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エージェント  作者: Shion akiyama.
16/24

014 愚者は見たい幻想(ゆめ)を見る。

~第三王子との夜の会見から一部引用~


「何処の国にもある、王位継承をめぐる諍いですか?」

「誰に付けば損が無いか、誰を押せば貴族として有利な位置に立てるかを画策するのは、

貴族にとってのお仕事のようなものだしな?」


「兄弟で殺し合うほど王位ってのは魅力的なのかねぇ?」

「国政を担うのですから、遣り甲斐はあるでしょうが・・・。」

「面倒なだけだと思うんだが?」

「そうですね。風は正面からも吹きますからねww」

「むしろ、向かい風のほうが多いんじゃ無いのか?」

「自身の利害しか考えない者しか居なければ・・・」

「足の引っ張り合いにしかならない議会にしかならないな。」

「面倒ごとは兄弟に任せて、田舎でスローな人生を楽しんだ方が人生も愉しいのでは?」

「担ぐ神輿があるうちは、枕を高くして眠れない? 結局命は狙われる・・・か?」

「いやな世の中ですね。」




俺達との会見と、二日間の視察を終え、第三王子シャルナク達一行は、王都へと戻っていった。


が、予想通りに、王子の命を狙って襲撃が実行された。

スットゥングル伯爵領までの護衛を正式・・に依頼された俺達は、二日の間行動を共にする事になっている。


正式な依頼は、スットゥングル領までの魔物襲撃時・・・・・における討伐の依頼。

これは、冒険者ギルドと傭兵ギルドからの依頼で、総勢30名規模の案件だ。



第三王子が、国民の間で支持率が高く、時期国王にと、の声が多いと聞く。

それを、面白く思わない奴もそれなりに居て、利害関係が一致した集団が手を組んで襲撃してきたわけだ。


「人気者の王子が仕事で、王都から離れて魔物が多い土地に行く。」

「魔物に襲われる可能性が、無くはないよね?」

「そんで・・・ 襲われて死んじゃったけど、ソレは魔物のせいだよね?ってか?」

「お前達を巻き込んで、すまない・・・。」

「人気者は大変だね?」

「お前達だけなら、逃げ延びられるかも知れない。 行くが良い。」

庸「我々が受けた依頼は、確かに、依頼は魔物襲撃時・・・・・の護衛だが・・・。」

冒「俺達も冒険者ギルドが舐められているのは我慢できねぇぞ?」

傭「傭兵ギルドも、ソレについて同意する。」

「このくらい、斬っちまえば良いだろう?」

「いや・・・ 親衛隊の中にも裏切り者が・・・」

「別にかまわないさ。 どいつが裏切っているか解かるしww」


「で、どうする? 全部斬っても良いか?」

「・・・」

「全部生きたまま捕らえるか?」

「・・・出来るわけが・・・」

「出来ますよ?」

「!!」

「俺達は傭兵だぜ? 対人戦は108ある得意技の一つだ。」

「契約しますか?」

