87・反応はいっしょ
「じゃあ、悪いけどちょっと待っていてくれるか?カームと話してくる」
「わかりました」
「そんなに急がなくてもいいからな。主」
「いってらっしゃーい」
みんなはそう言うが、やはりみんなは物とは違うのだから、みんなには悪いと思いつつ俺はカームと話す為に部屋を出た。
「夜にすいません」
「いえ、大丈夫ですよ。廊下で立ち話もなんですから、俺の借りてる部屋に行きましょう」
女の子の部屋を出た俺はカームと一緒に下の自分が借りてる部屋に向かった。
「それで、話とはなんでしょうか?」
「あぁ、昼間に渡しそびれちまいましたから」
ガシャ!
そう言ってカームが机の上に金属音を立てて袋を置いた。
「あぁ、甕の代金でしたか」
「はい。今回金額に上限が決まっていたので、それなりに苦労しましたぜ。なにせ、5倍の値段で買おうとする奴まで出て来ましたからね」
「それはすみませんでした。それで、甕は買い手に定着しそうですか?」
「それは問題ありません。肉屋も魚屋も、手放す事はしないでしょう。売った街も肉屋2軒、魚屋2軒しか無い街で売りましたので、その街での市場問題にはならないと思います」
「そこまで考えて頂いてありがとうございます」
今回、甕の販売を肉屋と魚屋に限定したのは常備薬の考えと同じく、食の安全性が上がって欲しい部分も少しだけあった。
肉や魚は常温で鮮度を保つ事は出来ず長くても2日、早ければ当日で悪くなってしまう。
その為、食中毒の原因になりやすい環境になってしまっていたからだ。
「販売価格はピッタリ金貨3枚ずつになりました。売った店の主人たちは、もっと出さないと気が済まないと言ってましたが、そこは何とか引いてくれました。なので、今回の販売手数料を引いた、金貨6枚が売り上げです。確認してください」
「ありがとうございます・・・ん?」
袋の中を確認すると、金貨6枚とは別に袋が入っていた。
「カームさん。なんかお金が入った袋が一緒に入ってますけど、これは?」
「はい。実は、今度は俺から依頼をさせて頂けないでしょうか?」
「依頼ですか?」
袋のお金の事を聞くと、カームが少し頭を下げて依頼の申し出をして来た。
「はい。もし、ミツルさんが良ければですが、ケイトに魔法を教えてやって欲しいんです」
「え?」
甕の追加の依頼かと思ったが、カームからの依頼は俺にとっては意外な内容だった。
なぜなら、依頼をされなくても時間がある限りで教えようと思っていたし、現に今日だって既に魔法を教えていた。
「ケイトは今まで、何をやってもうまくいかなかったり、何度も挫折していた奴なんです。そんな奴が、やっと自分に自信が持てるモノを見つけたんです。兄としても、やはり応援したいんです。その金はケイトを教えて頂く授業料だと思って下さい」
「それにしたってこれは・・・」
授業料だと言われた袋には金貨が8枚も入っていた。どう考えたって、今回依頼した甕の売却手数料より多くなってしまっている。
「その金は俺らが稼いだ金では無く、ケイト自身が稼いだ金です」
「ケイトが?」
「はい。昼間にお話ししたスタンピードの件、あれの報酬で金貨24枚が支払われたんです」
「24枚!?」
金貨24枚と言えば通常一人で暮らすなら2年は働かなくても暮らせる金額だった。それを一回の戦闘で成し遂げたのだから、驚きを隠せなかった。
「その金は確かにケイトがスタンピードに立ち向かって稼いだ金です。しかし、それを可能にしたのは、紛れも無くミツルさんに魔法を教えて頂いたからです。それにも関わらず、俺達はミツルさんに十分な謝礼も出来ていません」
「いえ、それは既に貰っていたと・・・」
「それでは、足りないのです。それに、夕方に帰って来たケイトに聞きました。ケイトに広域魔法を教えて下さったそうですね」
「た、確かに教えましたが・・・」
