オーロラ祭り
次の日になると、私はすっかり体調が戻っていた。
朝ご飯も食べられそうということで、1階に降りて朝食タイムだ。
「ユウ、昨日、町長さんはなんて言ってたの?」
私はサラダをつつきながら、ユウに問いかける。
「いや、それが…」
ユウが言いにくそうに、一度言葉を切った後、話を続けた。
「俺らは街を救った英雄なんだってさ…」
「…ええ?」
私が思わず聞き返すと、マグが思案気に、スープにパンを浸しながら、呟く。
「そうか……ただ目の前のことを……片付けただけだったが……そうなるのか」
「だよな。俺もそんくらいの感覚だったし、ツナを大勢に見られるわけにもいかねーしで、あんまり大袈裟にしないでくれっていう謎の交渉をひたすらやってきたな」
「交渉しなかったら、どうなる感じだったの?」
「結構祭り好きの町長でさ、俺らを胴上げして街を練り歩くとか言い出した時にはもう…」
「それは……ツナのことがなかったとしても……オレは絶対にやらん」
「そ、そうだね、それはわたしもちょっと、困るかも」
しかし無表情で胴上げされているマグも、ちょっと見てみたい気はする。
そんなことをこっそりと思っていると、ユウが続ける。
「ティムの口添えもあったらしくって、どうしても礼がしたいっていうんで、とりあえず当面の宿代と食事代をタダにしてもらったのと、あと報奨金的な1万エーンを貰ったくらいで収まったよ…。たぶん、観光客に逃げられないように、口留め料も兼ねてるんだろうな。ま、これで今回は観光に集中できる感じだなー」
あ、まだ上限が1万エーンなんだねこの世界…。
私も中学生になったんだから、5万エーンくらいにしようよ!【注1】
それでも安いとは思うけど…!
「オーロラ祭りは……予定通り……行われそうなのか……?」
「ああ、そこは大丈夫みたいだ。ツナ、いよいよ明日だぜ! よかったな!」
「ほんと!? うわあ、楽しみ! どんなお祭りなの?」
「そりゃヒミツに決まってんだろ? 今からネタバレされたら楽しみが減るだろうしさ」
ユウが勿体つけるように言うので、私はとてもそわそわとした。
「となるとツナ……今日は宿で大人しくしとこうな……明日を万全を期して迎えるために……今日は我慢だ」
「ツナ、今日は祭りの準備で街が忙しない感じになりそうなんだってさ。観光客も今がピークだし、今日はみんなで宿に籠ろうぜ! 一日中部屋で過ごすなんてのも、旅してるとなかなかできないからさ、たまにはいいだろ?」
マグもユウも、私を言い聞かせるような物言いだ。
私はしぶしぶ頷いた。
「ン……そうだね。ユウ、マグ、怪我の具合はどうなの?」
「心配するな……いい薬草を塗ったし……今日には完治する……既に痛みもほとんどない」
「そっか、よかった…」
私は安心したように息をつくと、アンタローの分のパンを、紙ナフキンで包んでいく。
「そうだ、せっかくだから昼飯も部屋で食うか、ちょっくらサンドイッチでも注文してくるな!」
そう言ってユウは立ち上がり、宿のフロントの方へと歩き出した。
「わあ、部屋の中でピクニックみたいで、楽しそうだね!」
興奮したように私が言うと、マグは微笑ましいものを見る目で、「そうだな」と頷いた。
「少し気は早いが……次に行く街のことも……話し合う時間が必要だし……ちょうどよかった」
「そっか…。まだまだ、たくさん、一緒に居られるもんね…!」
本当は、ずっと一緒に、と言いたかったが、否定をされるのが怖いので、あえて避けた。
「……そうだな。たくさん、一緒だ……」
そういうマグの表情には、いろんな感情が見え隠れしていて、私には、マグがどう思っているのか、把握することはできなかった
そうして今日は一日、宿でトランプゲームなどをして過ごした。
ちょっと修学旅行のノリで、ヤンチャをするアンタローに困らされつつも、すごく楽しかった。
一番強いのはやはりポーカーフェイスの上手なマグで、引きの弱いユウはほとんど最下位だった。
アンタローは、最初は私と組んでいたのだが、ユウがあまりにも勝てずに拗ね始めたので、アンタローはユウのカード引き係として大活躍し、そこからはユウもちょこちょこと勝てるようになって、いい勝負ができた。
外に出られなかったのは残念だったが、これはこれですごく楽しめたので、前にマグが言っていた、家を持つということに、少し思いを馳せてみたりもした。
その時は、私が料理を作ろうっと。
私はピーラー派で、包丁を使うのは怖いので、お野菜とかはマグに切ってもらおう。
失敗したら、アンタローに食べてもらったりね。
それとも、ちょっとくらい料理を失敗しても、ユウは美味しいと言って食べてくれたりするのかな。
力仕事はできないから、薪割りとか、水汲みとかは、ユウとマグに頼るしかないのかも。
慣れてきたら、拠点を中心に、たまに冒険に出たりね。
あー、なんだろ、そういう生活も、わくわくするかも!
