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第46話 シナリオ6 追憶の旅・火 温泉街の熱血漢 ミカミ アラタ視点

コールワールド シナリオ6 追憶の旅・火 温泉街の熱血漢  公式ストーリー



風の封印を終えた一行に対し、次の封印の場所のヒントがイサナ王女からもたらされた。


場所は王国の南方。

山脈の中腹にある由緒ある温泉街に火の封印があるのではないか。


温泉街にやってきた一行は、街の住人たちに話を聞いて回るが、有力な情報は得られない。一旦情報収集を止め温泉宿に泊まろうと考えたところで、一人の少年と出会った。


由緒ある旅館の跡取りであるその少年・イブリスは、さびれてしまった旅館を再び繁盛させるべく奮闘していた。


多少強引にイブリスの家族が経営する旅館に連れてこられた主人公一行は、イブリスの両親の誠実さやイブリス自身の必死さに心を動かされ、その宿に泊まることになった。

その晩、主人公は今泊まっている旅館が町の中心にあるホテルに、借金の形に買収されそうになっていることを知る。


町の中心にある立派なホテルは近代的な設備や温泉をテーマにしたアミューズメント施設を併設しており、周囲の温泉を次々と傘下に収めていた。

商業的に成功したホテルの3代目・サイゴは伝統を手に入れようと旅館を狙っていた。

イブリスの旅館はこの温泉街最古の温泉旅館だったのだ。


買収されてしまえば、イブリスと祖父母の思い出の詰まった旅館は潰され、近代的な建物に建て替えられてしまうだろう。

イブリスの思いを知った主人公たち一行は、旅館買収を阻止するために動くことにした。


とはいっても所詮はよそ者の主人公たち。力になれることは限られている。

途方に暮れそうになったとき、アイギスが名案を閃いた。


奇しくも訪問したのは温泉街で盛大な祭りが催される時期。

祭りでは各種行事が行われ、その中には話題集めのために莫大な賞金が出る競技の試合があった。


全ての競技で優勝すれば、借金を返すに足るだけのお金が手に入る。

主人公たちは手分けして競技に出ることになった。


金魚すくいをアイギスが、射的をシェリーが、運試しを主人公が挑む。


次々と優勝し、賞金を手に入れる主人公たち。

最後の競技は温泉アスレチックレース。そこで主人公たちがイブリスと組んでいることを知ったサイゴは妨害に出た。(特殊戦闘イベント)


その妨害をはねのけて優勝したイブリス。

無事賞金を元手に借金を返し、温泉宿が守られたことを祖父母に報告するために先祖の霊を祭る祠へと向かう。

その祠に同行した主人公たちは、そこが火の封印の儀式を行う場所であることに気づき、封印の儀式を行った。


封印の儀式を終えた一行に、再びサイゴが仲間を率いて襲い掛かってくるものの、無事返り討ちにすることができた。


サイゴを捕まえ、これまでサイゴが行っていた数々の悪事の証拠を白日の下にさらし、イブリスの旅館にちょっかいを出さないことを約束させて一件落着。


イブリスは感謝の意を示すとともに、両親から外の世界を経験してくるように促され、主人公たち一行に加わった。

少年イブリスを仲間に加え、封印の旅は続く。




上記が、俺、ミカミ アラタが認識するゲーム・コールワールドのシナリオ6のあらすじである。


このシナリオで仲間になるのが、温泉宿の跡取り息子・イブリスだ。召喚獣はBクラス・熱泉鰐おんせんわに


イブリスは本来であれば、実家である温泉宿の危機を救ってくれた主人公タクミのことを師匠と慕うようになる

では現実ではどうか、というと、イブリスには既に兄貴と慕う人物がいた。街の顔役であり、温泉ホテルの名物社長であるサイゴである。


ゲーム中では敵対していた二人だが、現実では良好な関係を築いていた。

シェリーとホクトもそうだが、ゲーム中で中ボスだった人物がいい人で、仲間キャラと友好的なのは違和感がある。……俺が人のことを言えた義理ではないか。


ゲーム中のイブリスはかわいい弟キャラ。

主人公について回り、主人公のことを全肯定する。年下男子好きには受けそうだが、俺にとっては特に思い入れがあるキャラではない。


火属性と水属性の両方を使える器用なキャラクターではある。ただ、終盤になるとパラメータの関係上火力不足になりがちだ。主力として使うのではなく、足りない要素の補完役として使用されることが多い。正直、戦闘面だけで見ると仲間にする必要性は低い。王家の正式戦力(騎士団)を投入できる今となっては特に。


だが、キャラクター攻略という面では欠かせない存在だ。


イブリスの実家である温泉宿。ここではお目当てのキャラクターとの温泉イベントが発生する。全キャラクターで一枚絵が用意されている、好感度上昇幅が大きいイベントだ。


また、イブリスとアザミの個別ルートイベントは相互に関係がある。

アザミの親族には神猿と呼ばれたマジシャンがおり、アザミも現時点でかなりの使い手。

イブリスが温泉宿を繁盛されるためにアザミと共にマジックの特訓をする、というイベントがあるのだ。


アザミにイブリスの芸を見せたのも、そのイベントを考慮してのものである。

ゲーム中では、最初素人芸しかできないイブリスだが、この世界では既に一般的なマジシャンレベルの芸ができるようになっていた。‘道化師社長’サイゴが直々に手ほどきしただけはある。


とっかかりのイベント‘アザミがイブリスの芸にダメ出しする’を起こすために必要なアザミの好感度は、これまでのお茶会やプレゼント、日々のコミュニケーションでクリアした。