「褒賞は出す。金貨300枚で何とかしてくれるか?」

「褒賞はいらない。必要なのは成功報酬のみだ。」

「ならば、成功報酬は金貨300枚。依頼達成条件は奴等の無力化だ。」

「それは、全部斬り捨てろと解釈しても構わないのか?」

「任せる。」

「お任せ討伐任務を承りました。」

庸「一人頭、金貨10枚の仕事だ。」

冒「気合を入れて御守りしろ。」


「バラけて居るやつらは、俺達が引き受ける。」

「皆さんは、王子の護衛をお願いしますね?」

庸「たった二人じゃ・・・」

冒「いや・・・ 足手纏いは居ないほうが・・・。」

庸「俺たちゃ足手纏いだってか?」

冒「馬鹿野郎!アイツラの狩りを見たことが無いのか?」



「じゃあ、サクサク始めましょうか。」

「王子様は、チョッと離れていてくれよ?」


「アースピラー!!」

グラッ ズズズッ

王子を中心に半径25m程の広さの地面が30m程の高さの柱になった。

「その上なら良く見えるだろう?」

「シールド!!」

「それで、攻撃は通りません。」

「というわけで、高みの見物を楽しんでくれ。」

「「「「「・・・・・」」」」」




「第三の太陽!!!」

光と炎と風の融合属性魔法、酸素と魔素を媒介にして極小の太陽を一時的に作り出す。

天空に眩い光を放つ球体が現れ、夕闇を真昼の明るさがかき消した。


「200・・・ いや、もう少し多いか・・・」


「ビーナ?」

「はい。 既に敵首領と思われる者の特定は済んでいます。」

「加減は無用。あと、裏切り者は・・・」

「そいつ等は本隊に押し付けてやれ。面倒は少ないほうが良い。」

「自分の隊の不始末は、遣るべき人達がるべきDETH。」

「あとは、使うだけ使って、高く売れるようにww」

「キズは少なめで片付けましょう。」

「行くぞ?」


「速い!!」

「二人しか居ないはずなのに・・・」

「見る見る敵が減っていく・・・。」

「魔物狩りの時は、あんなものではなかったぞ?」

「・・・人間に出来る動きか?」

「魔法!」

「何だ・・・ あの二人・・・」

「アレが、災厄級をたった二人で仕留めた傭兵の実力・・・。」

「桁が・・・」

10分後には、敵は捕らえられた数人と、親衛隊と第二騎士団に斬り殺された二十数人しか確認できなかった。

「雑な戦い方だな。」

「極めて原始的な戦い方ですね。」

「力の強い者が勝つ世界か・・・。」

「簡単に制圧する事も出来そうですね。」

「面倒だからしないけどね?」




土柱を元に戻し・・・

「依頼完了で良いですね?」

ビーナは微笑みながら、第三王子に話しかけるが・・・

冒険者も傭兵達も呆けているようだ。

俺が目の前で2~3度手を振ると、ようやく意識が戻ってきたのか、返事をした。


「お前等は一体・・・」

「何処にでも居る傭兵。」

「何の変哲も無い傭兵。」

(((((居ないから・・・ 絶対に居ないから・・・)))))