隙間時間にそういう想像をして、私はにこにこと緩い顔で一日過ごし、上機嫌で眠りについた。
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「うわーー、街が、全然違う!」
どうやら夜は雪が降ってきていたらしく、街は軽い雪化粧でおめかしをしていた。
しかしそれよりも、街全体がお祭りの飾りつけで、まだ午前中なのに、いたるところに屋台が出て、人がワイワイと行き来している。
緑をつける気配のない街路樹には、色とりどりのリボンが結び付けてあり、まるで花が咲いているかのようだった。
私はきちんとキャスケット帽を被り、ミトン手袋をして、コートも着ている、完全防備だ。
「オーロラ祭りって、てっきり夜にやるのかと思ってた!」
私は興奮しながら二人を振り返ると、ユウはアンタロー帽子を頭に乗せたまま、悪戯が成功したときの顔で、ニっと笑った。
「へへっ、だろ? 街中が、夜になるまでお祭りムードなんだってさ。さすがにオーロラが主役だから花火はやらねーみたいだけど、ツナは気にいると思った」
「あ…花火のこと、覚えててくれたんだ…?」
「当ったり前だろー、俺はどうでもいいことは忘れるが、大事なことはちゃんと覚えてるんだぜ?」
ユウが腰に手を当てて、胸を張ってそう言う横で、マグがずいっと前に出てきた。
「花火はまた今度……一緒にやろうな……。ツナ、今日は……たくさん遊んでいいからな……報奨金もあるんだから」
「う、うん…。でも…」
私は顔を赤くして、もじもじしながら俯いた。
「ツナ……?」
「でも、家を買うお金が、無くなったら嫌だから!」
早口でまくし立てると、二人の反応を見るのが恥ずかしかったので、パっと屋台の方へと駆け出した。
わーー、言っちゃった言っちゃった!
