005-B 遥&彼方
「良く来たの。」
「えっと・・・ 輪廻神様ですか?」
「いかにも。」
「じゃぁ、夢じゃなかったんだ・・・」
「3度目の召還じゃ、少しは慣れたじゃろう?」
「「ええ・・・ まぁ・・・」」
「早速じゃが・・・」
「その前に、聞きたい事があります。」
「かまわんぞい。何が知りたいのじゃ?」
「その・・・ 私達死んだのですか?」
「残念じゃが、そのとおりじゃ。」
「両親は・・・」
「健在じゃ。後遺症に悩まされる事もないじゃろう。」
「トラックに追突されて・・・」
「後部座席に居た主等の身体は助からなかった。」
「じゃあ、もう家には・・・」
「そなたらは、かの世界で3日前に死んでおる。」
「帰れないんだ・・・」
「・・・」
「気持ちはわからんでもないが・・・」
「「・・・」」」
「そこでじゃ・・・、次の世界で生きてみぬか?」
「「それって、まだ死ななくてもいいって事ですか?」」
「ふむ。その世界になら、今までの褒章も兼ねて、主等二人を送り込める。」
「「お心遣いは、ありがたいのですが・・・」」
「このまま、天界で生まれ変わる日を待つのが望みなら、それでも構わぬが?」
「でも、また文明の遅れた魔物が沢山居る世界とか・・・」
「大陸の統一を図った馬鹿王が無茶苦茶する世界とか・・・」
「ふむ。魔物が沢山居る世界の方じゃな。今のところ馬鹿王は居ない。」
「「そこで何かするのですか?」」
「とくに、する事はないが・・・」
「その世界で、自由に生活が出来る?」
「少しばかり手を借りたいとは思っているがの、なに、大した事では無いのじゃ。」
「「・・・」」
「・・・」
「その大した事では無い事案が・・・」
「・・・それが今回の仕事の依頼ですか?」
「仕事は、主等の得意とする、魔物退治と、その世界での教育じゃ。」
「「・・・」」
「魔物が多く人々は生きる事で精一杯。」
「故に、文化レベルは停滞中じゃ。少しばかりの・・・」
「「・・・・・」」
「何じゃ?」
「あの世界・・・ 辛いんです。」
「ふむ。」
「偉そうな奴が多くて・・・」
「非衛生的で・・・」
「好戦的な奴ばっかりで・・・」
「お風呂も無くて・・・」
「妙になれなれしくて・・・」
「すごくいやらしくて・・・」
「「何より食事が不味い!!」」
「そうじゃ。ならば、派遣恩恵の中から、良さそうなものを選ぶが良い。」
「「・・・」」
「どうした? 遠慮は要らぬぞ?」
「以前見た恩恵の中には、私たちの希望するものは・・・」
「心配するでない。戻る事のない仕事に出かける者達への恩恵じゃ。
恩恵の中でも、選りすぐりが選べるじゃろう。」
「あの・・・」
「何じゃ?」
「以前の能力は使えるんですか?」
「勿論じゃ。あれは既に主等の能力になっておる。」
「前に使っていた武器とか・・・」
「インベントリを見るが良い。」
「「前に使っていたものがそろっている!!」」
「ポーション、エリクサー、装備・・・」
「これなら・・・」
「うん。やれそうでは、あるんだけど・・・。」
~恩恵を物色する事数時間~
「さて・・・ それで、望む恩恵は見つかったかえ?」
「庭付き一戸建て快適居住空間バージョン2020を望みます。」
「デパチカ・バージョン2021が欲しいです。」
「ふむ。食と住か。良い選び方じゃ。」
「それでは、行くが良い。」
淡い光に包まれ、身体が再構築され・・・
「達者での・・・」
僕達は見知らぬ大地に送り込まれた。
「知らない草原だ・・・」
「彼方って、ソレを言わないと気がすまないの?」
「お約束だからねww」
「でも・・・ やる事が有るって、本当に褒章なの?」
「死ななかった事が褒章で、ついでだから、仕事を回しちゃえって言うのが正解なんじゃないの?」
「「・・・輪廻様だからねぇ・・・」」
この二人も、輪廻神様のアバウトな無茶振りを2回経験していたので疑り深くなっていた。
「それより、先ずは拠点に移りましょう。魔物と遭遇は嫌だわ。」
「じゃぁ、・・・ 庭付き一戸建て快適居住空間バージョン20展開!!」
説明書に書かれたとおりの、次元空間を切り抜いた箱庭、神様の隠れ家。
理想を追求した快適さだよ? もうここ以外での生活が出来なくなっちゃうww
ゆとりの空間が欲しいなら、少し広めのバージョン2020がお勧めだよ?
