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88・2対1

遅くなって本当に申し訳ない!気付けば丸1ヶ月も・・・

今後はなるべく頻繁に更新したいですが、仕事も私生活も忙しいので約束が・・・

でも、なるべく頑張ります!

「ミ、ミツルさん!よろしくお願いします!」

「お、おう・・・」


今、俺の部屋にはコロハがやって来ていた。

コロハは妙に気合が入っているが、そこまで緊張するモノでもないような気もしていた。


夕食を食べ終わった後、俺の部屋にコロハが来ているのは魔法を教えて欲しいと言うコロハの希望に応える為だった。

コロハには何の魔法を教えようか考えてみたが、土魔法を教えようと考えていた。

特別な理由はないが、強いて言うなら『エレアやケイトと別の魔法を使えたら良いのではないか』という安易な考えからだったが、よく考えてみれば接近戦を得意としているコロハに足場である地面を操れるようになる事は、強力な武器にもなりえるとも考えられた。


「コロハには(サト)魔法(・マギカ)を教えようと思う」

「サトウマギカ?」

「いやサト・マギカ、土魔法の事だ」

「そ、それって特殊魔法ですよね!?」

「まぁそう言われているが、原理や考え方は一緒だからコロハにも使えると思う」


この考え方はケイトに教えた水魔法の応用版とも言えた。


土には様々な物質が混在している。

主な物質を上げるならばケイ素、アルミニウム、鉄、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、炭素等が含まれていて、それがそれぞれ酸化している状態で存在している。水の時の様に水素と酸素みたいに簡単なモノではないが、それぞれの存在を正しく理解していれば問題なく使えると思っていた。

しかし、その過程で一つ問題があった。それは・・・詠唱がない事だった。

土魔法はこの世界ではメジャーではないので、もちろん詠唱なんてモノも作られていなかった。なんとか、詠唱を適当に作ってみようとは以前考えてやってみた事はあったが、全く機能していなかった。


コロハは元々生活魔法として『流水(フルエンタ)』は使えていた。なので、その魔法をまずは無詠唱で使えるようにしてからはじめようと考えていた。


「まずは、魔力で物を動かしたりする練習として流水(フルエンタ)を無詠唱で使えるようにしたいと思う」

「む、無詠唱ですか」

「無詠唱と言ってもそこまで難しい事じゃないから、今は緊張しなくて良いよ」


緊張しなくて良いとは言ったものの、コロハは真剣な目をして張り切っていた。


「まあ、最初は正しい知識からだけど、コロハは水ってどうやって出来ると思う?」

「水ですか?え~っと、そうですね・・・やはり、水の妖精が生み出して居るんでしょうか?」

「実は妖精が生み出している訳では無くて、酸素と言う物と水素と言う物をくっ付けて作っているんだ」

「サンソとスイソ?ですか?」

「あぁ、その部分に関して詳しく説明すると───」


青年説明中・・・


「───っと言うわけで、これが『水の(ことわり)』の基本だ」

「そうだったんですね。水がそこら中に浮いてるなんてはじめて知りました」

「じゃあ、次は実際に魔法を使ってみようか」


ケイトやエレアに説明した水の基本知識を一通り伝え終わったので、続いて実践に移る事にした。


「最初はイメージを持つ練習からはじめよう」

「わ、わかりました」

「じゃあ、まず目を閉じて」

「はい」


この方法はケイトやエレアにもやった方法だった。最初から苦手意識のある無詠唱をやると言っても、無駄に力が入ってしまうだけだ。なので、指示だけ出していたら出来ちゃいました的にやらせようという作戦である。

目を閉じたコロハにゆっくりと様子を見ながら指示を出していくと、ケイトやエレアの時と同様、完全無詠唱での魔法を簡単に成功させていた。

無詠唱の魔法を成功させたコロハは喜んで抱きついてくるほど、感動していた。

あとは繰り返し練習させて、物質を魔力で操る感覚を覚えていけば土魔法も出来ると確信していた。


コンコン!ガチャ

「ご主人様。よろしいですか?」


無詠唱魔法が成功した事に一頻りコロハが喜んでいると、寝巻き姿のシンティラが部屋へやってきた。


「ん?シンティラか、どうした?」

「あ!もうそんな時間でしたか」


シンティラが部屋にやって来たのを見て、なぜかコロハが慌て始めた。

確かに時間的にはもうそろそろベッドに入ってもいい頃合だった。


「シンティラちゃん、ちょっと待ってて下さいね!」

「はい! クスクス・・・」

「?」


シンティラに声を掛けると、コロハが慌てて部屋を飛び出して行った。それに返事を返したシンティラが何が面白いのか楽しそうに笑っていたが、俺にはさっぱりわからない状況だった。



