019 娯楽じゃないのよ?
何故か、いきなり攻撃を仕掛けられた。
テティスに帰り着いた翌日、今日からホンキを出す為に東の草原について早々。
いきなり、ファイヤーボールが飛んできた。
そんな、攻撃でビクともするものではないが・・・
かなりムカついた。服に泥が付いた。
異世界に何度も行っているのだ。攻撃くらいされた事はある。
いや、寧ろ、日常的な光景と言って差支えが無いほどだった。
こいつら、ゴブリン共に紛れて待ち伏せをしていたのか?
かなり、魔物の多い場所を選んでいたので、人だとは思わなかったよ。
少し離れた場所、2km程離れた小高い丘に25人程、ハンターや冒険者らしき装備の一団が居る事は、
気配察知で分かっていたのだけれどね?
何はともあれ、攻撃をされた以上、報復は必然だ。
どの世界でも、因果応報ということを覚えさせないと、Gの様に何時までも現れるのだ。
第二破攻撃のファイヤーボールが飛んでくる。
ファイヤーボール如きで、一体何がしたいんだ?
この世界で恨みを買った覚えは・・・
王都で、国王に? 幾つかの貴族を壊滅? 闇ギルド構成員を奴隷落ち?
うん。結構身に覚えが有ったり無かったりww
其処まで考えていると・・・
チンピラ風の5人が現れた。
「テメェがマサキとか言う小僧か?」
「攻撃しておいて、今更確認か?」
「テメェは、聞かれた事に答えればいいんだよ。」
イラッ。
「そっちの、嬢ちゃんは、ビーナちゃんだったか?」
「中々、可愛いじゃねぇか?」
「下品な割には、見る目だけは有るようですね?」
「おいおい、強気な嬢ちゃんだな?」
「これから、ヒイヒイ言わせられるとも知らないでww」
イラッ。
「「「「「ひいぃぃぃぃぃ~~~っ!!!!」」」」」
「なんだ、この程度の攻撃すら避けられないのか?」
「所詮は凡夫ですね。」
「で、ヒイヒイ言っているのはお前達の方だと思うんだけど?」
「こ・・・コイツ・・・・・ 何時の間に?」
俺は、右耳を・・・ 右耳があった場所を押さえながら転げ回る男に言ってやった。
「先に討伐部位を確保しておかないと、ギルドで報酬が貰えないんだよなぁww」
「そうですね。ゴブリンは右耳を落として持って行くことになっていますからww」
転がりまわる奴等を蹴飛ばして更に追い討ちをかけてから・・・
「さて、討伐部位もゲットした事だし、死体は燃やしておくか?」
「そうですねww ゴブリンゾンビにでもなったら迷惑する人もいるでしょうから。」
「だ・・・駄目だ・・・」
「次元が・・・」
「もうアンタ達には・・・」
「ファイヤー!」
「「「「「ヒイイイイ~~~ッ!!!」」」」」
「マッチ棒のようですねww」
「頭の辺りにマグネシウムの粉を髪の毛に降り掛けてやったからなww」
髪が勢い良く燃え上がり、五人は火を消そうと更に地面を転げ回る。
火が消えると、ぐったりとして動かなくなったので、気付け代わりに蹴りを入れる。
「誰の許可を得て転がって居やがるよ? 踏んだり蹴ったりしてやろうか?」
「マサキ、もう充分に蹴っていると思うのですがww」
「ぼう・・・やべでぐだ・・・」
「未だ生きているな? 中々しぶといゴブリンだ。」
「何か言っているようですね?」
「言っていても、ゴブリンの言葉なんて知らないからなぁww 次はどうやって殺してやろう?」
「穴を掘って埋めてしまえば、ゾンビにはなりにくいですね。」
「「「「「やべでぐだじゃい・・・」」」」」
「未だ何か言っているようだな?」
「ご馳走が足りなかったようですね?」
「「「「「だずげでぐだざい」」」」」
「答えろ。何の為に襲撃してきた?」
「「「「「・・・・・」」」」」
「死にたいようだし、其の望み叶えてやろう。」
