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夢小説が、殺しにくる!?  作者: ササユリ ナツナ
第二章 中学生編
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精霊4匹、人5人



「つーか、普通に流しちまったけど、なんで今日は街に行っちゃダメなんだ?」


 朝食の席で、ユウがベーコンをつつきながら、ふと疑問符を浮かべた。


「普通に考えれば……今日、フィカスが……街で何かをやっているんだろうな」


 マグは、目玉焼きの卵の黄身を潰さないように、先に白身から攻略している。


「フィカスのような人間は……頭の中で完璧な設計図が出来上がってしまい……それを人に細部まで伝えずに満足する……タイプだ。自分が理解できていることは……他人も理解していると……勝手に思い込んでしまう。できる人間ほど……そういう状態に陥りやすい……だから次からは……気になったことはちゃんと聞いた方がいい」


「マグ様は人間観察に優れていらっしゃるのですね…!」


 ルグレイが、感銘を受けている。


「別に……普通だ」


 マグはふいっと視線をそらしながら言う。


「今朝ユウ様と手合わせをさせていただいたのですが、ユウ様も、まるで歴戦の経験を積んだ勇士であるかのごとき身のこなしで、私は驚いてばかりでした。やはりお二人は、私にとっては凄い方です」


「あー…朝っぱらから話すことじゃねーけど、ルグレイ、俺らの事情はさ…」


 ユウはルグレイに、自分たちの呪いのことや、故郷のことを話し始めた。

 最初は驚いてばかりのルグレイも、ジェルミナールの名が出ると、表情をこわばらせる。


「そう…ですか、そんなことが…。現在のジェルミナールは、反逆者は即座に切り捨てられますから、そのような呪いのことは、少なくとも一介の騎士である私の耳には届いておりませんでした。ひょっとすると、遺伝の際に能力が上がることに気づいて、廃止になったのかもしれませんね。言いづらい話をさせてしまい、申し訳ありませんでした。ですが…」


 ルグレイは、続きを言おうかどうしようか、悩むような間を開けたが、結局口を開くことにしたようだ。


「ですが、こうしてユウ様たちの事情を知っていけて、嬉しく思ってしまいました。身内だと、受け入れてもらったかのようで…」


 そこまで言うと、ルグレイは顔を赤らめた。


「馬鹿だなルグレイ、そんなのとっくにそうだろ?」


 ユウはその様子を、からっと笑い飛ばす。


「! はい、ありがとうございます…! これからもお役に立てるように精進してまいります…!」


「だあああ、どこが身内の態度なんだよ、ガチガチじゃねーかよ…!!」


「ぷいぃいっ、苦しゅうないですよ!」


 ユウとアンタローの言葉に、みんなで笑い声をあげた。


「よし……まだ生活のペースがつかめていない……ユウ、洗濯をするぞ、手伝え……ルグレイ、今日の所は……食器の片づけは任せる」


 マグが立ち上がると、ユウは「えーー」とめんどくさそうだ。


「何と言いますか、自分の力で生活をするだけで、結構修行になりますね。こんなに大変とは思ってもみませんでした」


 ルグレイは実感を込めて言いながら、立ち上がって食器を片付け始める。


「ぷいぃいいっ、ルグレイさん、では先輩のボクが、応援をしてあげますねっ」


 アンタローが、珍しくルグレイの頭の上に、テンテンと登っていく。

 ルグレイは、初めての感触にくすぐったそうにしながら、「ありがとございます、アンタロー様」と言った。


「あ、そういえばアンタロー様、昨日、買い物をしたときに、何故か瓶入りの飴を貰えたのです、一粒いかがですか?」


「ぷいぃいいっ♪ ルグレイさんは先輩の敬い方をよくわかっていますね、気に入りました!」


「あ、じゃあ、わたしは、お野菜、育ててくるね!」


 私もパッと立ち上がり、庭の方へと出て行く。


「いい天気ーー…!」


 扉を開けて、空を見上げる。

 晴れというだけで、なんだか体が軽かった。



-------------------------------------------



 昨日はあのまま眠ってしまったが、どうやら月明かりを浴びるだけで、魔力の補充は無事にできていたらしい。

 昨日と同じように、私の魔力を使ってあづさに植物を生やしてもらったが、充足感が減ることはなかった。


 あ、これならひょっとして、植物の気持ちがわかる魔法を、試せるのでは?


 私は試しにルビーオレンジの木の前に行き、祈りの形に指を組む。

 ついでなので、原文を読む魔法と同じように、呪文を唱えなくても発動するかどうかの検証もやってみよう。


 ぎゅっと目をつむり、心の中で、強く念じてみる。

 植物の気持ちがわかる魔法、来い来い来い、発動しろーーーっ!