「その金はその対価と思って下さい。魔術師になるなんて事は、普通じゃあ平民には到底無理です。才能があったとしても、教わる金がありません。しかし、ケイトは幸運にもミツルさんに教えて頂けた。本当はそんな金貨8枚では魔法使いにすらさせて貰えません。それにその金を渡す事を決めたのは俺では無く、ケイト本人です。どうか、受け取って下さい」
「ケイトがですか・・・」
俺を説得するかの様に頭を下げたままで言葉を並べて来たカームだが、最後に机へ頭を打ち付ける様にお願いされてしまった。
俺もそこまでされては、引くに引けなくなってしまっていた。
何より教えたケイト本人がお礼として、自分で稼いだ金を渡して来たのだ。
その意味は、この世界の常識を深くは理解していない俺でも、十分理解出来る程の重みを感じていた。
「わかりました。そこまで仰るのであれば、引き受けましょう」
「あ・・・ありがとうございます!」
「ただし、条件があります」
「な、なんでしょう?」
俺が条件を付けると、カームが途端に困惑の表情を現した。
「期間は3週間。その間に、ケイトの魔力限界で発動出来なくなるレベルの魔法まで教えます。そして、その魔法や知識は他に広めない事。それが条件です」
「わ、わかりました。俺達も含めて、必ずその約束は守ります!」
「では、ケイトに明日からまたよろしくと伝えて下さい」
「わかりました」
「ところで、気になったのですが・・・」
「なんでしょう?」
「ケイトはどうしてます?」
俺はふと、気になった事があった。それはこの場にケイト本人が居ない事だった。
俺の世界の常識では、普通は教わる本人が顔を出すモノだが、この世界の常識とは違うモノなのかと疑問に思ったのだ。
「あぁ、すみません。ケイトの奴、どうやら魔力切れに近い状態だった様で、ミツルさんが帰って来るまで頑張ろうとしていたんですが、気絶したように倒れてしまいまして・・・本来ならあいつが頭を下げに来るべきなんですけど、本当に申し訳ない」
「そういう事でしたか・・・」
カームが精一杯頭を下げて来たが理由を聞けば、魔法を使い始めて1ヶ月と少しの奴に広域魔法を使わせた自分に原因があるとわかったので、少し申し訳ない気持ちになってしまった。
「まあ、出来るところまでやってみましょう」
「本当にありがとうございます!」
話も大体終わったので、部屋の前でカームと別れたあと、俺はみんなを待たせてしまって悪いと思いながらシンティラたちの部屋へ向かった。
「は、はい!コロハさん!」
ガチャ!
「待たせて悪かったな・・・ん?どうした?」
俺が遅くなってしまった事を詫びながら入ると、なぜかコロハとシンティラが手を強く握り合っていた。
「い、いえ。何でもないです!ね!?シンティラちゃん!」
「は、はい!コロハさん!」
「フフフ・・・」「クスクスクス・・・」
「???」
なぜか顔を赤くする二人に疑問を抱いたが、エレアとフーカが笑っているところを見ると何やら女の子同士で仲良く話していたのだと思い、そこに関して男があれこれ聞くのも野暮だろうと思って気にしない事にした。
ただ、それに対して鵺とフェンリルが必死で笑いを堪えているのは妙に気になる所ではあった。
「ん?そうか、まあいいや。とりあえず、飯を食いに行こう」
「はーい!僕、もうお腹空いちゃいましたよ!」
「わるかったって」
「ご主人様!今夜はお願いします!」
「ん?あぁ、今日はシンティラだったか・・・」
鵺が文句を言いながら俺の肩に留まり、シンティラが俺の腕を抱きかかえるようにくっ付いてきた。
少々賑やかながら、みんなで食堂へ向かった。
「こんばんは~」
「あ!鵺さん。ミツルさんに皆さんも」
「こんばんは、イザックさん」
食堂に降りると、テーブルを拭いているイザックの姿が見えた。
辺りを見ると、すでに呑んだくれている獣人が数名いるのが見えた。
「すみません。遅くなってしまって」