アザミの耳についているイヤリングも俺がプレゼントしたものだ。



話をメインシナリオに戻そう。


ゲームでは、温泉宿を守るため祭りの催し物に参加、優勝して賞金を得ることになるが、実はこれ、別に優勝しなくてもよい。


優勝しない場合、イブリスはお金の工面がつかずに宿がなくなるかもしれないことを先祖に報告するため祠に向かう。そこで偶然封印を発見。その場で封印の儀式を行うことになる。

シナリオを進めるだけであれば、封印の儀式後に襲ってくるサイゴを撃退すればよい。


ただし、途中の催し物を下位通過するとカルマ値が蓄積され、ダークサイドルートに関連したイベントが発生する。


今回、社長のサイゴの背景をサクナ王女に探ってもらったが、怪しい所は見つからなかった。

仮に俺たちが最下位だったとしても特殊イベントは発生しないだろう。


だが、別の理由で俺たちは上位入賞を目指すことになった。


イブリスを封印の儀式に参加させるにあたり、サイゴから依頼を受けたのだ。

この街に、自分の生家である温泉宿に固執するイブリスに広い世界を見せてあげたい、と。

サイゴは本気でイブリスの将来を心配していた。


生来の才能と要領の良さでうまく立ち回っているが、今のままでは小粒に終わってしまう。

上には上がいることを教える。それが封印の儀式に街を上げて協力する引き換え条件だった。


結果的には催し物は俺たちのチームが優勝してしまったが、トオルたちのチームとはいい勝負だった。ホームアドバンテージがあると高をくくっていたイブリスが危機感を感じるにはいい機会だったはずだ。


前シナリオの宿題、シェリーを飛べるようにする、というのも同時に達成した。

シェリーがどうして飛べたのか?……もともとシェリーは飛べる程度には立ち直っていた。

ホクトに依存していたせいで一歩が踏み出せなかっただけだ。今回、ホクトと引き離し、俺が理論と感情でシェリーを説得すればOKです。


代わりに俺に依存するようになったかもしれないが、それもそれでOK。



祭りの日の夜、俺は露天風呂から上がったトオルと立ち話をした。

トオルの背後、男湯にサイゴが入っていくのが見えた。同時に掃除中の札がかけられる。


ここからはあの二人、イブリスとサイゴが腹を割って話すだけ。

イブリスが俺たちについてくるかどうかは、サイゴの説得にかかっている。




結論から言うと、イブリスは俺たちについてくることになった。


翌日の封印の儀式は特に事件もなく完了。

儀式が終わってもイブリスはどうするか迷っていた。


そこで発表されたのが、サイゴがイブリスの生家をユノタマホテルの別館として使いたいという話。もともとイブリスの両親たちとは話が進んでいたらしい。


アミューズメント色の強いユノタマホテルに対し、レトロな雰囲気を感じる別館。

ユノタマホテル自社内に多様なメニューをそろえたいというビジネス的判断と同時に、ホワイトナイト的援助の意味合いも強い業務提携。


生家の経営危機という懸念材料がなくなり、イブリスを縛るものが減った。

ポータルを使えば容易に帰省できるのもプラス材料だった。



今は封印の儀式を終えた日の夕方。イブリスの生家前。


「宜しくお願いします!」

「うん。これからよろしく」


イブリスの挨拶は元気があってよろしい。


「師匠も、宜しくお願いします」

「わかった」


アザミが師匠と呼ばれている。宴会でお互い芸を披露していたのは知っていたが、いつのまにかそういう関係になっていた。まぁいいか。


明日ポータルを使って街に帰ることとし、今日は再びユノタマホテルに宿泊。

豪華な食事とイベントが待っている。




夜、ユノタマホテルの家族風呂。俺は一人湯舟につかり人を待っていた。


更衣所に複数人が入ってきた気配がする。

しばらくたつと露天風呂に通じる扉が開き、そこから仲間たちが姿を現した。


アイギス、アザミ、シオン、シェリー。俺が必死で好感度を上げ、ずっと口説き続けているヒロインたちだ。全員がいるということは、全員の好感度が一定ラインを越えているということ。


「お待たせしました……」


全員が大きなバスタオルを体に巻いていた。


「湯舟はタオル禁止だよ」

「う……」


ためらう4人のうち、最初にタオルを取ったのはアイギスだった。続いて3人もタオルを取る。みんなのタオルの下は、この時のために用意したスクール水着(旧式、胸元に大きなネーム入り)

ちなみに、俺も水着着用中。


「こんな水着を着てお風呂……」

「似合ってる」

「嬉しくありません……」


アイギスの抗議をいなしつつ、俺はみんなに指示を出す。


「そう、アイギスはそこに座って。目線はこっち。アザミは後ろ。ちょっと振り返る感じで流し目で……いいぞ。シェリーは翼をこっちに広げてくれ」

「これに何の意味が……?」


不平を口にしながらも素直に従うヒロインズ。

そうやって完成したのは、なんとなく見覚えのある景色。

ゲーム中のイベント一枚絵として描かれたシーンだ。


本来はイブリスの実家の温泉で発生するイベントだが、場所は妥協。細かい部分についても記憶が曖昧なので、多少違っていても仕方ないと割り切る。

全員の視線がこちらに向いたところで、映像記録機を使って一枚絵を撮影する。


このイベント……これが主人公の立場と目線か。とても尊い。


次に目指すは、ここにいない今後出会うヒロインたちも含めた海水浴イベントだ!


見た目はイケメン、頭脳はオタク。その名は迷童貞アラタ。


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