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夢小説が、殺しにくる!?  作者: ササユリ ナツナ
第三章 高校生編
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新年までのカウントダウン



 宮殿で夕食をごちそうになり、フィカスは私たちを魔道車で屋敷まで送り届けてくれた。

 フィカスの後姿を見送って、さあ屋敷に入るかという段階になって、ルグレイがいきなり「あ!?」と驚きの声を上げた。


 私たちは驚いて、ルグレイの方を見る。

 ルグレイは、外門にある郵便受けを覗いたところだった。


「も、申し訳ありません、郵便なんて来たことがなかったもので、チェックを怠っておりました! これはひょっとして、数日前に来たものだったかもしれません! 姫様宛てです!」


 ルグレイは、あわあわしながら、一枚の封筒を私の方へと手渡した。

 みんなで、どれどれと覗き込む。

 アンタローは、今は私の頭の上だ。


「……? 切手が貼られていない・ということは、直接投函されたのか……」


 マグが言うと、ユウが訝しげな目線を手紙に向ける。


「ってことは、ここの住所を知ってるやつってことか?」


 私がくるりと裏返して差出人の名前を見ると、美しい筆記体で、Duranyと書かれてあった。


「えっ、デュー!? どういうこと、ここまで来たの!?」


「ぷいぃ? どなたですか?」


 アンタロー!?

 アンタロー、ひょっとして、しばらく会わないでいると忘れるとか、まさかそういう展開!?


「ナツナ様、とりあえず屋敷に入りましょう。ペーパーナイフを持ってまいります」


 ルグレイは、鍵束を持ってさっと屋敷の中へと入っていった。

 危なっ、そうだった、世の中にはペーパーナイフとかいう優雅なアイテムがあるんだった…!

 後一瞬遅かったら、手でビリビリに破いていたよ。

 こんなところでお里が知れるとは…。

 ナイス、ルグレイ!


 私たちは急いでリビングに行き、テーブルを囲んだ。

 ルグレイは、慣れた手つきでペーパーナイフを扱い、封を切ると、私の方へと中身をうやうやしく差し出す。

 ルグレイの執事っぷりが、すっかり板についてきていた。


「文香も添えてありますね。サンダルウッドですか。ひょっとして、貴族の方ですか?」


 ルグレイはそう言って、綺麗な紙に包まれた小さな何かを、テーブルの上へ、封筒と一緒に置いた。

 言われてみると、便箋の方から、白檀のいい香りがする。


「うん、そうなの。ユウとマグの知り合いで、わたしもお世話になった人で…。どうしたんだろ?」


 いそいそと便箋に目を通すと、ユウが「ツナ、読んでくれよ」とせがんできた。


「わかった、じゃあ、読むね! ええと…。『前略   ナツナ君からの手紙が途絶えて一年経つが、いかがお過ごしだろうか。ようやく体が空いたので、兼ねてから伺いたいと思っていた君たちの住処を訪れてみた。西大陸の緑化も、どうせ君たちの仕業なんだろう? きっと忙しくしていることはわかっていたし、私も都合上、アポイントメントのない訪問になってしまったがため、会えない結果に終わることは覚悟をしていた。三日は粘ってみたのだが、残念だ。しかし、取引先の訪問ついでの観光は、順当に楽しめたと思う。心配はしないでくれ。またいつか、会えるといいな。それでは。君の黄色葡萄球菌より。   草々』」


 デュ、デュー!!(滂沱)

 なんてタイミングの悪い男なの!?

 よりによって、リュヴィオーゼに出立した後に訪れるなんて!!

 それより前だったら、1年間ずっと居たのに!!

 会えるかなって、行きの船はワクワクしながら来たんだろうなあ…!

 急な訪問でユウくんは驚くぞ、きっと、とか思ってたに違いない…!!

 うわあああ、可哀想!!!

 帰りの船での消沈を思うと、もう…っ!!


