6・エド村
遅くなりすみません。今回の話は短いので2話同時更新します。
村の入口でいきなりコロハが前に出て両手を広げて振り返った。
「ようこそ!ここがエド村です!」
「江戸村?」
「そうです!ここが私たちのエド村です。」
(いや、わかっている。異世界に猿軍団はいないし、髷が付いた白い猫の着ぐるみを着た人もいない!もしも、そんなニャン○げが居たら飛びついてやろう。)
「ニャ○まげとかいないよな?」
「ニャンま○ってなんですか?」
「いや、わるい。こっちの話だ。」
コロハは絶対わかるはずが無い名前に首を傾げていた。
「?そうですか・・・」
「と、ところで、買い物の前に一つ聞いていいか?」
「はい、なんでしょう?」
「お金について教えてくれるか?」
「はい!わかりました。じゃあ、道端で説明するのも何ですから、そこの店に入りましょう!」
「・・・家で聞いとけばよかったな。」
「うっ・・・私も今思いました。」
入った店は呑み屋のようだが、今の時間は軽食を取っている獣人が数人居た。コロハと違いブラウンや黒い耳や尻尾だ。席に座り、コロハが注文した白い飲み物がテーブルに置かれた。
「さて、じゃあ説明しますね・・・と言っても金貨より上を持っていないので、殆んど口頭での説明ですが・・・。」
「よろしく、先生。」
「そんな!先生だなんて・・・えへへ」
そんなに嬉しかったのか、コロハは頬に両手をあてて嬉しそうに笑っていた。そしてワザとらしく咳払いをして、石貨と銅貨と銀貨を前において説明を始めた。
「おほん!まず、一番下のお金はこの石貨です。石貨1枚で1パルです。石貨10枚でこの銅貨1枚分になります。銅貨50枚で銀貨1枚分です。銀貨100枚で・・・ここにはありませんが金貨1枚になります。それで金貨100枚で白金貨と言って明るい色をした銀貨のような物1枚分になります。っと言っても白金貨は一生でも見ることが無い人が多いです。」
「なるほど・・・二人暮らしで大体、月にいくら位で生活しているんだ?」
「そうですね・・・二人暮らしだと金貨2枚ぐらいでしょうか?」
「この飲み物はいくら?」
白い飲み物を口にすると、インド料理屋とかで出るヨーグルト(ラッシー)みたいな味がした。
「このクルル2杯で銅貨9枚と石貨6枚ですね。」
「なるほど、1杯48パルか・・・大体の価値が分かった。」
(なるほど、1パル5円ぐらいが妥当か。)
お金の基準がわかったところで、クルルを飲み干すと、コロハが驚いた顔をして見てくる。
「どうした?俺の顔に何かついているか?」
「いえ・・・、ミツルさんって頭いいんですね?」
「そうか?普通だと思うぞ?」
「私も計算とかは、割と得意なんですけど・・・ミツルさんは早いな~と思って・・・」
顔を俯かせて、落ち込ませてしまった。しかし、義務教育の制度が無いこの世界では仕方のない事だ。
それにも関わらず文字の読み書きや計算が出来るのはやはり、ゲンチアナの教育の賜物だろう。金銭への知識が付いたところで、いざ買い物へ行くことにした。
パンや肉、野菜などを買っていると、コロハがとあるお店の前で立ち止まった。
「今日はここで最後です。」
小さい店内を見ると、剣や棍棒、斧に槍が所狭しと並んでいた。俗に言う武器屋だった。