「あ、おいツナ、はぐれるって!」
ユウが慌てて追いかけてくる。
私は口元に手を当てて笑いを抑えながら、ユウに手を掴まれるまで、屋台通りを駆け抜けていった。
「雪国なのに、花があるんだね?」
私は屋台の一つの前で足を止め、二人の方を窺う。
ユウはイカ焼きの串を頬張りながら、「ほんとだな」と驚いていた。
「あれは……雪水晶の花だな……こういう場所でしか育たない……フリメールの特産品だ。……寒い間は……ずっと枯れないらしい。夜に淡く光るらしいから……おそらく魔力を有しているんだろう」
私はマグの説明に、「へええ」と物珍しげに唸りながら花を見る。
まるで、オパールを削って作られたような、七色の花だった。
「別名で……オーロラ草……というらしい。ツナ、気に入ったのか……買うか?」
「…ううん、見るだけでいいよ、旅に持っていったら、枯れちゃうから…。花が枯れるのを見るのは、ちょっと苦手なんだ。当たり前のことなのに、すごく残酷に感じる時があるから」
「……そうか……残酷だとは……感じたことはなかったが……少しわかる気がする」
マグは改めて、雪水晶の花を見直した。
「おっ、だったらツナ、あっちの屋台は? 香りを売ってるんだってさ」
「えっ、なになに!」
ユウの言葉に、示された方へと目を向ける。
「うわあ、アロマ屋さんなんてあるんだ!」
そこは香水から、お香まで、様々な香りの名が書かれたラベルが並んでいた。
虹・波・朝露・月・空・雨…など、普通では考えられないような名前のラベルも並んでいる。
私は目を輝かせて、特に香水瓶に釘付けになった。
「ツナ……買うか……?」
「…ううん、割っちゃうから、いいよ。でもね、香水瓶って、香りが居つく家だからね、いつまでも香りに残ってもらうために、すごく素敵なデザインが多くって、好きなんだー。見てるだけで、うきうきするよ。ポケットに忍ばせていたら、いつの間にか妖精が入り込んでいたりね、してくれそうな、そういう感じ」
私はミトン手袋をした両手を合わせながら、内緒話のようにマグへという。
マグはいつものように、「ツナは面白いな」と言って、柔らかく微笑んだ。
「ツナ、遠慮ばっかしてねーで、欲しいもんはちゃんと欲しいって言うんだぞ? 髪飾りでも何でも、女の子らしいことは俺らでフォローできねーんだからさ」
ユウはそう言いながら、食べ終わったイカ焼きの串を、頭上のアンタローの口の中に差し込んでいく。
アンタローは、まるで最後までチョコぎっしりのお菓子を食べるみたいに、ポリポリと串を食べていった。
ユウの仕草があまりにも堂々としているので、周囲の人々は何の疑いも持たずに通り過ぎていく。
「う、うん…大丈夫、ちゃんと言うよ。でも、髪飾りは、帽子をかぶる時に邪魔になっちゃうし、だから、いいの。一緒に旅できるだけで、楽しいよ」
私は控えめにそう言った。
ユウは「えー」と言いながら、ちょっと不満げな顔をしている。
私は慌てて、別の屋台を指さした。
「見て見て! 貝殻の小皿とか、売ってるよ! ここじゃ海の物って珍しいんだね、ちょっと高いね」
すぐにユウの興味はそちらに移ったようで、物珍し気に「へえ」と声を上げている
「そうか、こっちは流氷とかあって海には入れねーもんな。こんなことならメッシドールで貝殻いくつか拾ってくりゃよかったなー。売れたかもしれねーし」
「お前の扱いだと……ここに持って来るまでに……割れるのがオチだろ」
マグがユウの言葉を拾って、ユウがまたマグとわちゃわちゃ言い合いを始めた。
私はほっと一安心だ。
「ほら、ツナ」
急に、マグが透き通った花を渡してきた。
「え? これって、雪水晶の花…?」
びっくりしてマグを見上げると、マグは、かかったなと言いたげな顔で笑う。
「ハズレだ……あっちに……飴細工の屋台があってな……動物の形もあったが……食べにくいだろう……だから、花にした……枯れる前に食えばいい」
「……わ、…ありがとう!」
私は喜んでそれを受け取った。
「食べるのが勿体ないよね、こういうのって。マグも一口食べる?」
差し出すと、マグはいきなり、めちゃくちゃ怒った顔をしてきた。
「ツナ……いくら初間接キスを……ハイドに奪われたからと言って……間接キスを安売りするな」
…なに、初間接キスって、初めて聞いたよ?
女子大とか通ってると、最初は抵抗があった回し食べとかも普通にやるようになっていったんだよね。
それで「ジュース一口だけちょうだい!」とか言って全部飲み干したりね、すごい怒られて後で結局ジュースをもう一度買わされてご破算だったけど。
ユウやマグとは、そういうことはやらない方がいいってことなのかな?
