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51・幸せな奴隷

冒頭からR15の範囲に納まるか不安です。

そういった内容が苦手な方は中頃まで飛ばしてください。

「ス~・・・ス~・・・」

「ん、朝か・・・」


柔らかい感触と隣から聞こえる寝息に目が覚めると外は明るく、朝になっていた。

ふと隣を見るとシンティラが幸せそうな顔をしながら、俺の腕に抱き着いて寝ていた。


昨夜、シンティラに迫られてそのまま押し倒してしまったのだ。

なので、もちろん今の俺とシンティラは裸のままでベッドに居た。


シンティラは初めてだったので最初は痛がっていたが、途中から慣れて来たようだった。

こちらの世界に来てから色々と我慢していた俺は、歯止めが効かず何回もしてしまったが、シンティラもそれを求めて来ていたので、大分夜遅くまで起きていた。


「あ~・・・これは色々と酷い・・・」


とりあえず起き上って見ると、赤い血が混ざったモノや白濁した液がベッドやシンティラと自分の体に飛び散って酷い事になっていた。

既に鼻もおかしくなっているようだが、きっとこの部屋は酷く生臭い事になっているのだろう。


「はぁ~。とりあえず、片付けますか・・・」


一つため息をついて、シンティラを起こさない様にしながら窓を開けて、シーツやシンティラの体と自分の体を魔法で出したお湯で洗ったり、それを魔法で乾かしたりした。


一通り綺麗にした後、念の為シンティラに検査魔法(サーチ)を掛けた。

こう言っては責任感が無い男に思われるかもしれないが、シンティラには前もって体内に魔力を送って妊娠しない様にしていた。


少しだけ、シンティラを抱いた時に『このまま、この世界に居続けるのも悪くは無いかもしれない』と思ってしまったが、それを決めるのは元の世界に戻る方法を見つけてからでも遅くないと思っていた。

