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第二十七話 西大陸トップ会談とドワーフの町

今度は中央大陸からガーランドが攻めてくる?

ジュンヤは蒸気機関車完成の為にドワーフの国ブロガリアに出発。

 チャールズの言葉を遮ったのは二人の男だ。一人は俺も良く知る獣王国の国王リチャードだ。もう一人は宗教色の濃いローブ姿の老人、おそらくアルミアの偉いさんだ。


「失礼いたします。私はアルミア教国、教皇ブローダと申します。本日はいきなりの訪問、申し訳ありません」(ブローダ)

 ええ、このお爺さんが教皇なの?向こうでは教皇は宗教以外はノータッチと言う話で会えなかったが。


「獣王国、国王のリチャードだ。ギズモニアの宰相さんよ、抜け駆けは困るぜ」(リチャード)

 何これ、西大陸の国の偉いさんがここに集まるってどういうこと???


「皆さん。何ですか?どうやってここに」(ジュンヤ)

 ギズモニアの使者が来たことが分かったとして、二人ともすぐに来れる距離ではない。


「ギズモニアが使者をしかも宰相を出したことが分かったので、集団神聖転移魔法でここに送って貰ったのです。ここは一度マルキエル達が来たことがあったので助かりました」(ブローダ)

 転移魔法なんてものがあるんだ。覚えられないかなあ。


「俺はマイアがたまたまやって来て、ギズモニアがやって来たって言うから、マイアに乗せてけって言ったら断られたんで、アステル君を呼んで貰って、飛んで来てもらった」(リチャード)

 あんた、うちの聖獣を勝手に使わないでくださいよ。マイアをジロッと睨むと横を向いちゃった。


「皆さん、国の重鎮じゃないですか。護衛も連れずにここでなんかあったらどうするんですか?」(ジュンヤ)

「其処はほらジュンヤ殿が何とかしてくれるんだろう」(リチャード)

「もう、そんなことで信用されても困ります。まあ、挨拶も済んだことだし、どういう御用なんですか?」(ジュンヤ)


「ちょうど西大陸の国の指導者が検案する事項とは、中央大陸の伸張です。私達はそれに対抗するため西大陸を統一しようとしたんですが、ご存じの通り失敗しました」(チャールズ)

「そうなのだ。わたしもそれを憂いて兄を引きずり降ろしたのだ」(リチャード)

「私どもも支配層を一新しました」(ブローダ)


 中央大陸と言うのは東西に長い大陸を3つに分けて東大陸、中央大陸、西大陸と呼んでいる。

 西大陸が大河の北が西にギズモニア東がアルミア、大河の南に獣人国その東に精霊の里がある。


 西大陸と中央大陸の間には急峻な山脈が有り国を分けている。

 山脈は精霊の里の南端、火の精霊が居た火山島からアルミアに達する。そこで一旦なだらかな高山地帯となるがそこからはブロガリアの南を西北西に向かって、山脈が北の海まで続く。


 中央大陸はアルミアの北にあるブロガリア、その東のクレアンス、その南にあるガーランド、そしてその南にある魔人国である。


「その中のガーランド帝国が西に延びようとしているのだ」(チャールズ)

「ガーランドはカノンなる新兵器を開発して、城に籠っていても壁が破壊できるという強力な兵器だ」(ブローダ)

「それですでにクレアンスと言う国は属国にされた。そう遠くない未来には滅ぼされるだろう」(リチャード)

 カノンは大砲の事だろう。まだ炸裂弾は発射できないだろうから鉄の塊かな。


「時期的には秋撒きの小麦の収穫後が怪しい。彼らも食料にはあまり余裕はなさそうだから現地調達を考えるだろう」(ブローダ)

 米も麦も収穫後に手間を掛けないと食べられない食料だ。となると五月に収穫して小麦粉になるのは六月、侵攻は七月ぐらいか。まだ半年あるな。


「俺に何をさせるつもりなのかな」(ジュンヤ)

「ぜひ、我が国に来て防御態勢を作って頂けないかと。もちろん礼は充分にするつもりだ」(チャールズ)

「いや、引き続き我が国に御指導を」(ブローダ)

「俺の所のひどさは知っているよな。俺の所を何とかしてくれ」(リチャード)

