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閑話休題その五


   ○閑話休題○ ~秘書メガネの魔法講座~



 ハイ注目! 

 試合もちょうど折り返し地点ですが、その前に魔法についてあれこれとお話をしておきましょう。

 まず、魔法と一言で言っても様々なものがあります。

 呪術や神聖魔術のような系統の違いもあれば、同じ系統でも術の発動形態の違いもあります。

 発動形態とは、魔法を使うまでに準備が必要なものや、特殊な条件下でのみ使えるもの、発動後に反動があるものなどが存在します。

 それらをざっとまとめておきましょう。


 儀式魔法。

 魔法を使うまでに下準備が必要なものです。魔法を使うための呪文詠唱なども儀式のひとつとみなします。


 限定魔法。 

 限られた条件下でのみ使用できる魔法です。満月の日のみとか、夜のみ使えるといった時間の制約や、誰にも見られていない場合のみ使用可、対象が複数の場合のみ使用可、死にかけている時のみ使用可……などなど、さまざまな限定条件があります。


 条件魔法。

 魔法を使用後、設定した条件を満たした時に発動する魔法です。例えば、相手が嘘をついたり、裏切ったら魔法が発動、といったものです。嘘をついたら伸びるピノキオの鼻や、裏切ったらヒキガエルになってしまう魔法などが条件魔法に分類されます。王子様のキスで目覚める魔法なども条件魔法のひとつです。

 戦闘前に条件を設定しておき、戦闘中に詠唱を省いて攻撃魔法を発動させたりといった使い方もされます。

 また、条件次第で威力が大きく変わるものも条件魔法に分類されます。


 反動魔法。

 魔法を使った瞬間、あるいは使った後に反動が来る魔法。リスクを覚悟しなければいけませんが、発動が早い、威力が高いなどのメリットもあります。ハイリスクハイリターンです。

 自分の命を犠牲にして相手を道連れにする魔法なども反動魔法に分類されます。


 血統魔法

 血脈でのみ受け継がれた魔法。習得は技術ではなく体質に依存します。が、その威力を磨くには長い修練が必要になります。血が薄まると威力も落ちるため、昔は血統魔法を維持するために近親婚も繰り返されたといいます。

 

 

 これらの発動形態が単独、あるいは複数組み合わさって魔法は出来ています。

 発動形態は発動のための必須条件である場合もあれば、必須ではないけども付け加える事で威力を強化できる場合もあります。

 例えば、呪文を唱えるだけで使える魔法でも、反動を設定する事により更に高い威力を引き出せる場合があります。

 これらの知識を踏まえ、選手たちの魔法を見ていきましょう。



 まず呪いペアから。


 阿木原ミタマ


 《呪いの生命誕生(ハッピー・バースデイ)》  儀式・反動魔法


 本来は儀式魔法ですが、ミタマ選手は普段からの呪い活動や類稀なる魔力貯蔵量にものを言わせ、かなり簡略化された儀式のみで発動する事ができます。

 ボールに生命を与える程度なら触れるだけで発動できるようです。しかし巨人を呼び出すには普段から愛用している道具が必要になります。

 また、基本的に呪われた魂を扱うので術者に制御できないという反動があるのですが、ミタマ選手は平然と従えてますね……

 このように、血筋や才能で発動形態を簡略化できる場合が稀に存在します。


 黒土かばね


 《(エターナル・)結眼(ブリザード・アイズ)》 (読み方はミタマが勝手に命名) 反動・血統魔法


 限られた血脈しか扱う事のできない、体質に依存した魔法です。

 眼精疲労という反動が存在し、場合によっては失明する場合もあるようですが、かばね選手は目がしばしばする程度の反動で使いこなしているようです。


 《依り代の依子さん》     儀式・条件魔法

 

 自分の身に受けた災厄を、人形に肩代わりしてもらう魔法です。

 毎日の人形の手入れという儀式が必要で、自分が何かの災厄を受けているという条件が必要です。食らってからの後出しになりますが、どんな魔法でも無効化してしまうので、持続系魔法にとっては天敵のような魔法です。魔力差がありすぎると肩代わりしきれないので、クリスティーナ選手の魔法を無効化できたかばね選手はそれなりの魔力の持ち主といえます。


 《髪の長いお友だち(うしろのかばねちゃん)》 (読み方はミタマが勝手に命名) 血統魔法


 かばね選手の得意魔法のようです。ほとんど何のリスクも準備も必要なく行使できます。

 むしろ本人が意識していないうちに勝手に発動している事もあるそうです。

 髪が痛むという反動を設定すればもっと威力が上がるようですが……



 ここからはエースペアについて。



 護宝院梓


 《忍法・ぬりかべの術》   儀式魔法

 

 印を結ぶという儀式が必要になります。本来はもっと複雑な印が必要になりますが、梓選手は日頃の努力の積み重ねによりかなり簡略化しています。

 

 《忍法・分身の術》  反動・儀式魔法


 印を結ぶ事により分身を作り出す儀式魔法。オーソドックスな基本忍術の一つです。

 反動として、全員が動いた分だけ本人が疲労します。そのため、大勢の分身を作る事は非常に疲れますが、梓選手は努力と根性でカバーしています。

 分身は基本的に自分と同じものが現れますが、梓選手は分身の胸を盛っているようです。

 胸を盛るという改竄を加えている分、リスクの疲労度も上がりますが、それを差し引いても胸を盛りたいようです。私にはその気持ちはわかりません。


 《忍法・スライム責め》 限定・儀式魔法


 印を結ぶことにより発動します。実は対象が女性のみという限定条件があります。

 理事長が言うには、いにしえの忍者砦にはスライムがいたらしいのですが……



 夕張・クリスティーナ


 《神降臨(ペンテコステ)》  血統・条件・限定・儀式魔法


 神聖魔術の究極奥義の一つ。

 限定条件として、術者の信者がその場にいる必要があります。また、信者の数という条件によって威力が変わります。普段から清く正しく生活するという儀式が必要になります。

 クリスティーナ選手は全国に一千万人の信者がいるそうなので、かなり強力です。

 神の数々の奇跡を行使できる、万能的な魔法です。


 《磔刑(エウラリア)》  限定・儀式魔法


 罪の意識を持った人間を磔にする封印魔法。対象がなんらかの罪悪感を持っていないと使えないため、おそらくミタマ選手には効かないと思われます。ただし、普通の人は普通に生活していれば多少の罪悪感を覚える事くらいはありますので、効かない相手というのは稀です。罪に対して後ろめたく思っていなくても、罪と認識していれば効果があります。

 普段から罪人に対して祈りを捧げるという儀式が必要になります。

 ちなみに、クリス選手が一試合に神降臨と磔刑を同時に使うのは今試合が初めてだとか……


 今のところ、試合で使用された魔法はこんなところでしょうか。

 これらの知識を持って見ると、後半戦がより楽しめるかもしれません。

 それでは、後半戦をお楽しみください。


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