地獄の逆ハーレム
「はあ~、なんでこんなことに・・・」
私、鈴鹿由麻はファミレスのテーブルで思わず大きくため息をついた。
「そりゃ、あんたのはっきりしないふわーんとした態度のせいでしょ、きっぱり拒絶しないから受け入れてくれてくれると思われてんだよ」
向かい側でメロンソーダをすすりながらアキ、松田亜紀子が言う。
確かに、そうかもしれないけど・・・
基本的に事なかれ主義で、きっぱり拒絶するのは苦手。
ムカついていても、心の中で激しく悪態をつくだけで口では何も言えないチキン。
この性格が祟ってか、私は昔から嫌いな人からやたらと好かれてしまう。
それが今人生最高にひどくなって、気づけば嫌いな男子4人から謎のアプローチを受けるという地獄の逆ハーレム状態になっている。
女子の友達もそこまで仲のいい人はいないけど、幼馴染のアキだけは別で、アキにはなんでも話すことができる。
「それにしても、由麻にこんなに早くモテ期が来るなんてね~」
アキが他人事のように呑気な口調で言う。
「そんないいもんじゃないから・・・マジで・・・」
今だって、LINEの通知が鳴り続いている。
そろそろストレスが爆発して、どうにかなってしまいそうだ。
「わかってるって。で、今どんな状況なのか言ってみな」
「うぅ・・・アキ・・・」
こういう時に話を聞いてくれる存在って、本当に助かる。
こうして私はアキに現状を話し始めた。