「君達の所はすでに助けられているだろう。今回はうちに譲ったらどうだ」(チャールズ)

「真っ先に来るのはうちですから、うちに来てください」(ブローダ)


 このおっさんたちは俺がギズモニアと協力しないか心配して、俺の所に駆け付けたのか。

 俺は呆れて来た。なんで一番の弱小国に助けを乞うのか。

 人口だってまだ3万に達していない。しかも半分以上は新しく貰ったジニアの人口だ。

 俺は蒸気機関車を作るのに忙しいんだ。自分たちで協力しろよ。

「俺達みたいな弱小に頼まなくても、あなた方で連合軍を作ったらどうですか?」(ジュンヤ)


「それは良い。その際はやはりジュンヤ殿に総指揮をとって頂かねば」(ブローダ)

「その通りです。それならばガーランドもうかつに攻めて来れません」(チャールズ)

「それじゃあ、細部を詰めましょうか」(リチャード)

 あっという間に合意が出来た。俺は焦った。


「ちょ、ちょっと待ってください。なぜ若輩者の俺が総指揮なんですか」(ジュンヤ)

「あなた方程強力な魔法を使えるものが他の国には居ません。あなた方を使えるのはあなた方だけなのです」(ブローダ)

「そう言うこと。西大陸全体の危機なんだからな。逃げんなよ」(リチャード)

 魔法はまだオープンにしていないものも多いのでそれを言われると弱い。


 すぐに合意書が出来た。今、うちで一番字が綺麗なマリーが清書、複写している。


 その間に俺はチャールズにずっと引っ掛かっていた事案を聞いた。

「俺達が陣地を引き上げた時にもう、聖都を落とすのは無理だと分かっていたのではないですか?」(ジュンヤ)


「そうです。引き上げるように王に進言したのですが、聞き入れて貰えませんでした。王が暗殺された時に、これで兵を損なうことなく帰れると喜びました」(チャールズ)


「それでうちの娘に後を追うなと言ってくれたんですね」(ジュンヤ)


「はい、見つけられたのはたまたまですが。しかし凄い魔法ですね。見えているのに見逃しそうになるなんて」(チャールズ)


 ******


 蒸気機関車の試作が出来た。ソルトレイクに作った5kmほどの実験用の線路で走らせてみる。

 汽笛を鳴らして、蒸気でピストンが動き出す、それが動輪のクランクに伝わり機関車が動き出す。

 バキバキという音と共に機関車は停止してしまう。走った距離は5m位だ。


 研究員たちが集まって不具合の個所を特定する。

 動輪の軸受けが破損していた。

 軸受けの部品が均一に作れていないので負荷に耐えられなかったみたいだ。


 俺が魔法で造れば耐えられるだろうがそれでは意味がない。彼らだけで運用することに意義があるのだ。おれも魔法で造ることは出来ても人が作る方法は分からない。


 ここに居る研究員には西大陸の技術は教えてある。出来ない時には他に探しに行かないといけない。取り敢えず二週間の期間を区切って研究させることにした。


 その間に次々と各国の通信要員が来る。各国と同盟を組むにあたり念話での通信を可能にするため、俺に隷属させる通信要員を出すように頼んだ。主と副の二人ずつだ。戦争でも使う予定なので一人だと不安があった。

 俺と隷属契約をして返すだけなのだが、各国が若い美女ばかり送り込んでくるので三人娘とノーラの機嫌が悪い。俺のせいじゃないよぉ。

 と言うことで彼女達の通話先はマリーになった。俺に直接だと危ないらしい。


 二週間たったが軸受けの問題は改善されなかった。

「さてどうするか?最悪俺の作ったもので動かすか?」(ジュンヤ)

「冶金と言えばブロガリアです。人員を借りることは出来ないでしょうか?」(研究員)

 ブロガリアか、ドワーフの国だよな。


 さて誰に聞くかな?マルキエルは馬鹿だからやめておくとして、やはりチャールズさんかな。

 マリーにギズモニアの通信要員を呼び出させ、チャールズさんにアポを取る。幸いすぐ取れたのでブロガリアに指導員の派遣かこちらの研究員の受け入れをお願いする伝手を聞く。