このままシンティラに子供が出来てしまうと、その旅をする事も困難になってしまうので、避妊をしてもらう事にしたのだ。


「うん。問題ないな」


検査魔法(サーチ)を掛けたところ、しっかりと避妊効果は効いていて体の方も少し中が傷付いている以外、異常はなかった。


「ふぁぁぁ~・・・眠い」


朝日が昇っていると言ってもまだまだ朝早かった為、洗ったシーツを俺とシンティラの体に掛けて、二度寝する事にした。



モゾモゾ・・・

「ん?」


シンティラが動いたので再度目が覚めると、シンティラが幸せしそうに笑いながら見つめて来ていた。


「おはようございます。ご主人様」

「おはよう。シンティラ」

チュッ

「はぅ・・・」


挨拶をしたあと軽く口付けをすると、恥ずかしそうにシーツの中に潜ってしまった。


「さて、シンティラ。鵺たちが戻ってくる前に起きようか」

「は、はい」


シンティラとベッドから出て服を着た所で、丁度フェンリル達が戻って来た。


「ただいま~」

「ただいま戻った」

「おう、お帰り」

「フェンリルさん、鵺さん。お帰りなさい」

「フンフンッ・・・シンティラ、(ぬし)とうまくいった様だな」


フェンリルが鼻を鳴らして匂いを嗅ぐと、気になる事を言い出した。


「ん?もしかして、お前らが出かけたのって・・・」

「す、すみません。私が・・・その」

「あぁ、シンティラに頼まれてな。(ぬし)に断わり無く出かけてしまってわるかった」


どうやら、フェンリルと鵺はシンティラにお願いされて出かけて居た様だ。

つまりあの日の朝、決闘から帰って来てからシンティラは夜に行動を起こす気だったのだ。

どうりで昨日は度々、挙動不審になったりしていた訳だ。


「よかったね!シンティラちゃん!」

「はい!鵺さんもフェンリルさんも、ありがとうございました!」

「まあ、気にする事はない」

「そうだよ!」

「はぁ~・・・全く。今回のは全員がグルだったって訳か」

「ご、ご主人様!ごめんなさい!」


俺がため息をつくと、シンティラが頭を下げて謝って来た。

『してやられた』とは思ったが、別に怒っている訳では無いのでシンティラの頭を優しく撫でてやった。


「大丈夫、怒ってないよ」

「ホント・・・ですか?」

「あぁ、本当だ」

「ご主人様!」


怒ってない事をちゃんと言うと、シンティラは嬉しそうに抱き着いて来た。


コンッコンッ

(あるじ)、入ってもいいか?」

「「!!!」」


ノックと共にエレアの声がした。

別にいやましい事はしていなかったが、俺とシンティラは驚いて離れてしまった。


「あ、あぁ。エレアか、開いてるぞ」

「おはよう、(あるじ)

「あぁ、おはよう。どうした?」

「どうしたも何も、今日来ると言ったではないか」

「そ、そうだったか・・・ん?」


ふとエレアが開いたドアの外、廊下に荷物がある事に気が付いた。


「この荷物ってもしかして、エレアのか?」

「あぁ、そうだ。ギルドの部屋を出て来たからな」

「出て来た!?また、どうして!?」

「今朝、ギルドにギルド証を返して来たからな。ギルド員で無くなれば部屋を使う事は出来なくなる」

「ギルド証を返してきた!?」


なんだか、話が急すぎてついて行けなかったが、理由を聞くとそれは必然的だとわかった。


「通常は犯罪などで身分が奴隷になればギルド証は剥奪される。わたしは自らの意思で(あるじ)の奴隷になったが、奴隷である事は変わらない。だから、ギルド証を返却したのだ」

