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76・コロハ

「83・・・84・・・85・・・ん?」


翌日、昼飯を食べた後しばらく俺が一人で腹筋や腕立て伏せ等をしていると、今日も来ていたエレアとシンティラが家から出て来た。


(あるじ)、わたし達は村の宿に戻っている」

「ん?戻るにしてもまだ時間が早くないか?夕飯位食べてから戻ればいいだろ?」

「いや、わたし達も特訓しなくてはいけないしな」

「ご、ご主人様がもう倒れない様に、私頑張ります!」


別に今回倒れたのはシンティラのせいじゃないが、シンティラは真剣な目で握り拳を作って気合を入れていた。


「そうか。じゃあ俺も一緒に───」

「い、いえ!ご主人様はコロハさんと居て下さい!」


俺も一緒に特訓しようかと思うと、シンティラが言葉を遮って来た。


(あるじ)はまだ体調が万全ではない筈だ。今日も無理をしないでゆっくりした方がいい」

「まぁ、それもそうか・・・わかったよ」

「あぁ、では(あるじ)。失礼させて貰う」

「あぁ。じゃあまた明日な」


エレアとシンティラにはまだ心配をさせている様で、ゆっくり休む様に言われてしまった。

エレアに言われた通り、無理をして体を壊してしまってはリハビリの意味が無くなってしまうので、今日のところはトレーニングはやめて家で大人しく休む事にした。




コンコン!