「浄化の・・・」
「「「「「べんきょう一になりだがった。」」」」」
「勉強一? 勉強がしたかったなら、お家で漢字ドリルでもしてろや!」
「どうやら、まともな返事をするつもりはないようですね?」
「そのようだな。まあギルドに突き出して犯罪奴隷にでもなってもらうとするかww」
「「「「「ぢがう。ぼんどのごど・・・」」」」」
「ゲームじゃないのよリアルはハハハww」
「これで、私達を襲って名を上げようとする莫迦は随分減るでしょうねww」
「やっぱり瞬殺だったな?」
「あの程度の奴等にどうにか出来るなら・・・」
「俺達でも、この辺りの魔物くらい、楽に狩れる。てぇ~の。」
「違い無ぇ。」
「しかし、容赦の無い攻撃を仕掛けたもんだな?」
「あの莫迦共が、いきなり仕掛けたのもあるだろうが・・・」
「恐らく、ビーナ嬢に何か言ったんだろうな・・・」
「莫迦な奴等だ。」
「で、狩の邪魔をされたマサキが、今後出る行動は?」
「恐らく、冒険者ギルドに苦情を入れて、賠償金をせしめる。」
「充分に獲れればそれで終わりもあるだろうが・・・」
「「「「それは無いなww」」」」
「なら、犯罪奴隷として売られて終わりだな?」
「「「「・・・・・」」」」
「「「「「南無~っ!」」」」」
「これは酷い。誰かポーションを!」
「で、これは一体?」
「襲われたから、返り討ちにした。」
「本当か?」
物凄い勢いで、衛兵の後ろに隠れ、コクコク頷き・・・
「「「「「ぼんどうです。ばやくろうやにいででぐだざい!!!」」」」」
「「「・・・・・」
「こいつ等の所持品はどうしました?」
「当然の権利として、全て没収させれ戴きました。」
「これから、そいつ等のギルドカードを冒険者ギルドに持っていって苦情を入れるところだ。」
「慰謝料が払えなかったら、即奴隷として売るから、ソコントコよろしく。」
「自業自得と諦めるしかないが・・・」
「よほどの怒りを買ったんだろうが・・・」
「これだけやって、未だ搾り取るとは・・・」
「「「恐ろしい奴。」」」
冒険者ギルドに行きカードを提示すると、副ギルド長が飛んできた。
「お宅に所属している莫迦5人組に命を狙われた。」
「何か証拠でも有りますかな?」
再び5枚のカードを出し、衛兵に5人を預けてある事を告げると・・・
「で、ギルドには、どの様な御用件ですかな?」
「この5人の支払い能力の有無を確認に来た。」
「支払い能力が無ければ犯罪奴隷として売り払い、当然ギルドに対して監督責任の追及をさせてもらう予定ですわ。」
「監督責任ですか?」
「当然だろう?所属はしていても関係ないとは言わさない。」
「そうですね。人を襲うような輩を監視もしないで、放置していると国中に振れ回ったら?」
「当然、責任者は解雇で済むでしょうか?」
「各国の冒険者ギルドに泥を塗ったんだ。生半可な事では済まないんじゃないのか?」
「それは、冒険者ギルドに対しての脅しですか?」
「純然たる事実だ。何故脅しとか言われなければならない?」
「それとも、脅される理由でもお持ちですか?」
微笑んではいるが、目が笑っていない・・・ この二人は本気でやるつもりだ。
「現在、ギルド長は、王都に向かっている途中で不在なので、戻り次第連絡を・・・」
「構わないが、5人が、犯罪奴隷に落ちるまでには連絡をしてくれよ?」
「もう取り調べは終わっていますから、近日中に結果も出るでしょうからねww」
「ギルドの行動が遅かったせいで犯罪奴隷になったとしたら・・・」
「各国のギルドと、所属している冒険者達は如何思うでしょうね?」
くるりと背を向け、冒険者ギルドから立ち去る二人を、複雑な表情で見送る副ギルド長がいた。