009-B 遥&彼方
「ここは良い国ね・・・」
「言われた程、魔物は多くないしww」
「お馬鹿な王族が、領地拡大を目指しているわけでもないしね?」
「何より部屋が快適で、食事が美味しいのが最高ね?」
「ソレは違うと思うんだけど?」
「あら? 彼方は食事や宿に不満があるの?」
「遥・・・ 僕達この国に食事、まともに食べた事ないよ?」
「そういえば・・・ そんな気が・・・。」
「住んでいるところだって、この国のものじゃないし・・・。」
「そう言われると・・・ そんな気がするわ。」
「・・・。」
「でも、概、許容範囲かしら?」
「まあ、衣食住が満たされていると、人は寛容になるんだよ?」
「ただ、宗教は厄介かも・・・」
「金キラの服を着て、町の中心地に教会を建てて・・・」
「冒険者ギルドにも影響力があるみたいだしね?」
「薬草は殆どが教会に買われるみたいね・・・」
「医療関係を抑えて・・・」
「どこかの世界の亡者の集団を思い出すわ。」
「「・・・」」
「此処で、教育は難易度が高いわね・・・」
「教会に関わる学校しかないし・・・」
「西にあるっていう学園都市に向かいましょうか?」
「でも、あっちは魔物がもっと少ないって言ってなかった?」
「魔物が適度に居て、教会の影響力の少ない町が動き易いのだけど・・・」
「そんな都合の良い町が有ると良いね。」
「その為に、もう少し、軍資金を貯めて・・・」
「サッサと移動しますかww」
適度に魔物や害獣を討伐しつつ、資金を貯める二人だった。
剣豪の称号のおかげで、腕自慢に絡まれたり、貴族に仕官を求められたりしたが・・・
思し召しだの、使命だのと言って絡んでくる教会が一番、性質が悪かった。
少しズレている。二人だった。
その日のハルカとカナタは焦っていた。
資金調達の為、朝から二人で狩りに出ていたのだが・・・
「ハルカ・・・ 超音速で飛行する何かが、近づいてくる。」
「ええ・・・ これって、飛竜みたいな・・・ そんな感じじゃないわね?」
「音速越えのドラゴンなんか・・・ この世界には居るのか?」
「大きさは20mくらいかしら?」
「飛竜にしては大きいし、なにより、早すぎる!」
「「えっ!?」」
二人はは、そこに違和感しか感じない飛行物体を視界に中に捕らえた。
「飛行機!?」
「古い映画で見たことあるよ・・・ たぶんアレ・・・ F-14。だと思う。」
「飛行機よね?」
「飛行機だけどさ・・・」
「合ってるじゃない。」
「合ってるけどさ・・・」
「私達以外にも・・・」
「うん。来てるね。」
「仲間を探しているのかしら?」
「それは・・・ なんとも・・・」
「”俺、強ぇえ”系の人だったら関わりたくないわね・・・」
「いや、自重を知らない系の人なんじゃないかな・・・」
「「・・・・・」」
「うん。向こうから近づいてこない限り・・・」
「見なかった事にしておきましょう。」
二人は、取り敢えず、積極的には関わらない事にした。
「でも一回くらい乗せて欲しいかもww」
「・・・あれ、ジェットコースターよりスピード出るんだぞ?」
「大丈夫よ。 新幹線怖くないもん。」
「・・・・・」
お気楽な、二人だった。
新人冒険者のお仕事をこなしつつ、比較的の沢山居るゴブリン、狼類、を、狩っていく。
オークは高く引き取ってくれるので、二人は見つけ次第KEEPしていった。
「でも・・・ これだけやって、レベルが上がらないのは楽しくないね?」
「フェイクボードの方が提示される世界だから、しょうがないんじゃない?」
「スキル熟練度は増えているけど、レベルは一応限界レベルだしね・・・」
「限界突破のアイテム類でも使ってみようかな・・・。」
「何かあったかしら?」
「マジックコインとか、色々あるけど?」
「レアだったからって、取っておいた奴ね。」
「レベルを20%上昇させるコインや、魔力を20%上昇させるコイン。
力を20%上昇させるコインに、年齢を5歳撒き戻すコイン。」
「それは、もう少し・・・ 限界を感じるようなら・・・」
「そう言って、結局最後まで使う事のない人だった・・・。」
「少なくとも、年齢のコインは当分必要ないでしょう?」
「今使ったら、子供になっちゃうよ。」
貧乏性な、二人だった。