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BLOOD✝LOVER  作者: 湊つぐむ
3/4

吸血



「あの…あなたは何故、私を誘拐したんですか?」



こんな浮世離れした人が私みたいな凡人を

攫う理由がわからない。

知り合いのようだけど…私は彼を知らない。

この人が私を一方的に知っていた…とか?


「誘拐?なに馬鹿なこと言ってんだ。

俺は自分のもんがうろちょろしてるから拾っただけだ。」


…なにを馬鹿なこと言ってんだ?

こちらの台詞ですよね?


「んなもんどうでもいいからさっさと食わせろ…」


「く、食わせろ…って?すみませんが

食べものなんて持ってないですよ…?」


「目の前にあんだろ。」


…目の前には私しかおりませんが、


(…え、もしかして、私を食べると…?……へ?)


「こっちは300年なんも口にしてねぇんだよ。

……まぁ、死なねぇように手加減はするから安心しろ。」


(え、え…死なないようにってなに?300年?)


さっきから…彼の赤い眼を見てから

身体が思うように動かない。

まるで金縛りにあったかのように固定されている。


(なにこれ、怖い、…たすけて、お兄ちゃん…)


首元に唇を近づけたかと思うと、

なにかを突き刺したような痛みが首筋に走る。

痛みは一瞬で熱に代わる…あつい、アツイ…

息が、粗くなる…なに、これ…


(…血を、吸われて、る…?)


赤い眼を見て呆然と思い出す…

人間の血を吸う化物の名前…


……”ヴァンパイア”



アツイ、アツイ、アツイ、アツイ……

……サワッテ、…ワタシニ、サワッテ…


…キモチイ、アツイ、



『”これはいいことなんだよ椎名?”』



…お兄ちゃん、こんなの、シラナイ



深いキスをされ、なにかを口移しされた。

ドロッとした赤いなにか……


嗚呼、身体がアツイ…



なんでそんな優しい顔で笑うの…?




「これでお前は俺のもんだ…」



ねぇ、なんで泣きそうなの…?

…そんな顔しないで……





✠✞✟☩✙✚✛☦☨☥✝✜✠✞✟☩✙✚✛☦☨☥✝✜✠✞✟☩✙✚✛☦☨☥✝✜



眠るシーナに口づけをする…

300年…待った。

やっと会えたんだ。

今の俺達が他人ならば他人じゃなくせばいい。

隷属(レイゾク)として永遠を俺に捧げさせる…


…”アダム”なんかにお前はやらない。

俺にはシーナだけでいい。



昔の俺は血を欲しいままに得る日々だった。

シーナが死んでからの300年は

他の人間の血を一滴も飲まなかった。

否、飲めなかった。食欲が湧かなかった。

他の人間の血なんて飲みたくもなかった。

それなのに吸血鬼特有の飢えを感じることは無かった。

飢えを感じ始めたのはここ十数年の間だけだ。


再会したシーナを飢餓状態で襲って

食い殺してしまいそうで怖かった…

慎重に加減をしつつ血を吸った。

昔の俺では餌を殺さないように食うなんてしなかった。

…俺が殺さなかった人間はシーナだけだった。



吸血されて痛みに悶え濡れる瞳に赤らめた頬…

支配欲に駆られるがままにシーナを貪る。


餌としては処女の方が断然上手い。

でもそんなことどうでもいい。

俺はシーナを餌として傍に置きたいのでは無いからだ。


処女を失った女の血なんか無価値だろう?

俺以外のヴァンパイアは他の人間を狙えばいい。

シーナは俺のもんだ。



…シーナに”アダム”なんて、いらないんだ。





✠✞✟☩✙✚✛☦☨☥✝✜✠✞✟☩✙✚✛☦☨☥✝✜✠✞✟☩✙✚✛☦☨☥✝✜



…帰りたい。

お兄ちゃん、心配してないかな…

…心配してるだろうな、

今頃、仕事で疲れてるのに街中探し回ってるに違いない。


(……帰ろう。)


ベッドからズキズキと痛む腰をあげる。

いつから私はこんな不貞な娘になったんだろう…



(…いや、全てあの変質者のせい!)


人目につかないようにそっと部屋を出ると

長い廊下が続いていた…



「あっ、シーナ様っ今は出てこないでくださいましっ!」


ちょうど、エマさんと遭遇してしまったので

エマさんが来た方向とは逆の方へ駆けていく。


「待ってっ!そっちはダメですわ!」


階段を降りて、1階に付く

ロビーのように広い玄関ホールに

この家を尋ねてきた様子のお客さんがいたけど関係ない。

玄関の扉が開いていたので

そこ目掛けてダッシュを決め込む。


「…あれ?君…」


お客さんが私に何か話しかけてたけど

そんなことを気にしてる場合じゃない。

もうすぐで外に出る…という所で

また扉が一人でに閉まった。



「無視しちゃやー、おにいさん泣いちゃうー」








(…あ、この人も……赤い眼だ、…)






二人目のヴァンパイア登場。

次話、その正体が明らかに…?!

(なるかもしれないし、ならないかもしれない。)

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