「お待たせしました!」


しばらくして、出て行ったコロハはなぜか寝巻き姿になって戻ってきた。


「・・・え~っと、これはどういう事?」


この状況下に思考が追いついていない俺が率直に疑問を投げかけると、コロハとシンティラが二人とも頬を染めながらも笑い合っていた。


「いつも、ミツルさんに負けてばかりですからね。今日はシンティラちゃんとお相手しようと思いまして」

「・・・・・・・・・はぁ?」


コロハからの回答に思わず目が点になってしまった。


「ご主人様を喜ばせられるように頑張ります!」


シンティラが張り切って両手をグーにして気合を入れているのは仕草としてはかわいいが、ちょっと待って欲しい。


「え?ちょっと待って」

「待ちません!えい!」

「おわ!」

「えい!」


俺の思考が追いついていないので考える時間が欲しかったがその願いは聞き入れて貰えず、コロハにベッドへ押し倒され、それに続いてシンティラまで飛び込んで来た。


こういう状況で俺が今一番心配している事は、明日の朝起きれるかどうかだった。





「ふぁぁあああぁ~」


翌朝。大きな欠伸をしながら疲れが全く取れていない体を起こして窓の外を見てみると、丁度いつも起きている頃合だったが、いつにもまして眠さは強力だった

昨日の夜はシンティラとコロハを二人も同時に相手をすると言う、非常に難易度の高い事を強いられてしまった。

勿論、俺も男なので負けるわけにはいかず、何とか二人とも寝かす事に成功した。

しかし、一人を相手にするのとは違い、自分の体力を見ながらなのでいつもより大分時間が掛かってしまった。そのおかげで、恐らく3時間ぐらいしか寝ていない状態ではあった。


もう少し寝ていたい衝動に駆られるが、そこは気合でベッドから出て、自分や二人の体を拭いたりして後始末をして、服を着ることにした。

ロクの頃だった記憶を取り戻した後、毎日続けている朝のトレーニングの為だった。


「ふぁぁあああぁ~」


着替えが終わった後でも、相変わらず欠伸は出て来てしまう。

流石にこれを毎日やられたら体が持ちそうにない。


「どこかで、俺一人で寝るお預けの日を作らないとな」


そんな事を独り言で呟きながら、ベッドでまだ寝ている二人を振り返ってみると、二人は少し嬉しそうな顔をして寝ており、それはまさに天使の寝顔と言っていいほど愛らしい姿だった。


「うん・・・もうちょっと頑張ろうかな」


俺は小さく前言撤回をしながら静かに部屋を出て、鵺を連れて早朝の街に走り出した。




「ただいま~・・・ってまだ寝てるのか」


俺が時間魔法(スローモーション)(1/2倍)を使いながら走ったり組み手をしたり、新しい魔法の練習をしたりして部屋に帰ってくると、二人はまだ夢の中に居た。

実際の時間では2時間ぐらいは経って居る筈だが、昨日は俺も全力で相手をしていた為に二人に無理をさせてしまったかも知れない。

本当はこのまま寝かせてやりたいところだが、もうそろそろ起きないと飯を食う時間も無くなってしまうので、そうも言っていられなかった。

とりあえず、二人の体を揺すってやさしく起こしてやると、二人とも小さく欠伸をして、挨拶代わりに唇を重ねてきた。


こういう時、いっその事元の世界に返らなくてもいいのでは、と考えてしまうほど幸せに感じていた。


その後もいつも通り朝飯を食べて、ラークのところに向かった。



「コロハとシンティラで相手をしても(あるじ)に負けるとか、(あるじ)が如何に今まで自分に対して手加減していたと思うと、なんか悔しいな」


ラークの店に向かう途中、歩きながらふと昨日の夜の話になった。

エレアはそうは言うが、こっちも男なので負けられない戦いではあった。


「っというか、なんで昨日の夜はそうなったんだよ」

「それは、その。なんと言うかですね・・・。ミツルさんは強いからそれぐらいは普通だとお聞きして・・・」


俺が昨日の経緯を聞くとコロハが顔を赤くしながら、その理由を口にした。


「聞いたって誰から?」

「それは・・・」


コロハが言い難そうにしてどこかを見ていたので、その目線を追うと直ぐに犯人がわかった。


「フーカ・・・」

「残念ですわ~。折角主様に一泡吹かせられると思ったのですが、そっちまでお強いとは」


若干責める様なジト目でフーカを見たが当の本人は悪びれる訳でもなく、悪戯がばれてしまった子供のように笑いながら白状してきた。


「決めた。今日の午後、俺は格闘組に入って本気でやるわ」

「「え!?」」


俺が午後の予定を言うと、コロハとシンティラが驚きの声を出した。


「大丈夫だよ。シンティラとコロハとはちゃんと手加減するから」

「あ、主様?昨日の話では、手加減をしてくださるのでは・・・なかったかしら?」

「気が変わった」


俺がシレっというと、フーカの額から冷や汗のようなモノがダラダラ出てきていた。

そんなフーカの後ろから、エレアが方を叩いて一言。


「フーカ。死ぬなよ」

「自信がありませんわ」


そんなやり取りを見ていると、昨日加わったばかりのフーカはすでにみんなと打ち解けているようで、少し安心していた。


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