「いえ、大丈夫です。お食事ですよね?今日はもう肉料理しか無いですけど、いいですか?」
「それで、構いません」
「わかりました、今お持ちしますね。あと、フェンリルさんと鵺さんは生もですか?」
「主がいいなら、頂こう」
「僕はご主人がダメでも貰います!」
「鵺。お前は抜きにするぞ」
「えぇ~!酷いですよ~。ご主じ~ん!」
「アハハハ!じゃあ、生肉2つ追加でいいですか?」
「はぁ~、お願いします」
「フフフッ」
俺と鵺がいつものやり取りをしていると、それを見てフーカが笑って来た。
「わるいな、騒がしくて。いつもの事だから、慣れてくれるとありがたい」
「構いませんわ。それにこういうのも悪くは無いですし」
「そう言って貰えるとうれしい」
「ところで、主様にお聞きしたい事があるんですが、よろしいですか?」
「ん?なんだ?」
「自分で言うのもなんですが、わたくしは強さには自信を持っていましたわ。そのわたくしをあそこまで簡単に倒したあの奇妙な術は一体なんですの?」
「奇妙な術?あぁ、合気道の事か」
「そう、それですわ。鵺さんにも伺いましたが、よくわからない様子でしたし」
「はぁ?鵺。お前にはちゃんと説明しただろ?」
「あんなの説明されてもわかりませんよー。それに僕は護剣自体もよくわからないんですから」
以前、俺が朝の日課であるアクアゴーレムとの組手をしていた時に、鵺に質問されて教えた筈だったが、どうやら理解されていなかった様だった。
思わずため息が出てしまったが、シンティラやコロハにも教えようと思っていたので、丁度いい機会だと諦めて説明する事にした。
「はぁ~・・・まあいいや。合気道と言うのは相手の力を利用して倒す方法だ」
「えぇ、それは聞きましたわ。ですが、それをどうやっているのかがわからないんですが」
「う~ん・・・多分口で説明するより、実際に見た方が解り易いと思うからな。ちょっと、エレア。手伝ってくれ」
「あぁ、わかった」
料理が運ばれるまでにまだ掛かりそうだったので、エレアを呼んでみんなの座っているテーブルの前に立ってモーションをゆっくりにして解説する事にした。
「合気道って言うのは、簡単に言えば力の方向性を変えたり、相手がこっちに向かって来ようとする力に、自分の力を加えてダメージを与える方法の事なんだ。他にも体の仕組みを利用した方法もあるけど、大雑把にはそんな感じだ。とりあえず、エレア。ゆっくりと俺に向けて拳を当てる動作をして見て」
「あぁ、わかった」
「まず、相手の右手の拳が向かって来たら、それに合わせて自分の左手を添えて自分の下に方向に引く」
「おわっ!とと」
エレアがゆっくり出した拳の手首を掴まず、少しひっかける程度に添えて引っ張ると、それだけでエレアは前のめりになって転びそうになってしまった。
「今はゆっくりやっているからエレアは踏み止まれるけど、これが実際の速さで行うと踏み止まる事はおろか、いつの間にか殴り掛かった方が地面に転がっている様になる。これと似ているのは護剣だ。鵺。小太刀二刀になってくれ」
「はいは~い」
カチャカチャ
「鵺、エレアに片方持ってもらうがいいか?」
「それは構わないですよ?」
「ありがとう。じゃあエレア、片方持って」
「あぁ、わかった。って重!鵺って武器になるとこんなに重かったのか!?」
「エレアさん!僕も一応乙女なんですから、重いとか言わないで下さい!」
「わ、わるかった」
「とりあえず、ゆっくりと俺に向かって振り下ろしてみてくれ」
「あ、あぁ。わかった」
今度は護剣を説明するために、片手でゆっくりと鵺を振り下ろす動作をしてもらった。
「相手が武器を振り下ろして来た時に、相手と同じ側の手に持っている武器、無ければ木の棒なんかでもいいんだけど、それで相手の武器の横に添える様に当てる」
カチ!
「そこから相手の力に逆らわずに、方向だけを変えて相手の武器と一緒に振りぬく」
シャオォォン!