「黄色葡萄球菌って…ツナがつけたあだ名、気に入ってるんだな…。デューってこういうところは器がでかいよなー」


 ユウがしみじみと言っている。


「フロレアルから来たのか……。かなり遠いのにな」


「フロレアル…っていう街が、デューの本拠地なの? いつか、行ってみたいなあ…」


 マグの言葉に反応すると、マグは優しく微笑んだ。


「いつか行こうな。時間はたっぷりある。もうオレたちは・どこにだって行けるのだから……」


「……ン」


 歯切れの悪い返事になってしまった。

 慌てて言葉を繋げる。


「最近忙しくて、すっかり手紙を出すのを忘れてたんだよね、今度はユウとマグも一緒に手紙を書いてみない?」


「あー…めんどいから、ツナの手紙に一言添える、くらいのだったら行けそうかな」


「オレもそうして貰おう……」


 ユウとマグって、妙なところでめんどくさがりだよね。

 絶対、実際にデューと会ったら話は弾むでしょうに。

 まあ、男の人ってそんなものなのかな?


「ボクも! ボクも居ますよ! 添えてください! 餡添え、してください!」


 アンタローがやたらと仲間に入りたがって、私の頭の上でぴょこぴょこしている。

 いいけど、デューのこと忘れてるよね?


 そこから、みんなでわいわいと、デューへの返事を決めるので盛り上がった。

 ルグレイも、新顔として、なんだかんだで一言を添えてくれることになる。

 でもまあ、フィカスのことは黙っておこうと思った。

 冷静に考えて、王様と知り合いなんて、たぶんビックリさせちゃうよね。

 そう考えると、デューとお別れしてから、いろんな事があったんだなあ。


 完成した手紙は、まるで、旅を振り返るような内容になった。



-------------------------------------------



 収穫の日は、目まぐるしい一日となった。


 フィカスが用意してくれたのは、収穫が終わったばかりの、広い広い畑だ。

 私はあづさの力を借りて、延々と小麦や豆類などの、保存がきく食料を大地に咲かせていった。

 しかし、結構これが快感なのだ。

 なんていうか…。

 安全な場所で、今まで溜め込んでいた魔力を、ぶわーーっと使うと、スカッとする!

 たぶん、波動砲とか打つ感覚って、こんな感じなんだろうなあ!


 その日は一日、育てる→人手を借りて収穫→畑を整える、という流れを延々と繰り返した。


 私の魔力量は格段に上がっていて、畑を育てることを何回繰り返しても、倒れることはなかった。

 あづさが、魔力の使い方が上手だという部分もあるのだろう。

 むしろ、収穫作業をするユウたちや、雇われた人たちの方が、くたくたになっていっている。


「…よし、ここまでにしておくか」


 監督のフィカスがそう言う頃には、もはや周囲は死屍累々といった様相だった。

 収穫を終えたばかりの、まだ整えられていない畑を、あづさはじっと見ている。


「むいむいっ、土の力がもう残っていませんね…。この後は、ゆっくりと時間をかけて、きちんと土を整えてあげてくださいましね」


「相分かった。そう伝えておこう。あづさ、礼を言うぞ。まさか麦踏みの手間まで省けるとはな。さて、みなのもの、ご苦労だった。ナっちゃんも、あとはこちらで加工作業をやるだけだからな。ゆっくりと過ごしてくれ」


 そう言ってフィカスは、収穫したものを、荷車に詰め込む指示をやっていっている。


「俺もう、一歩も動けねえ……」


 珍しくユウが弱音を上げている。

 みんなが動けるようになるまで、一緒に一休みをした。

 土の匂いの傍でおしゃべりするのは、ちょっと新鮮だった。


 あづさは、次の日には帰ることになった。

 帰る前に、ジェルミナール行きのことを話すと、あづさはぴょこんと飛び跳ねた。


「むいむいっ、天空都市には、今、火の精霊が滞在しておりますわ…。彼は高い所が好きですからね…。お嬢さんのことは伝えておきますので、必要がありましたら、どうぞ使ってやってくださいましね…」