「「・・・・・」」
二人の想像の100倍は巨大だった。
「国会議事堂レベルの建物で”少し広めの隠れ家”と言い張るか?」
「神様のレベルだとそうなるんでしょう?」
「一面の芝生に適度な木々・・・ 林・・・。」
「もう森で良いんじゃない?」
「これ、近所の森林公園より広そうなんだけど?」
「流石は神様の隠れ家ね・・・。」
神様の隠れ家で彷徨う二人の部屋割が決まったのは、およそ2時間後であった。
「僕、もう、この部屋で良いや・・・」
「私も、こっちも角部屋で良いわ。」
「それより・・・」
「「お腹が空いた!!」」
「「・・・・・」」
「それじゃぁ、私の恩恵も使ってみるわ・・・」
ゴクリ・・・
「デパチカ展開!」
フォンと音をたてて・・・ 目の前に現れた、奥行きが見えないほどの空間。
「「・・・・・」」
「え~~~~っ! この中から、食材を選ぶの?」
「そうみたいね・・・」
「ううぅ~っ・・・」
「でも、ちゃんと、其々のコーナーにショートカットがついているのよ?」
「でももう、なんだか疲れちゃったよ?」
「じゃあ、お惣菜をコーナーでお弁当でも選びましょうか?」
「ソレで良いよ・・・」
「こっち~っ!! こっちに駅弁コーナーもあるよ?」
「ちょっと待ってよぉ~っ!!」
季節を無視して、何でも揃うよ? わがまま放題し放題!!
神様は食にだって妥協はしないんだよ?
「あの、テキスト・・・ 誰が書いたのかしら?」
「ねぇ彼方・・・ もう、いい加減で決めてくれないかしら?」
「だって、あれも、いや、これも・・・」
「それは、夜にでも食べれば?」
「でもでも・・・」
はぁ~っ・・・
「結局、お惣菜コーナーの一区画が見れた程度だったわね・・・」
「いや・・・このデパチカすごいよ? 日本中のお弁当が揃ってるなんて!!」
「・・・」
「「神様の欲求・・・凄い!!」」
「でも、良かったね、日本のお金で精算できて・・・」
「むしろ、この世界でのお金しか使えなかったら、食事抜きだってありえたわよ・・・」
「まだこの世界のお金なんて持ってないし・・・」
「セオリー通りに先ずは冒険者登録して、稼がなくちゃね。」
「手始めに・・・僕、広島名物牡蠣フライ弁当に本場讃岐の手打ちうどん!!」
「私は、小樽の海鮮散らし寿司弁当にするわ。」
「「いただきます。」」
パク・・・ パクパク・・・ チュルルン!!
「「異世界でのメシ(食事)が美味いよぉ~っ!!」」
Name ハルカ・ディ・レクター Profession 旅人 教師
skill 罠作成LV.55 受身LV.21 風属性魔法LV.85
equipment 風の羽衣 風の靴 風の杖”シルフィード・ハート”
Race Human HP.555 MP.555 Unique Skill シルフ召還
Blessing 輪廻神の加護 シルフィードの加護
Title 風妖精のアイドル
achievement point 2/3
Name カナタ・ディ・レクター Profession 旅人 剣士
skill 一刀両断LV.99(MAX) 火属性魔法LV.51
equipment 龍の羽織 風のスニーカー 日本刀”白羽”
Race Human HP.555 MP.555 Unique Skill 起死回生 必殺
Blessing 輪廻神の加護 武神の加護
Title 剣豪 英雄
achievement point 2/3