表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢小説が、殺しにくる!?  作者: ササユリ ナツナ
外伝 どのページにもない話
155/159

ルグレイの話



 姫様は、おれの生きがいだ。



 フェザールには、物心ついたときに初めて認識した相手へ、無条件に信頼を寄せる習性があるという。

 鳥類のインプリンティングのようなものだ。

 おそらく、姫様が刷り込みをした相手は、3人。

 おれと、そして、記憶を失ってから始めて目にした、ユウ様とマグ様だ。


 正直に言うと、ちょっと嫉妬はしている。

 してはいるが、ユウ様とマグ様は尊敬できる方々だ。

 姫様の周りにああいう方々が居てくださることは、喜んで受け入れなければならない。


 フィカス様もそうだ。

 フィカス様には、迷っていたおれの心を導いていただいた恩義がある。

 フィカス様になら、姫様を安心して預けられる。


 しかし、おれはたぶん、サディスティックなのだと思う。

 なぜなら最近、フィカス様の前で姫様を構うのが楽しくて仕方がないからだ。

 フィカス様のお気持ちに気づいていないのは、おそらく姫様だけなのではないだろうか。

 フィカス様は王族なので、感情を表に出すことはない。

 だけど、姫様を構っているおれの方を、じっと見てくる。

 フィカス様の、そういう部分が隠しきれていないところは、失礼ながら、なんだかお可愛らしくて好きだ。


 ハイド様も愛らしい。

 アンタロー様と同じくらいのマスコットさを感じるほどだ。

 フィカス様はよく、ハイド様の嫌がるところを見たくて、ちょっかいをかけていらっしゃるが、実はおれもそういうことをしてしまうタイプだ。


 おれは、本当に皆様のことが大好きだ。

 姫様が誰と絡んでいても、なんだかうれしくて、にこにこしてしまう。




 おれの中で、姫様の傍に居てはいけない人物は、二人居る。


 一人はティライトだ。

 怪我でもして5代表を退いてくれないものだろうか。

 今は身分上、ティライトの動向に口出しはできないが、ティライトがおれと同じくらいの身分になれば、姫様に近寄ることを全力で阻止できるのに。

 例えば姫様にピンチが訪れたとして、ティライトはきっと、姫様が心配で庇うわけではない。

 姫様を庇う自分に酔いしれるために、あいつは姫様を庇う。

 そういう輩は許せない。

 アイツは絶対に姫様に近づけてはならない。



 あと一人は……おれだ。

 ユウ様たちとおれとで、一点だけ、明確に違う部分がある。

 それは、幽閉されていた姫様と、あの静かな日々を過ごしたかどうかだ。

 今も、時々、あのころの夢を見る。

 そして、あの充足した日々に帰りたいと思ってしまう。

 事実、隙間時間に、よくそういうことを考えてしまう。


 つまりおれが騎士という立場ではなくなった時、おそらく姫様をあの部屋に閉じ込めに行く可能性が高い…ということだ。

 姫様は、おれにとても甘い。

 どんなに外に出たがっても、おれが真正面からお願いをすれば、きっと受け入れてくださるだろう。

 そして、外の世界を諦めて、ずっと二人で暮らしてくださる。


 それだけは、絶対にあってはならない未来だ。

 だからこそ、おれは絶対に姫様の騎士で居なければならない。

 それ以外に、この生活を続けていく方法はないのだから。


 姫様は、外の世界で、ようやく幸せを手に入れられた。

 それを邪魔する者は、許さない。

 それが例え、自分自身だとしても。


 おれは姫様のものだが、姫様はおれのものではない。

 大丈夫だ、この暖かな日々を続けるために、おれはずっと騎士として、姫様を見守っていける。

 なぜなら姫様は、おれの生きがいなのだから。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