 そうして、火精霊の呼び出し方を告げて、あづさは去って行った。

 精霊の輪…ありがたいなあ。



-------------------------------------------



 そこから何日経っても、ハイドは全然、影から出てこない。


 みんな、初めのうちは、私の影に向かって色々と話しかけたりしていたのだが、今ではもう諦めてしまった。


「ハイド、それじゃ、ご飯はここに置いておくね?」


 寝る前に、果物の盛り合わせをダイニングテーブルの上に置いて、私たちは眠りにつく。

 次の日見たら、きちんと果物はなくなっている。

 どうやら、生活は夜中にごそごそとやっているらしい。


 たまに、お返しにと言うように、金色のリンゴが一個、お皿の上に置いてあったりもした。

 わざわざ雪山まで行ってきたらしい。


 晩御飯のデザートに出した金色のリンゴの味は大好評で、みんなは口々に私の影に向かってお礼を言うという、シュールな光景が繰り広げられた。


「なるほど……凍り付かないように・糖度の濃度を上げて・果実や樹木を守っているわけか……」


 マグは学者のように分析を始めたり、フィカスは何とか栽培できないかと、剥いたリンゴの皮を見ながら呟いたりしていた。

 しかし、アンタローがめちゃくちゃ味を気に入って、リンゴの皮も芯も瞬く間に平らげてしまったので、研究材料は残らなかった。


「姿は見えねど、確かにそこに居る……。なんだか、ハイド様は妖精のようですね」


「ぶはっ!!」


 ルグレイの言葉が、ユウのツボにはまったらしく、「あんな可愛げのねー妖精が居るかよ…!!」と笑い転げていた。


「おい、お前ら、いい加減にしろよな…!!! 二度と取ってきてやらないぜ?」


 腹に据えかねた、というような口調で、ハイドがパっと瞬間移動のように、空中に姿を現した。


「ハイド!」

「おー、ハイド、久しぶりだな!」

「ぷいぃっ、ハイドさぁん!」

「ハイド様、お元気そうで!」

「ハイドか、会いたかったぞ」

「……やっと出て来たか」


 みんなで一斉にハイドの方を見て歓迎の意を示す。


「~~~~……っ」


 ハイドは、滅茶苦茶嫌そうな顔をした。

 そして、すぐに何も言わずに、パっと消えた。


「あ…ハイド、寂しいよ……」


 久しぶりに会えたのにな、と、私はしゅーんとしてしまった。


「まあ、ナっちゃん、よかったじゃないか。俺はハイドが実在することを確認できて安心したぞ」


「そんな、非実在性ハイドみたいに言われても…」


 フィカスの言葉に返すと、今度はマグのツボにはまったらしく、ちょっとマグの肩が震えているのが見えた。


「ま、そうだな、ハイドいじりしたら出てくるってこともわかったし、しばらくそっとしておいてやろうぜ」


 ユウは満足そうだ。


「せっかく友達になれたのになあ…」


 私はまだ残念さが抜けず、ひとりごちた。




 数日後、私はお風呂をいただいて、先に寝息を立てているアンタローをお布団の上に置いた時だ。


「…ちゃん、ナっちゃん」


 不意に、頭の中にハイドの声が響いた。


「えっ、ハイド??」


 きょろきょろと見渡すが、誰も居ない。


「ああ、やっとうまく行ったな。やあナっちゃん、ぼくの可愛いルリカケス。君のために、影の中から出ずに話をする方法を編み出してやったぜ。ぼくは天才だからな」


「ええ…? そこまでしてそこから出たくないの…?」


 きっとすごい魔法なんだろうが、ただの物ぐさ太郎にしか思えない発想だ。


「…うるさいな。あいつら、隙あれば笑顔を向けてきて、うざったいんだよ…。しかも、常にナっちゃんの傍にいるしな。…と、まだ、どうも、不安定になるな。根幹はこれでいいとして、やっぱりもうちょっと魔法を練る必要があるか」


