入る独身寮だ。男女が一緒に入っているが隷属契約で縛ってるので犯罪は起きない。


 暫くするとハルがドワーフの男二人を引き摺って来た。

「カンナさんはすぐに来ます」(ハル)

「済みません。寝坊しました」(ドワーフA)

「メイドさん、もう起きてるんで離してください」(ドワーフB)

 ハルが起こしても一回で起きなかったな。可哀そうだが仕方ない。


「おはようございます。済みません。寝坊しちゃって」(カンナ)

「昨日気を付けるように言っただろ、朝飯食って支度しろ。工場に行くぞ」(ジュンヤ)



 工場に着くとすでに研究員たちは仕事を始めている。

 機関車のボイラー部分が持ち上げられ、動輪部分が独立して置かれている。

「これが蒸気機関車ですか。すげえや」(ドワーフA)

「此方にミニチュアの模型がある。これで説明しよう」(ジュンヤ)


「まずこの後ろに付いてるのが炭水車と言って石炭と水を積んでる。

 この火室の中に石炭を入れ燃やして、熱した空気をこのパイプの中を通す。

 その熱で水を沸騰させて蒸気を作る。

 その蒸気の圧力は通常の空気の十倍以上になっている。

 その蒸気をまずピストンの前方に入れるとピストンが圧力で後方へ押される。

 弁が前方に移動すると後方に蒸気が入り、前方の蒸気が抜けるのでピストンが前方に押される。

 ピストンに繋がった動輪を回転させて機関車が進むわけだ。

 まあ実際は細かな装置がいろいろあるが大まかにはこういう原理だ」(ジュンヤ)


「君達にまずやって欲しいのはこの動輪の軸受け部の改善だ。うちが作った物は力に負けて壊れてしまうんだ」(ジュンヤ)

「成程、これくらいならすぐに出来ますよ」(カンナ)

「クレアンス国の巨大山車に使った奴か」(ドワーフB)

「あの時も苦労したもんな」(ドワーフA)

 この3人も若いので心配していたが経験は深そうだ。任せそうなの研究員にお願いして俺は他の仕事に掛かろう。


 家の執務室に戻った。

 北の畑と南の水田の工事が終わったので、その人員でレールの施設をして貰わないと農繁期が来てしまう。

 製鉄所ではレールが次々と生産されているので、製鉄所の有るヤハタから始めて石炭の採掘地のミイケまでを最優先で施設する。

 そうすることで石炭の輸送を馬車から汽車に変えて鋼鉄の大増産が可能になる。


 家畜の増産はアルミアやギズモニアに食料の供給をしてやらねばならず、エサの確保が出来ていない。今のところ農耕兼馬車馬、鶏と乳牛が少々ぐらいだ。豚と肉牛をやりたい。これも品種を決めてそろそろ動き出さないと今年中に終わらない。


 ガーランドの侵攻具合で予定に狂いが出るかもだ。そろそろ偵察もしておかないといけないな。

 ガーランドの帝都エンフィールドまでは直線距離ではギズモニアの王都タレートよりも近い、途中で三千m級の山脈を迂回しないといけないので結局遠い。

 アルミアに拠点を作りたいのだがあそこには獣人差別があるので、ハルやマイアを置いとけない。これも調整しないとな。


 レール工事はソルトレイク市長に家畜の増産はマリーに振ってあるので、確認するだけだがアルミアとの折衝は俺がやらないといけない。ああ、面倒臭い。早く代わりを探して来ないとな。


 アルミアに置いてる通信要員に連絡して教皇と話をするアポを取る。すぐでも大丈夫だというので、そのまま話すことにする。

 距離的に有利な地点に拠点を作ることで合意、2、3日で連絡できると思うと言っていた。


 あとは連発銃の量産をタマサブロウに指示してあったな。経過をハルに見に行って貰おう。

 直接念話するとあいつら慌てるからなあ。


 ハルがフリフリのメイド服で戻ってきた。

「連発銃ですが、あと一か月くらいで全員分出来るそうです。1000丁ですね。それからタマジロウさんから念話が入りました。チャールズさんがオタル(大河の港)に見えたそうです。すぐにジニアに向かわれたみたいです」(ハル)

「チャールズさんが、なんで通信要員を使わないんだ?」(ジュンヤ)

 何か嫌な予感がするんだが。

 前のトップ会談から一か月も経ってない。


 ちなみにギズモニアからオタルに来るには大河を遡れば良い。大体偏西風が吹いているので簡単に遡れる。

 帰りは帆を畳んで川の流れで下ればいい。

 大河は自然の造った大動脈である。


 念話でアステルを呼び出す。ヤハタで工事をしていたのでアステルかボルクが空かないか聞いた。

『ボルクは溶接に要るので、ぼくなら』(アステル)