説明しながら一連の動作を行うと、護剣独特の武器同士が擦れる残響が響いた。
「これが護剣の仕組みだ」
「なんというか、不思議な感覚だな」
実際にゆっくりの動作だが合気道と護剣を体験したエレアが、不思議そうに驚きながら鵺を渡して来た。
もう役目は終わったとばかりに鵺は俺の手に戻ると、すぐに鳥の姿に戻った。
「エレアはどう感じた?」
「あぁ。なんというか、確かに自分の力で振りぬいている様だが、その方向に吸い込まれて行く様な・・・そんな感じだった」
「わたくしの時は気付いたら地面に転がっていた状態だったからわかりませんでしたが、合気道の時はどうでしたの?」
「あぁ。合気道の時はまさしく吸い込まれて行く様な感覚がした。確かに拳を引かれているんだが・・・なんというか、全身を引っ張られている様な感覚とでも言えばいいのか・・・とにかくそんな感じで、うまく言い表せないんだ。ただ主が言った様に、ゆっくりだったから転ばないで済んだが、もっと動作が早ければ、気付いた時にはわたしは地面に転んでいたと思う。そのぐらいギリギリまで自分が倒れそうな事に気付かないんだ」
エレアは説明されながらも体験したのだが、あまりに不思議な感覚だったので上手く言い表せられないと戸惑っていた。
「今回は簡単に説明したが、その内に合気道をシンティラに、護剣をコロハに教えようと思っている」
「わ、私にですか!?」
シンティラは鵺から聞いていたのかそこまで驚かなかったが、急に話が出たコロハは驚きの声を上げていた。
「護剣はその特性上、両手に剣を持って戦う戦い方が一番合っているんだ。それにコロハはある程度実力もあるから、すぐに使える様になると思う」
「わ、わかりました。頑張ります」
コロハは褒められたのと期待された言葉に自然と両手をグーにして気合を入れていた。
「そう言えば、フーカの武器はどうしようか」
「わたくしのですの?」
戦い方についての話が出たので、ついでに聞いて置こうと思ってフーカに話を振ってみた。
「今日戦った感じだと、素手での戦いは慣れて居ない様に感じたからな。捕まる前は何か武器を使っていたんじゃないか?」
「はぁ~・・・主様にはそこまでお見通しだったとは」
今日フーカと戦った時、違和感を感じていた。それは攻撃が直線的すぎる事だった。
確かに力は強いが、あれでは戦い慣れている者であれば簡単に避ける事が出来る。
そんな戦闘力で35人もの冒険者や魔法使いを葬って来たとは到底思えなかった。
つまり、あの場では素手で戦うしかなかったが、何かしらの得意武器があって、それを使えば格段に戦闘力が上がるという憶測に辿り着いたのだ。
その事を本人に言ってみたのだが、どうやら辺りだったらしく白状でもするかの様に、ため息を吐いて来た。
「お察しの通り。わたくしは大剣が自分の武器でしたわ」
「大剣?大きさはどの位の物なんだ?」
「そうですわね。大きい時には2mはありましたかしら。でも、すぐに折れてしまいましたわ」
「「「はぁ!?2m!?」」」
当たり前の様に答えたフーカの言葉にエレアとコロハ、鵺が驚きを声に出していた。
奴隷市場で平気な顔をして1tはありそうな金属製の檻を片手で投げていたのだから、俺はそこまで驚きはしなかったが、苦笑いを隠す事は出来なかった。
「じゃあ、明日の夕方に武器と服を買いに行こう。ついでにみんなの服とかも買うからみんな付き合ってくれるか?」
「は、はい!」
「わかりました」
「わたしは、自分の服があるから大丈夫なのだが」
エレアは元々の自分の私物があるので遠慮して来たが、そこは公平にと考えていた。
「まぁまぁ、エレアもなんか好きなの買えばいいだろ?」
「わ、わかった。主がそういうなら」
「わたくしはこれで十分なんですが」
「フーカも替えの服とか必要だろ。今日はとりあえずで買ったから、明日は何着か買ってくれ」