 ブロガリア西部の町ピョートルのBSコープのデジレさんを紹介して貰った。

 次の日の朝、俺はアステルとボルクを連れてギズモニアの王都経由でブロガリアに向かって飛んだ。

 ブロガリアは大体山の中に有るピョートルも他に漏れず山の中だ。


 道と門とか門番の建物が無いと分からない。山に穴を掘った洞窟の中に街があるのだ。

 洞窟に入ったすぐには店が連なっている。歩いている人は男で身長150~160cm位で髭を生やしてる。女はそれより10cm位低い。顔が少し下膨れ、毛深そうだ。

 店は、大体は武器屋とか道具屋、服屋など加工品の店が多い。

 聖獣達は飯を食わないので俺だけおにぎりで、昼食を済ますとBSコープに向かう。

 幸い、入ってすぐの四つ角にあった。洞窟をくりぬいて作ってあるので大きさは分からない。


 扉を開けるといくつかの受付カウンターがあって人が並んでいた。俺は人の少ない左端に並んだ。

 すぐに俺の番が来て、受付嬢にチャールズさんの紹介状を見せ、デジレさんに会いたい旨伝えた。

 受付嬢は後ろに居た事務員に紹介状を渡した。

「今、組合長の予定を確認しますので後ろの席に座ってお待ちください」(受付嬢)

 え、組合長だったの。まあ、派遣とか受け入れとか一般人では出来んわな。


 5分ほど経ってから事務員が来た。

「3時にお会いになるそうなので、その時間に来ていただけますか」(事務員)

 今、1時過ぎなので2時間弱時間をつぶすか。

「分かりました」


 俺達は外に出て、時間つぶしに筋向いの武器屋に入る。

 剣や槍が並んでいるが普通の兵隊が使うような物ばかりだ。


「お客さん変わった剣を着けてるね」(女店員)

 後に現れた店員に言われて女神に貰った刀を着けて来てしまったことを思い出した。


「ああ、極東の剣だ」(ジュンヤ)

 適当なことを言っておく。背は低いが可愛い女の子だ。


「後学の為に見せてくれないかな」(女店員)

「良いが、ここじゃダメだ」(ジュンヤ)


「じゃあ、奥で」(女店員)

「分かった。お前達はどうする」(ジュンヤ)

 武器には興味の無さそうなアステルとボルクは着いて来た。


 奥に行くと髭まみれのおじさんが現れた。

「カンナ、どうした」(おじさん)

「この人が持ってる剣が変わってるから見せてもらうの」(カンナ)


 おじさんは俺の腰の刀を見るなり叫んだ。

「こりゃ刀じゃないのか。太陽の一族の剣だ!!」(おじさん)

 この世界の日本人は太陽の一族って言われてるのかな?。


「見せてくれ!!早く」(おじさん)

「お父さん、どうしたの」(カンナ)

「本物だったら何百年も前に滅びた一族が作った剣だ」(おじさん)

 この世界で日本刀は伝説の剣なのね。


「刀は見る時にしちゃいけないことがある。刀身を素手で触らない事、口に紙を咥えて息が掛からないようにする事」(ジュンヤ)

 俺は懐紙を二人に渡して刀を抜いた。そういや近頃手入れしてないな。


 二人は目を皿のように覗き込んでる。10分位見ていただろうか。

「もういいか?」(ジュンヤ)

 二人はハッとして俺を見た。


 俺は刀をしまうと二人は大きなため息を吐いた。

「どうやって作ったのか見当もつかねえ」(おじさん)

「すごく綺麗で吸い込まれそう」(カンナ)


 おじさんは顔を上げると俺の方を向いた。

「これをどうやって作るか知っているか?」(おじさん)

「大雑把には知ってるけど。今の製鉄方法じゃ出来ないよ」(ジュンヤ)


「何!!製鉄の方法が違うのか。どうやるんだ」(おじさん)

「昔の製鉄方法で、たたら製鉄って言うんだけど知ってる」(ジュンヤ)

「いや、知らん。それでないと出来ないのか」(おじさん)

「そう、特殊な鉄が居るんだ。玉鋼っていうんだけど」(ジュンヤ)


 俺は時間つぶしに良いかと思っておじさんにたたら製鉄を騙り始めた。

ドワーフから指導員を連れてくることが出来るのか。

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