 ふ、と、魔力消費時の、力が抜ける感じが来た。

 きた! と思って、目を開けてみる。


「……わ!?」


 目の前の光景に驚いてしまった。

 なんだか、明らかに植物ではない感じの、オレンジ色のつぶつぶした小さなものたちが、ふわふわと空気中に漂っているのが、いきなり見えた。


「え…なにこれ?? さっきまで、なかったよね?」


 思わず独り言を発してしまう。

 すると、バタンと屋敷の扉が内側から空いて、洗濯物を抱えたマグと、洗濯桶をめんどくさそうに持っているユウが出てきた。


 そちらの方を見ても、オレンジ色のつぶつぶが、あらゆる場所に漂っているのが見えた。


「おー、ツナ、大丈夫そうだな、収穫は俺らがやるから、あとはじっとしてるんだぞ?」


 ユウは、野菜の方をちらりと見ながら、水汲みポンプの方へと足を運んでいる。

 私は、「うん…」と気のない返事をしてしまいながら、ユウとマグの方へ行ってみる。

 オレンジのつぶつぶは、宙を漂いながら、私の動きに合わせて、風に流されるままふわふわとしている。


 おかしいな、植物の気持ちがわかる魔法を作ってみたはずなんだけど…。


「しばらく、見てていい?」


 ユウとマグに言うと、「見ても楽しくも何ともねーぞ」という返事が返ってきたが、追い返されたりはしなかった。

 お洗濯するときのシャボンの匂いって、好きなんだよね。


 少し前かがみになって、お洗濯をじっと眺めていると、ふと、耳に届く声がある。

 ……ん?

 と見渡してみるが、先程と同じように、オレンジのつぶつぶが漂っているだけだ。


 ……?

 あ、ちがう!!

 なんか、このつぶつぶ、喋ってる!!?


 意識を集中してみると、ちゃんとユウとマグのお喋りに混じって、別の声が聞こえる!

 なんだろう。

 ちょっとドキドキしながら、耳を澄ませてみる。


「わーー」「ワーー」「キャーイ」


 そのつぶつぶたちは、甲高い声を上げながら漂っていた。

 しかも、じっと目を凝らしてみると、点々の目と、ちっちゃい口があるのがわかった。

 えーー、ちょっとかわいい…?

 しかし、これ、なんだろう?


 ユウとマグの前なので、話しかけるわけにもいかず、しばらく耳を澄ませてオレンジのつぶつぶを観察してみる。

 すると、なんと、会話をし始めた。


「おはよー!」「オハヨー、今日も花粉日和だよー!」「飛びまくるぞー!」「ワーーイ!」「受粉するぜー!」


 !!?


「うわーーっ、また人間の鼻に吸い込まれちゃうぜー!」「衣服にもついちゃう、ついちゃうよーっ」「タスケテ…タスケテ…!」


 まさかの花粉かよ!!!

 なにこの、世界一いらないファンタジー!!

 確かに、植物の一部には違いないけど…!!

 花粉の気持ちが分かったところで不快感しかないわ!!!


 これはひょっとして、魔法、失敗しちゃったってこと!?


 そうか、失敗なんてものがあるのか…。

 やっぱりある程度の緊張感と、きっちりとしたビジョンをもってやらないとダメなんだ…。

 となると、最近考えていた、攻撃魔法が使えないフェザールでも攻撃に参加する方法、も無理かもしれない。


 私が考えていたのは、「24時間相手の背後から首を狙い続ける謎の生き物」とか「煮えた油を敵にかけ続けるゴーレム」とか「バリスタの装填をひたすらし続けるだけの存在と発射ボタンをひたすら押し続けるだけの存在によるバリスタブラザーズ」とかを創造魔法で生み出せば、私でも役に立てるのではないかという計画だったんだけど…。

 しかしこの、謎の生き物っていう、まったくイメージできない存在を出そうとするのはやめた方がいいかもしれない。

 たぶん失敗して、出来立て熱々のコーヒーをユウにかけ続ける謎の生き物とかが誕生しそうな気がする。


 そういえば、そもそもシールドを出そうとしても、まともなシールドが出たことが一回もなかったっけ。

 うぐぐ、やはり私は絵を描くのが下手だから、空間把握能力とか、造形観察力とかが人並み以下ということなのだろうか…!


 だったらパっと思いつく生き物を出せばいいんだろうけど、「嬉しそうに尻尾を振りながら執拗に相手の喉首を食いちぎるポメラニアン」とか「甘えた声を出しながら敵の眼球をえぐりたくて仕方がないアメリカンショートヘア」とかしか思いつかないな…。

 無理だよ、あんなかわいい動物たちに、そんな残酷なことやらせられないよ!!

 よし、もうこの手段は諦めよう。

 そもそも、生物を創造できるかどうかも怪しいしね。


 いや、それよりも、まずはこの花粉が見える現状を何とかしないと…!