事後処理は親衛隊に任せ、自分達に割り当てられたテントに戻り、寛いでいると・・・


第三王子が日課のように現れる・・・。


「襲ってきた奴等は?」

「それなら、マジックバッグの中。」

「殆ど全員殺したんだ・・・。」

「許可は得たはずだぞ?」

「騎士団も1/5が買収されていたなんて・・・。」

「殺しちゃったら、売れないでしょう?」

「でも・・・ マジックバッグに・・・」

「勘違いをしていないか?。 良いか? 完全時間停止のマジックバックには、何でも・・・入るんだぞ。」

「このマジックバッグには、どんなものでも入ると言っているのですよ。」

「?」

「生きている者の命の時間も止まっている。ソレは、生きていないと同義。」

「通常のマジックバッグとは、厳密な意味では、別物なのです。」

「?」

「時の牢獄って魔法を知っているか?」

「儀式魔法で封印の術?」

「まあ、その手の魔法で当っている。」

「じゃあ、そのマジックバッグは・・・」

「この、バッグ限定ではないぞ? 完全時間停止のバッグは、全部が封印術で創造つくられたバッグだ。」


「じゃぁ、マジックバッグというのは・・・」

「別料金を出してくれるなら、講義してもいいぞ?」

「金貨1000枚!!」

「安っすいな・・・ まあ良いか・・・。」


「まず、大前提として、マジックバッグには幾つかの種類がある。」

「・・・。」

「マジックバッグと呼ばれるモノは、空間圧縮固定の術、重量軽減の術、

最低、この二重構造の魔術が編み込まれた入れ物だ。 

更に付加価値をつけた、時間遅延の術等を組み込んだ物がある。常識として理解できているか?」

コクコク・・・

「それぞれの、出来によって、空間の大きさ、容量と、内容物の重さ、重量だな、

時間遅延、腐りにくさとでも考えるのが良いか? で、完成されるもののレベルの違いが出る。」

コクコクコクコク・・・

「空間が大きくても、重量軽減が未熟なら、使い物にはならない。

反対に重量軽減はレベルが高くても、空間が小さければ、大した意味は持たない。

どの術も、満遍なく高レベルな事が要求される。」

コクコクコクコクコクコクコクコク・・・

「まして、封印術は、何人もの魔術師が儀式で行う大規模な法術だ。

此処まで言えば、マジックバッグが何なのか理解できるだろう?」

・・・・・


「本物といえるのは、次元結界魔術、もしくは、次元封印魔術で作られた、魔術の集大成。

不死者などの不滅の魔物などを完全封印の出来る器。と言うのが、俺の知るマジックバッグだ。」

・・・・・


「こんなところでどうだ?」

「つまり、魔術を高位で使える者が複数人で作れば・・・」

「まあ、間違いではないな。作れる可能性が無い訳じゃない。」

「?」

「魔法は干渉するんだよ?」

「・・・それは・・・」

「火が水で消えるように、水が火で沸騰するように。」

「極めて繊細な調整を必要とします。」

・・・

「ある程度のものは作れるだろう。現に2立方メートル位のは売られているだろう?」

・・・

「此処で出回っているアイテムバッグは、

空間圧縮固定と、重力魔術の軽減だけが施された、言ってしまえば未熟な紛い物。

まあ、容量を確保して重さを軽減している訳だから、類似品認定はしてもいい。」

・・・

「だから、作れるか作れないかで聞かれれば、作れる。だが、その後に、かも知れないとか、

よぉ解からんけど。とかを付けなければ、偽りになる。」

「やっぱり、アイテムバッグや、アイテムボックスは人工では作れない・・・。」

「”高性能な”と付け加えるべきだな。」

「じゃぁ・・・お金は出します。それを譲ってはm・・・」

パサッ

「えっ?」

「持てるか?」

「えっ?」

「このバッグが持てるかと聞いている。」

王子が手を伸ばし、持ち上げようと試みるが・・・ 触れる事すら出来ない。


「マジックバッグから軽い電撃を受けたように感じる・・・。」

「そいつの名は、無限回廊。正真正銘のアーティファクト。俺にしか使う事が許されていない。」

「・・・」

「俺が死ねば、そいつも、この世から失われる。」

「・・・」

「そういう類のものだ。」

「それじゃぁ・・・・・」


「何故拘る?」

「えっ?」

「何故、マジックバッグを欲するかと聞いた。」

王子は、ポツポツと話し始める。


「守るため、 僕を支持する者達を守るため・・・」

「僕が次の王になることは無いでしょう。 今日のように露骨に命を狙ってくる事は少ないですが・・・」

「よくあるお家騒動か?」

「兄達は、僕を疎んじています。」

「・・・」

「暗殺者も何人も来ました。 運よく撃退できただけです。」

「・・・」

「それでも、僕を守るため命を落とすものが居ます。」

「・・・」