 確かに、急にハイドの声が遠くなったりする。


「ハイドも、魔法を作ったりできるんだね?」


「ああ、言っておくが、ナっちゃんの創造魔法とは仕組みが違うぜ? ぼくのは、そうだな……積み木を思い浮かべてみてごらん? あれと同じで、元々ある原理…というか、パーツを組み合わせて魔法を編んだりするのが、ぼくのやり方だ。だから、好きな形が出来上がるまで、酷く時間がかかるのさ。ナっちゃんの場合は、積み木自体から創り上げるわけだから、そりゃいくらだって好きな形にできるよね、ってこと」


「えっ、それって、私はかなり反則級のことをしてたんだね?」


「まったくだぜ、ナっちゃんはもうちょっと常識ってものを身に着けた方が可愛げが出るんじゃない? あはっ」


「もうっ、すぐそういうこと言う…!」


「ま、とにかく! ぼくは完璧主義だからな。少し時間はかかるが、すぐに完成させてやるから、あんまり寂しい声を出すんじゃないぜ? バラ色の明け方に誓って本当さ。いい子だから、それまで待ってな。じゃあな」


「あ…」


 ハイドの声が、ふっと消えた。

 …私のために頑張ってくれてたのかな。

 それだったら、ちょっとでも話せたことを、喜ばないとね。


 私は伸びをするように、翼をぐーっと伸ばし、にこにこしながら眠りについた。



-------------------------------------------



 そこからは、新年に向けて、忙しい日々を送った。


 フィカスは約束通り、人足をつれて、備蓄食料を大量に持ってきてくれた。

 国民全員を三日間賄える量、と銘打たれただけあって、運ばれてきた食料の量は馬車数台にも及んだ。

 屋敷の食料庫には入りきらず、使っていない2階の部屋いっぱいに詰め込んでもらった。

 私が協力したのは、小麦や豆などの植物系の物資だけだったはずだが、いざ運ばれてきたものを見ると、乾燥小魚や乾燥肉など、多様性に富んだ保存食がたくさんある。

 フィカスの心遣いなのだろうか。

 ありがたく受け取っておくことにした。


 でもこれ、運び出すの、大変そうだなあ…。

 ごめんねみんな、私は力仕事が手伝えなくて。




 そして、ティランが主催するファッションショーには、なんだかんだでユウも出ることになった。

 なんでも、動きやすい服というテーマだから、身軽なパフォーマンスができるユウにぜひ、と言うことになったらしい。

 だけどユウは、私たちが応援に行くことを許してくれなかった。


「ぜってーー嫌だ!! 俺がバク転とかしてかっこつけてキャーキャー言われてるのを身内に見られるのだけは、ぜってー嫌だ!!」


 男子中学生か!!(偏見)


「聞き捨てならない! わたしなんてこれから天界で偉そうにしてよく知らない国民にワーワー言われるのを身内に見られるのに!」


 そう言って食い下がったが、頑として受け入れてもらえず、結局ユウは、出演料の1万エーンを、ひらひらさせながら持って帰ってきた。

 まだ、1万エーンなんだ…。【注1】

 闘技場の優勝賞金とファッションショーの出演料が同じって、そろそろ誰かおかしいと気づいてもよさそうだけどな!?


 晩御飯を食べに来たフィカスが、「ショーは大成功に終わった」と報告だけをしてくれた。

 ティランが嬉しそうだったという話なので、まあよかったと思うことにする。




 そして、年末。

 フィカスとティランは、年末から体をあけておいてくれた。

 なので、私たちは今、屋敷でささやかなパーティーをして過ごしている。


「ほらハイド、いい加減出て来いよ、せっかくみんな集まってんのに! 全員集合だぜ、全員集合!」


 ユウは私の影を睨むように言っているが、ハイドはうんともすんとも言わない。


「ったく、出てくんなよっつったほうが出てきそうだな、まあいいけど」


「残念ですが、無理強いはよくありませんからね」


 ルグレイが、まあまあとユウを宥めた。


「そうだな、今居るメンツで楽しむこととするか。ではみんな、杯を掲げろ」


 今日はみんなで、シャンパングラスに、とっておきの炭酸ジュースをあけた。

 全員で立ち上がり、乾杯の準備をする。


「では、ニヴォゼの発展と、皆さんのこれからを祝して…」


 ティランの前置きを聞きながら、マグは懐中時計を眺めている。


「3……2……1……」


「みんな、お誕生日おめでとーー!!」

「ぷいぃいいっ!」

「ハッピーニューイヤー!!」


 0時になった瞬間に、乾杯をした。

 そして、みんなで一斉に年をとる。

 私は、17歳になった!


