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9話、宿内、食堂にて



「ベルクさん、2つ聞きたい事があります」



肉、スープ何方も凄まじい不味さだった為に、取り乱した美希だが、今は何とか食べられる紙の様な味の野菜を摂取しながらベルクに問いかけた。



「……カイルの居場所はもう分かっておる。 それと、呪われ子の居らぬ場所は無論ある。 人間の中には一定数だが呪われ子を嫌う者が居てな、そ奴等が集っておる場所も知っておる。」



ベルクは面倒臭そうに美希の問いを口から出る前にその解答を答えて見せた。

美希は驚き目を開いてい一瞬固まるが、すぐに元に戻ると、1度咳払いをして



「…えーっと………。 とりあえず服だけ貰えば良いですか? ご飯は…その、道中で何とかなりますよね?

で、ここから私は普通に生きる為にどうすれば良いと思いますか?」



1日寝てそこそこ冷静になっている美希はこれから先の事をベルクに尋ねた



「…衣服も飯も先にカイルに言っておる。

説明は省くが大まかに3つ程ある。 1つはここから1番近いラルフ国に言って冒険者登録をする、2つ目はこのまま気ままに進む、3つ目は国か何れかの組織に入る。

…さて、質問はあるか?」



肉を食べ終えたベルクはこう答えると、間違えなく聞いてくると予想を立て聞くと



「………ぇ、めっちゃ用意周到やん、ちょっと見直した…。

じゃぁ……冒険者になるメリットとデメリット教えてください。他の2つは大体予想つくので大丈夫です」



ベルクの言葉に美希は感動を覚えるのであった。

そして美希はベルクの方をにこやかに見て聞くと



「…ふむ、初めからそうしておれば良いものを…。

…冒険者になるメリットは、金が手に入るのと個人の身分を証明できる事だろうな。 場合によっては巨万の富と名声が得られるだろうよ。

デメリットは強制依頼や指名依頼よる自由の拘束、後こっちは稀だが名が売れれば命を狙われたり、人間共の上層に顔を覚えられたりだろうな。」


「……んーーー…。

身分は欲しいし、冒険者にとりあえずなってある程度お金を貯めて身支度整えてからがベストですかねぇ?」


「…ガレフの森を抜けるのに走れば3〜5日、歩けば7〜10日、そこからラルフまで夜通し歩いて2日、ラルフに入る時の金と冒険者登録の費用が確か………すまんな、覚えておらん。

まぁ、合わせて500コルドは超えんだろうし、ガレフの森の魔物を狩って行けば大丈夫だろう」


「……遠いんですねー…。 えっとコルドってこの世界のお金ですよね? 確か……」



この世界に来るに当たって得た知識があっているか確認がてら美希はベルクに

コルドとは魔物を倒した際に魔物の胸辺りから飛び出す500円玉程のコインで、赤、青、白、黒の4種類ある。

赤が1コルド、青が10コルド、白が100コルド、黒が1000コルドとなっている。

1万コルドから銀貨、10万コルドから金貨、100万コルドから白銀貨に、万単位でコルドを役所やギルドに行って交換して貰い、銀貨などで高価な装備や家具なのどの道具を買う。 コルドは基本庶民層のお金であり頻繁に使われているが、貴族やランク階級である冒険者のBランク以上はこの銀貨以上の硬貨を使って物を買う事が多くなる。


「……あぁ、コルドと硬貨それであっておる。 だがな、肝心な事が抜けておる。

…剣や魔法と言った個人による攻撃の場合倒せばコルドが必ず落ちる、毒や弓を使ったとしても変わらん。だが魔物の素材は稀にしか落とさん。

テイマーや珍しいが召喚術を使う者達が、使役した獣や魔獣が魔物を倒した時は魔物の素材が必ず落ちるが、コルドを落とす事は極々稀になる。

つまり、金が無い時下位の魔物しか倒せんテイマーはまず不要だが、金が有り余っとる連中からすれば武器や防具、薬や家具などの素材を落とす上位の魔物にはテイマーは人気と言う事だ。」


ベルクの追加の説明に対し美希はよく分からなそうな顔をして


「……え? その弱い魔物の素材売ればいぃ…」

「使い道の少ない使えん素材など売れん。 強い魔物を狩れば落とすコルドより素材が金になるが弱い魔物はその逆だ。

1コルドにも満たん素材と、倒せば1コルドになるのなら、お前は自力で倒す方を選ぶだろ?」


会話を遮られ、この世界の真実にただ頷くしか無い美希であった。

それはつまり…


「…え、私がそのガレフの森って所で魔物をやっつけてコルドを稼がないと………未来は無い、とかですか?」



ベルクはその問いに頷いた。



「ガレフの森の魔物どもは雑魚だ、なりたての冒険者ですら1匹は狩れる。 肉を落としたとしても不味い、牙も爪も汚い、毛皮も臭いの取れん物は使い物にならん。 ……基本居るのは青い狼の魔物だ、そいつらはお前が倒せ。

だが、炎狼(フレイムウルフ)と言う燃える様な赤い毛並みの狼か、蒼狼(ガレフ)と呼ばれる紺色の美しい毛並みをした狼は素材が金になる、肉も悪く無い。 其奴らが現れれば我が狩る。 分かったな?まぁ…」



淡々と告げるベルクに美希はついて行けていなかった。

この炎狼も蒼狼もかなりの低確率でしか出ないらしく、殆ど美希に倒せと言っている様なものだと追加のベルクの説明でわかったのだ。



「……………。 私、戦うとか無理だと思います。 蚊とか蝿とか小さい虫ならまだしも、魔物って言ってますけど…見た目どうせ狼とか言いながら犬なんでしょ?」



魔物と言っているが狼なのだ。 つまり生きている物を殺す。 日本から来た美希にはそれが当たり前では無く、非日常的であり動物好きの美希には余りに残酷な事をこれからするのではと思ってしまったのだ。

この発言に、そして心を通じて聞こえた声にベルクは大きな溜息を吐くと。



「………お前が戦えずともカイルがおる、どうとでもなるだろう。 回復はお前が、戦闘はカイル、これなら文句は無いだろう?」


「ベルクさんは何するんですか?」


「……話を聞いていたのか? 我はお前らの補助でもしておるわ。 カイルを鍛えねばならんしな。」



呆れた口調でそう言って来るベルクに美希は口を尖らせた。

しかし考えれば此処は異世界、此処で生きて行く為には慣れなければと1つ深呼吸をするとベルクの目をジッと見て



「……ベルクさん、すみません。 私は多分戦え無いと思います。 ですが、きっと少しづつは慣れていけると思いますので………えと、ゆっくりと寛大な心で見ていてくれませんか?」



美希は真剣な表情で、今はまだ無理だとベルクに伝えこの後の長い日々のための釘まで刺すかの様な発言をした。



「………………。

…良かろう。 物の整理もつかぬまま戦えとは酷な話しだろうしな。 赤子同然と思えば気も長く持てよう。」



ベルクは皮肉交じりにこう言った。



「…さて、この村にこれ以上長居は不要だろう。 さっさとカイルと合流して行くぞ」


「え? あ、はい! 」



ベルクはそう言って軽い足取りで食堂を出ると、美希も慌ててその後を追い掛け食堂から出た。

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