 思わず逃避してしまっていた。

 どうしよう、これ…。


「ツナ……どうかしたのか……?」


 マグが、あわあわしている私を、心配そうに見てくる。

 私はマグの周囲を漂っているのが花粉とわかった瞬間に、何とも言えない気持ちでいっぱいになってしまう。


「あ、の、なんでもない…なにか、手伝うこと、ある?」


「大丈夫だって、ツナは大人しく見てろって!」


 ユウは、マグが石鹸で洗った洗濯物を、水で流す係だ。

 パンパンと洗濯物を振って水気を飛ばしていっているが、オレンジのつぶつぶたちが、その水飛沫にやられて「ワー」と撃沈して行ったり、それどころか洗濯物の表面に、つぶつぶたちがどんどんとくっついていくのが、気になって気になって仕方がない。


「そっか…! わたし、ちょっと、リビングで休んでくるね!」


 二人の返事も聞かずに、パッと駆け出す。

 そして、屋敷の中にも、外程ひどくはないが、そこそこの量の花粉がふわふわと漂っていることに絶望した。


 なにこれ、知りたくなかったんだけど!!?


 私は、ソファーに飛び込むようにして、頭から埋まる。

 このオレンジのつぶつぶが見えなくなるまで、30分くらいかかった。

 長い長い、30分だった。



-------------------------------------------



 今更の話だが、自活をすると、一日の大半が家事でつぶれていく感じがする。

 私はお昼御飯や晩御飯を作っているだけなのに、早くもその感覚が来た。

 一人暮らしだったら手を抜けるんだけどなー、みんなが食べる料理だと思うと、すごく気合を入れてしまう。

 しかもひどいことに、私が作る料理は、菜食の私自身はあまり食べられない。

 余計に、他の人が食べる料理を作っている、という責任感が来るのだ。


「ニヴォゼに慣れてきたら……街で軽食を買って帰るとか……外食をしに行く……とかもやろうな」


 お昼ご飯の時、マグはすぐに私の心の負担を察知して、そう切り出してくれた。


「えー、俺はもっとツナの飯食いたいけどなああ」


 一方でユウのこの言葉も、個人的には嬉しくはある。


「私としては、いろんな味わいを得られるという意味では、街の料理を食べに行くというのは賛成です」


 ルグレイのこの言葉に、私も大賛成だ。(ポエムに書かれたくない意味で)


「前にね、野営の時にマグが、何でも煮たら食べられるようになるって言ってたから、わたし、たぶん煮物に偏っちゃうと思うの。だから、街に食べに行くっていうのは、わたしも賛成だよ…!」


 実際、私のレパートリーは煮物が多いので、一応そう主張しておいた。

 そしてニヴォゼが扱っているのは大体が鶏肉なので、レパートリーが尽きる日も近い。

 ユウも、「そういうことなら」と納得してくれた。



 夕方、晩御飯の下ごしらえを済ませていると、フィカスがやってきた。

 いつも同じ時間に来れない辺りが、本当に忙しいんだなーと感じられる。


「お前たち、ちょうど外で、あづさが呼んでいるぞ」


「えっ、ちょっと待ってね…!」


 私はルグレイに頼んで、鶏肉と野菜の乗った鉄板を、火を入れた石窯に入れてもらう。

 そして懐中時計を持っているマグに、30分経ったら教えて欲しいと告げて、みんなで庭に出て行った。


 庭に出ると、薪割り用の斧を肩に担いで、アンタローを頭に乗せているユウと、黒馬を連れたフィカスが居る前で、あづさの隣の地面が、もももっと盛り上がっているところだった。


   ポコンッ、ポコンッ!


 あづさが出てきたときと同じように、地面から、二匹のアンタローもどきが出てきた。

 片方は、砂色の体に、土でできた一本角が額に生えている。

 もう片方は、ほとんど半透明ともいえる水色の、まさにスライム、といった風情の丸い物体で、ポヨヨンとしている。

 つぶらな瞳だけは、二匹とも同じだった。


「二人とも、よく来てくださいましたね…」


 あづさが歓迎すると、スライムみたいな方は、コクンと頷くだけだったが、土っぽいほうは、キーキーと甲高い声を出した。


「まったくよ! 皆のアイドル、あずみちゃんを独り占めなんて、あづさお姉ちゃんにしか許されない行為なんだからね! 安心してよ、このあずみちゃんが来たからには、満足のいく結果を出して見せるんだから!」


 土っぽい方は、ぴょこんと跳ねた。

 あづさは、私たちの方に向き直る。


「みなさん、この騒がしい方が、土偶沢あずみです。そして、こちらの恥ずかしがり屋さんは、水流ヶ崎あまつぶ。少し生意気なことを言うかもしれませんが、今回の招集は快諾してのことですから、ご安心くださいましね…」