 アステルにジニアに向かっているチャールズさんをソルトレイクの迎賓館に連れてくるようにお願いした。


 ハルにチャールズさんと俺の昼食を迎賓館に用意するように指示する。

「分かりました。あの、さっきアルミアに念話するのにマリーさん通しませんでしたよね。一部怒ってる人が居ます」

 ハルは言い捨てるように出て行った。

 自分が間に入るのが嫌で逃げたみたいだ。


 誰だろ、マイアやマリーはそんなに怒らないと思うんだよね。とするとあいつか。

 多分、工事に行ってるはずだから夕方までは大丈夫だろう。



 それから暫くしてチャールズさんが迎賓館に着いたと連絡が有った。


 俺が迎賓館の応接室に行くとチャールズさんが座って待っていた。ハルが居たので接客はしてくれたみたいだ。

「お待たせしました」(ジュンヤ)

「いえいえ、さっき着いたばかりですよ。お忙しい中済みません」(チャールズ)

「食事を用意しましたので、食べながらゆっくり話しましょう」(ジュンヤ)


「実は、私は国外追放になりまして、お約束の件を果たすことが出来なくなりました」(チャールズ)


 チャールズが言うにはトップ会談の後、王の長子を即位させたのですが、政敵が知らぬうちに新王を操って、敗戦の責任をチャールズに取らせ自分が成り代わった。

 チャールズは領地没収国外追放となった。


 トップ会談のガーランド戦については協力して貰うようにお願いしたが雲行きは怪しい。


 それに財産や食料を差し押さえられてるので、領土の住民が難民になるので何人でも良いので引き取って欲しいとのことだった。馬鹿なことをやるものだ。


「はい、難民は何人でも引き取りますよ。今すぐなら二万人位、ただし、隷属が必要です。隷属なしだと食料と水はありますが、家は作らないとありません。最大は十万人位ですか」(ジュンヤ)


「それではこちらに連れて来ても宜しいのですか?最大三万人位だと思いますが」(チャールズ)


「もちろんです。それにあなたも来てください。この国の代表をして欲しいのです」(ジュンヤ)


「私がですか?そんなことは出来ませんよ」(チャールズ)


「じゃあ、難民も諦めてください。現在、この国は施政者が圧倒的に不足しているので、難民に手を掛けられないのですよ」(ジュンヤ)


「それでは難民が一段落してまだ私が必要ならと言うことで」(チャールズ)

 難民を人質に取るようなことをしてしまった、ちょっと阿漕だが仕方あるまい。


「船は戦争の時使った奴が余ってるだろう」(ジュンヤ)

「そうですね。片付けられてないと思います」(チャールズ)

「それと隷属契約を結んでくれないか。連絡が楽になるんだ」(ジュンヤ)

「分かりました。お願いします」(チャールズ)


「良し、念話と初級魔法と次元収納も使えるようにしておいた」(ジュンヤ)

 実際はアイさんがやってるんだけどな。

「どのようなものですか?」(チャールズ)

 俺は与えた能力を説明した。


「これで街に入れるから実際の生活を見てくれ。出来れば難民も隷属契約を選んで欲しい」(ジュンヤ)


 俺は街を案内した。

「ここでは長男も三男も関係なく、才能に会わせて働いて貰ってる。もちろん給料は支払われるし、恋愛は自由だ。女性もこの町からは売られたことは無いし、娼館も無い。ジニアとオタルは対外的な街なので隷属契約は行われていない。もし、隷属を選ばない場合、そちらで生活することになる」


 チャールズは街を見て驚いている。ここにはどこにでもある貧民街も無いし、子供の教育も行なわれている。

 昼食を食べている。普通、平民は朝と夜の二食だ。しかも肉や卵を当たり前のように食べている。

 貴族でもなかなか難しい。


「なぜ、このように生活が豊かなのですか?信じられない」(チャールズ)


「効率的に開拓して耕作しているだけだよ。隷属契約がそれを可能にする」(ジュンヤ)

「ここの住民はどれだけ働かされるのです?」(チャールズ)

「週5日、一日8時間だよ」(ジュンヤ)

「たった、それだけですか?」(チャールズ)


 普通の平民は一日12時間以上働く、もちろん休みは無しだ。ジニアやオタル、その周辺の村ではそれが当たり前で貧しい生活をしている者も多い。しかし次男以下や若い女性はソルトレイクに来て隷属する者も多くなってきた。


 穀物倉庫や鶏舎を見せ、いよいよ蒸気機関の工場だ。

「何ですか?これは!」(チャールズ)

 工場に入った途端に見える巨大な黒い機械にチャールズは驚く。


 チャールズさんに蒸気機関車を説明しているとカンナが駆け寄ってくる。

「ジュンヤさん、軸受けが出来ました。今日中に組上げて、明日には走行試験が出来ますよ」(カンナ)


「もう出来たのか。早いな流石だ。慌てなくて良いぞ」(ジュンヤ)


「はい、でも早く結果を見たくて皆で早くしようって」(カンナ)


「そうか、けがに気を付けてやってくれ」(ジュンヤ)


「はい」(カンナ)

 元気のいい返事をして機関車の方へ戻っていった。


「今の子はドワーフですよね」(チャールズ)


「昨日来てもらった」(ジュンヤ)


「ここは良い国になりそうですね」(チャールズ)

次回、なぐりこみだあ!!

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