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エージェント  作者: Shion akiyama.
20/24

018 get back home.

あの後、王家や、他貴族からの仕官の話や、武術指南の依頼がウザかった。

本気と反則な道具を使わなければ、”たかが五日”では、実際大した成果は、期待できないに決まっている。

俺達をならず者扱いしてくる貴族もウザかったが・・・

ビーナをシャルナクの嫁にと言い出した国王バカには、謁見の間にひびが入るくらいの威圧をくれてやった。


「なんだ。俺を怒らせるために此処に呼んだのか? ならそうと早く言ってくれよ?」


謁見の間が小刻みに揺れている。威圧の効果で大気が震えているのだ。

誰も言葉を発しない。完全に威圧をレジストで来たのはビーナだけだ。


「お望みどおり壊滅させてやるぜ?」


指をパチンと鳴らす。と、外がいきなり暗くなり・・・

部屋から見える王家自慢の庭園に稲妻が走り爆音が轟く。

地面を大きく揺さぶられ、火の手が上がる。

更に、此処からは見えないが王城の周りに落雷の嵐が吹きすさむ。


「ホンの些細な戯れ事を・・・」

「教えたはずだ。責任ある立場の人間の言葉は軽くないと。」

「「「「「・・・」」」」」

「とりあえず、どれだけの失態をしたか、身をもって知ると良い。」

「「「「「・・・」」」」」


城の周りは気圧を操作して作り出した擬似スーパー・ノバにより夥しいほどの雨と風。

八方向に降り注いでいる雷撃で、オゾンの匂いと溶けたガラスの荒野の様な有様だ。

「貴様こんな事を・・・」

「「「死ねぇ~~!!!」」」

とりあえず、向かってきた連中を素手でタコ殴りにして・・・

「未だ理解わかっていないのですか?」

「俺が優しいからって、調子くれてんじゃねぇぞ?」

「「「「「・・・・・」」」」」『『『『『これの何処が優しいだって?』』』』』

「優しいだろう?そうじゃなければ、この部屋は血の海に沈んでいるぞ?」

「「「「「・・・」」」」」『『『『『充分血の海になってるよ??』』』』』

「それと、俺達が第五位階程度の魔法しか使えないと勘違いしてくれるなよ?」

「「「「「・・・・・」」」」」『『『『『マジか?』』』』』

「三ヶ月くらい嵐に見舞われてみるか?」



びしょ濡れの兵士が走ってくるなり・・・

「報告します!!! 城壁の内側のみで猛烈な雨と雷が・・・」

「城壁の中だけだと言うのか?」

「はい。城の外には雨粒一つ・・・」

「当然だ。未だ自重はしているからな?」

「「「「「・・・・・」」」」」『『『『『マジか?』』』』



そんな些細なお茶目をくれてから、帰路に着くまでの数日間、王城では、阿鼻叫喚の日々を過ごしていただいた。

王都では、国王が神仏に不興を買って、祟られたと実しやかに噂されていたが、俺の知った事ではない。

ただ、王都の傭兵ギルドと、冒険者ギルドでは”マサキという名の傭兵には近づくな”という、

魂の叫びのような”お触れ”が出ていたと旅の途中で聞いた。

あの場にいた貴族と偉そうにしていた連中から幸運値を9割り取り上げたのは言うまでもないだろう。

俺達がテティスに帰ることに一番喜んでいたのは王城の住人達だった。


面倒では有るが、付き合いというものもあるので、バギーに乗って移動していたのだ。

一緒にいて苦痛じゃない相手なら、適度な距離感で付き合うのは吝かではない。

俺もビーナも、見た目こそ十代だが、大人な対応くらいは出来なくもないのだ。







辺境の町テティスに一月ぶりに帰り着くと、季節が晩秋から初冬へと移っていた。

尤も、俺達は、更に南の砂漠を越えた洋上の空母に帰還するので、大して違いは無い。

もっと言えば、王都に着いてからは、夜は、こっちに帰ってきていたので、

移動している10日ほど、帰ってきていなかっただけだったりもする。

久々に、安っぽい作りになってしまった空母の広い浴場に行き、のんびりと湯につかる。

「ふう~っ。」部屋風呂も良いが、無駄に広い風呂は又違った気分を味わうことが出来た。




テティスの傭兵ギルドでは、責任者が報告をしていたようだが、一般参加なその他大勢は解散となる。

まぁ、傭兵達はちょっとした武勇伝を飲み仲間達にでも披露するのだろう。

平和が一番。世は事も無しと言ったところだ。


此処のところ、魔物駆除の数がギリギリだったので、明日からホンキ出す。





~傭兵ギルド長室~

「何ぃ~っ! 200からの暗殺者を10分足らずで全部捕らえた?」

「はぁ~っ! 500に上る犯罪者を奴隷商に売り飛ばした?」

「・・・! 謁見の間を血の海に沈めた?」

「”褒章額が安い!!”と言い放った?」

「!!! 嵐を呼んで王城を恐怖のどん底に叩き落した?」

「それは、全部真実か?」

「200人の討伐は、俺達だけでなく、冒険者の連中も見ている。」

「・・・・・」