「ミツルさん。今いいですか?」


俺が自分の部屋でゲンチアナから貰った魔法書を読んでいると、外の空が茜色に染まり始めた頃、コロハが部屋を訪ねて来た。


「ん?大丈夫だけど?」

「お話があるんです」


部屋の入口から聞こえるコロハに目を向けると、緊張した面持ちで立って居た。

顔は夕日で照らされているせいで、少し赤い様にも見えていた。


「あ、あの・・・ミツルさんは、その・・・また、バールの街に行ってしまうんですか?」

「まあ、一回戻らないといけない用事があるからな」

「一度・・・ですか?」

「あぁ。その後、少ししたら旅に出る予定だ」

「その・・・旅って」

「元の世界に戻る方法を探す旅だ」


俺が旅に出る事を話すと、コロハは俯いてスカートを握り締めていた。

確かに俺もコロハと別れるのは辛い。それはイツと重ねて見ているからだけではなかった。

純粋に俺はコロハの事が好きだった。それはこの世界にやって来て、最初の1ヵ月間を共に暮らして居る時に感じていた事だった。


俺とコロハの間に沈黙が流れて、太陽が山に隠れようとする頃、コロハが涙目になりながら顔を上げて、突然俺に抱き着いて来た。


「コロハ!?」

「ミツルさん・・・お願いがあります。聞いて頂けませんか?」

「なんだ?」


抱き着いて来たコロハが静かに声を掛けて来た。命の恩人の願いとあらば、俺に出来る事なら叶えてやりたいと思い。一度コロハから目線を外して頭を優しく撫でた。


「私を・・・これからもミツルさんの奴隷として、(そば)に居させて頂けませんか?」

「そ、それは!?」

「お願い・・・です」


コロハの願いの内容に驚いて、抱き着いて居たコロハに目線を落とすと、涙目になりながらも上目使いで懇願して来た。


「本当に、いいのか?」

「はい・・・」

「俺は人間だぞ?」

「はい・・・」

「それに、もう女性の奴隷が2者いる」

「はい・・・シンティラちゃんからも関係は聞いてます」

「・・・・・・え!?あ、あぁそうなのか」

「はい・・・」

「そんな男だぞ?俺は」

「大丈夫です・・・」


俺は口ではそんな事ばかり言っていたが、手をコロハの頬に添えてゆっくりと互いの顔を近づけて行った。


「ミツルさん・・・私のすべてをあなたに捧げます・・・愛して───」


コロハが言葉を言い切る前に、俺はコロハの口を自分の口で塞いだ。

互いの舌が触れると、求め合うように互いの口の中で絡み合った。

一度唇と唇を離すと、互いに求めあった糸が繋がっていた。


「俺も、好きだ」


俺からも気持ちを伝えて再度唇を重ねると、俺はベッドにコロハを押し倒してコロハの全てを求めた。

それに答える様にコロハも俺を受け入れる様に求めて来た。


この日、俺はコロハと夜遅くまで愛し合った。





翌朝、すぐ近くで何かが動いた感覚に目を覚ますと、互いの息を感じるほど近くにコロハの幸せそうな寝顔が目に飛び込んできた。

昨夜、一線を越えたコロハと俺は生まれたままの姿で抱き合っていた。


「ん・・・」モゾモゾ・・・

「クッ!」ビクッ!


コロハが再度動いた時に、背中に電気が流れるような感覚が伝わって来た。

コロハと片手は繋いで抱き合って寝ていたが、どうやら寝る時に繋いだままにしてしまったのは、手だけではなかったようだった。


「ん・・・ん!」ビクッ!


このままという訳にもいかないので離れようとするが、コロハはまだ寝ているようだったが、少し動いただけでコロハの体は反応してきた。


「やばいな・・・少し楽しくなって来ちゃったな」


コロハが眠りながらも、少し動く度に抱きついて体を震わせる反応が面白くなってきてしまい、俺はコロハに愛を込めて意地悪をする事にした。

勿論、意地悪をしている最中にコロハは起きたのだが、結局コロハはまた寝てしまった。





「もう!ミツルさん、酷いです!」

「悪かったって・・・」


コロハが寝てしまった後、俺は諸々の後処理を済ませてから珍しく俺が朝飯(時間的には昼?)を作った。

朝飯が出来上がったのでコロハを起こしたのだが、朝の悪戯について頬を膨らませて怒ってしまっていた。


「昨日の夜だって、殺されるかと思いましたよ!」

「悪かったって」


昨夜はシンティラの時と同様、歯止めが利かずに何回もしてしまったせいで、コロハには何回も気を失っては起こされる状態を繰り返させてしまった。


「まぁお詫びって訳じゃないけど、ご飯を作ったからさ」

「ム~・・・もう」


コロハは少し怒ってはいるが本気で怒っている感じではなく、若干赤く染めた頬を膨らませて、上目使いで俺の腕に抱き付いて来ていた。


「そういえば鵺とフェンリルが居ないんだが、昨日どこか行くとか言ってか?」

「え!?あ、えーっと・・・」

「あ。うん・・・わかった」


なんとなく察しは付いていたが、鵺たちが居ない事をコロハに聞くと目を逸らして言い辛そうにした。

それだけで回答としては十分だった。

要するにシンティラの時と同じ様に出掛けたか、シンティラたちの宿に行ったのは間違いなさそうだった。


「まぁ、居たら居たで恥ずかしいけどな」

「・・・・・・」


コロハに声を掛けると、顔を耳まで赤くして黙って頷いていた。


「さて、折角作った朝飯が冷めちゃう前に一緒に食べよう」

「・・・はい」


まだ顔を赤くしているコロハの手を取り、部屋を出て下の居間に向かった。



「これは?」


コロハは目の前に置かれた、丸くて厚みのあるパンの様な物を見て首を傾げていた。


「パンケーキっていう俺が居た世界の料理だ。口に合えばいいんだけど・・・」

「いただきます・・・。ッ!!」


コロハが恐る恐る、上に掛けた蜂蜜と一緒にパンケーキを口にすると、目を丸くした。

その様子に失敗でもしたのかと心配になり、俺も一口食べてみた。


「どうかな?こっちの世界に来て初めて作ったけど・・・うん。まぁまぁだね」

「まぁまぁなんて!そんなモノじゃないです!これすごくおいしいですよ!」


ベーキングパウダーも無かったので、卵白をメレンゲ状になるまで泡立ててから作る即席の作り方だったが、コロハには気に入って貰えた様だった。

頬を押さえながらパンケーキを口に運んでは幸せそうな顔をしているコロハを見ていると、何処の世界の女の子も甘い物は幸せな気分にさせてくれる物だという事が良くわかった。


コンコン!

