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夢小説が、殺しにくる!?  作者: ササユリ ナツナ
外伝 どのページにもない話
158/159

アンタローの話



 ボクは粒漏れ餡太郎と言いますっ。

 愛くるしいのがお仕事です!


 普段はツナさんのお世話してあげています。

 ユウさんとは、遊んであげています。

 マグさんとは、一緒に居てあげています。

 フィカスさんは、操縦してあげています。

 後輩のルグレイさんの面倒を見てあげています。

 ハイドさんは、前に敵対していた人と似てるけど、たぶん気のせいですね。


 ボクはこの世に発生した時に、なにか、大事な役割を持っているような気がしていました。

 それはまだまだわからないのですが、でも、その後にサヨナラが待っていることは、なんとなくわかっていました。


 ツナさんたちと色々な景色を見て回るのは、とても楽しいです!

 でも、楽しいがたくさん降り積もると、悲しくなります。

 お別れしたくなくなるからです。

 うれしい気持ちがたくさんあると、悪いことになってしまうのでしょうか。

 むずかしいです。


 ツナさんは、ボクのことが大好きです。

 だから、お別れになると、ツナさんは泣いてしまうと思います。

 それはイヤだなって思います。


 イヤだなって思っているうちに、美味しいご飯が目の前に来ます。

 イヤなことは、すぐに消えてなくなるので、長続きしない感情なんだなって思いました。

 だから、本当に少しずつ、旅の間に、ちょこちょこと、どうすればいいかを考えます。

 考えているうちに、眠くなって、寝てしまいます。

 ボクの毎日は、それがすべてです。


 今日も楽しい一日が終わってしまいます。

 それは、お別れが近づいてくるということです。

 イヤだなって思います。

 だから、いいことにしてしまおうと、やっと結論が出ました。


 その時が来たら、ボクは笑顔で居ます。

 ツナさんに、大好きって伝えます。

 お別れを、大好きっていうための、きっかけにします。

 それまでは、伝えるのを我慢します。

 そうしたら、少しだけ、いいことに思えるでしょうか?

 未来のことを考えるのは、むずかしいです。


 むずかしいですが、いつかはやってきます。

 それだけは、どうしようもなく知っています。

 悔いが残らないように生きる、という言葉があるのは知っています。

 知っていますが、無理だなって思います。


 ずっとずっと、ツナさんのお隣で寝ていたいです。

 ユウさんと遊びたいです。

 マグさんの頭の上に乗りたいです。

 フィカスさんにブラッシングされたいです。

 ルグレイさんと一緒にお買い物に行きたいです。

 ハイドさんには、いつか名前を呼んでもらいたいですねっ。


 やりたいことに、際限なんてないって思います。

 どれも、諦めがつきません。



 ある日、ルグレイさんと一緒にお買い物に行きました。

 ルグレイさんは、あるお店を外から覗くと、がっくりと項垂れました。

 どうしたんですかと聞きました。

 そこは、おじいちゃんおばあちゃんが経営していた、サンドイッチの専門店だったそうです。

 ルグレイさんは、「一度入ってみたかったのに、後回しにしているうちに、お店が閉じてしまったようです」、と教えてくれました。


 お店の中を見ると、からっぽでした。

 そこは、かつておいしそうなパンの匂いや、食材の匂いにあふれていた空間だったのでしょうに。

 今は、そのことが嘘みたいに、からっぽでした。


 なんだか、ボクのようだと思いました。

 ボクも、この世界から居なくなってしまったら、こんな風に跡が残るのだろうと思います。

 誰かが、確かに、どこかに居た、跡。


 今はそれを、さみしいことだと感じてしまいます。

 ですが、ツナさんの中に、ぼくの跡が残るのなら。

 ほんの少しだけ、それを嬉しいと思ってみても、いいでしょうか?

 からっぽの跡が残ってしまうツナさんは、それを悲しむかもしれないのに。


 ボクは、思ったよりも、ワルなのかもしれません。

 でもきっと、ツナさんは、ワルなボクでも許してくれる気がします。

 それはとても、幸せなことです。

 幸せ過ぎて、悲しくなります。

 生きるということは、とてもむずかしいことですね。

 ぷいぷいっ。



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