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BLOOD✝LOVER  作者: 湊つぐむ
2/4

赤い眼の男


『やっとみつけた。』



赤い瞳が私を捕らえた…




✠✞✟☩✙✚✛☦☨☥✝✜✠✞✟☩✙✚✛☦☨☥✝✜✠✞✟☩✙✚✛☦☨☥✝✜



私、暁月(アカツキ) 椎名(シイナ)は幼い頃に両親を失ったらしい。

幼すぎて覚えていない。

でも、寂しくはなかった。

お兄ちゃんがいてくれたから。


幼い私を身一つで育ててくれたお兄ちゃん…

一生、頭が上がらない。


お兄ちゃんが仕事を頑張っている間、

私は学校へ行って放課後は友達と遊ばず家へ直帰。

スーパーで買った材料で晩御飯の準備をする。


それが私の日常。



本当は友達と遊んだり、彼氏とデートしたり、

そんな風にみんなみたいに青春を謳歌したい…

…けど、お兄ちゃんが学生時代

身を削って私を育ててくれたのに

我が儘を言いたくなかった。

せめて、迷惑のかからないイイコでいたい。

だからお兄ちゃんが仕事で頑張ってくれる分、

私は家のことをする。

お兄ちゃんはそんなこと気にしないでいいと

言うけど私はおんぶに抱っこは嫌だった。

それにお兄ちゃんはいつも

私の作ったご飯を美味しいと言って

食べてくれるからやりがいもある。

…ほとんど毎日、包丁で指を切るせいで

血が入ってるけど…お兄ちゃんは優しいから何も言わない…

……どうしてこう…ドジなんだろう…




その日もいつもと変わらず、ご飯を作ってた。

そしていつもと変わらず指を切った。

予備の絆創膏が無くて近くのコンビニへ買いに行った。


そして冒頭へ戻る。



「あの…」


何とも情けない声が出た。

目の前の恐ろしく顔の整った男は

確かに私を見て「みつけた」と言った…

無論、私にこんな目立つ知り合いはいない。


「人違いなさっているのでは…?」


「人違いなものかっ…俺がお前を見間違うはずないだろうっ」


私は相手を知らないのに、

相手は何故か私を知っている。

底知れない恐怖が襲う…


(こんなことなら、お兄ちゃんの言いつけ通り

外に出ないでいれば良かった…)


日が沈んだら外へ出るなといつも言われていたのに…

日が傾きかけていたが少しくらいなら

平気だろうと思っていたあの時の私が馬鹿だった。

男に背を向け家の方向に向かって全力で走る。


「おいっ」



何か話しかけていたけど無視して走った。

時々、後ろを振り返りながら走ったけど

相手は追ってこなかった。

だけど家に着くまでは安心出来ない。

角を曲がれば私の住むマンションがある。

走るのを止め息を整え角を曲がれば…

……さっきの男が立っていた…


(…なんで、)


「教会の真横か…見つからなくて当然だな…」


男は意味のわからない独り言を呟いた。

私の頭の中はそれどころじゃなかった。

何故、先回り出来たのか、そもそも家を知っていたのか、

何故、私を追い回すのか、

考えてもわからない。

ただわかるのはこと男は危険だということだけだ。


家には帰れないから交番へ…

それが無理でもせめて人のいるところへ

男から背を向け逃げようと足を進めると後から腕を掴まれた…


「もう、意味の無いことをするのはやめろ。

お前は俺から逃げられない。」


足に力が入らない…


「俺は寛大だからな、逃げようとしたことは許してやる。

だけどな…俺から逃げられると思うな。」


掴まれた腕が痛い…


「忘れたなら…それでもいい。

…さぁ、俺の眼を見ろ……」


赤い…眼……?




✠✞✟☩✙✚✛☦☨☥✝✜✠✞✟☩✙✚✛☦☨☥✝✜✠✞✟☩✙✚✛☦☨☥✝✜



目が覚めると見知らぬ天井が見えた…


(ここは…?…なにを、してたんだっけ…?)


……そうだ…あの男の眼を見てるうちに、

急に気を失ったんだった…


……ってことはここはアイツの家…?


変質者の前で気絶するわ相手のテリトリーに連れ込まれるわ

現段階でわかってることが最悪過ぎる……


「失礼致しますぅ」


ノックの音がして体が跳ねる…

…てっきり私を攫った男かと思ったら

綺麗な…こう…お姉さまと呼びたくなるような

メイド服姿の美女がやって来た…


「えっと、すみませんがここは…」


「ここはガイ=エーデル様の屋敷ですわぁ~」


「ガイ…エーデル?」


見知らぬ外国人名に首を傾げる。


「やぁ〜ん、首傾げてる~

かわいい~食べちゃいたぁ~い」


メイドさんがメイドらしからぬことを

言った気がするけど敢えて突っ込むまい…


「ガイ様は、あなたをこの屋敷に連れてきた方よぉ

…ほら、赤い眼をした恐ろしく整ったお顔の方…覚えてなぁい?」


赤い眼…恐ろしく整った顔……

そんな男、一人しか思い浮かばない…

つまり、ここはあの男…ガイ=エーデルという人の屋敷…

……屋敷?


中世ヨーロッパのような内装の部屋…

……そもそもここは日本ですか?


「日本ですわよぉ~

と言っても、人の来ない深い森の中ですが♡」


「あれ…私、声に出してましたか?」


(ワタクシ)、心に思うことが聞こえるのでぇ~」


…ここには変な方しかいないのかしら…

とにかく、帰らせてもらおう。

早く帰らないとお兄ちゃんが心配する。


「あら、(ワタクシ)としたことが…

(ワタクシ)、メイド長のセリーナ=エマと申しますぅ」


「あ、これはご丁寧にどうも…

私は暁月 椎名です。」


「あらぁ”また”シーナなのねぇ

間違いなくシーナねぇ~

あの方も珍しく上機嫌だしぃ~…それとシーナ?」


「はい」


「もう家には帰れないわよ?

あの方があなたを返すわけがないじゃない」


今までの甘ったるい話し方とは裏腹に

真剣な声が残酷なことを告げる…


その真っ直ぐな赤い眼が今言ったことが嘘ではないと語る…



「なんで…」


なんで私がこんな目に合わなきゃいけないの…

そう思ったのかもしれない…

その時の私にはその言葉しか言えなかった…



「おいエマ、起きたら教えろと言っただろう…」


先程、エマさんが入ってきた扉から

あの男…ガイ=エーデルが立っていた…


「だぁってぇ~(ワタクシ)だってぇ

シーナと会えて嬉しかったんですものぉ~」


「…チッ、邪魔だ。下がれ。」


「独占欲の強い男は嫌われますわよぉ~」


「だ ま れ。」


「はぁいはぁ~い、邪魔者は下がりますわよぉ…」


エマさんが部屋を出ると扉は一人でに閉まる。

それが当然のことのように気にせず、

ガイ=エーデルは私がいるベッドに腰掛けた…




(…あれ…この状況、まずいのでは…?)






誘拐、ダメ、絶対。

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