「ん?・・・」

「あ・・・」

「フ~、まったく・・・」


窓をノックする音に目を向けると、窓の外に全員集合してこちらをニヤニヤしながら覗き込んでいた。

ため息を付きながらも俺は席を立って、裏口のドアへと向かった。


「お前らはどうしていつも計画的にするかね・・・」

「ククク、すまんな。(ぬし)よ」


俺が頬を緩ませながら文句を言うと、フェンリルが意地悪そうに笑って返してきた。

他の面々を見ても、やはりニヤニヤして「してやったり」とでも言いたげだった。

まぁ正直なところを言うと、その計画に対しては感謝をしている所もあるので、俺も自然と頬が緩んでしまっていた。


「ちょうどよかった。よかったら、みんなの分のパンケーキも作ったから一緒にどうだ?」

「ご主人!パンケーキってコロハさんと食べてたモノですか!?」

「あぁ、そうだ」

(あるじ)、ひょっとしてわたし達が来る事はわかっていたのか!?」

「なんとなくな」

「ご主人様とコロハさんが幸せそうでよかったです」

「シンティラもありがとな」


祝福の言葉を言って来たシンティラの頭を撫でながら、みんなで居間へ向かい少々賑やかな昼飯取る事にした。




「で?コロハは昨日の夜はどうだったんだ?」

「ブフッ!ゲホゲホ・・・エレアさん!いきなり何を言うんですか!?」


俺が食器を洗っていると居間からコロハが食後に出したお茶を噴く音が聞こえて来た。


「いや、わたしは(あるじ)にまだ可愛がってもらった事が無いから、気になってね。シンティラに聞くと頬を染めて『すごかった』しか言わないからさ」

「え!?いや、その・・・なんていうか・・・凄過ぎて、死んでしまうかと何度も思いました」

「な、なるほど・・・わたしも心して掛からなければいけない様だな」

「もしかして、シンティラちゃんの時もそうだったんですか?」

「え!?エヘヘヘ・・・ご主人様は最初は優しかったんですけど、その後凄過ぎて・・・エヘヘヘ」


別に聞き耳を立てている訳ではないが、居間から聞こえてくる話の内容が自分との夜の話で盛り上がり始めてしまった様だったので、手早く洗い物を片付けて台所の裏口から外に退避する事にした。


「フ~、仲良くなるのはいい事だが・・・そう言う話は、せめて俺が居ないところでして欲しいモンだな」

「まあ、それだけ(ぬし)は奴隷達から好かれているって事だろ?」

「うわ!いつの間に居たんだ!?フェンリル!」


ため息を付いて独り言を言うと、いつの間にか後ろに居たフェンリルが声を掛けて来た。


「どうやら、ここの世界は種族にも依るが一夫多妻が普通らしいぞ?それに、愛する者との情事に関しては貪欲な様だ」

「へぇ~・・・ってなんでフェンリルがそんな事知ってるんだよ」

「昨日の昼間に3者が話している時に聞いただけの知識だがな。強いオスにメスは魅かれるモノだ」

「なるほど、で?フェンリルが俺の後を付けて来てまでアドバイスをくれた理由を聞いてもいいか?」

「・・・・・・なに、簡単な事だ。あの空間にオスは居辛いからな」

「あぁ・・・なんか、わるいな」


フェンリルとしばらく(オス)同士で話した後、時間もある事なので、体力作りのトレーニングそして時間を潰す事にした。


夕方になって家に戻った際に、エレアが頬を染めて熱い視線を送って来ていたので、近い内にエレアの相手もするだろうと感じていたが、今はなるべく気にしない事にした。

最近、友人がとある物をくれたのだが、それのせいで投稿に影響が出そうです。

何かって?カスタムメイド3D2ですよ。

あれ、危険だな・・・

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