猥談しかしてない
「女の子同士でセックスってどうするの?」
「なぜ俺に聞く」
ここは生徒会室である。
それほど上昇志向の高い生徒がいる様な高校ではない事もあって、生徒会役員は変人か勘違いして入ってきてしまった奴くらいしかいないため、今日活動しているのは2人きりだ。
生徒会長は優秀ではあるがオタクで変人だ。
「君はそういう事にも詳しいかなって…」
「全く…、何がしたいんだ?」
「あはは、そうだよね、ごめん」
話の内容からも分かる通り、相手の少女は同性愛者である。
彼女が居ることも知っていた。
「言い方が悪かったな、どういう事がしたいんだ?」
「へ?」
目を丸くして顔を上げた。
「男女のカップルで男がしたい事なんてぶっちゃけてしまえば交尾だろう。入れたい、だ。まあ、男にも色々居るけどな。目についた女の子全員とヤリたいってやつから、女は苦手ってやつまで居るが、ヤルとなったらキスして揉んで抱いて挿入だろ」
「せ、セクハラ」
「おまえっ!!」
「ご、ごめん。いや、はっきり言われると流石にはずかしい」
「まあ、そうか。つか、言ってる俺の方が恥ずいわ」
「だよね、あはは」
照れるならはじめから聞くなと言いたい。
「と言っても、私には得物が無いわけで…」
「そこで、何をしたいか、という話になる」
「だから、彼女との仲を深めるためにセックスしたいのよ」
「セックスと言う単語が一人歩きしてるんだよなぁ」
「確かに」
と言うか、気持ちは分からなくはないし、男女のカップルでも高校でやらないと下手すると一生童貞処女なんて可能性もあるから、チャンスがあるならやるべきだろうが、ぶっちゃけ高校生の性行為は表向き校則違反だ。
「現代の医学では肉体的接触で女性が女性を妊娠させる事が出来ない以上、それっぽい触れ合い、という事になるよな。で、まあ、分かりやすく考えたらどちらかが男役をやる、と言うのは正解だろうとは思うが、相手とは相談したのか?」
「へ?」
「もしかしたら、相手の方が男役をやりたいと思っているかもしれないだろ?」
「え? それは、…どうだろ」
「両方女の子なわけだから、2人とも自分が弄り回したりするより、される方が良い、という可能性もある」
「え、でも、少なくとも私はこねくり回したい」
「そのわりに、どうしたら良いか分からんとか相談してきてる、くらいには思い込みの面が強いがな」
「うぐっ」
「自分の方が彼氏役っぽいから、そうしないといけないんじゃ、とか思い込んでねーか?」
「…ひ、否定は出来ないかも」
「俺も詳しくはないが、女の子を気持ちよくさせるテクニックとかは存在するとは思うが、まずは相手がどうしたいと思っているか確認するのが先だろうなぁ」
「そっかー。じゃあ、早速…」
「まて、仕事を終わらせてからにしろ」
「えー」
「えー、じゃねえよ」
「………」
「………」
「………」
「………で?」
「あ?」
「女の子を気持ちよくさせるテクニックと言うのは?」
「まだ続けるのかよ、このエロ女が」
「気になるでしょうが」
「自分の身体で試せよ、個人差はあるだろうが俺が想像するよりは間違いねえよ」
「確かに」
「同じところ触られたって相手によって感じることも違うだろうしなぁ」
「それは、ある。君に尻とか触られたら絶対鳥肌立つ」
「勝手に変な想像すんな」
「でへ」
「………」
「なんだ?」
「彼女に触られる事想像してたらムラムラしてきた」
「仕事しろ」
「ところで、こう言った込み入った相談をされて、勘違いしたりとかしないの?」
「して欲しいのか?」
「いえ、別に」
「お前なぁ。いや、良いけど」
「ノリが悪いですね、いつもの事だけども」
「つか、別に同性愛とか良いと思うよ、俺は」
「なんで?」
「少なくとも俺が生きている間に人類が滅亡する事はないだろうし、その先がどうなろうと特に気にならないし…」
「適当すぎない? あなたの子孫はどうするんですか?」
「ああ、俺はたぶん子孫残さないし」
「…まさかあなたも同性愛者?」
「いや、非性愛者? まあ、身体的には機能しているから何かの間違いで作る事はあるかもしれんけどなー」
「間違いは嫌だなぁ」
「まあ、俺には恋愛感情とか無い関係で無責任に思うわけだ、今目の前に好きな奴が居るなら性別とか気にしないで大事にしたら良いんじゃね? ってな」
「………なんかごめん」
「いや、別に謝ってもらうところじゃねーし」
「カナコちゃん、終わった? 帰ろ〜」
「あ、うん」
「げ、またメガネと2人きり? 変な事されなかった?」
「メガネを変態みたいに言うなよ。全国のメガネに謝れ」
「謝る対象、メガネ男じゃなくてメガネなんだ」
「他の男がどんなやつかなんか知らん」
「確かに」
「なんか、仲良い?」
「気になるならちゃんと繋ぎ止めとけ? 別に俺は取らんがな」
「なにそれ、それはそれでムカつくー。帰るよ、カナコ」
「え、ああ、うん」
「じゃあな」
「ばいばい」
翌週
「どうした、目の下に熊が出来てるぞ」
「熊は出来ないでしょ」
「良くわかったな。つか、どうした」
「うんまあ、あの話をしたら寝かせてもらえなかった」
「あー、悪い」
「いや、良い」
「そうか、それは良かった」
「うん、凄く良かった。ぐふふ」
「仕事しろ」