「別にバレなければ持っていてもいいんじゃないのか?」

「そうはいかない。もしそれがバレれば、わたしは多額の罰金と国の強制労働に送られる事になるからな」

「それは、マズイな・・・」

「と言う訳だ。もし良ければだが、わたしを(あるじ)の冒険者奴隷に登録して貰う事は出来ないだろうか?」

「まぁ・・・そういう事なら、しょうがないか。じゃあ今日行ってしまおう」

「すまない」


エレアを冒険者奴隷に登録する事を了承したはいいが、行く前からミリの反応は予想出来ているので、若干だが面倒臭いとは思っていた。





「はあぁぁ!!??モゴッ!」


案の定、エレアの冒険者奴隷をしに来た事を伝えるとミリが大声で盛大に驚いた。

とりあえずうるさいので口を掴んで黙らせたが、周りの目線が一気に集中していた。


そもそも、エレアは冒険者ギルドにも登録していたので『暴隊のエレア』が奴隷になってギルドをやめた事は周りにも知れていた。

そんなエレアが、ギルドに姿を現せば自然と注目が集まるのは当たり前だった。


「ミリさん。うるさいので、声を落として貰えますか?」


いつだかみたいに、笑いながら少し手に力を入れて言うと、首を縦に振って了承してくれた。


「し、しかし。本当にエレアさんがミツルさんの奴隷になったんですか?」

「あぁ、本当だ」


ミリが信じられないと言う様に口にすると、エレアが笑顔でそれに答えた。


「まあ、ミツルさんの奴隷だったら、そんなに悪い環境にはならないと思いますが・・・」

「あぁ、わたしもそれには驚いている。なにせ、自分の私物を持ったままでいいと言ってくれたのだ」

「まあ、ミツルさんらしいと言えばミツルさんらしいですね」

「ああ、わたしも(あるじ)がミツルでよかったと思っている」

「わ、私もご主人様でよかったと思ってます!」

「フッ、俺もミツルしか(ぬし)はあり得なかっただろう」

「僕もそう思いますね」


エレアがミツルの奴隷になった事を嬉しそうにミリと話していると、俺以外がそれに同意するかのように口々に言って来た。


「お前らなぁ・・・」

「ミツルさんモテモテですね」


俺が少し恥ずかしくなって顔を手で隠しながら呟くと、ミリがニヤニヤしながらからかって来た。


「とりあえず、今日は登録をお願いします」

「わかりました。じゃあ、記入をお願いします。あと、今回もネックレスチェーンは要りますか?」

「それも下さい」


ミリにネックレスチェーンも頼んで、その間に記入を済ませた。


名前 ミツル・ウオマ

年齢 25

地位称位(ちいしょうい)(身分のランク) 魔法使い

得意魔法 水系魔法

武器 片刃剣

所有奴隷 

・シンティラ 雷獣族 16歳

・エレア・ノーラン 狐族 21歳

・  ・  ・  ・  ・  ・


「では、登録料500パルとチェーン110パルで610パルです」

「じゃあ、銀貨1枚と銅貨11枚でお願いします」

「わかりました。では、冒険者奴隷のギルド証とネックレスチェーンです」

「ありがとう・・・。はい!」

「え?」


ミリからメタリックブルーをした冒険者奴隷のギルド証とネックレスチェーンを受け取ると、そのままエレアに渡した。


「あ、(あるじ)!わ、わたしが持っていていいのか!?」

「ん?あぁ、別にいいよ。シンティラにも持たせてるし」

「え!?」


エレアは驚いてシンティラにも目を向けると、シンティラは嬉しそうに自分が持っている冒険者奴隷のギルド証をポケットから出して見せた。


「ね?『ミツルさんの奴隷だったら、そんなに悪い環境にはならない』って言ったでしょ?」


なぜかそのやり取りを見ていたミリが呆れながらも言って来た。


「あ、あぁ。確かにそうだな・・・」

「あ、そうだ!ミツルさん」

「なんでしょう?」

「忘れる所でした。魔法ギルドからミツルさん宛てに手紙が今朝、届きましたよ」

「魔法ギルドから?」

「おそらく、わたしに勝つほどの魔法使いが魔法ギルドに登録していないので、その事だろう」


もしかして、本人の希望でエレアを奴隷にした事が何か問題があったのかと思ったが、そうでは無いようだった。


封筒を開けて中を見てみると、そこにはギルドに登録してほしいとの事が書いてあった。


「う~ん・・・特に魔法ギルドに登録したからと言って何か、特があるとは思えないんだけどな~」

(あるじ)。魔法ギルドの事に関しては、わたしが知っている限りの事を教えられるが・・・」

「ん?あぁ、もしよければ教えてくれるか?」

「わかった。魔法ギルドは魔術師・魔法使いと治療魔法師のみのギルドで、その手の専用依頼を紹介したりしている。

メリットとしては、その手の報酬は高額なモノが多いので稼ぐのには非常に便利だ。

あとは昨日話したが、各ギルド員には研究室が割り当てられる。まあ、部屋はそんなに広くは無いが、1名だけが寝泊まりするのには不便は感じない。

それと魔石や魔法具・薬草などを買う時は安く手に入れる事が出来る。そのぐらいだな」

「なるほど・・・魔法書とかの貸出とかはあるのか?」

「いや、販売はしているが貸し出しとかはやっていない。そういうのは街の西にある図書館で見られる。それは魔法ギルドでなくても、冒険者ギルドに登録していれば閲覧できる。しかし、持ち出しは禁止だがな」

「ふむ、なるほど・・・。じゃあ、登録しなくていいか」

「は?」


俺が軽く答えを出すと、エレアが不思議そうにしていた。


「あ、(あるじ)。魔法ギルドに登録はしないのか?」

「あぁ、話を聞いていてもそこまで大きなメリットを感じないからな」

「え?」


エレアが驚いた顔をしていたので、その理由を話した。


「まず、金に関しては今のところは不自由はしていない。俺たち全員で1年は何もしなくても大丈夫な程度は持っているからな。

それと部屋だが、今のところはこの街に滞在しているが、その内に旅へ出る予定だ。なのでどの道、不要だ。

最後に薬草や魔石に関してだが、頻繁に必要になる訳では無いので、これもメリットとは言えない。魔法具は作れるし、売るならラークさんの店がある」

「な、なるほど・・・」


俺がエレアの言ったメリットすべてを潰すと、予想外の返答に面を食らっていた。


「まあ、同じ広場にある建物だし、断って来るか」


俺たちは冒険者ギルドを出て、広場にある5つの建物の内の1つ、魔法ギルドへ向かった。

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