「大変お待たせしました」
明日の予定も話したところで、イザックが料理を持って来てくれた。
「あ、主様?」
「ん?なんだ?」
それぞれの前にステーキの様な肉とパンなどが置かれると、フーカが戸惑いの表情で声を掛けて来た。
「わたくしたちは奴隷なのですが、主様と食事が同じ内容の様な気がするのですが・・・」
「あぁ、これは俺のわがままでもあるんだ。奴隷だからって飯の質を落とす必要はない。普通に食べてくれ」
フーカが言って来た疑問を聞いて、シンティラも最初は俺にそう言って困った顔をしていた事を思い出した。
それを思い出し笑いして説明すると、ふとシンティラに目があった。
目があったシンティラは俺が考えていた事を悟ったのか、少し恥ずかしそうな笑みを返してくれた。
「俺は奴隷だからといって他者との差別をする気はない。例えば、何か意見や提案があるなら遠慮なく言ってくれ。意見を元に俺が考慮して決定を出すが、それについても意見があるなら言っても構わない。ただ、俺が最終的に決定した事については従って欲しい。フーカの場合は奴隷の期間が生涯だから強制になってしまうが、しばらくしたら俺たちはこの街から旅に出る予定だ」
「旅ですか。どちらへ?」
「すまないが、今は話せない。そのうち話すが、この世界の果てより遠いところに行くとでも思ってくれればいい」
「随分勿体ぶるのですね?」
「今日会ったばかりの相手に話す話じゃないって事だと、理解してくれると有り難い」
「そうですか・・・一つ聞いてもよろしくて?」
「あぁ」
「みなさんの意思としてはどうなんですの?」
先程の話から、俺が決定した事項だからみんな一緒に行くのだと思ったらしく、フーカはみんなの顔を見て質問を投げかけて来た。
「ご主人と居ると飽きませんしね。僕は一緒に行きたいと思ってます」
「確かに主と居ると退屈せずに済みそうだ。それに、俺も知りたい事があるしな。俺はついて行く」
「わ、私はご主人様から離れたくありません!どこまでもついて行きます!」
「わたしも主から離れるつもりはない。どんなことがあっても、生涯を捧げると誓ったのだ」
「私もです。私の奴隷の最低期間は既に過ぎてます。ミツルさんは解放して下さろうとしてくれましたが、私の意思で奴隷で居続ける事を選びました。それに私は、ミツルさんがその旅に出る事を知っていて選んだんです」
「・・・フフフッ」
鵺・フェンリル・シンティラ・エレア・コロハの順にそれぞれの意思を聞いたフーカは少し考えた後で、何を思ったのか笑いっていた。
「これは主様の決定と言うよりも、みなさんが決定した事でしたのね」
フーカが口に手を当てて笑いながら言って来たが、全く持ってその通りであった。
もしも誰かが拒否したのならば、全員奴隷解放をしてから旅に出ると言う選択肢もあった。
しかし誰も拒否しないどころか、ついて行くと言う選択肢を選んでくれた。
「まぁ、わたくしには選択肢はありませんけどね」
「一応、俺の知り合いの奴隷になるって手もあるぞ?」
「わたくしより強いのかしら?」
「いや、弱いな」
「じゃあ、論外ですわ」
一応、別の選択肢を出してみたモノの、速攻で却下されてしまった。
まぁ、この話はもう少し時間を置いてから話して、その後に決めて貰えばいい事ではあった。
「まぁ、すぐに答えなければいけない問題ではないし、それに全てを話してからで無いと決められないと思うからな・・・さて!話はここら辺にして、飯を食べよう!」
「そうですわね。久しぶりのご馳走ですもの、冷めない内に頂きますわ」
「あぁ、食べてくれ!」
俺の言葉を合図にみんなで遅くなってしまった夕飯を食べ始めた。
夕食中も鵺が勝手に肉の追加を頼んで居たり、エレアが酒を頼んでいいかと聞いて来たので了承したが、フーカと一緒になってワインを2本空けてしまったりと賑やかな夕食となった。