そういえばどさくさに紛れてハイドには、からかい半分で額にキスとかされたけど、マグにそれがバレたら卒倒しそうだな…。
そんなことを考えながら、ぽりぽりと花弁をかじる。
マグがじっとそれを見てきたので、「おいしいよ!」と言うと、ほっとしたようだった。
たくさん食べ歩いて、雪像コンテストなどのイベントとかも見て回って、あっという間に夕方になった。
「そろそろ会場の方に行くかー」
ユウが空模様を見てから、街の外れに続く道を指さした。
「なになに、なにがあるの?」
私が待ちきれずに聞くと、ユウはまた「行ってみてのお楽しみだ」と、回答をはぐらかしてきた。
私がうずうずしながら歩き出すと、マグが呼び止めてくる。
「ツナ……体調の方はどうだ……? ちゃんと言え……」
「…あ、え…と…。あと少しくらいなら、大丈夫だと思う」
朝から歩き通しだったのと、コートなどの厚着の重さで、正直に言うとかなり疲れていた。
マグはすぐにそういうことを見抜いてくる。
「そうか……もう、オレが抱き上げる……などは、簡単に……やらないほうがいいからな……歯痒いが。ユウ、せめて……ゆっくり歩け」
「ああ、そうだな。いやあ、早めに移動時間に気づいた俺のファインプレーだなこれは!」
ユウは調子よく言いながら、歩調を緩めたり、途中で立ち止まるなどをして、私の負担を減らしてくれる。
そうして、会場にたどり着いた頃には、もう夜になっていた。
会場とは、街のはずれにある湖だ。
「…ええっ、すごい! ピカピカしてる!」
湖は寒さで凍りついているのだが、まるで鏡のように磨き上げられていた。
「街の人が……丁寧に氷を磨き上げて……ああなるらしい……そして、今日が……必ず空にオーロラが出る……一年に一度の日だとか。……ハイドにめちゃくちゃにされなくて……本当に良かったな……」
「……うん」
頷いては見たものの、ハイドもこのお祭りに参加して楽しんでくれたら、人間にちょっかいを出すのはやめてくれるんじゃないだろうかと、淡い期待を抱いてしまう。
なぜだか私には、ハイドが無理やり人間を嫌おうとしているような気がしてならないからだ。
「…おっ、今、空がうねらなかったか?」
ユウの言葉に、私は考えるのをやめて、ユウの見ている方向を見上げる。
「うわあ…!」
瞬きをするごとに、暗がりに少しずつ光が浮いてくるような感じがして、そのままふわりと空にカーテンが翻る。
オーロラはくるくると色を変え、いっときも同じ色で居てくれない。
その空を、湖の鏡面が映し出して、世界がオーロラに挟まれたようになった。
待っていましたとばかりに、街の人や観光客たちが、凍った湖の上へと駆け出していく。
人々は、上下からオーロラに挟まれるという体験を、とても楽しんでいた。
「ツナは……滑ったら危ないから……やめとこうな」
「…うん、ここから、眺めるだけでも、キレイで、大満足だよ! 真ん中に挟まれたら、オーロラの色が移って大変なことになりそうな感じがするし!」
「そうか……ツナは面白いな……」
マグと一緒に笑い合った。
…あれ?