「真実は、もっとエグイかも知れねえ。他の話は俺達が後でメイドから聞いた話になるからな?」

「直接お目通りが叶ったのか?」

「王様と直接会ったのは、褒章を戴く時だけだったが、其処で文句を言ったのは間違いない。」

「王様に向かって、「儲けた分の2割しか出さないとは、なかなか・・・・だな?」

とか、言いやがったからな?」

「・・・・・」

「アイツ等、怖い者無しだぞ?」

「見ている方がヒヤヒヤだったぜ?」




冒険者ギルドの酒場では、武勇伝を語る数人の冒険者と、羽振りの良い彼等から振舞われる酒を片手に、

話に聞き入る討伐メンバーから外れた冒険者達で賑わっていた。

「アイツ等が、強ぇのは聞いちゃいたが、話半分と思っていたら・・・」

「アイツは、マジで話の倍はヤバイぞ?」

「S級の殺し屋アイザックやら、A級の犯罪者共を・・・」

「有名どころを纏めて倒して、奴隷落ちさせちまいやがった。」

「分け前が増えてウハウハだぞ?」

「おかげで、借金を返して、装備を新調して、アイテムバッグを手に入れても・・・」

「おおよ。まだ2~3年分の飲み代くらいは残ったからな?」

「「「「「どれだけ豪遊してやがるんだ?」」」」」


「ベヒモス殺しは伊達じゃないな?」

「此処からがヤバイ話なんだが、お前等ビーナ嬢には、絶対に手を出すなよ?」

「美人だから・・・」

「バカヤロウ!!ビーナ嬢も半端無く強いが・・・マサキが激怒マジギレする。」

「「「「「・・・・・」」」」」

「国王相手に第五位階魔法だぞ?」

「王都を出るまでの数日間、落雷と豪雨で王城は地獄のようだったぞ?」

「「「「「・・・・・」」」」」

「国王相手に手加減してアレ・・だ。」

「命が幾つ有っても片っ端から斬られるぞ?」

「何人か顔の形が変った貴族もいたしな?」


「それって・・・」

「アイツ等に斬りかかって返り討ちにあったww」

「しかも、王城の謁見の間でだぞ?」

「剣を抜いての返り討ちだから、国王も他の貴族も何も言いようが無かった。」

「それが分かっているから、ここぞとばかりにww」

「オークに踏まれたゴブリンみたいに血の泡を吹いてピクピク痙攣してやがったなww」

「初めの一撃で決まっていたが、転ばせないように、10発は入れていたぞww」

「全く、胸のすく思い・・・ 無茶苦茶な野郎だぜ?」


「俺達が、王都から出る時には、何人かのミイラ男の軍団もいたぞ?」

「それもやっぱり貴族の?」

「「「「「いや、俺達を舐めていた王都の冒険者ギルドの馬鹿だww」」」」」

「見た目ばかりの奴等に、実践が日常の俺達が遅れを取る訳が無いだろう?」

「やたらと、体の調子が良くてな?」

「ちっと、やり過ぎちまったぞww」

「まぁ、傭兵ギルドの連中みたいに、病院送りにはしていない分手加減は出来たがなww」

「マサキさんにヤラれるよりは、数倍マシだった筈だなww」


「「「「「良いか? お前等、間違ってもマサキさんとビーナ嬢に手を出すなよ?」」」」」

「誰が喧嘩なんか売るかよ?」

「そんな命知らずなマヌケ野郎は・・・」

「へぇ~っ。 マサキってのはそんなに強ぇのか?」

「んっ? 見慣れない顔だな?」

「他所から来たのかい?」

「そんなとこだ。それよりも、そいつの話を・・・」

「そいつに勝てば、俺達がNo.1って事で良いのか?」

『『『『『居たよ・・・ 身の程知らずのマヌケ野郎がwww』』』』』

「間違いないなww アイツに勝てば、アンタ等がNo.1だぜ?」


「コイツは面白くなってきたなww」

「マサキってのを〆れば辺境最強かww」

「で、そいつは、何処に居やがるよ?」

「心配しなくても、東の草原に昼前には現れるはずだ。」

「何で傭兵が草原に来るんだよ?」

「冒険者ギルドから依頼で魔物討伐をしているからだろう?」

「なんでぇ。まともの傭兵じゃ無ぇのかよ・・・」

『『『『『大マヌケ キタ━━(☆∀☆)━━!!!』』』』』

「早速明日にでもww」

「町に着くなり面白くなってきたぜww」

「それじゃぁ準備でもするかww」

「お~っと、そいつの特徴を教えてくれよ?」

「アーティファクトの自走車で、結構な音をたてながらやって来る筈だ。」

「おう。あそこいらに行くのは、今は、あの二人位なもんだ。間違やしないぜ?ww」

「アーティファクトの自走車とやらも、イタダキ・・・・だなww」

「美味しい獲物が葱背負ってやって来るってか?」

「ケケケッ売れば、金になりそうだケケケケケッ。」


五人組の余所者冒険者は楽しそうに浮かれた帰って行った。

「これは、明日はギャラリーしに行くしかないなww」

「アレだけ煽ってやったんだ。気合見せてくれるに違いないww」

「秒殺に銅貨5枚!」

「俺も、秒殺に銅貨10枚!」

「俺は、秒殺に銅貨50枚だ!」

「当然。秒殺に銀貨1枚!」



「・・・ それじゃぁ賭けになんねぇよ?」







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