 あづさの紹介を受けて、私たちは新顔二人へと、口々に名乗りを上げた。


「…で、最後に俺が、フィカスだ。土系の魔法は俺の担当ということだから、あずみは俺とタッグを組むわけだな。よろしく頼む」


「やだ~~、いい男じゃない!」


 フィカスはゴーグルをつけているので、顔の全体像は見えないはずだが、あずみは気に入ったようだ。


「あ…そうですね、私も、あまつぶ様とご一緒させていただくことになります、よろしくお願いします」


 ルグレイはきちっとした騎士の礼を向けると、あまつぶはほんのりとピンク色に身体を染め、こくりと頷いた。


「ホホホ…仲睦まじくやっていけそうですね、安心しました…やはり愛称というものがありますからね」


 あづさはほっと一息ついた。


「緑化の決行は、明日の…今と同じくらいの時間になるが、現地への移動は昼過ぎ辺りから始める予定だ。全員、そのつもりで居てくれ」


 フィカスが面々の顔を見渡しながら言う。

 私たちは、了解だと頷いた。


「このあずみちゃんとたっぷり会話をするチャンスをあげたいところだけど、チョット前もって砂漠の方の地形を把握する必要があるわね、明日まで潜ってるから、急用があったら呼びなさいよね! それじゃ!」


 あずみはそうまくし立てると、もこっと体を土の半分ほど埋めた。

 一本角だけが、土から生えているという、シュールな状態になっている。


「………」


 あまつぶの方も、ぷるると体を揺らした後、スス、スススと、あずみと同じように体を半分ほど地面に埋めていく。


「あまつぶは、地下水の様子を見てくる、ということですわ…」


 あづさが通訳してくれた。


「順調にいきそうだな、よかった。ではナっちゃん、夕餉の準備をしてくれ」


 フィカスは横柄にそう言うと、黒馬を連れて、厩舎の方へと歩いて行く。


「あ、俺も薪割りの途中なんだった、すまん、皿出しとか手伝えそうにねーや!」


 ユウはサッサと続きをやりに行く。


「ツナ……20分くらい……経っている」


「あ、そうか、様子を見に行かないと!」


 マグの言葉に、私は慌ててキッチンの方へと走っていく。

 ルグレイも「手伝います」と来てくれた。



 今日の晩御飯は、鶏肉の香草焼きだ。

 膜にするようにオリーブオイルをたっぷりとかけて、塩コショウした野菜と一緒に焼くだけの簡単なものだが、下ごしらえでお酒に浸した後、旨味成分のカツオダシを隠し味でたっぷり揉み込んである。

 仕上げに追い塩コショウとバジルをかければ味付けは完成だ。

 魔法は油断すると失敗するとわかったので、物凄く慎重にカツオダシ生成魔法を使った。

 カツオダシ生成魔法……。

 改めて思うと、なんだか間抜けだ。


 付け合わせは、ベーコンとクズ野菜のコンソメスープだが、コンソメキューブ生成魔法様様の、いいお味になった。

 隠し味にお醤油をちょっと垂らすと私好みの味になる。

 決して私の実力ではない、美味しいご飯が今日も出来上がる。

 たぶん私、今までで一番魔法使ってるよ、これ。


「今日のも美味いな…。なんだ? 初めて食う料理じゃないはずなんだが…」


 フィカスは不思議そうに、切り分けた鶏肉を次々と口に運んでいく。

 よかった、気に入ってくれたみたいだ。

 本当はニンニクとかも使った方がいいんだろうけど、私はニンニクが苦手なので使えないんだよね。

 そう考えると、料理って、好き嫌いがない人が作ったほうが、栄養バランスが取れるんだろうなー…。


「しかし、あれだけ下ごしらえに時間をかけていたのですから、私にとっては納得の味です」


 ルグレイが言うと、マグが頷く。


「ツナの料理は美味いが……時間がかかるのが難点だな……他に予定がある日は……オレがさっと作ったほうがよさそうだ……。フィカス……明日は昼食後に出発……と考えればいいのか?」


「ああ、そうだ。何なら明日の昼食は、料理長にまた弁当でも作らせるか。そのほうが効率がよさそうだ」


 マグは、「そうだな」と頷いて、明日の予定が着々と決まっていく。


「ナっちゃんもルグレイも、今日は余計なことはせず、魔力を溜めておけよ。その辺りは他人が手助けできないことだからな」


 私たちは、深刻な顔で頷いた。

 いよいよ明日と思うと、若干緊張してくる。


 今日は早めに寝ようということで、夕食後にフィカスを見送った後は、バタバタとした時間が過ぎていく。

 私は月明かりの下で翼を広げて魔力をため込み、明日の準備をする。

 まさに、明日は満月、という感じの空だった。




<つづく>



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