マグって、こんなに笑う人だったっけ。
思えば最近ずっとマグはこうなので、本当に今更なんだけど、なんだかいきなり、ふっと気付いたというか。
最初の頃は、こんなに感情を表す人じゃなかった気がする。
……。
…なんだか、嬉しいな…。
「あ、でも、ユウはわたしに構わずに、行ってきてもいいんだよ? こういうの、好きだよね?」
はっと我に返って慌てて付け加えると、ユウは心外だとばかりに、腰に手を当てて私を軽く睨みつける。
「またツナはそうやって俺を仲間外れにしようとする! …なんつってな、いいんだよ、俺は自分一人で祭りを楽しみたいんじゃなくて、ツナとマグとアンタローと一緒に楽しみたいんだからさ。な、アンタロー」
「ぷぃいっ、ユウさんの頭の上から人々を見下ろせるだけで、ボクは大満足ですよっ。神になって愚民を見下ろすような感覚がたまりませんね…っ!」
「お前……ずっとそんなことを……考えていたのか……」
小声で言うアンタローに、私もマグと一緒に戦慄した。
私たちは、湖の端っこで、人々がわいわい言っているのを、しばらくの間、ずっと見ていた。
「…花火よりも、綺麗かも。見られてよかった、ありがとね、ユウ、マグ」
すると、唐突にユウが私の手を取り、コートの袖を上げてきた。
なんだろうと思って見ていると、ユウが私の腕にブレスレットのようなものをはめてくる。
鈴がリンリンと鳴って、可愛い模様をしている。
「…えっ、ユウ、これは…?」
びっくりしてユウを見ると、ユウは照れたように笑った。
「こっそり屋台で買っといたんだ、ツナは遠慮ばっかりするからな。どうだ、いいだろー、これならツナが迷子になってもすぐわかるぞ! 鈴音をたどって行けばいいんだからな!」
「うわああ、ありが………」
私は腕を見て、あることに気づいた。
このブレスレットは、どちらかというとベルトのような作りで、長さが調節できるようになっている。
一瞬、特殊な作りなのかなと思ったが、ひょっとして、これは……。
「お前……これ……」
覗き込んできたマグが同じことに気づいたようなので、私は慌ててマグの言葉を遮った。
「うれしいよ、ユウ、ありがと! そうだよね、ブレスレットなら邪魔にならないし、ずっとつけていられるよ!」
「だろだろ! へへー、喜んで貰えてうれしいぜ!」
「………」
マグが何か言いたそうに私を見てくる。
私にも、ちょっと言いたいことがある。
ユウ……これね、ブレスレットじゃないよ。
猫の、首輪だよ。
「鈴、チリチリ鳴って、かわいいね!」
私は必死に腕を振って、気に入っているアピールをする。
くううっ、こんなことなら、遠慮せずに自分で選ぶんだった!!
いや、でも、こういうのは気持ちが嬉しいからね。
嬉しいのは本当だし、よくよく見ると可愛いし、確かにブレスレットに見えなくもない。たぶん。
ユウは嬉しそうに笑っていたが、ふと湖の方に目をやる。
「お、いよいよクライマックスみたいだぞ!」
「えっ、ここから何かやるの?」
見ると、街のシンボルの描かれた腕章をつけている、お祭りの係員のような人が、人々に何かを配っている。
何をやるんだろうと見ていると、カウントダウンみたいなものが始まった。
「うわーー、なんだろ…!」
わくわくしながら見守っていると、カウントがゼロになった瞬間、人々が、手に持ったものを一斉に空へと放った。
………んんんん!!!?
ランタン祭り!!?
火の入ったスカイランタンが、所狭しと空を漂い始めた。
ええええええええええ!!!!
せっかくのオーロラが!!
オーロラがランタンで見えなくなっていく!!!?
いや、好きだけどランタン祭り!!
でもこれ、さては私、好きなお祭りを合わせたらもっと綺麗になるだろ、みたいな感じで設定したな!!?
明らかにミスマッチだよ!!
想像力がないにも程があるだろ!!?
私がやきもきしている気持ちも知らず、ユウもマグも、「キレイだなー」とか「よかったな……ツナ……」とか言ってくるので、私は曖昧に笑いながら頷くしかなかった。
なんだか、どっと疲れてしまったので、私は満足した風を装って、宿屋に帰るようにお願いした。
…でも、総合的に言うと、すっごく楽しかった!
こうして、オーロラ祭りは無事に終わったのだった。
<つづく>
【注1:ナツナの金銭感覚その2】
参考までに、ナツナの中学時代のお小遣い額
中1…100円
中2…200円
中3…300円
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