「今日も、3人が命を・・・。」


「僕は出来るなら、そんな人たちに死んで欲しくないのです。」

「・・・」

「充分な物資と小数でなら国から脱出も出来るかもしれません。」

「国はどうするんだ?」

「・・・それは・・・」

「お前を支持する民衆や、命を懸けて守った者。 そいつ等の思いは・・・ 願いはどうするんだ?」

「・・・僕には何も・・・」

「今日殉職した人達も犬死ですね。」

「でも・・・」



「出来る事が有るんじゃないか?」

「!」

「すご~~~く簡単な事だ。」

「今なら格安で引き受けてもらえますよ?」


「お二人で、兄達を暗殺するとでも・・・」

「俺達は傭兵。暗殺者ではない。が、傭兵の108の得意技の一つに、要人警護というのがあるww」

「そうですね、傭兵の108の得意技の一つに、短期集中格上げ講座というのもありますよww」

「それに、今日襲ってきた連中のうち半数くらいは、俺達・・が、狙いみたいだったからな?」

「・・・」

「捕まえた、こいつ等に吐かせ、二人と、その仲間を一掃するまでの間、護衛をしてやる。」

「その間に100人程度の刺客から、身を守る術を習得させて差し上げますわ。」

「出来るのか?」

「出来るのかじゃねぇ! やるんだよ。」

「これから先、一生後悔するようなトラウマを植えつけて・・・」

「眠るたびに、悪夢で魘される様な体験をプレゼントしてさしあげます。」


「そなた達に任せればいいのか・・・」

「お前達から、そなた達に格上げですか?」

「どうなんだ? 雇うのか雇わないのか?」

「雇う。雇います。一体幾ら・・・」

「金貨1020枚貰わなくちゃいけないからなぁ・・・」

「サービスでかまいませんよww」

「なにしろ今日襲ってきた連中の親玉を地獄に御招待してやら無いと気が済まねぇ。」

「そうです。魂に刻んでさしあげます。」

「だ、そうだ。ww」

「・・・・・」

(根に持つタイプの人間だった・・・。)



「じゃぁ、さしあたって、先ずは、これを飲め。」

小瓶を一つ差し出した。


「これは?」

「エリクシール。」

「状態異常を完全回復させるポーションです。」

「・・・そんな貴重なもの・・・」

「報酬を貰う前に死んでもらっては困るからな?」


ゴクリ・・・ 瞬間、淡く体が光る。

「・・・体が軽くなった・・・。」

「やっぱり盛られていたか。」

「そのようです。」


「そうなると何か適当な装備を・・・ ふむ・・・王子、そのピアスは大切なものか?」

「・・・叔父上から・・・」

「じゃぁ、右の耳の、そいつは外して、これと交換。」

「・・・」

「蒼いのが聖域、紅いのが応報。」

「ネーム・ド・ストーン?」

「状態異常完全無効と物理理力反射のピアスだ。」

「それは・・・ 規格外な・・・。」


「保護はこれで良いとして・・・ その剣見せてくれないか?」

「どうぞ・・・。」


スチャッ ジィ~ッ・・・


「「なまくら」」だな。(ですね。)

「王家の宝剣・・なの・・だが・・・。」

このくらいの長さの刀だと・・・ こいつが良いか・・・

「暫く、こいつを貸してやる。」


細身の剣を手渡された。スチャッ 見事な波紋の片刃の剣。


「美しい・・・。」

「銘は、飛燕。」

「・・・」

「この松明を斬ってみろ。」

「この様な細身の剣で松明が・・・」

「良いからやれ!」

「・・・折れても知りませんよ?」


促され、仕方なく剣を振る・・・ スパパァ~~~~ン


「な・・・何の抵抗も無く・・・」

「そいつを折るのは、かなり難しいぞ?」

「魔力を注げば、風の刃が目標を斬り裂きますよ。」

「魔剣・・・。」

「そいつなら、敵が間合いを計れない。 一方的に攻撃が出来るだろう?」

「・・・・・」


「どうして、会ったばかりの僕に・・・」

「嘘が無かったからだな。」

「・・・・・」

「これを左耳のピアスと交換しろ。」

「お二人のピアスと同じ?」

「銘は、地獄の蓋。偽りを暴き真実の声を聞く、集中すれば、かなり遠くの声まで聞こえる。」


「しかしこれだけのの魔具を常時発動では・・・」

「魔力、減っているか?」

「全部、魔素から変換された魔力で動く自立式魔道具ですよ。」

魔力要らずで状態異常無効、物理理力無効、自動迎撃、偽心看破に気配察知・・・

「王宮の宝物庫にも、これ程異常なものは無いです・・・。」

「もう少し話すか?」『今日はこれくらいにして、もう寝ろ。明日も早い。』

「こう、聞こえるのですか・・・ わかりました。今日は休ませて頂きます。」

「良い子だ。それで良い。」



『僕の方が年上だと思うのだが・・・。』







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