「ついに、念願の二十歳になりました…!!」


 ルグレイが感極まった声を上げる。


「ではルグレイ、今日から俺が身体コントロールの指導をしよう」


 29になったフィカスが、笑いながらそう言った。


「僕は25ですね!」


「んなっ、ティラン、俺らより年上だったのか!!?」


「オレとユウは22だな……」


「ボクは5歳ですよっ! ボクが一番ですね!」


 みんなでわいわいしている。

 これこれ、これだよ!!

 私が求めていたのは、これ!!

 こういう、異世界ほのぼの日常生活でいいのに!

 成り行きとはいえ、なんでああなったんだろう…。

 いや、でも、父さまのあの状況は、放っておけないよね。

 とはいえ、まだ政策とか全然思いついてないんだよねえ…。


 というか、最初は少女漫画を読みたい衝動を発散するために書き始めた小説じゃなかったっけ?

 いつ始まるのかな、ラブロマンスは。


 あーでも、この現状、またハイになってきた…!

 なんだか何でもできそうな気がする!


 さあ、いよいよ今日だ!

 寝て起きたら、ジェルミナールへ特攻する日々が始まる…!!


「ティラン、しばらくフィカスを借りることになるけど、ごめんね?」


「いえいえ、不束者の兄ですが、暇をしているほうが体調を崩しそうですからね。どうぞこき使ってやってください」


 ティランはにこにことしながら、そういった。


「なんだティラン、言うようになったじゃないか。兄離れは許さんぞ」


「兄さん、炭酸で酔ったんですか…?」


 …なんだか私も、ティランの雰囲気が変わったように感じる。

 それも、いい方向に。


「兄さんは、僕にばかり構ってないで、好きに生きていいんですよ。僕にはもう、兄さんだけじゃない。そう…マグさんが居てくださいますからね。では聞いてください、マグさんへ捧げる歌」


 ティランは懐から、自前の魔道拡声器を取り出した。


「冷静! かの男の名はマグシラン。YouSay! その男の名はよく知らん?

 冗談じゃない! めくるめく語る、熱意溢れるマグの伝説!

 横断パナい! めぐるマグ渡る、世界流れる覚悟鮮烈!」


 おっと気のせいだった何一つ変わってなかった!!!!

 いや、なぜかミュージカルからラップになってる変化はあるけど!!?


 唐突に始まったティランの歌を、初見のユウたちは唖然として眺めている。


「なんだこれは……地獄か……?」


 なまじティランの好意をわかっているため、マグは突っ込めずに心底困っていた。

 ルグレイとアンタローは、目をキラキラさせて、拍手をしたり飛び跳ねたりしていた。


 フィカスは、独り立ちをした息子を見る父親のような目をティランに向けている。

 内心は複雑そうだが、悪くはないような笑顔だった。



 夜更かしをしてしまったので、私は自分がいつ寝てしまったのかを覚えていない。

 だけど、幸せな夜だった。




 翌朝。


「ぷいぷいっ! かの男の名はマグシラン。ユウセイ、その男の名はよく知らん…ぷいっ!」


「お前……」


「覚えましたっ!(キリッ)」


 テンション高めなアンタローの歌を、マグは茫然と見ていた。



<つづく>




【注1:ナツナの金銭感覚その3】


 参考までに、ナツナの高校時代のお小遣い額


  高1…1000円

  高2…2000円

  高3…3000円


―――――――――――

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